2024/08/21(水) - 08:40
最大勾配20%の1級山岳にフィニッシュしたブエルタ・ア・エスパーニャ4日目。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が小集団スプリントで復活勝利を挙げ、マイヨロホに袖を通した。
8月20日(火) 第4ステージ
プラセンシア〜ピコ・ビリュエルカス 170.5km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは開幕地であるポルトガルを離れ、いよいよスペインに突入した。大会4日目は大会最初の山岳ステージで、序盤に2級&1級山岳をクリア。レース後半の3級山岳を越え、ラストの1級山岳ピコ・ビリュエルカス(距離14.6km/平均6.2%)は最初の10kmは平均3〜4%の緩斜面が続き、フィニッシュ手前5km地点から二桁の勾配に跳ね上がる。
この日注目されたのは初日の個人タイムトライアルを8位で終えたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の走り。7月のツール・ド・フランスで腰骨骨折を負い、連日のインタビューに「いまだ腰の痛みはある」と答えているログリッチ。ファンはもちろんライバルたちが注視するログリッチのコンディションが、最終山岳でようやく明らかとなった。
いよいよ始まったブエルタの山岳ステージでは、序盤からジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)が逃げを目指す。しかしいずれも成功せず、熾烈なアタック合戦の末にフランスのTT王者ブリュノ・アルミライユ(デカトロンAG2Rラモンディアル)やフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)を含む5名の逃げ集団が形成された。
メイン集団ではレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが先導し、逃げに対し最大3分半のリードを許す。コース前半に設定された2級と1級山岳は、どちらもコフィディスへの移籍が発表されているシルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー)が先頭通過。この日エウスカルテル・エウスカディは山岳賞ランキングトップのルイス・マテ(スペイン)ではなくミケル・ビスカラ(スペイン)を逃げに送ったため、モニケがマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)着用の権利を得た。
気温が40度を越える灼熱のなか、残り55km地点から始まる3級山岳に逃げグループは2分14秒差で突入。すると頂上手前700mでアルミライユがアタックし、リードを3分差まで拡げる。しかしその後逃げは5名に戻り、最終山岳へと続く平坦区間で再びアルミライユが仕掛けた。
得意なTTモードに切り替えたアルミライユには、唯一パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が追いつく。依然としてレッドブルが牽引するプロトンはタイム差を徐々に縮め、逃げの2人は残り15.4km地点にある中間スプリントをカストリーリョが先頭通過。メイン集団ではここまで食らいついたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を退け、マイヨプントス(ポイント賞)の点差を縮めた。
そして選手たちは最後の1級山岳ピコ・ビリュエルカス(距離14.6km/平均6.2%)に足を踏み入れる。平均3〜4%の緩斜面である最初の10kmを通過し、激坂区間に入った地点で逃げとプロトンの差は14秒。ペースコントロールがレッドブルからUAEチームエミレーツに変わり、先頭に立ったパヴェル・シヴァコフ(ロシア)が飛び出して逃げを捉えた。
シヴァコフの動きはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が潰し、人数の絞られていく集団からフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)がスルスルと抜け出す。今度はログリッチが自ら捉え、先頭はガルとレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)、エンリク・マス(スペイン、モビスター)の4名に。後方ではアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)が遅れ、先頭のペースにセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)もついていけない。
ガルが脱落した先頭はログリッチとファンイートヴェルト、マスの3名に絞られる。しかし急勾配区間を抜け、緩斜面で先頭にガルとジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)が合流。また残り300m地点でミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)も加わり、勝負は7名によるスプリントに持ち込まれた。
お互いが様子を窺いスピードが落ちた隙をつき、ランダが先んじてスプリントを開始。これに23歳のファンイートヴェルトが反応し、その背後にログリッチがつく。ランダを捉えたファンイートヴェルトはそのままもがいたものの、フィニッシュ手前でログリッチが追い抜いた。
ツールの落車から約1ヶ月。見事な復活勝利を飾ったログリッチは「僕自身よりもチームが頑張った成果だ。今日はステージ優勝を狙っていたわけではなかった。仲間がこの暑さのなか懸命に走る(集団をコントロールする)姿を見て、その頑張りを勝利に繋げたかった。腰の痛みはあったが、幸運にもそれ以上の痛みにはならなかった。チームの走りを勝利に繋げることができ、本当に嬉しいよ」とコメント。総合でも首位に立ったログリッチは表彰台でお馴染みのテレマークを作り、そしてマイヨロホに袖を通した。
総合連覇の懸かるクスは28秒遅れの11位(総合13位)でフィニッシュし、イェーツは1分29秒遅れの26位で早くも総合争いから脱落した。
8月20日(火) 第4ステージ
プラセンシア〜ピコ・ビリュエルカス 170.5km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは開幕地であるポルトガルを離れ、いよいよスペインに突入した。大会4日目は大会最初の山岳ステージで、序盤に2級&1級山岳をクリア。レース後半の3級山岳を越え、ラストの1級山岳ピコ・ビリュエルカス(距離14.6km/平均6.2%)は最初の10kmは平均3〜4%の緩斜面が続き、フィニッシュ手前5km地点から二桁の勾配に跳ね上がる。
この日注目されたのは初日の個人タイムトライアルを8位で終えたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の走り。7月のツール・ド・フランスで腰骨骨折を負い、連日のインタビューに「いまだ腰の痛みはある」と答えているログリッチ。ファンはもちろんライバルたちが注視するログリッチのコンディションが、最終山岳でようやく明らかとなった。
いよいよ始まったブエルタの山岳ステージでは、序盤からジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)が逃げを目指す。しかしいずれも成功せず、熾烈なアタック合戦の末にフランスのTT王者ブリュノ・アルミライユ(デカトロンAG2Rラモンディアル)やフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)を含む5名の逃げ集団が形成された。
メイン集団ではレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが先導し、逃げに対し最大3分半のリードを許す。コース前半に設定された2級と1級山岳は、どちらもコフィディスへの移籍が発表されているシルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー)が先頭通過。この日エウスカルテル・エウスカディは山岳賞ランキングトップのルイス・マテ(スペイン)ではなくミケル・ビスカラ(スペイン)を逃げに送ったため、モニケがマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)着用の権利を得た。
気温が40度を越える灼熱のなか、残り55km地点から始まる3級山岳に逃げグループは2分14秒差で突入。すると頂上手前700mでアルミライユがアタックし、リードを3分差まで拡げる。しかしその後逃げは5名に戻り、最終山岳へと続く平坦区間で再びアルミライユが仕掛けた。
得意なTTモードに切り替えたアルミライユには、唯一パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が追いつく。依然としてレッドブルが牽引するプロトンはタイム差を徐々に縮め、逃げの2人は残り15.4km地点にある中間スプリントをカストリーリョが先頭通過。メイン集団ではここまで食らいついたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を退け、マイヨプントス(ポイント賞)の点差を縮めた。
そして選手たちは最後の1級山岳ピコ・ビリュエルカス(距離14.6km/平均6.2%)に足を踏み入れる。平均3〜4%の緩斜面である最初の10kmを通過し、激坂区間に入った地点で逃げとプロトンの差は14秒。ペースコントロールがレッドブルからUAEチームエミレーツに変わり、先頭に立ったパヴェル・シヴァコフ(ロシア)が飛び出して逃げを捉えた。
シヴァコフの動きはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が潰し、人数の絞られていく集団からフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)がスルスルと抜け出す。今度はログリッチが自ら捉え、先頭はガルとレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)、エンリク・マス(スペイン、モビスター)の4名に。後方ではアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)が遅れ、先頭のペースにセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)もついていけない。
ガルが脱落した先頭はログリッチとファンイートヴェルト、マスの3名に絞られる。しかし急勾配区間を抜け、緩斜面で先頭にガルとジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)が合流。また残り300m地点でミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)も加わり、勝負は7名によるスプリントに持ち込まれた。
お互いが様子を窺いスピードが落ちた隙をつき、ランダが先んじてスプリントを開始。これに23歳のファンイートヴェルトが反応し、その背後にログリッチがつく。ランダを捉えたファンイートヴェルトはそのままもがいたものの、フィニッシュ手前でログリッチが追い抜いた。
ツールの落車から約1ヶ月。見事な復活勝利を飾ったログリッチは「僕自身よりもチームが頑張った成果だ。今日はステージ優勝を狙っていたわけではなかった。仲間がこの暑さのなか懸命に走る(集団をコントロールする)姿を見て、その頑張りを勝利に繋げたかった。腰の痛みはあったが、幸運にもそれ以上の痛みにはならなかった。チームの走りを勝利に繋げることができ、本当に嬉しいよ」とコメント。総合でも首位に立ったログリッチは表彰台でお馴染みのテレマークを作り、そしてマイヨロホに袖を通した。
総合連覇の懸かるクスは28秒遅れの11位(総合13位)でフィニッシュし、イェーツは1分29秒遅れの26位で早くも総合争いから脱落した。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第4ステージ
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 4:26:49 |
2位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
5位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
6位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) | |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | |
8位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:18 |
9位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | +0:28 |
10位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ) | |
11位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 14:33:08 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:08 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:32 |
4位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:38 |
5位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:41 |
6位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:47 |
7位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +0:50 |
8位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:58 |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:00 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 111pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 105pts |
3位 | ルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) | 35pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー) | 16pts |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 11pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 10pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 14:33:46 |
2位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:03 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:20 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 43:41:05 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +1:19 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +2:42 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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