越妙なペースコントロールで逃げ続けた3名は残り500mで吸収。ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)がまたしても集団スプリントを制した。



首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)ら、特別ジャージ着用選手が並ぶ photo:CorVos

スプリンターのチャンスが続くツアー・オブ・ブリテン(UCI2.Pro)後半戦。第5ステージはイングランド中東部に位置する都市ノーザンプトンを発着する150kmコースで、獲得標高は1,300mほどと難易度は高くない。

ディレクターカーからレース開始の旗が振られると同時に飛び出した22歳のラスムス・ピーダスン(デンマーク、デカトロンAG2Rラモンディアル・デベロップメントチーム)が逃げを決め、コナー・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)と、2022年にロット・スーダルを離れたのち、プライベートプロ選手としてロードとグラベルレースを走るマシュー・ホルムズ(イギリス、イギリスナショナルチーム)が合流。霧にむせぶイギリスらしい天候の中メイン集団を引き離した。

逃げグループを捉えるべく踏むレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

3名が逃げたのちもレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)といった面々が追走を仕掛けたものの、イスラエル・プレミアテックのコントロールを振り払うことは叶わない。逃げ3名+メイン集団という構図のままレースは最終盤まで推移した。

逃げる3名は集団の動きを読みながら絶妙なペースメイクを披露する。残り35km地点では1分差まで詰め寄られたものの、残り20kmで1分20秒、残り10kmで50秒、残り4kmで30秒と逃げ切りに可能性を灯すタイム差を保持したものの、メイン集団で五輪王者エヴェネプールが牽引するたびにタイム差を削り取られ、残り500mであえなく吸収されてしまう。各チームが入り乱れながらタイミングを伺う中、ポイント賞リーダーのポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が真っ先にスプリントを開始した。

スプリント3連勝をマークしたポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)を抑え込んで最短ラインを突き進んだマニエが勝利。今年トリニティレーシングからプロ昇格したばかりの20歳が3日連続スプリント勝利を掴んだ。

「3連勝の嬉しさを的確に表現する言葉が見つからないよ。逃げを捕まえるのは簡単じゃなかったけど、レムコがもの凄い牽引でギャップを縮め、ジュリアンがリードアウトしてくれた背後で僕は脚を貯めることができた。明日も集団スプリントになるはずなので気合を入れていきたい」と、ブレイクしたマニエは話している。

また、逃げが捕まってからも踏み直したピーダスンは5位に入る殊勲の走り。総合首位スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)は危なげなくフィニッシュし、総合優勝まであと一歩に迫っている。

ツアー・オブ・ブリテン2024第5ステージ結果
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 3:12:09
2位 アーランド・ブリクラ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
3位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
4位 マテウジュ・ゴヴェカル(スロバキア、バーレーン・ヴィクトリアス))
5位 ラスムス・ピーダスン(デンマーク、デカトロンAG2Rラモンディアル・デベロップメントチーム)
個人総合成績
1位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) 18:02:56
2位 オスカー・オンリー(イギリス、dsmフェルミニッヒ・ポストNL) +0:16
3位 マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング) +0:40
4位 トム・ドネンワース(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル・デベロップメントチーム) +0:41
5位 ジョセフ・ブラックモア(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
その他の特別賞
ポイント賞 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
山岳賞 カラム・ソーンリー(イギリス、トリニティレーシング)
ヤングライダー賞 オスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL)
チーム総合成績 イスラエル・プレミアテック
text:So Isobe
photo:Tour of Britain, CorVos