豪雨の影響が懸念されるなか開催に踏み切ったツール・ド・おきなわはチャンピオンレースがスタートを切った8分後にレース中止となった。降り続く雨でコースの道路上に冠水が発生し、安全を確保できない状況となったため。すでに整列を済ませていた市民クラスはスタートすることなく、全レースがキャンセルとなった。



スタートから10km地点、レースキャンセルが各チームに伝えられた photo:Satoru Kato

随行審判がレースキャンセルを海外チームに説明 photo:Satoru Kato

整列を済ませた状態でレース中止を告げられた市民200km(50km)クラスの選手たち photo:Makoto AYANO

前日までに降り続いた豪雨の影響で各地に土砂崩れや道路陥没が発生した沖縄本島北部。11月10日(日)、ツール・ド・おきなわのレース部門は全クラスを本部半島を一周する約50kmのコースを走るよう変更し、実施に踏み切った。午前6時45分にUCIチャンピオンレースがスタート。しかし雨は一時の小康状態があったものの降り止まず、激しさを増していった。

35〜40km地点の今帰仁村湧川から名護市呉我にかけての道路に全面的な冠水が発生、審判団は6時53分にレース中止を決定した。

引退レースのチャンピオンレース最前列に並んだ畑中勇介(キナンレーシングチーム) photo:Makoto AYANO
ドイツから出場のレンビープロサイクリングチームザワーランド photo:Makoto AYANO



前年度チャンピオンの山本大喜(JCL TEAM UKYO) photo:Makoto AYANO
6時45分、スタートしていくチャンピオンレース photo:Makoto AYANO



大会事務局は説明する。「早い時間帯は道路の片側を通る誘導で乗り切れると判断していましたが、関係車両に乗って前方を走る大会テクニカルディレクターの内間康平さんが道路状況を確認していたところ、海側と山側の両方からの流水により冠水が道路全面に及ぶようになり、とても選手が走れる状況ではないと判断。変更できるコースも無く、回復の見込みも立たないため、本日のロードレース部門の開催中止を決断しました」。

街灯に照らされてスタートする男子チャンピオンレースだったが photo:Satoru Kato

チャンピオンレースは約10km地点の本部町塩川でレースを中止、そのまま引き返すことに。中止判断のあった6時53分は市民レース200km(50km)のスタート2分前。すでに整列を済ませスタートの号砲を待っていたところに大会役員から中止が告げられた。大会の36回の歴史のなかでレースが中止になったのは初めてのこと。

レースキャンセルを受けて選手達がスタート地点に戻る photo:Satoru Kato

ツール・ド・おきなわ協会の洲鎌さんは次のように話す。
「コース変更後の過密な出走スケジュールのなか、一体どのようなレースになるのか、選手・関係者一同にとってチャレンジングな一日になると思っていましたが、レースが続行できなかったことは心残りです。やはり選手の皆さんに少しでも沖縄の地を走って欲しかったという想いはあるので...。明日は晴れる見込みがあるので、時間がある皆さんには少しでも走ってもらえたら嬉しいです。私たち大会関係者はまた一年間かけて選手を迎える準備をして、来年は今まで以上の大会を開催できるように頑張りたいと考えています」。

高岡亮寛(Roppongi Express)、井上亮(Magellan Systems Japan)、真鍋晃(EMU SPEED CLUB) photo:Makoto AYANO

市民レースの最前列に並んでいた選手たちに失望の色は隠せないが、拍手を持ってこの決断を支持していた。高岡亮寛(Roppongi Express)は「残念ですが、しょうがないですね。自然には逆らえないです」
井上亮(Magellan Systems Japan)は「非常に残念です。、自然のことなのでしかたがないですね。このレースのためだけに、本当にすべてを注ぎ込んできたので悔しいです。でも主催者の方々は本当に最後の最後までレース開催に尽力していただいたので感謝しています」とコメント。

アルカンシェルジャージとメダルを披露した佐藤水菜
雨のなか記念撮影をする市民レース参加者たち



状況を報告しあうレース随行スタッフたち
対応に追われる大会事務局スタッフ




なお表彰式の行われる予定だった屋内体育館会場でのふれあいパーティは中止直後から開催され、11時から豚汁等の提供が開始。会場は午後も参加者に開放される。

text:Makoto AYANO
photo:Satoru Kato,Makoto AYANO