2010/08/27(金) - 12:10
2010年8月28日にスペイン・セビーリャで開幕する第65回ブエルタ・ア・エスパーニャ。今年から赤色に変更されたリーダージャージ「マイヨ・ロホ」を懸けて、国内外からオールラウンダーたちが集結する。注目はシュレク兄弟、メンショフ、ニーバリ、サストレ、ヴァンデヴェルデらだ。
いよいよグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャが始動する。昨年まで金色のマイヨ・オロが総合リーダーの証だったが、今年からスペインのナショナルカラーである赤色に変更。選手たちはマイヨ・ロホを懸けて闘うことになる。
昨年ブエルタで念願のグランツール初制覇を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、ドーピングの疑いにより2年間の出場停止処分中。今年もディフェンディングチャンピオン不在の争いが繰り広げられる。
マイヨ・ロホ争いの中心にいると目されているのが、シュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)だ。チームリーダーを務めるのは現ルクセンブルクチャンピオンの兄フランク。今年のツールの序盤パヴェステージで落車リタイアしたフランクは、このブエルタでグランツール初制覇を目指す。
2年連続でツールを総合2位で終えた弟のアンディは兄フランクのサポートに徹する考え。アンディはロード世界選手権を欠場する予定で、このブエルタに集中している。兄を強力にアシストしながら、自身も総合上位を狙えるポジションに付くだろう。兄弟揃って表彰台に上る可能性もある。
サクソバンクからはカンチェラーラとラーションという“北京五輪&ロード世界選手権個人TTワンツー”というゴールデンコンビが出場。初日のチームタイムトライアルから早速ライバルたちを突き放すだろう。
そんなシュレク兄弟に挑戦状を叩き付けるのが、2005年と2007年大会の覇者デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)だ。メンショフは2009年にジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たし、今年ツールで初表彰台(総合3位)。ここ数年はツール制覇に情熱を注いでいたため、ブエルタへの出場は3年ぶりだ。寡黙なロシアンライダーが、第2の故郷であるスペインで復権を目指す。
今年急遽出場が決まったジロ・デ・イタリアでマリアローザを3日間着用し、バッソの大会制覇をお膳立てしながら総合3位に入る活躍を見せたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)にも注目したい。ツールを欠場したニーバリは直近のレースで結果を残しており、その調子は上々だ。
ニーバリはチームメイトのロマン・クロイツィゲル(チェコ)とともに、初出場のブエルタで総合上位を目指す。仮に総合優勝を飾ることが出来れば、20年ぶりにイタリア人総合優勝者が生まれることになる。
2005年と2007年に総合2位、2008年に総合3位という結果を残しているカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)は、今年すでにジロ(総合8位)とツール(総合20位)を完走。もちろんブエルタでは大会制覇を目指す。完走を果たすことが出来れば、2006年に次ぐ自身2度目の全グランツール完走だ。
地元スペイン勢としては他にも、世界屈指の山岳力を誇るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)にも注目。“プリト(ロドリゲスの愛称)”は2008年総合6位、2009年総合7位。今年のツールでは総合7位という結果を残した。急勾配の上りを得意とすることから、厳しい山岳が設定されたブエルタはプリト向きだ。
2007年総合5位、2008年総合4位、2009年総合5位という成績を残しているのが、プロコンチネンタル登録シャコベオ・ガリシアのエセキエル・モスケラ(スペイン)だ。現在34歳のモスケラは、今年こそ総合表彰台に上りたい。派手な走りは見せないが、その安定感は抜群だ。
2006年大会で頂上ゴールを制し、2007年に総合7位に入っているイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)は、今年ツールを欠場してブエルタに照準を合わせている。ツール総合4位のサムエル・サンチェス(スペイン)が欠場するため、バスク代表エウスカルテルのチームリーダーという重責を担っての出場だ。春先のブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオンでは頂上ゴールでコンタドールを沈めてステージ優勝。総合2位に入っている。その他、アルデンヌ・クラシックでも安定した走りで上位入賞を繰り返した。
今年ジロで5日間マイヨジョーヌを着用し、リクイガスに最後まで対抗して総合2位に入ったダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ)も忘れてはならない。アローヨは2007年にステージ優勝を飾り、総合17位に入っている。
海外勢としては、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)やタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)が上位に絡んでくるだろう。今年のグランツールでツキに見放されているクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)は汚名返上なるか。ヴァンデヴェルデはジロ第3ステージで鎖骨骨折→リタイア、ツール第2ステージで肋骨骨折→リタイア。ブエルタは過去4度出場しており、今年3年ぶりの出場となる。
ダークホースとして、ドーピングによる出場停止処分を終え、今年7月にランプレでレースに復帰したアンドレイ・カシェチキン(カザフスタン)を挙げておきたい。カシェチキンは2006年大会でステージ優勝を飾って総合3位。復帰後、クラシカ・サンセバスティアン92位、ボルタ・ア・ポルトガルの個人TT19位という成績を残している。
ブエルタ歴代総合優勝者
2009年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
2005年 デニス・メンショフ(ロシア)
2004年 ロベルト・エラス(スペイン)
2003年 ロベルト・エラス(スペイン)
2002年 アイトール・ゴンザレス(スペイン)
2001年 アンヘル・カセロ(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1998年 アブラハム・オラーノ(スペイン)
1997年 アレックス・ツェーレ(スイス)
1996年 アレックス・ツェーレ(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1991年 メルチョル・マウリ(スペイン)
1990年 マルコ・ジョヴァネッティ(イタリア)
text:Kei Tsuji
いよいよグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャが始動する。昨年まで金色のマイヨ・オロが総合リーダーの証だったが、今年からスペインのナショナルカラーである赤色に変更。選手たちはマイヨ・ロホを懸けて闘うことになる。
昨年ブエルタで念願のグランツール初制覇を果たしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は、ドーピングの疑いにより2年間の出場停止処分中。今年もディフェンディングチャンピオン不在の争いが繰り広げられる。
マイヨ・ロホ争いの中心にいると目されているのが、シュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)だ。チームリーダーを務めるのは現ルクセンブルクチャンピオンの兄フランク。今年のツールの序盤パヴェステージで落車リタイアしたフランクは、このブエルタでグランツール初制覇を目指す。
2年連続でツールを総合2位で終えた弟のアンディは兄フランクのサポートに徹する考え。アンディはロード世界選手権を欠場する予定で、このブエルタに集中している。兄を強力にアシストしながら、自身も総合上位を狙えるポジションに付くだろう。兄弟揃って表彰台に上る可能性もある。
サクソバンクからはカンチェラーラとラーションという“北京五輪&ロード世界選手権個人TTワンツー”というゴールデンコンビが出場。初日のチームタイムトライアルから早速ライバルたちを突き放すだろう。
そんなシュレク兄弟に挑戦状を叩き付けるのが、2005年と2007年大会の覇者デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)だ。メンショフは2009年にジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たし、今年ツールで初表彰台(総合3位)。ここ数年はツール制覇に情熱を注いでいたため、ブエルタへの出場は3年ぶりだ。寡黙なロシアンライダーが、第2の故郷であるスペインで復権を目指す。
今年急遽出場が決まったジロ・デ・イタリアでマリアローザを3日間着用し、バッソの大会制覇をお膳立てしながら総合3位に入る活躍を見せたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)にも注目したい。ツールを欠場したニーバリは直近のレースで結果を残しており、その調子は上々だ。
ニーバリはチームメイトのロマン・クロイツィゲル(チェコ)とともに、初出場のブエルタで総合上位を目指す。仮に総合優勝を飾ることが出来れば、20年ぶりにイタリア人総合優勝者が生まれることになる。
2005年と2007年に総合2位、2008年に総合3位という結果を残しているカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)は、今年すでにジロ(総合8位)とツール(総合20位)を完走。もちろんブエルタでは大会制覇を目指す。完走を果たすことが出来れば、2006年に次ぐ自身2度目の全グランツール完走だ。
地元スペイン勢としては他にも、世界屈指の山岳力を誇るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)にも注目。“プリト(ロドリゲスの愛称)”は2008年総合6位、2009年総合7位。今年のツールでは総合7位という結果を残した。急勾配の上りを得意とすることから、厳しい山岳が設定されたブエルタはプリト向きだ。
2007年総合5位、2008年総合4位、2009年総合5位という成績を残しているのが、プロコンチネンタル登録シャコベオ・ガリシアのエセキエル・モスケラ(スペイン)だ。現在34歳のモスケラは、今年こそ総合表彰台に上りたい。派手な走りは見せないが、その安定感は抜群だ。
2006年大会で頂上ゴールを制し、2007年に総合7位に入っているイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)は、今年ツールを欠場してブエルタに照準を合わせている。ツール総合4位のサムエル・サンチェス(スペイン)が欠場するため、バスク代表エウスカルテルのチームリーダーという重責を担っての出場だ。春先のブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオンでは頂上ゴールでコンタドールを沈めてステージ優勝。総合2位に入っている。その他、アルデンヌ・クラシックでも安定した走りで上位入賞を繰り返した。
今年ジロで5日間マイヨジョーヌを着用し、リクイガスに最後まで対抗して総合2位に入ったダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ)も忘れてはならない。アローヨは2007年にステージ優勝を飾り、総合17位に入っている。
海外勢としては、トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)やタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTC・コロンビア)が上位に絡んでくるだろう。今年のグランツールでツキに見放されているクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)は汚名返上なるか。ヴァンデヴェルデはジロ第3ステージで鎖骨骨折→リタイア、ツール第2ステージで肋骨骨折→リタイア。ブエルタは過去4度出場しており、今年3年ぶりの出場となる。
ダークホースとして、ドーピングによる出場停止処分を終え、今年7月にランプレでレースに復帰したアンドレイ・カシェチキン(カザフスタン)を挙げておきたい。カシェチキンは2006年大会でステージ優勝を飾って総合3位。復帰後、クラシカ・サンセバスティアン92位、ボルタ・ア・ポルトガルの個人TT19位という成績を残している。
ブエルタ歴代総合優勝者
2009年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
2005年 デニス・メンショフ(ロシア)
2004年 ロベルト・エラス(スペイン)
2003年 ロベルト・エラス(スペイン)
2002年 アイトール・ゴンザレス(スペイン)
2001年 アンヘル・カセロ(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1998年 アブラハム・オラーノ(スペイン)
1997年 アレックス・ツェーレ(スイス)
1996年 アレックス・ツェーレ(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1991年 メルチョル・マウリ(スペイン)
1990年 マルコ・ジョヴァネッティ(イタリア)
text:Kei Tsuji
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