ヨーロッパ本土に本格的なロードシーズン開幕を告げる「ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ」が開幕。初日のタイムトライアルでリドル・トレックがトップタイムを出し、22歳のマティアス・ヴァチェク(チェコ)がリーダージャージを着用した。



ステージ2位となったジェイコ・アルウラー photo:Team Jayco AlUla

南半球のオーストラリアで開幕したワールドツアーは中東へ。その一方、ヨーロッパ本土では2025年UCIプロシリーズの初戦であるボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナが開幕。5日間ステージレースの舞台となったのは、温暖な気候に加え、多種多様な地形からトレーニング合宿の場としても知られるスペイン東部のバレンシアだ。

短く急勾配な地形が特徴のため、2日目に早くも総合優勝を左右する1級山岳フィニッシュが登場。その後は丘陵ステージが続き、最終日は一転して丘一つない平坦ステージ。そのため9つのワールドチームを含む22チームには、スプリンターからクライマーまで多種多様な脚質の選手たちを揃えてきた。

強力なメンバーを擁し、ステージ優勝を果たしたリドル・トレック photo:CorVos

大会初日はオリウエラの内陸から沿岸に向かう34.3kmのチームタイムトライアル。コーナーも少ない平坦路に、エウスカルテル・エウスカディから順に走り出す。アルペシン・ドゥクーニンクがとなる41分26秒という暫定トップのタイムを記録するも、その後のチームが続々と上回っていった。

なかでも良いタイムを出したのは、新エースであるベン・オコーナー(オーストラリア)が加入したジェイコ・アルウラーだった。サブエースであるフィリッポ・ザナ(イタリア)も擁するジェイコは平均時速を51km台に乗せ、40分6秒でフィニッシュ。しかしそれをすぐにリドル・トレックが更新した。

エジョナタン・ミラン(イタリア)のスプリント勝利にフォーカスしたメンバーで臨んだリドルは、出場チームで唯一平均時速52km台をマークする。暫定トップであったジェイコのタイムを46秒上回り、39分19秒でフィニッシュ。リドルの選手たちは表彰台に設置されたホットシートで他チームの様子を窺うなか、ステージ勝利が確定した。

表彰台で勝利を喜ぶリドル・トレック photo:CorVos

リドルに2015年ぶりのチームTT勝利をもたらした要因の一つは、下部チームに所属するヤコブ・ソデルクヴィスト(スウェーデン)だ。21歳ながらスウェーデンの男子エリートTT王者であり、世界選手権とヨーロッパのU23TT選手権では共に2位に入った若手が、その力を発揮した。

トップでフィニッシュラインを越え、リーダージャージとヤングライダー賞ジャージを獲得したのはマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)。「クレイジーなほど嬉しい勝利。明日からのステージはもちろん、今後のTTに向けて自信になった。明日の勝利は難しそうだが、できるだけ長くこのジャージを守りたい」と語った。
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2025第1ステージ結果
1位 リドル・トレック 39:19
2位 ジェイコ・アルウラー +0:46
3位 UAEチームエミレーツXRG +0:50
4位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ
5位 イネオス・グレナディアーズ +0:51
6位 モビスター +1:05
7位 バーレーン・ヴィクトリアス +1:11
8位 イスラエル・プレミアテック +1:21
9位 Q36.5プロサイクリング +1:50
10位 アルペシン・ドゥクーニンク +2:06
個人総合成績
1位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) 0:39:19
2位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
3位 ダーン・ホーレ(オランダ、リドル・トレック)
4位 ヤコブ・ソデルクヴィスト(スウェーデン)
5位 エドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック) +0:30
6位 イェルテ・クラインセン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) +0:40
7位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
8位 マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
9位 ヤシャ・ズッタリン(ドイツ、ジェイコ・アルウラー)
10位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) +0:50
その他の特別賞
ヤングライダー賞 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos