8月22日に宮城県加美町で開催された日本初のUCIグラベルワールドシリーズの1戦「グラベルクラシックやくらい」。エリートおよびエイジグルーパーの上位選手たちのレースバイクを取材した。昨年開催のプレイベントを経て今回のレースに臨んだ選手たちはどんなバイクを選んだのか。



日本初のUCIグラベルワールドシリーズレースとして開催されたグラベルクラシックやくらい photo:Makoto AYANO

まず今年のやくらいのコースは1周約53km。男女エリートおよび男子19〜49歳までの参加者は2周するロングコースの107km・獲得標高2,610m、女子年代別カテゴリーおよび男子50歳以上は1周のショートコース53km、獲得標高1,260mで争われた。グラベル率は70%以上、獲得標高も増したことで昨年よりも厳しいコースが用意された。速さとともに上り下りの激しい地形に対応できるバイクが必要になった。それではエリート男子の上位選手のバイクから紹介しよう。

男子エリート優勝 沢田時(宇都宮ブリッツェン)メリダSILEX

沢田時(宇都宮ブリッツェン)と愛車のメリダ SILEX photo:Makoto AYANO

エリート男子クラス優勝、昨年のプレレースを含めるとやくらい2連覇となった沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン) 。そんな沢田が選んだのは昨年と同じメリダSILEXだった。SILEXはショートヘッドチューブにロングフォーク設計を採用したフルカーボンのハイエンドモデルで、バイクパッキング等にも対応するダボも多く備えたグラベルアドベンチャーモデル。

トップの2人を追う沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン) と織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO

PROのカーボンモノコック製グラベルハンドルを愛用 photo:Makoto AYANO
デュラエースクランクにウルフトゥースのエアロチェンリング48T photo:Makoto AYANO



7月の公式コース試走会にも参加してバイクおよびセッティングを煮詰めた沢田だったが、そのときは新型レースモデルのMISSIONで走った。しかしコースが予想以上にガレて厳しかったことで、決戦にはタイヤクリアランスの大きなSILEXをチョイス。タイヤもパナレーサーのGRAVELKING X1を、当日の路面状況にあわせ45Cから50Cにボリュームアップ。よりタフな状況に対応することを選択した。

リアディレイラーにXTR、スプロケットにはXTRの10-51Tをセットするマレット仕様コンポ photo:Makoto AYANO

コンポは昨年のシマノGRX di2の2✕(Fダブル)仕様から1✕(Fシングル)仕様に変更。デュラエースのクランクにウルフトゥースのエアロチェンリング48Tをセットしてシングル化。リアディレイラーにXTR、スプロケットにはXTRの10-51Tをセットするマレット仕様コンポに。なおシューズ&ペダルはシマノがグラベルレース用にリリースしたS-PHYRE RX910を使用した。

フロントにはパナレーサーのGRAVELKING X1 50Cをセット photo:Makoto AYANO

「やくらい独特のラフで厳しいコースに対応すべくバイクをセットアップしました。1✕仕様にすることで50Cという太いタイヤを使えて、48T×10-51Tのワイドギアレシオで激登りから高速区間までフルカバーすることができました。最高の機材のおかげで連覇できました」と話す。

7月のコース試走で駆ったのはメリダMISSIONだった。オーストラリアでのUCIグラベルグラベル世界選手権はこのバイクで走ることを検討している photo:Makoto AYANO

白川幸希(ヴィクトワール広島) スペシャライズドCRUX(借り物)

白川幸希(ヴィクトワール広島) スペシャライズドCRUX(レンタルバイク) photo:Makoto AYANO

初のグラベルレースで2位という驚きのリザルトを残した白川幸希(ヴィクトワール広島)は、チームスポンサーでもある広島のキムラじてんしゃで1ヶ月前に急遽用意してもらったレンタルバイクのスペシャライズドCRUXに乗っての出場となった。チームサポート外&自身のバイクではないため、交換したのはタイヤのみで、パナレーサーのサポートを受けてGRAVELKING X1の45C、カラーはあえてイエローをチョイス。ペダル&シューズは慣れているロード用を使った。

レースをリードした白川幸希(ヴィクトワール広島)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)の3名の先頭グループ photo:Makoto AYANO

タイヤはGRAVELKING X1の45C、カラーはあえてイエロー photo:Makoto AYANO
ペダル&シューズは慣れているロード用を使った photo:Makoto AYANO



優勝した沢田が「登りでアタックしても着いてくるし、脅威だった」と、驚く走りを披露した白川。初グラベルレースでの2位入賞に「初のグラベルはめちゃくちゃ楽しかったです。ずっとグラベルレースをやりたくて、昨夜は楽しみで寝れなかったほどです。ついにその願いが叶いました」と、終始ゴキゲンだった。

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) ビアンキIMPULSO

織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) ビアンキIMPULSO photo:Makoto AYANO

昨年は2位、今年は3位だった織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)のバイクはビアンキIMPULSO。昨年も同じモデル名のミドルグレードバイクを駆ったが、今年は同じIMPULSOながら、Reparto Corse最上位グレード&ハイエンドコンポ仕様モデルにグレードアップ。

Reparto Corseのモノコックハンドルを使う
コンポはシマノGRX di2の2✕仕様で、チェーンホイールのみデュラエース



タイヤはヴィットリア TerrenoT50
パンク修理キットはサドルバッグに。下部には必須装備の熊鈴



ハンドルもReparto Corseの一体型モノコックハンドルに、コンポはシマノGRX di2の2✕仕様で、チェーンホイールのみデュラエース。ギア比はF:50✕34、R:11〜36T。ホイールはビアンキオリジナルのReparto Corseカーボン製エアロホイールに、タイヤはヴィットリア TerrenoT50。昨年は40Cを使ったが、今年はよりラフになった路面に対応するために45Cをチョイスして臨んだ。

グラベルの下りを攻める織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto AYANO

ラルス・ボーヴェン(FOODMAKER GRAVELKING)オーラム MANTO

ラルス・ボーヴェン(FOODMAKER GRAVELKING)オーラム MANTO photo:Makoto AYANO

優勝候補ながらパンクに見舞われて4位に終わったラルス・ボーヴェン(オランダ、FOODMAKER GRAVELKING)。バイクはチームで採用するオーラム(AURUM)のグラベルバイク、MANTOだ。オーラムはイヴァン・バッソとアルベルト・コンタドールの両スター選手が引退を機に共同で立ち上げたブランドで、2人が運営するチームポルティ・コメタも駆るレーシングバイクブランド。

コンポはカンパニョーロRECORDのグラベルエディション

GEMINIのカーボンモノコックハンドルは幅狭だ
ボトルケージはキングのチタンチューブモデル photo:Makoto AYANO



ペダルはウルフトゥースの片面ビンディングのグラベルペダル「DEL」
サドルはフィジーク TEMPO ALIANTE



コンポはカンパニョーロRECORDのグラベルエディションで、1✕の13S仕様。ホイールはグラベル用エアロホイールのBORA X、ハンドルはGEMINIのモノコックハンドル、ペダルはウルフトゥースの片面ビンディングのグラベルペダル「DEL」を使用。タイヤはチームのサブスポンサーであるパナレーサーGRAVELKING X1の45Cを採用する。

ラルス・ボーヴェン(FOODMAKER GRAVELKING)のオーラム MANTO photo:Makoto AYANO

山口瑛志&竹内 遼(レバンテフジ静岡) メリダ MISSION、SILEX

山口瑛志と竹内 遼(レバンテフジ静岡) ともにメリダのグラベルバイクを駆る photo:Makoto AYANO

ロードレーサーでありながらグラベルレース初体験の山口瑛志と竹内遼(レバンテフジ静岡)。ともにチームスポンサーのメリダのグラベルバイクに乗るが、山口がアドベンチャーモデルのSILEX(沢田時と同じ選択)、竹内がレースモデルのMISSIONをチョイスしていた。

竹内遼(レバンテフジ静岡)とメリダ MISSION photo:Makoto AYANO

ともにシマノGRXの2✕仕様だが、山口が機械式で竹内がdi2仕様。両モデルのタイヤキャパシティはそれぞれSILEXが45C、MISSIONが40Cで、SILEXを選んだ山口はFタイヤに最大幅の50Cをチョイスしてレースに臨んだ。結果、山口は7位と大健闘したいっぽうで、MTB&シクロクロス選手でもある「オフロードの名手」である竹内は複数回のパンクに見舞われDNFとなってしまったのは、はからずも今回のコースが想定外に厳しかったことを裏付けているのかもしれない。

シマノGRX di2をフルコンポで使用する photo:Makoto AYANO
カーボンモノコックハンドルにGRX di2レバーをセット photo:Makoto AYANO



竹内は40CのパナレーサーGRAVELKING Xを使う photo:Makoto AYANO
サドルはSMP SELLE SMC VT20C photo:Makoto AYANO

グラベル初体験ながら健闘した山口瑛志(レバンテフジ静岡) photo:Makoto AYANO

山口は50C、竹内は40CのパナレーサーGRAVELKING X
山口はGRXにSPD SLロードペダルを使う



永田隼也 キャノンデール SuperX

永田隼也 キャノンデールSuperX photo:Makoto AYANO

アンバウンドグラベル200マイルレースに2年連続出場&完走の永田隼也が駆るのはキャノンデールSuperX。5月末のアンバウンド出場時とほぼ同じモデルだが、帰国後に登場した新カラーのフレームに乗り換えた。

リアディレイラーにXTR、スプロケットにはXTRの10-51Tをセット photo:Makoto AYANO

タイヤはマキシスRUMBLERで、F50C、R45C photo:Makoto AYANO

コンポはシマノユーザーの欧米プロレーサーに多いデュラエースのクランクにウルフトゥースのエアロチェンリングをセットしたフロントシングル化による1✕仕様で、リアディレイラーにXTR、スプロケットにはXTRの10-51Tをセットするマレット仕様。やくらい仕様として違うのは、激坂対策として48Tから46Tにダウンしたこと。タイヤはマキシスRUMBLERで、Fに50C、リアに45Cという、フレーム制限内最大幅のチョイスだ。

下りを攻める永田隼也 photo:Makoto AYANO


HYSK GRAVEL CLASSIC YAKURAI 2026 ダイジェストムービー


次編ではエイジグループの選手たちのバイクに迫ります。

text&photo:Makoto AYANO

最新ニュース(全ジャンル)