2024/06/30(日) - 08:40
イタリア・フィレンツェで開幕した第111回ツール・ド・フランス。丘陵ステージの残り50kmでアタックしたロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が逃げていたフランク・ファンデンブルーク(オランダ)と合流し、そのままワンツーフィニッシュ。その結果バルデが悲願のマイヨジョーヌに袖を通した。
6月29日(土)第1ステージ
フィレンツェ〜リミニ 206km(丘陵ステージ)
大会史上初のイタリアをスタートする第111回ツール・ド・フランスは、初めてパリ以外である南仏ニースを終着地点とする。そんな初めて尽くしの大会が6月29日(土)、往年の名選手ジーノ・バルタリの故郷であるフィレンツェでグランデパール(開幕)を迎えた。
第1ステージの舞台となったのは、近代ツールの中でも大会初日としては珍しい獲得標高差が3,600mを超える丘陵ステージ。イタリアの背骨であるアペニン山脈を西から東へ7つのカテゴリー山岳を越えていく206kmは、スタート後28km地点から一つ目の登りが始まり、勝負所は残り76.7kmから待ち受ける4つの山岳(2、2、3、3級)。そしてサンマリノ共和国に位置する最終3級山岳の頂上(残り26.3km)を越え、フィニッシュ地点は下りと平坦路を走った先にある。
この日の天候は晴れ。事前調整のため涼しい高地で合宿をこなして来た選手たちにとっては厳しい気温30度を超える暑さのなか、現地時間の午後12時40分に第1ステージのスタートが切られた。
驚くほどあっさりと逃げが決まった昨年の開幕ステージとは違い、今年は逃げに15kmほどを要した。特にフランス籍のプロチームであるトタルエネルジーは積極的に逃げを狙い、またこれが現役最後のツール出場となるロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)も果敢に攻める。その結果、昨年のステージ優勝者であるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)など強力な9名による逃げグループが形成された。
第1ステージで逃げた9名
ライアン・ギボンズ(南アフリカ、リドル・トレック)
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)
ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
サンディ・デュジャルダン(フランス、トタルエネルジー)
マッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)
一方、逃げを容認したメイン集団からは3連覇を目指すヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がメカトラによりバイク交換を強いられる。しかしチームメイトのサポートを受けることなくヴィンゲゴーはプロトンに復帰し、今大会最初の2級山岳に入る頃に逃げに2分のリードを許した。
平均勾配5.1%の登りで逃げグループから早々とヴェルシェが脱落するなか、メイン集団からはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)が遅れ始める。暑さが影響したためかペダルに力が入らず嘔吐しながらも踏み続けるカヴェンディッシュのため、アスタナは5名でペースを作る。その結果カヴェンディッシュは39分12秒遅れとなんとかタイムカットを免れたものの、同じく不調に陥ったミケーレ・ガッツォーリ(イタリア)が胃腸系のトラブルにより今大会1人目の棄権者となった。
最初の2級山岳はイサギレが先頭通過し、続く3級は2年連続の出場を果たしたアブラハムセンが最大ポイント(2pts)をゲット。その逃げに最大5分差を許したメイン集団は、直前にイタリア王者に輝いたアルベルト・ベッティオルのためEFエデュケーション・イージーポストが先頭でペースを作る。
そして終盤に連続する4つ(2、2、3、3級)の山岳の一つ目に入り、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を狙っていたイサギレなどが先頭から遅れ、モホリッチとアブラハムセン、マドゥアス、ファンデンブルーク、ギボンズの5名に絞られる。それを3分差で追いかけるプロトンではUAEチームエミレーツにペースメイクが移り、スプリンターはもちろん2022年に総合4位に入ったダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が遅れる。そのためゴデュは初日で総合争いから脱落することとなった。
世界王者の証、アルカンシエルを着るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)なども遅れ、プロトンが約40名に絞られるなかマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は粘りの走りで食らいつく。そして最後から3つ目の2級山岳に入り(残り50km)、ヴィスマ・リースアバイクに牽引が代わったメイン集団からバルデが飛び出した。
ツール開幕直前に、来年6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでロード選手としての活動を終え、グラベルレースへの転向を発表したバルデ。今大会は総合上位ではなく狙いを定めたステージ優勝を掴むべく、先頭からモホリッチとギボンズが遅れて3名となった逃げ集団を追走。その後バルデは先に待ち受けていたファンデンブルークに合流し、先頭は4名となった。
レース後に「最後のツールなので最善を尽くしたかった」と語ったバルデは首元に氷を入れながら、23歳でこれがグランツールデビューのファンデンブルークと共にアブラハムセンとマドゥアスをふるい落とす。一方のプロトンからはベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が単独で追走を試みたものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー)で勝負したいヴィスマやピーダスンを残すリドル・トレックがそれを引き戻した。
リミニの市街地に入ってもリードを保ったDSMの2名は、11秒差でフラムルージュ(残り1km地点)を通過する。選手たちを迎えるオレンジ色の煙が舞う最終ストレートに入ってもなおファンデンブルークは力を振り絞り、バルデを牽引。そしてバルデを先頭に、同時に頭を抱えた2名がワンツーフィニッシュを決めた。
総合3位に入った2017年の第12ステージ以来、7年振りの区間優勝を飾ったバルデ。「この感情を表現するのは難しい。夢にも見ていなかった結果だ。今日は明日レースがないような全力で走り、また心からレースを楽しみたいと思っていた。このマイヨジョーヌの半分はフランク(ファンデンブルーク)のものであり、彼に対して僕は精一杯の賛辞を贈ることしかできない」とバルデは語り、自身初、またフランス人選手としては3年振りとなるマイヨジョーヌに袖を通した。
一方で「信じられないほど嬉しく、言葉がないよ」と喜ぶファンデンブルークは、マイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)とマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を手に入れた。
またバルデたちから5秒遅れでやってきたプロトンはファンアールトがポガチャルをスプリントで下し、区間3位でフィニッシュしている。
6月29日(土)第1ステージ
フィレンツェ〜リミニ 206km(丘陵ステージ)
大会史上初のイタリアをスタートする第111回ツール・ド・フランスは、初めてパリ以外である南仏ニースを終着地点とする。そんな初めて尽くしの大会が6月29日(土)、往年の名選手ジーノ・バルタリの故郷であるフィレンツェでグランデパール(開幕)を迎えた。
第1ステージの舞台となったのは、近代ツールの中でも大会初日としては珍しい獲得標高差が3,600mを超える丘陵ステージ。イタリアの背骨であるアペニン山脈を西から東へ7つのカテゴリー山岳を越えていく206kmは、スタート後28km地点から一つ目の登りが始まり、勝負所は残り76.7kmから待ち受ける4つの山岳(2、2、3、3級)。そしてサンマリノ共和国に位置する最終3級山岳の頂上(残り26.3km)を越え、フィニッシュ地点は下りと平坦路を走った先にある。
この日の天候は晴れ。事前調整のため涼しい高地で合宿をこなして来た選手たちにとっては厳しい気温30度を超える暑さのなか、現地時間の午後12時40分に第1ステージのスタートが切られた。
驚くほどあっさりと逃げが決まった昨年の開幕ステージとは違い、今年は逃げに15kmほどを要した。特にフランス籍のプロチームであるトタルエネルジーは積極的に逃げを狙い、またこれが現役最後のツール出場となるロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)も果敢に攻める。その結果、昨年のステージ優勝者であるマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)など強力な9名による逃げグループが形成された。
第1ステージで逃げた9名
ライアン・ギボンズ(南アフリカ、リドル・トレック)
マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)
ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)
クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
サンディ・デュジャルダン(フランス、トタルエネルジー)
マッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)
一方、逃げを容認したメイン集団からは3連覇を目指すヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がメカトラによりバイク交換を強いられる。しかしチームメイトのサポートを受けることなくヴィンゲゴーはプロトンに復帰し、今大会最初の2級山岳に入る頃に逃げに2分のリードを許した。
平均勾配5.1%の登りで逃げグループから早々とヴェルシェが脱落するなか、メイン集団からはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)が遅れ始める。暑さが影響したためかペダルに力が入らず嘔吐しながらも踏み続けるカヴェンディッシュのため、アスタナは5名でペースを作る。その結果カヴェンディッシュは39分12秒遅れとなんとかタイムカットを免れたものの、同じく不調に陥ったミケーレ・ガッツォーリ(イタリア)が胃腸系のトラブルにより今大会1人目の棄権者となった。
最初の2級山岳はイサギレが先頭通過し、続く3級は2年連続の出場を果たしたアブラハムセンが最大ポイント(2pts)をゲット。その逃げに最大5分差を許したメイン集団は、直前にイタリア王者に輝いたアルベルト・ベッティオルのためEFエデュケーション・イージーポストが先頭でペースを作る。
そして終盤に連続する4つ(2、2、3、3級)の山岳の一つ目に入り、マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を狙っていたイサギレなどが先頭から遅れ、モホリッチとアブラハムセン、マドゥアス、ファンデンブルーク、ギボンズの5名に絞られる。それを3分差で追いかけるプロトンではUAEチームエミレーツにペースメイクが移り、スプリンターはもちろん2022年に総合4位に入ったダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が遅れる。そのためゴデュは初日で総合争いから脱落することとなった。
世界王者の証、アルカンシエルを着るマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)なども遅れ、プロトンが約40名に絞られるなかマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は粘りの走りで食らいつく。そして最後から3つ目の2級山岳に入り(残り50km)、ヴィスマ・リースアバイクに牽引が代わったメイン集団からバルデが飛び出した。
ツール開幕直前に、来年6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでロード選手としての活動を終え、グラベルレースへの転向を発表したバルデ。今大会は総合上位ではなく狙いを定めたステージ優勝を掴むべく、先頭からモホリッチとギボンズが遅れて3名となった逃げ集団を追走。その後バルデは先に待ち受けていたファンデンブルークに合流し、先頭は4名となった。
レース後に「最後のツールなので最善を尽くしたかった」と語ったバルデは首元に氷を入れながら、23歳でこれがグランツールデビューのファンデンブルークと共にアブラハムセンとマドゥアスをふるい落とす。一方のプロトンからはベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が単独で追走を試みたものの、ワウト・ファンアールト(ベルギー)で勝負したいヴィスマやピーダスンを残すリドル・トレックがそれを引き戻した。
リミニの市街地に入ってもリードを保ったDSMの2名は、11秒差でフラムルージュ(残り1km地点)を通過する。選手たちを迎えるオレンジ色の煙が舞う最終ストレートに入ってもなおファンデンブルークは力を振り絞り、バルデを牽引。そしてバルデを先頭に、同時に頭を抱えた2名がワンツーフィニッシュを決めた。
総合3位に入った2017年の第12ステージ以来、7年振りの区間優勝を飾ったバルデ。「この感情を表現するのは難しい。夢にも見ていなかった結果だ。今日は明日レースがないような全力で走り、また心からレースを楽しみたいと思っていた。このマイヨジョーヌの半分はフランク(ファンデンブルーク)のものであり、彼に対して僕は精一杯の賛辞を贈ることしかできない」とバルデは語り、自身初、またフランス人選手としては3年振りとなるマイヨジョーヌに袖を通した。
一方で「信じられないほど嬉しく、言葉がないよ」と喜ぶファンデンブルークは、マイヨブラン(ヤングライダー賞ジャージ)とマイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)を手に入れた。
またバルデたちから5秒遅れでやってきたプロトンはファンアールトがポガチャルをスプリントで下し、区間3位でフィニッシュしている。
ツール・ド・フランス2024第1ステージ
1位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 5:07:22 |
2位 | フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:05 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
6位 | アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター) | |
7位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
8位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
174位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン) | +39:12 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 5:07:12 |
2位 | フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +0:04 |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:11 |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:15 |
5位 | マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
6位 | アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター) | |
7位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
8位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
10位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 33pts |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 30pts |
3位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 22pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 13pts |
2位 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | 11pts |
3位 | フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 9pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | フランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 5:07:16 |
2位 | マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:11 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
チーム総合成績
1位 | DSMフィルメニッヒ・ポストNL | 15:22:1 |
2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +0:10 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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