2011/05/01(日) - 03:11
6日間の日程で開催中のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)もいよいよ佳境。最終日前日の個人タイムトライアルで、デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)が久々のビッグな勝利を手にした。同時に総合順位は大きく変動。カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が総合首位に浮上した。
総合成績に大きな影響を与える第4ステージ・個人タイムトライアル。舞台となったのは、フランス国境に面したレマン湖を見下ろす丘陵地帯。丘の上のオボンヌをスタートし、菜の花畑や牧草地が広がる丘陵地帯を抜けてシニャル・ド・ブジにゴールする。全長は20.1kmで獲得標高差は347m。
「試走して感じたのは、予想以上に登りがタフだということ。スタート直前にメカニックに言って、スプロケットを大きいものに変更したんだ。結果的にそれが功を奏した」。93番手でスタートし、トップタイムをマークしたザブリスキーは勝利の秘訣をそう語る。
ザブリスキーの平均スピードは43.134km/h。前半にスタートし、長らく暫定トップに立っていたリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)のタイムを1秒77更新した。
「自分向きのコースだった。細かいアップダウンの連続でリズムを掴みにくいコース。自分の出番の時は風が弱かったけど、それもレースの一部。チャンスが回ってきたんだ」。ザブリスキーは気怠い表情で淡々と印象を語る。「とにかく素晴らしい勝利。ロマンディのあとはツアー・オブ・カリフォルニアに出場するよ」。
昨年大会の個人タイムトライアルで優勝しているポルトはステージ2位に。当初は昨年活躍したジロ・デ・イタリアをスキップする予定だったが、この日サクソバンクチームがポルトのジロ出場を発表。ポルトはジロの山岳でアルベルト・コンタドール(スペイン)をアシストする。
注目のリーダージャージは、ステージ8位のエヴァンスの手に渡った。前日にステージ優勝を飾り、総合2位に浮上したアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)は後半に失速。総合タイム挽回を狙ったトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)も風にタイムを奪われ、リーダージャージに18秒届かなかった。
黄色いリーダージャージに袖を通し、終始笑顔で会見に臨んだエヴァンス。「とても満足している。2週間前のトレーニング中の落車によって、アルデンヌを棒に振ってしまった。だから自分がどんなコンディションなのか分からないままロマンディに出場したんだ。でも頼れる人々の力を得て、トップコンディションに戻すことができた」。
「90年代に渡欧したとき、最初に住んだのがこのスイスのロマンディ地方だった。だから地元で勝ったような気分。スイスのBMC社にとっても重要なレースなので、そこで結果を残すことができて良かったよ」。
エヴァンスは2006年大会の総合優勝者であり、2度目の総合優勝に王手。会場に駆けつけたチームオーナーのアンディ・リース氏の顔もほころんだ。
BMCレーシングチーム期待の若手、初日のプロローグ2位のテイラー・フィニー(アメリカ)は、スタート直後のトリッキーなカーブで落車。タイムを挽回できず、ステージ97位に終わった。フィニーは「スタート前から興奮し過ぎていたのだと思う。幸い大怪我を負わずに済んだ」と語っている。
「回してテンポで走ったからタイムは伸びなかったけど、疲れきることなく走れた」と語るのは、トップのザブリスキーから2分33秒59遅れのステージ92位に入った別府史之(レディオシャック)。最終ステージと、その先にあるジロ・デ・イタリアを見据え、好調をキープしている様子だ。フミは、この日総合7位に浮上したチームメイトのヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)をサポートするとともに、マヌエル・カルドソ(ポルトガル)で最終日のスプリントを狙う。
新城幸也(ユーロップカー)は2分33秒88遅れのステージ93位。ここまで結果を残せていないユーロップカーは、ジュネーブにゴールする集団スプリント向きの最終ステージで優勝を狙う。集団スプリントに持ち込まれた場合は、ユキヤをエースに立てるはずだ。
レースの模様はフォトギャラリーにて!
ツール・ド・ロマンディ2011第4ステージ結果
1位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) 27'57"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード) +01"
3位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +13"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +17"
5位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +27"
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +41"
7位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +42"
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +44"
9位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル) +47"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) +54"
92位 別府史之(日本、レディオシャック) +2'33"
93位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +2'33"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 13h00'58"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +18"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +19"
4位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード) +31"
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +41"
6位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) +51"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +52"
8位 パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ) +58"
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +59"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +1'00"
61位 別府史之(日本、レディオシャック) +6'30"
106位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +20'38"
山岳賞
オレクサンドル・クヴァチュク(ウクライナ、ランプレ・ISD)
中間スプリント賞
ダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、チームスカイ)
新人賞
ピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
チーム総合成績
ガーミン・サーヴェロ
text&photo:Kei Tsuji in Aubonne, Switzerland
総合成績に大きな影響を与える第4ステージ・個人タイムトライアル。舞台となったのは、フランス国境に面したレマン湖を見下ろす丘陵地帯。丘の上のオボンヌをスタートし、菜の花畑や牧草地が広がる丘陵地帯を抜けてシニャル・ド・ブジにゴールする。全長は20.1kmで獲得標高差は347m。
「試走して感じたのは、予想以上に登りがタフだということ。スタート直前にメカニックに言って、スプロケットを大きいものに変更したんだ。結果的にそれが功を奏した」。93番手でスタートし、トップタイムをマークしたザブリスキーは勝利の秘訣をそう語る。
ザブリスキーの平均スピードは43.134km/h。前半にスタートし、長らく暫定トップに立っていたリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)のタイムを1秒77更新した。
「自分向きのコースだった。細かいアップダウンの連続でリズムを掴みにくいコース。自分の出番の時は風が弱かったけど、それもレースの一部。チャンスが回ってきたんだ」。ザブリスキーは気怠い表情で淡々と印象を語る。「とにかく素晴らしい勝利。ロマンディのあとはツアー・オブ・カリフォルニアに出場するよ」。
昨年大会の個人タイムトライアルで優勝しているポルトはステージ2位に。当初は昨年活躍したジロ・デ・イタリアをスキップする予定だったが、この日サクソバンクチームがポルトのジロ出場を発表。ポルトはジロの山岳でアルベルト・コンタドール(スペイン)をアシストする。
注目のリーダージャージは、ステージ8位のエヴァンスの手に渡った。前日にステージ優勝を飾り、総合2位に浮上したアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)は後半に失速。総合タイム挽回を狙ったトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)も風にタイムを奪われ、リーダージャージに18秒届かなかった。
黄色いリーダージャージに袖を通し、終始笑顔で会見に臨んだエヴァンス。「とても満足している。2週間前のトレーニング中の落車によって、アルデンヌを棒に振ってしまった。だから自分がどんなコンディションなのか分からないままロマンディに出場したんだ。でも頼れる人々の力を得て、トップコンディションに戻すことができた」。
「90年代に渡欧したとき、最初に住んだのがこのスイスのロマンディ地方だった。だから地元で勝ったような気分。スイスのBMC社にとっても重要なレースなので、そこで結果を残すことができて良かったよ」。
エヴァンスは2006年大会の総合優勝者であり、2度目の総合優勝に王手。会場に駆けつけたチームオーナーのアンディ・リース氏の顔もほころんだ。
BMCレーシングチーム期待の若手、初日のプロローグ2位のテイラー・フィニー(アメリカ)は、スタート直後のトリッキーなカーブで落車。タイムを挽回できず、ステージ97位に終わった。フィニーは「スタート前から興奮し過ぎていたのだと思う。幸い大怪我を負わずに済んだ」と語っている。
「回してテンポで走ったからタイムは伸びなかったけど、疲れきることなく走れた」と語るのは、トップのザブリスキーから2分33秒59遅れのステージ92位に入った別府史之(レディオシャック)。最終ステージと、その先にあるジロ・デ・イタリアを見据え、好調をキープしている様子だ。フミは、この日総合7位に浮上したチームメイトのヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)をサポートするとともに、マヌエル・カルドソ(ポルトガル)で最終日のスプリントを狙う。
新城幸也(ユーロップカー)は2分33秒88遅れのステージ93位。ここまで結果を残せていないユーロップカーは、ジュネーブにゴールする集団スプリント向きの最終ステージで優勝を狙う。集団スプリントに持ち込まれた場合は、ユキヤをエースに立てるはずだ。
レースの模様はフォトギャラリーにて!
ツール・ド・ロマンディ2011第4ステージ結果
1位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) 27'57"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード) +01"
3位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +13"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +17"
5位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +27"
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +41"
7位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +42"
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +44"
9位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、エウスカルテル) +47"
10位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック) +54"
92位 別府史之(日本、レディオシャック) +2'33"
93位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +2'33"
個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 13h00'58"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +18"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +19"
4位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード) +31"
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +41"
6位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) +51"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +52"
8位 パヴェル・ブラット(ロシア、カチューシャ) +58"
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +59"
10位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +1'00"
61位 別府史之(日本、レディオシャック) +6'30"
106位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +20'38"
山岳賞
オレクサンドル・クヴァチュク(ウクライナ、ランプレ・ISD)
中間スプリント賞
ダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、チームスカイ)
新人賞
ピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
チーム総合成績
ガーミン・サーヴェロ
text&photo:Kei Tsuji in Aubonne, Switzerland
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