遂に全日本選手権を制し、チャンピオンに輝いた小林海(マトリックスパワータグ)のバイクにフォーカス。得意のヒルクライムで勝負するために、軽さに照準を当ててパーツを選んだというカレラのSL AIR PROに迫る。



全日本選手権獲得を支えた小林海(マトリックスパワータグ)のカレラ SL AIR PRO photo:Makoto AYANO

大島で開催された全日本選手権U23で優勝してから早8年、常に注目選手として名前を挙げられていた小林海(マトリックスパワータグ)がタイトルを掴み取った。「みんな強かったし、正直勝てるとは思わなかった。金子はちょっと意味が分からないくらい強かったし、右京の2人がチームとして動いてくるのは分かっていたから。ステージレースなら勝負できるけど、ここ一発の力が求められる選手権では正直もう無理なんじゃないかって」と新チャンピオンは振り返る。

マトリックスパワータグは今年からチームバイクをタイムからカレラへとスイッチした。ハイエンドモデルのSL AIR PROをメンバー全員が使用しているが、「僕は一人で独走するタイプでもなく、登りで勝負する選手。だから機材もこだわっています」と言う小林のバイクはチームサプライヤーの製品を使いつつ、軽さを追い求めて仕上げられていることが見て取れる。ホイール、ハンドル、ペダル、ボトルケージがその好例だ。

ハンドルはヴィジョンのMETRON 5D ACR 3K。ステム130mm、幅400mmモデルだ photo:Makoto AYANO

サドルはNIPPO時代から愛用しているというFLITE。ショートノーズのBOOSTモデルだ photo:Makoto AYANO
ジテコ スポーツが製作した3Dプリント製のゼッケンホルダー photo:Makoto AYANO


マヴィック COSMIC ULTIMATE 45 DISCをセット。軽さを重視した選択だ photo:Makoto AYANO

COSMIC ULTIMATEの代名詞であるフルカーボンスポークとハブ。ONIベアリングをインストールしている photo:Makoto AYANO
ペダルは最上級のチタンスピンドル/カーボンボディモデル。やはり軽さを狙ったものだ photo:Makoto AYANO



ハンドルは、ツアー・オブ・ジャパンの南信州ステージよりヴィジョンのMETRON 4Dからより軽量なMETRON 5D ACR 3K(ステム130mm/幅400mm)に変更。ヴィジョンはより軽量なMETRON 5D EVOをリリースしたばかりだが、まだ流通していないため苦肉の策だったという。

ホイールはマヴィックで、小林を含めたエース級選手だけに最上級モデルのCOSMIC ULTIMATE 45 DISCが供給されている。ハブはヴィスマ・リースアバイクに供給することで話題のONIベアリングをインストールしている。カタログ重量1255gの超軽量ホイールに組み合わせるタイヤはハッチンソンのBLACKBIRD RACING LAB(28C)で、体重62,3kgの小林は雨の修善寺CSCを前後4.0気圧にセットし、チャンピオンジャージを勝ち取った。

ハッチンソンのBLACKBIRD RACING LAB(28C)。空気圧は前後4.0 photo:Makoto AYANO

パワー計測はSRMで行う。チェーンリングは54-40T(クランク長170mm) photo:Makoto AYANO
リアカセットは11-34T。チームはULTEGRAも混用するが、エースの小林はDURA-ACEのフルセット photo:Makoto AYANO



サドルはNIPPO所属時代からセッレイタリアのFLITEを愛用し、ショートノーズのFLITE BOOSTをチョイス。小林は「もう古いタイプの人間だから、サドルチョイスも古いですよね」と笑う。ボトルケージはゼファールの軽量モデルで、DURA-ACEのフルキットながらパワーメーターのみSRMに変更している。

スピードプレイのペダルはやはり軽さを優先させ、チタンスピンドル/カーボンボディモデルを使用。獲得標高5000mに及ぶ全日本選手権だけにリアカセットは11-34Tが使用された。メカニックの西岳凌吾さんの手により雨の長丁場レースに向けてチェーンはBOOST OILを塗布した上にグリスでコーティングしている。

text&photo:So Isobe

最新ニュース(全ジャンル)