「自分だけの世界にいるような感覚だった」と、ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)は大差での独走勝利をそう振り返った。マイヨロホを手放したログリッチなど、ブエルタ6日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マイヨロホ ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)

残り27kmでレイムライゼを引き離し、単独先頭に立ったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos

今日は自分だけの世界にいるような感覚があった。チャンスのあるステージと思っていたので、序盤に30名の集団ができた時は残念に思った。だが再びレースが動き出し、自らチャンスを掴みにいった。今日はスタートした時点から勝てる気がした。

今日も暑かったがさすがに(遅れを喫した第4ステージのように)気温42度まではいかなかった。今日は本当にレースを楽しむことができたよ。またトリプルグランツール(3大ツール全てでの区間優勝)を達成した選手のなかに、自分の名前を刻むことができて光栄に思う。それにマイヨロホにも袖を通すことができた。一生に一度の体験だよ。

―このあと長期間に渡り、マイヨロホを着用するかもしれない。

そうなるかもしれないし、早々と手放すかもしれない(笑)。でもこの後にはグラナダ(第9ステージ)などが待っている。このジャージを守るために全力を尽くすよ。

大差で逃げ切り勝利を決めたベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos

リーダージャージを着ることは喜ばしい瞬間だ。数年前(2022年)のボルタ・ア・カタルーニャで着用し、(1日で失った)あの時より長く着続けたい。グランツールで総合首位に立つのが夢の一つだった。ここの時点ですでに満足しているので、残り2週間のレースを楽しみたい。

―総合2位のログリッチから約5分のリードを得ていることについては?

とても良いリードだと思う。過去にジロとツールで総合4位に入った経験があるので、僕は無名選手ではない。この後数日間は総合上位陣に食らいつきたい。また今後もベストを尽くすことができれば、スイートなチャンスがあると思う。

ステージ2位 マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)

逃げに入ったマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

最初から僕らは全力だった。序盤の平坦区間からレースはハイスピードで展開し、最初の1級山岳に突入した。レースの先頭に位置を取り続けたが、オコーナーのアタックを逃してしまった。とても残念だし、食らいつくことができれば違った結果になっていたはず。でも総じて良い日だったと言える。

4分差で勝ったオコーナーはとても強かった。でもチャレンジしなければ結果は分からない。今日、自分が見せた走りには満足しているよ。

ステージ3位&総合4位&マイヨブランコ フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨブランコ フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

チームから逃げに選手が入る予定はなく、逃げ切りを容認する作戦だった。だが(序盤の1級)山岳で動きに反応したら逃げに乗っていたんだ。その後はステージの目標を変えた。勝利こそ逃したものの、マイヨブランコを獲得することができたので嬉しいよ。

マイヨロホを失ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

プロトンで静かに走るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

今日は暑く、また痛みのあったレースだった。僕らは全てをコントロールできるわけではない。滑りやすい路面の下りなどトリッキーなコースであっても、チームメイトは素晴らしい走りを見せてくれた。

ステージ14位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

仮に多くのチームが追走に協力したところで、逃げ集団を捕まえるのは難しかっただろう。特にこんなレイアウトのステージではね。毎年ブエルタではこういう形の逃げが決まる。オコーナーはグランツールで強い選手なので、彼から5分差を取り戻すことは大変だろう。

―2023年に君が決めた動き(逃げ切りで得たタイム差で総合優勝)と似ているか?

そうだね。あの時も総合で遅れた選手たちが逃げに乗り、タイム差を取り戻した。

―序盤にどのチームも集団を牽引するレッドブルに協力しなかったことについてどう思うか?

皆レッドブルが総合争いの中心であることは分かっている。だから彼らにプレッシャーを与えなければならない。だが、オコーナーに大幅なタイム差を与えたくなかったのはどこのチームの同じ考えだったのだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos