2011/09/03(土) - 15:52
ブエルタ・ア・エスパーニャはガリシア州からカスティーリャ・イ・レオン州へ。いよいよブエルタ2011年大会の総合争いを占う上で重要な山岳3連戦が始まった。手始めの第13ステージは2つの1級山岳を越える。前半に動き、21分遅れでゴールした土井雪広(スキル・シマノ)は「これで完走は大丈夫でしょう」と胸を撫で下ろした。
この日のスタート地点サリアは、前日のゴール地点ポンテベドラから約190km離れている。ほとんどのチームは、第12ステージの終了とともにサリア近くまで移動。今年のブエルタはステージ間の移動距離が長い。
第12ステージでキッテルのために集団を牽き倒した土井雪広は、「脚が痛い」と言いながらスタート地点にやってきた。ダブル頂上ゴールに備えて体力の温存に励むのかと思いきや「今日は前半から逃げの動きに乗る」と言う。
「コースが厳しいから、どうせ集団にいても辛い。だから前に行く」。その言葉通り、土井雪広は序盤からのアタック合戦に加わり、2つの3級山岳を精鋭グループの中でクリアした。
しかし結果的に集団は一つに戻り、アタックの手を緩めざるを得なかった。「アタックにウィギンズ自ら反応して失敗。最終的にウィギンズやニーバリを含む28名のグループが形成されたけど、カチューシャやラボバンクが入っていなかった。他の総合上位陣が入っていれば、そのまま行けていたかもしれない」。
その時、集団の前方でアタックを繰り返していたのが、山岳賞を争うマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)とダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)だ。
山岳賞ジャージを着るモンタグーティはスタート前に「今日は何としても逃げに乗って、山岳ポイントを加算したい。少なくとも今日はこのジャージを死守したい」と語り、スタート後すぐに始まる3級山岳に備えてウォーミングアップ。しかしモンクティエが逃げに乗ったことで、水玉ジャージはスルリと手元から離れて行った。
この日唯一の撮影ポイントとして選んだ30km地点を、逃げグループが通過して、マイヨロホグループが通過して、メイン集団が通過して、グルペットが通過。だがなかなか交通規制が解除されない。まだレース序盤なのに大きく遅れている選手がいる。
先頭から約7分遅れて、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)がゆっくりとやってきた。BMCレーシングチームのチームカーが伴走しているが、明らかに力を込めて踏む行為をやめている。
アメリカが期待するサラブレッドは初挑戦のグランツールを第13ステージで降りた。フィニーはデンマーク・コペンハーゲンで開催されるロード世界選手権のタイムトライアルを狙っている。昨年フィニーはU23カテゴリーで優勝。今年はエリートレース初挑戦となる。
フィニーは今大会最大の目標としていた第10ステージの個人タイムトライアルで5位に。しかし世界選手権を狙う身としては、3週間の闘いは長過ぎた。「休息日の時点で、まだもう一週間走れると思った。でもこの数日間苦しみ続けた結果、今日、ブレーキングポイントがやってきた。全力を尽くしたが、今は世界選手権に備えるべき時だ。ここまでの12.5ステージで大きな経験を得た。レースを降りることに理解を示してくれたスタッフや選手に感謝したい」。
この日はバックパックを背負った旅行客が目についた。それもそのはず、ガリシア州にあるキリスト教の聖地に向かう「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(El Camino de Santiago)がコース付近を通過している。スタート地点サリアとゴール地点ポンフェラーダは、世界遺産に指定されている巡礼路の通過都市だ。
序盤から積極的に動いた土井雪広は、21分遅れの集団でポンフェラーダにゴール。今大会4回目のドーピングコントロールを待つ土井雪広は「2つ目の1級山岳でメイン集団から脱落した。その時は身体的にも精神的にも疲れ切っていた」と語る。
土井雪広は「明日と明後日はもう何もしない。でも今日を乗り切ったから完走は大丈夫でしょう」と安堵の表情を浮かべる。マイヨロホ争いは、第14ステージのラ・ファラポーナと第15ステージのアングリルでおおよその行方が決まる。
text&photo:Kei Tsuji in Ponferrada, Spain
この日のスタート地点サリアは、前日のゴール地点ポンテベドラから約190km離れている。ほとんどのチームは、第12ステージの終了とともにサリア近くまで移動。今年のブエルタはステージ間の移動距離が長い。
第12ステージでキッテルのために集団を牽き倒した土井雪広は、「脚が痛い」と言いながらスタート地点にやってきた。ダブル頂上ゴールに備えて体力の温存に励むのかと思いきや「今日は前半から逃げの動きに乗る」と言う。
「コースが厳しいから、どうせ集団にいても辛い。だから前に行く」。その言葉通り、土井雪広は序盤からのアタック合戦に加わり、2つの3級山岳を精鋭グループの中でクリアした。
しかし結果的に集団は一つに戻り、アタックの手を緩めざるを得なかった。「アタックにウィギンズ自ら反応して失敗。最終的にウィギンズやニーバリを含む28名のグループが形成されたけど、カチューシャやラボバンクが入っていなかった。他の総合上位陣が入っていれば、そのまま行けていたかもしれない」。
その時、集団の前方でアタックを繰り返していたのが、山岳賞を争うマッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)とダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)だ。
山岳賞ジャージを着るモンタグーティはスタート前に「今日は何としても逃げに乗って、山岳ポイントを加算したい。少なくとも今日はこのジャージを死守したい」と語り、スタート後すぐに始まる3級山岳に備えてウォーミングアップ。しかしモンクティエが逃げに乗ったことで、水玉ジャージはスルリと手元から離れて行った。
この日唯一の撮影ポイントとして選んだ30km地点を、逃げグループが通過して、マイヨロホグループが通過して、メイン集団が通過して、グルペットが通過。だがなかなか交通規制が解除されない。まだレース序盤なのに大きく遅れている選手がいる。
先頭から約7分遅れて、テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)がゆっくりとやってきた。BMCレーシングチームのチームカーが伴走しているが、明らかに力を込めて踏む行為をやめている。
アメリカが期待するサラブレッドは初挑戦のグランツールを第13ステージで降りた。フィニーはデンマーク・コペンハーゲンで開催されるロード世界選手権のタイムトライアルを狙っている。昨年フィニーはU23カテゴリーで優勝。今年はエリートレース初挑戦となる。
フィニーは今大会最大の目標としていた第10ステージの個人タイムトライアルで5位に。しかし世界選手権を狙う身としては、3週間の闘いは長過ぎた。「休息日の時点で、まだもう一週間走れると思った。でもこの数日間苦しみ続けた結果、今日、ブレーキングポイントがやってきた。全力を尽くしたが、今は世界選手権に備えるべき時だ。ここまでの12.5ステージで大きな経験を得た。レースを降りることに理解を示してくれたスタッフや選手に感謝したい」。
この日はバックパックを背負った旅行客が目についた。それもそのはず、ガリシア州にあるキリスト教の聖地に向かう「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(El Camino de Santiago)がコース付近を通過している。スタート地点サリアとゴール地点ポンフェラーダは、世界遺産に指定されている巡礼路の通過都市だ。
序盤から積極的に動いた土井雪広は、21分遅れの集団でポンフェラーダにゴール。今大会4回目のドーピングコントロールを待つ土井雪広は「2つ目の1級山岳でメイン集団から脱落した。その時は身体的にも精神的にも疲れ切っていた」と語る。
土井雪広は「明日と明後日はもう何もしない。でも今日を乗り切ったから完走は大丈夫でしょう」と安堵の表情を浮かべる。マイヨロホ争いは、第14ステージのラ・ファラポーナと第15ステージのアングリルでおおよその行方が決まる。
text&photo:Kei Tsuji in Ponferrada, Spain
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