2024/10/15(火) - 11:48
ツール・ド・九州最終日の福岡ステージは、残り5kmを切ったところで全ての逃げが吸収されてのスプリント勝負に持ち込まれ、総合上位3名の争いをイヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)が制して優勝した。リーダージャージのエミリアン・ジャニエール (フランス、トタルエナジー)が僅差の2位となり、個人総合優勝を決めた。また、山岳賞を山本元喜(キナンレーシングチーム)が逆転で獲得した。
ツール・ド・九州第3ステージは、福岡県岡垣町をスタートし、西隣の宗像(むなかた)市とまたがる1周14kmの周回コースを9周したのち、宗像大社前にフィニッシュする141km。周回コースは、玄界灘に面した海岸線を走り、2級山岳に指定される垂見峠への登りと、海と山を組み合わせたレイアウト。その2級山岳は9周回全てに設定され、山岳賞ポイントは最大45ポイントを獲得できる。レース展開によっては、このステージのみで山岳賞ジャージを獲得することも可能だ。
一方、海岸沿いの波津に設定されるスプリントポイントは計3回。フィニッシュも含めると最大19秒のボーナスタイムを得ることが可能だ。個人総合順位は首位エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエナジー)と2位ルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)との差が9秒、3位アントン・チャーム(デンマーク、アスタナ・カザクスタンチーム)が16秒差と逆転の可能性を残す。また、13位以下は30秒差で26名がひしめき、1秒のボーナスタイムで総合順位の大幅なジャンプアップを狙うことも出来る。
前日までは青空の下でのレースだったが、この日は一転して曇り空。午前中には雨が降り、場所によっては路面が濡れるほどになっていたが、午後のスタートまでにはドライ路面に戻った。
周回コースに入ってリアルスタートが切られると、アタック合戦が始まってペースが上がる。最初のスプリントポイントはリーダージャージのジャニエール が先頭通過し、自ら総合2位以下とのタイム差を広げる。山岳賞は1周目と2周目をネイサン・アール(チーム右京)が先頭通過。ここまで数名の集団が先行する場面もあったが、1周もたずに集団に吸収される。
大きな動きが出来たのは3周目。山本元喜(キナンレーシングチーム)、小石祐馬(JCLチーム右京)、入部正太朗、冨尾大地(以上シマノレーシング)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、ダニエル・ヴェン・カリーニョ (フィリピン、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)ら6名が先行。後続のメイン集団はトタル・エナジーがコントロールに入り、1分30秒前後の差を維持して周回していく。
垂見峠の山岳賞は3周目から7周目まで5回連続で山本元喜が先頭通過して25ポイントを獲得。第2ステージまでに獲得していたポイントと合わせて計30ポイントとし、山岳賞争いトップに立った。
対してスプリントポイントは2回目、3回目を入部が先頭通過し、計6秒のボーナスタイムを獲得。小石も計3秒のボーナスタイムを獲得し、入部と小石が同タイムで並んだ。
6周目に入ると先頭集団から安原、入部、冨尾が遅れる一方、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、 カーター・ベトルズ (オーストラリア、ルージャイ・インシュアランス)、アドネ・ファン・エングレン (オランダ、ルージャイ・インシュアランス)ら3名が追走。遅れた入部も合流して4名となった追走集団は、7周目に先行していた山本ら3名に追いつき、7名の先頭集団に再構成される。
この動きをきっかけにメイン集団もペースアップして差を縮めていく。8周目の垂見峠への登りで先頭集団はバラけ、ダイボールら3名が先行を続けるも、さらに差を縮めた集団が9周目に吸収する。そのカウンターでジャニエール、ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト)ら5名が先行。16秒差をつけて周回コースを離れ、宗像のフィニッシュへ向かう。しかし残り5kmで吸収され、トタルエナジーが集団先頭で残り2kmのストレートへ。
残り100m、ジャニエール、ネルーカー、イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)ら総合上位3名がスプリントで競り合いながらフィニッシュになだれ込む。ガッツポーズを繰り出したのはスミルノフ。ジャニエールは僅かに届かず2位となるも、個人総合首位を守った。トタルエナジーはチーム総合でも首位となり、表彰式ではこのレースで引退するジュリアン・シモンをチームメイトとスタッフが労った。
山本元喜が山岳賞を獲得し、最終日にしてようやく日本人が各賞ジャージに袖を通した。個人総合順位では、ボーナスタイムで小石と同タイムになった入部が前日までの23位から大幅にジャンプアップ。3ステージの着順で入部が6位、小石が7位となった。
個人総合優勝 エミリアン・ジャニエール コメント
「総合優勝出来て本当に嬉しい。今日は残念ながら勝てなかったが、チームが協力して総合優勝を勝ち取ることが出来た。このレースが最後になるジュリアン・シモンのためにも、総合優勝して引退を飾ってあげたかった。運営も素晴らしく、この大会に出場出来て良かったと思う」
山本元喜コメント
「ずっとアタックの撃ち合いでキツかったけれど、自分が行ったタイミングで集団が止まり、協調して行けるメンバーが揃ってくれた。最初の山岳賞で自分とヴィクトリアの選手しか動かなかったので、他の選手にも山岳賞を狙うことを軽く伝えて回すことにした。レース展開次第なところもあったが、周りの思惑もふくめ今回は自分にうまく向いてくれたおかげで山岳賞を獲得することが出来た。
大分、国民スポーツ大会(国スポ)、ツール・ド・九州と連戦になって、長期のステージレースのような感覚で走った。初日のクリテリウムは疲労を感じていたが、自分のコンディションを活かせるように無理をしないようにして、後半にレースの状況が整ってから動くことで自分のパターンにハマるようにした。
3日間を通じてトップスピードはかり速いけれど、緩急がつくのでポンと抜け出すにはやりやすいと感じた。国スポのトラックに照準を合わせていたのもあって、それがハイスピードのレースに対応する力になり、今日の山岳賞争いでも出し切れる感覚があった。
この後も重要なレースが連続するが、シーズン終盤で調子が上向いてきたので、もう一回狙えるよう頑張りたい」
ツール・ド・九州第3ステージは、福岡県岡垣町をスタートし、西隣の宗像(むなかた)市とまたがる1周14kmの周回コースを9周したのち、宗像大社前にフィニッシュする141km。周回コースは、玄界灘に面した海岸線を走り、2級山岳に指定される垂見峠への登りと、海と山を組み合わせたレイアウト。その2級山岳は9周回全てに設定され、山岳賞ポイントは最大45ポイントを獲得できる。レース展開によっては、このステージのみで山岳賞ジャージを獲得することも可能だ。
一方、海岸沿いの波津に設定されるスプリントポイントは計3回。フィニッシュも含めると最大19秒のボーナスタイムを得ることが可能だ。個人総合順位は首位エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエナジー)と2位ルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)との差が9秒、3位アントン・チャーム(デンマーク、アスタナ・カザクスタンチーム)が16秒差と逆転の可能性を残す。また、13位以下は30秒差で26名がひしめき、1秒のボーナスタイムで総合順位の大幅なジャンプアップを狙うことも出来る。
前日までは青空の下でのレースだったが、この日は一転して曇り空。午前中には雨が降り、場所によっては路面が濡れるほどになっていたが、午後のスタートまでにはドライ路面に戻った。
周回コースに入ってリアルスタートが切られると、アタック合戦が始まってペースが上がる。最初のスプリントポイントはリーダージャージのジャニエール が先頭通過し、自ら総合2位以下とのタイム差を広げる。山岳賞は1周目と2周目をネイサン・アール(チーム右京)が先頭通過。ここまで数名の集団が先行する場面もあったが、1周もたずに集団に吸収される。
大きな動きが出来たのは3周目。山本元喜(キナンレーシングチーム)、小石祐馬(JCLチーム右京)、入部正太朗、冨尾大地(以上シマノレーシング)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、ダニエル・ヴェン・カリーニョ (フィリピン、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)ら6名が先行。後続のメイン集団はトタル・エナジーがコントロールに入り、1分30秒前後の差を維持して周回していく。
垂見峠の山岳賞は3周目から7周目まで5回連続で山本元喜が先頭通過して25ポイントを獲得。第2ステージまでに獲得していたポイントと合わせて計30ポイントとし、山岳賞争いトップに立った。
対してスプリントポイントは2回目、3回目を入部が先頭通過し、計6秒のボーナスタイムを獲得。小石も計3秒のボーナスタイムを獲得し、入部と小石が同タイムで並んだ。
6周目に入ると先頭集団から安原、入部、冨尾が遅れる一方、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、 カーター・ベトルズ (オーストラリア、ルージャイ・インシュアランス)、アドネ・ファン・エングレン (オランダ、ルージャイ・インシュアランス)ら3名が追走。遅れた入部も合流して4名となった追走集団は、7周目に先行していた山本ら3名に追いつき、7名の先頭集団に再構成される。
この動きをきっかけにメイン集団もペースアップして差を縮めていく。8周目の垂見峠への登りで先頭集団はバラけ、ダイボールら3名が先行を続けるも、さらに差を縮めた集団が9周目に吸収する。そのカウンターでジャニエール、ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト)ら5名が先行。16秒差をつけて周回コースを離れ、宗像のフィニッシュへ向かう。しかし残り5kmで吸収され、トタルエナジーが集団先頭で残り2kmのストレートへ。
残り100m、ジャニエール、ネルーカー、イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)ら総合上位3名がスプリントで競り合いながらフィニッシュになだれ込む。ガッツポーズを繰り出したのはスミルノフ。ジャニエールは僅かに届かず2位となるも、個人総合首位を守った。トタルエナジーはチーム総合でも首位となり、表彰式ではこのレースで引退するジュリアン・シモンをチームメイトとスタッフが労った。
山本元喜が山岳賞を獲得し、最終日にしてようやく日本人が各賞ジャージに袖を通した。個人総合順位では、ボーナスタイムで小石と同タイムになった入部が前日までの23位から大幅にジャンプアップ。3ステージの着順で入部が6位、小石が7位となった。
個人総合優勝 エミリアン・ジャニエール コメント
「総合優勝出来て本当に嬉しい。今日は残念ながら勝てなかったが、チームが協力して総合優勝を勝ち取ることが出来た。このレースが最後になるジュリアン・シモンのためにも、総合優勝して引退を飾ってあげたかった。運営も素晴らしく、この大会に出場出来て良かったと思う」
山本元喜コメント
「ずっとアタックの撃ち合いでキツかったけれど、自分が行ったタイミングで集団が止まり、協調して行けるメンバーが揃ってくれた。最初の山岳賞で自分とヴィクトリアの選手しか動かなかったので、他の選手にも山岳賞を狙うことを軽く伝えて回すことにした。レース展開次第なところもあったが、周りの思惑もふくめ今回は自分にうまく向いてくれたおかげで山岳賞を獲得することが出来た。
大分、国民スポーツ大会(国スポ)、ツール・ド・九州と連戦になって、長期のステージレースのような感覚で走った。初日のクリテリウムは疲労を感じていたが、自分のコンディションを活かせるように無理をしないようにして、後半にレースの状況が整ってから動くことで自分のパターンにハマるようにした。
3日間を通じてトップスピードはかり速いけれど、緩急がつくのでポンと抜け出すにはやりやすいと感じた。国スポのトラックに照準を合わせていたのもあって、それがハイスピードのレースに対応する力になり、今日の山岳賞争いでも出し切れる感覚があった。
この後も重要なレースが連続するが、シーズン終盤で調子が上向いてきたので、もう一回狙えるよう頑張りたい」
ツール・ド・九州2024 第3ステージ福岡 結果(141km)
1位 | イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム) | 3時間7分44秒 |
2位 | エミリアン・ジャニエール (フランス、トタル・エナジー) | +0秒 |
3位 | ルーカス・ネルーカー (イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | クリスティアン・ズバラーリ (イタリア、コラテック・ヴィーニファンティーニ) | |
5位 | 草場 啓吾 (愛三工業レーシングチーム) | |
6位 | 岡 篤志 (JCLチーム右京) | |
7位 | 風間 翔眞 (シマノレーシング) | |
8位 | イェロン・メイヤース (オランダ、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング) | |
9位 | ベンジャミ・プラデス (スペイン、VC福岡) | |
10位 | ロベルト・ゴンザレス (パナマ、コラテック・ヴィーニファンティーニ) | |
個人総合順位 | ||
1位 | エミリアン・ジャニエール (フランス、トタル・エナジー) | 8時間52分34秒 |
2位 | ルーカス・ネルーカー (イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | +14秒 |
3位 | イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム) | +23秒 |
4位 | アントン・チャーム (デンマーク、アスタナ・カザクスタンチーム) | +25秒 |
5位 | ジョルダン・ジュガット (フランス、トタル・エナジー) | +31秒 |
6位 | 入部 正太朗 (シマノレーシング) | +33秒 |
7位 | 小石 祐馬 (JCLチーム右京) | |
8位 | トマ・ボネ (フランス、トタル・エナジー) | +34秒 |
9位 | クリスティアン・ズバラーリ (イタリア、コラテック・ヴィーニファンティーニ) | +36秒 |
10位 | アリエル・カルロス・サムディオ・カレーラ (パナマ、コラテック・ヴィーニファンティーニ) | +36秒 |
ポイント賞 | ||
1位 | エミリアン・ジャニエール (フランス、トタルエナジー) | 73p |
2位 | イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム) | 57p |
2位 | ルーカス・ネルーカー (イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | 53p |
山岳賞 | ||
1位 | 山本元喜(キナンレーシングチーム) | 30p |
2位 | ネイサン・アール (オーストラリア、JCLチーム右京) | 20p |
3位 | マッテオ・ヴェルシェ (フランス、トタルエナジー) | 16p |
チーム総合成績 | ||
1位 | トタル・エナジー | 26時間39分21秒 |
2位 | コラテック・ヴィーニファンティーニ | +18秒 |
3位 | JCLチーム右京 | +18秒 |
2回目のツール・ド・九州は、ワールドチームとプロチームが小倉城クリテリウムを含む4日間を通して強さを見せた。最終日に山本元喜が山岳賞を獲得して表彰台の一角を日本人が確保することが出来たが、力量の差に改めて驚愕する声もチーム関係者から聞かれた。
一方で、各開催地の観客の多さには驚かされた。スタート・フィニッシュ地点での併催イベントも大規模に行われ、最終ステージではスプリントポイント付近にもイベント会場が仕立てられ、多くの観客が集まった。すでに来年の開催が決定しており、新たに長崎県佐世保市でのクリテリウムと、大分・宮崎ステージの開催が告知されている。これまで九州地区でのレースは少なかっただけに、今後定着した大会となることを期待したい。
text&photo:Satoru Kato
一方で、各開催地の観客の多さには驚かされた。スタート・フィニッシュ地点での併催イベントも大規模に行われ、最終ステージではスプリントポイント付近にもイベント会場が仕立てられ、多くの観客が集まった。すでに来年の開催が決定しており、新たに長崎県佐世保市でのクリテリウムと、大分・宮崎ステージの開催が告知されている。これまで九州地区でのレースは少なかっただけに、今後定着した大会となることを期待したい。
text&photo:Satoru Kato
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