2024/08/03(土) - 12:25
本日8月3日(土)に行われるパリ五輪ロードレース男子。春のクラシックを彷彿とさせる無数のアップダウンが設定されたコース詳細や、ファンデルプールとファンアールトに注目が集まる有力選手など、金メダルを賭けた戦いをプレビューする。
ギリシャ・アテネで行われた第1回大会(1896年)から途切れることなく続いている自転車競技。本日8月3日(土)、パリオリンピックの男子ロードレースが実施される。今大会のコースを一言で表すのならば”アルデンヌクラシック”のようなレイアウトで、距離273kmに設定されたのは13箇所のアップダウン。それ以外にも無数の丘が獲得標高差を2,800mまで引き上げるサバイバルなコースに、52カ国から集った90名選手たちが挑む。
エッフェル塔やシャン・ド・マルス公園を眺めるトロカデロ広場をスタート後、選手たちはパリ郊外(イル・ド・フランス地域圏)の西側を巡り、14km地点に早くも設定された1つ目の登りコート・デ・ガルデ(距離1.9km/勾配6%)から1km前後の丘を越えていく。集団の人数が絞られると予想されるのは6つの丘が詰め込まれた107km地点からの約40kmで、最後はパリ市街地に設定された石畳坂のモンマルトル(距離1km/平均6.5%)を含む18.4kmコースを2周。サクレ・クール寺院が見下ろすモンマルトル頂上(3度目)からは、9.5kmの平坦路がフィニッシュまで続いてく。
パリ五輪がワールドツアーやロード世界選手権と異なる点は、各国の出場人数が最大4名であること。また無線の使用も禁じられているためメイン集団のコントロールが難しく、より序盤で形成される逃げ集団に有利となる。今年のツール・ド・フランスで見ることできなかったパリでのレースは、逃げ切りや独走、集団スプリントなどあらゆる可能性が考えられるレイアウトだ。
世界王者ファンデルプールにベルギー勢が挑む
優勝候補筆頭に挙げられるのは、2023年のロード世界選手権で優勝を飾ったマチュー・ファンデルプール(オランダ)。今年はE3サクソ・クラシックを皮切りにロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを制覇。コースが長ければ長いほど、レイアウトや展開が厳しくなればなるほどファンデルプールの勝率は上がっていく。
アルカンシエルの弱点を挙げるとすればオランダの出場人数が3名しかいないこと。2022年のパリ〜ルーベ覇者ディラン・ファンバーレにTT国内王者のダーン・ホーレと強力なメンバーではあるものの、ファンデルプールに並び脅威と言えるほどではない。
世界王者の対抗となるのは、一足早く個人タイムトライアルの金メダルを獲得したレムコ・エヴェネプールと銅メダルのワウト・ファンアールトを擁するベルギー。純粋なスプリント力でファンアールトはファンデルプールを上回り、エヴェネプールも世界屈指の独走力を有する。そのためエヴェネプールが中盤でアタックを仕掛け、それに反応したファンデルプールの背後でファンアールトが脚を溜めるなど、幅の広い戦略などが可能だ。
チーム力で言えばジュリアン・アラフィリップを中心とする開催国フランスも強力だ。スプリントに長けた欧州王者クリストフ・ラポルトに国内王者のヴァランタン・マドゥアス、直近のツールで逃げ切り勝利したケヴィン・ヴォークランとタレントは豊富。またジロ・デ・イタリアとツールの連戦によりタデイ・ポガチャルが不出場のスロベニアはマテイ・モホリッチがエースを務め、マウンテンバイクで2大会連続の金メダルを獲得したトーマス・ピドコックもイギリス代表として出場する。
日本からは新城幸也が4大会連続出場
アップダウンが厳しいためピュアスプリンターは出場をしないが、マイケル・マシューズ(オーストラリア)やビニヤム・ギルマイ(エリトリア)、マッズ・ピーダスン(デンマーク)など集団スプリントで有利となるスピードマンたちは勢揃い。逆にレース中盤から厳しい展開に持ち込みたいベン・ヒーリー(アイルランド)やアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)、マルク・ヒルシ(スイス)らとの駆け引きも見所の一つだ。
日本からは新城幸也が単騎で出場。居を構えるアンドラで日本人スタッフと共にトレーニングを行い、万全のコンディションでロンドン(2012年)から4大会連続の五輪に臨む。また日本と縁のある選手では、マトリックスパワータグに所属していたオールイス・アウラール(ベネズエラ)とゲオルギオス・バグラス(ギリシャ)が出場予定だ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
ギリシャ・アテネで行われた第1回大会(1896年)から途切れることなく続いている自転車競技。本日8月3日(土)、パリオリンピックの男子ロードレースが実施される。今大会のコースを一言で表すのならば”アルデンヌクラシック”のようなレイアウトで、距離273kmに設定されたのは13箇所のアップダウン。それ以外にも無数の丘が獲得標高差を2,800mまで引き上げるサバイバルなコースに、52カ国から集った90名選手たちが挑む。
エッフェル塔やシャン・ド・マルス公園を眺めるトロカデロ広場をスタート後、選手たちはパリ郊外(イル・ド・フランス地域圏)の西側を巡り、14km地点に早くも設定された1つ目の登りコート・デ・ガルデ(距離1.9km/勾配6%)から1km前後の丘を越えていく。集団の人数が絞られると予想されるのは6つの丘が詰め込まれた107km地点からの約40kmで、最後はパリ市街地に設定された石畳坂のモンマルトル(距離1km/平均6.5%)を含む18.4kmコースを2周。サクレ・クール寺院が見下ろすモンマルトル頂上(3度目)からは、9.5kmの平坦路がフィニッシュまで続いてく。
パリ五輪がワールドツアーやロード世界選手権と異なる点は、各国の出場人数が最大4名であること。また無線の使用も禁じられているためメイン集団のコントロールが難しく、より序盤で形成される逃げ集団に有利となる。今年のツール・ド・フランスで見ることできなかったパリでのレースは、逃げ切りや独走、集団スプリントなどあらゆる可能性が考えられるレイアウトだ。
世界王者ファンデルプールにベルギー勢が挑む
優勝候補筆頭に挙げられるのは、2023年のロード世界選手権で優勝を飾ったマチュー・ファンデルプール(オランダ)。今年はE3サクソ・クラシックを皮切りにロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを制覇。コースが長ければ長いほど、レイアウトや展開が厳しくなればなるほどファンデルプールの勝率は上がっていく。
アルカンシエルの弱点を挙げるとすればオランダの出場人数が3名しかいないこと。2022年のパリ〜ルーベ覇者ディラン・ファンバーレにTT国内王者のダーン・ホーレと強力なメンバーではあるものの、ファンデルプールに並び脅威と言えるほどではない。
世界王者の対抗となるのは、一足早く個人タイムトライアルの金メダルを獲得したレムコ・エヴェネプールと銅メダルのワウト・ファンアールトを擁するベルギー。純粋なスプリント力でファンアールトはファンデルプールを上回り、エヴェネプールも世界屈指の独走力を有する。そのためエヴェネプールが中盤でアタックを仕掛け、それに反応したファンデルプールの背後でファンアールトが脚を溜めるなど、幅の広い戦略などが可能だ。
チーム力で言えばジュリアン・アラフィリップを中心とする開催国フランスも強力だ。スプリントに長けた欧州王者クリストフ・ラポルトに国内王者のヴァランタン・マドゥアス、直近のツールで逃げ切り勝利したケヴィン・ヴォークランとタレントは豊富。またジロ・デ・イタリアとツールの連戦によりタデイ・ポガチャルが不出場のスロベニアはマテイ・モホリッチがエースを務め、マウンテンバイクで2大会連続の金メダルを獲得したトーマス・ピドコックもイギリス代表として出場する。
日本からは新城幸也が4大会連続出場
アップダウンが厳しいためピュアスプリンターは出場をしないが、マイケル・マシューズ(オーストラリア)やビニヤム・ギルマイ(エリトリア)、マッズ・ピーダスン(デンマーク)など集団スプリントで有利となるスピードマンたちは勢揃い。逆にレース中盤から厳しい展開に持ち込みたいベン・ヒーリー(アイルランド)やアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)、マルク・ヒルシ(スイス)らとの駆け引きも見所の一つだ。
日本からは新城幸也が単騎で出場。居を構えるアンドラで日本人スタッフと共にトレーニングを行い、万全のコンディションでロンドン(2012年)から4大会連続の五輪に臨む。また日本と縁のある選手では、マトリックスパワータグに所属していたオールイス・アウラール(ベネズエラ)とゲオルギオス・バグラス(ギリシャ)が出場予定だ。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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