與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)と木下友梨菜(ベルマーレ・レーシングチーム)のマッチレースとなった女子エリート+U23は、ホームストレートでのスプリント勝負で決着。與那嶺が7度目のタイトルを手にした一方、ロードレース本格参戦から1年足らずの木下が健闘して見せた。



武井コーチにサポートされスタートを待つ與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ) photo:Makoto AYANO
スタートを待つ木下友梨菜(ベルマーレ・レーシングチーム) photo:Satoru Kato


女子 スタート photo:Satoru Kato

男子U23のレースに続き、昼過ぎから行われた女子エリート+U23のレースには30名が出走。8kmコースを11周する88kmで女子日本一が争われた。

序盤から逃げた手塚悦子(IMEレーシング) photo:Makoto AYANO

5周目、先行していた手塚悦子(IMEレーシング)に追走集団が追いつく photo:Satoru Kato

男子U23同様、パレードのようにゆっくり進む1周目を終え、2周目に入ると手塚悦子(IMEレーシング)が飛び出す。単独先行となった手塚はペースの上がらないメイン集団との差を徐々に広げ、一時40秒前後まで差を広げる。5周目まで続いた手塚の先行は、與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)のペースアップにより追いついた5名の集団に飲み込まれる。

6周目、與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)がペースを上げて人数を絞っていく photo:Satoru Kato

6周目、與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)と木下 友梨菜(ベルマーレレーシングチーム)の2名が先行 photo:Satoru Kato

レース後半に入った6周目、登り区間で與那嶺がペースアップ。木下友梨菜(ベルマーレ・レーシングチーム)小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)、金子広美(三重県自転車競技連盟)らが追従する。しかし小林と金子はついて行けず、與那嶺と木下の2名が先行。後続との差を徐々に広げていく。

残り3周、アタックする木下友梨菜(ベルマーレレーシングチーム) photo:Satoru Kato
残り3周、與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)もアタック photo:Satoru Kato


後続を大きく引き離して先行する與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)と木下 友梨菜(ベルマーレレーシングチーム) photo:Satoru Kato

残り3周となる9周目、木下がアタックするも與那嶺がすぐに反応。返す刀で與那嶺がアタックするが、木下も遅れずについていく。ツバ競合いのようなアタックの掛け合いでお互いの力を理解したのか、その後は先頭交代をしながら走行。最終周回に入っても勝負を仕掛ける動きがないまま、最後のホームストレートに2人揃って姿を現す。

木下友梨奈を先行させプリントに持ち込んだ與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ) photo:Makoto AYANO

スプリント勝負へ photo:Satoru Kato

與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ)が優勝 photo:Satoru Kato

残り100m、木下の背後から仕掛けた與那嶺が一気に前に出る。フィニッシュラインを超えると右腕を突き上げ、喜びを露わにした。敗れたものの、昨年9月のロードレース初挑戦から1年足らずで全日本選手権2位となった木下は大健闘と言えよう。3位には石田唯(早稲田大学)が入り、タイムトライアルとあわせ女子U23の全日本二冠を達成した。

女子エリート表彰 優勝は與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ) photo:Makoto AYANO

優勝 與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ) コメント
「先週、五輪出場が発表されて自分でも緊張感を持って走れた。勝たないといけないという自分へのプレッシャーと、最後はスプリントでしっかり勝つことができたのは自分への自信に繋がると思う。走っていて観客の皆さんの緊張が伝わってきた。

全日本選手権は1年で一番嫌なレース。楽しくないけど絶対勝たなきゃいけないというプレッシャーのなかで、今まで7回勝っていても、このレースで勝つのは全然簡単じゃない。いつも120%の状態で欧州から帰ってきているから、本当に嬉しい。最後のプッシュができたのは、皆さんの応援と緊張感のおかげだと思う」

2位 木下友梨奈(ベルマーレレーシングチーム) コメント
「スプリント力が無いのに、前に出てしまって與那嶺さんに有利な展開にしてしまった。最後の最後は前に出るべきではなかったが、それが分かっていながらどうすることもできず、そのまま刺されてしまった。『ぐぁ〜!』って声が出てしまった。

上りでも足攣り寸前で、結果こそ寸差だったが與那嶺さんのアタックに必死に耐えるという走りだった。最後までなんとか耐えることができたけど、私からのアタックは全然できなかった。だから力の差はとても大きいと感じた。一緒に走るチャンスはこれが最初で最後だと思って挑むつもりで走ったが、メチャクチャ強くて及ばないと感じた。でも楽しかったし、いい経験になった。また頑張ります」

3位に入った石田唯(早稲田大学)がU23優勝 photo:Satoru Kato
女子U23 表彰式 photo:Satoru Kato


3位 U23優勝 石田唯(早稲田大学) コメント
「スプリントは得意じゃないので、残り2周から何度もアタックを掛けて人数を絞ろうと動いた。それがうまくいったので嬉しい。與那嶺さん木下さんの2人についていきたかったけど、そうしたら自分が終わるな、と思ってそれはできなかった。もう一段階強くなれるよう、来年に向けて頑張りたい」

単独先行する手塚悦子(IMEレーシング) photo:Satoru Kato

手塚悦子(IMEレーシング) コメント
「逃げは決めていたわけじゃなく、前に出た瞬間に「行ってみよう」とチャレンジしてみた。逃げ切れる自信はなかったけど、少しでもレース展開を動かすことができればと思た。捕まってからが怖かったが、今回は集団に戻ってからもそれなりに走れたので良かったかなと思う」
全日本選手権ロードレース2024 女子エリート+U23 結果
1位 與那嶺恵理(ラボラル・クチャ-ファンダシオン・エウスカディ) 3時間4分35秒
2位 木下友梨菜(ベルマーレ・レーシングチーム) +0秒
3位 石田 唯(早稲田大学) +2分23秒(U23)
4位 金子広美(三重県自転車競技連盟) +2分32秒
5位 牧瀬 翼(WING PLUS) +3分2秒
6位 手塚悦子(IMEレーシング) +3分7秒
7位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) +4分18秒
8位 太郎田水桜 +12分45秒
9位 大堀博美(イナーメ信濃山形) +13分58秒
10位 滝川陽希(富山県自転車競技連盟) +17分38秒

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