2024/06/28(金) - 16:45
平坦ステージで主役を張るのは、ハイスピードバトルを繰り広げるスプリンターたち。緑色のマイヨヴェールを賭け昨年区間4勝と躍動したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)や、区間優勝記録の更新狙うカヴェンディッシュなど有力選手を紹介します。
グリーンジャージを意味するマイヨヴェールはポイント賞ランキングトップの選手に与えられる特別賞ジャージ。ツール開催50周年を記念して1953年より始まった緑の伝統は(1968年は除く)、今年もチェコの自動車メーカーで大会オフィシャルカーサプライヤーであるシュコダがスポンサーを務める。
「平坦」「中級山岳」「上級山岳」「個人TT」の4つに分類された全21ステージはそれぞれ異なるポイント配分が設定され、2015年以降は平坦ステージにより高い配点がされている。そのため平坦ステージでの勝利とポイント獲得を目指し、スプリンターたちは熱きスピードバトルを繰り広げることとなる。
平坦ステージでの順位に加えてマイヨヴェール獲得に重要なのは、ステージ中盤に配置される中間スプリントポイント。たとえ平坦ステージで優勝ができなくても、未勝利でマイヨヴェールを獲得した2015年のペテル・サガン(スロバキア)のように確実に上位でフィニッシュし、スプリントポイントを着実に加算することが受賞に近づく。
ポイント配分(いずれも上位15名に付与)
平坦ステージ(難易度★1〜2つ)
・優勝者50pts、以下30、20、18、16、14、12、10、8、7、6、5、4、3、2pts
中級山岳ステージ(難易度★3つ)
・優勝者30pts、以下25、22、19、17、15、13、11、9、7、6、5、4、3、2pts
上級山岳ステージ&個人TT(難易度★4〜5つ)
・優勝者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt
中間スプリントポイント
・先頭通過者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt
今年も世界最強のリードアウトを擁するフィリプセンが最有力
今年のツールでマイヨヴェール最有力を目されるのは、昨年より”ディザスター”のニックネームが定着したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。世界トップクラスのスピードに昨冬は登りと持久力を鍛え、ピュアスプリンターには厳しいとされるミラノ〜サンレモ優勝でその成果を表した。
そして世界最高のリードアウトと称され、新たにアルカンシエルを纏った相棒マチュー・ファンデルプール(オランダ)と共に勝利の量産&2度目のグリーンジャージを狙いに行く。
正真正銘ラストツールに臨むカヴェンディッシュ
今大会フィリプセンと同等、あるいはそれ以上の注目を集めているのがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)だ。昨年は区間2位と勝利に迫った翌日に落車リタイアという悔しい結果になったものの、その後引退を撤回。再びステージ35勝という最多記録の更新に挑む。
サー(勲爵士)の称号を得た39歳をアシストするのはケース・ボル(オランダ)やコーチから監督に昇格したマーク・レンショー。そして今年は新たに同い年のリードアウト職人であるミケル・モルコフ(デンマーク)が加わった。本人は今シーズン2勝と控えめな成績となっているが、自身15度目のツール出場となるためコンディションニングに心配はないだろう。
若手のドゥリーやマイヨヴェールを狙うピーダスンに注目
今年22歳のアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が念願のグランツールデビューを果たす。退団したカレブ・ユアン(オーストラリア)に代わりエーススプリンターの座についたドゥリーは、今年の春にライム病という感染症に罹患。そのためしばらく勝利から離れていたものの、スプリント決着したベルギー国内選手権でフィリプセンを破り完全復活を印象つけた。
起伏のあるサバイバルなスプリント勝負では3年連続の区間優勝を目指すマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が有利で、似た脚質のビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)もツールでの初勝利を願っている。またヴィスマ・リースアバイクはヨーロッパ王者のクリストフ・ラポルト(フランス)と22年のマイヨヴェール獲得者ワウト・ファンアールト(ベルギー)を揃え、ジェイコ・アルウラーはピュアスプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)を軸に、今年のミラノ〜サンレモで2位と力衰えないマイケル・マシューズ(オーストラリア)も貪欲に勝利を狙う。
昨年は落車で未勝利に終わったファビオ・ヤコブセン(オランダ)はチームをDSMフィルメニッヒ・ポストNLに変え、同じくサム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル)も新天地で4年振りのツールに臨む。その他にも36歳アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)やアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)、2018年以来の出場を決めたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)、そして母国フランスの期待を背負うブライアン・コカール(コフィディス)の存在も忘れてはいけない。
グリーンジャージを意味するマイヨヴェールはポイント賞ランキングトップの選手に与えられる特別賞ジャージ。ツール開催50周年を記念して1953年より始まった緑の伝統は(1968年は除く)、今年もチェコの自動車メーカーで大会オフィシャルカーサプライヤーであるシュコダがスポンサーを務める。
「平坦」「中級山岳」「上級山岳」「個人TT」の4つに分類された全21ステージはそれぞれ異なるポイント配分が設定され、2015年以降は平坦ステージにより高い配点がされている。そのため平坦ステージでの勝利とポイント獲得を目指し、スプリンターたちは熱きスピードバトルを繰り広げることとなる。
平坦ステージでの順位に加えてマイヨヴェール獲得に重要なのは、ステージ中盤に配置される中間スプリントポイント。たとえ平坦ステージで優勝ができなくても、未勝利でマイヨヴェールを獲得した2015年のペテル・サガン(スロバキア)のように確実に上位でフィニッシュし、スプリントポイントを着実に加算することが受賞に近づく。
ポイント配分(いずれも上位15名に付与)
平坦ステージ(難易度★1〜2つ)
・優勝者50pts、以下30、20、18、16、14、12、10、8、7、6、5、4、3、2pts
中級山岳ステージ(難易度★3つ)
・優勝者30pts、以下25、22、19、17、15、13、11、9、7、6、5、4、3、2pts
上級山岳ステージ&個人TT(難易度★4〜5つ)
・優勝者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt
中間スプリントポイント
・先頭通過者20pts、以下17、15、13、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1pt
今年も世界最強のリードアウトを擁するフィリプセンが最有力
今年のツールでマイヨヴェール最有力を目されるのは、昨年より”ディザスター”のニックネームが定着したヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。世界トップクラスのスピードに昨冬は登りと持久力を鍛え、ピュアスプリンターには厳しいとされるミラノ〜サンレモ優勝でその成果を表した。
そして世界最高のリードアウトと称され、新たにアルカンシエルを纏った相棒マチュー・ファンデルプール(オランダ)と共に勝利の量産&2度目のグリーンジャージを狙いに行く。
正真正銘ラストツールに臨むカヴェンディッシュ
今大会フィリプセンと同等、あるいはそれ以上の注目を集めているのがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)だ。昨年は区間2位と勝利に迫った翌日に落車リタイアという悔しい結果になったものの、その後引退を撤回。再びステージ35勝という最多記録の更新に挑む。
サー(勲爵士)の称号を得た39歳をアシストするのはケース・ボル(オランダ)やコーチから監督に昇格したマーク・レンショー。そして今年は新たに同い年のリードアウト職人であるミケル・モルコフ(デンマーク)が加わった。本人は今シーズン2勝と控えめな成績となっているが、自身15度目のツール出場となるためコンディションニングに心配はないだろう。
若手のドゥリーやマイヨヴェールを狙うピーダスンに注目
今年22歳のアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が念願のグランツールデビューを果たす。退団したカレブ・ユアン(オーストラリア)に代わりエーススプリンターの座についたドゥリーは、今年の春にライム病という感染症に罹患。そのためしばらく勝利から離れていたものの、スプリント決着したベルギー国内選手権でフィリプセンを破り完全復活を印象つけた。
起伏のあるサバイバルなスプリント勝負では3年連続の区間優勝を目指すマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が有利で、似た脚質のビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)もツールでの初勝利を願っている。またヴィスマ・リースアバイクはヨーロッパ王者のクリストフ・ラポルト(フランス)と22年のマイヨヴェール獲得者ワウト・ファンアールト(ベルギー)を揃え、ジェイコ・アルウラーはピュアスプリンターのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)を軸に、今年のミラノ〜サンレモで2位と力衰えないマイケル・マシューズ(オーストラリア)も貪欲に勝利を狙う。
昨年は落車で未勝利に終わったファビオ・ヤコブセン(オランダ)はチームをDSMフィルメニッヒ・ポストNLに変え、同じくサム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル)も新天地で4年振りのツールに臨む。その他にも36歳アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)やアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)、2018年以来の出場を決めたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)、そして母国フランスの期待を背負うブライアン・コカール(コフィディス)の存在も忘れてはいけない。
歴代マイヨヴェール受賞者
2023年 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー |
2022年 | ワウト・ファンアールト(ベルギー) |
2021年 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス) |
2020年 | サム・ベネット(アイルランド) |
2019年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2018年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2017年 | マイケル・マシューズ(オーストラリア) |
2016年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2015年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2014年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2013年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2012年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
2011年 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス) |
2010年 | アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア) |
2009年 | トル・フースホフト(ノルウェー) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:So.Isobe
photo:So.Isobe
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