2024/05/27(月) - 08:27
イタリアの首都ローマで繰り広げられた混沌のスプリントバトルは、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がミランを退け勝利。そして区間6勝と圧巻の強さを見せたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が、第107代ジロ・デ・イタリア総合優勝者に輝いた。
イタリア北西部ピエモンテ州のトリノ近郊でスタートした第107回ジロ・デ・イタリアは、20日間のレースを経てローマにたどり着いた。最終日の舞台は2年連続となるスプリントステージ。前日のフィニッシュ地点から飛行機でローマに到着した選手たちは、互いに3週間に渡る戦いを労いながらパレード走行を楽しむ。
第20ステージはレース時間が3時間に満たない125kmコースで行われ、一度ティレニア海を経由してからローマの中心地へと向かい、最後は9.5kmコースを8周回する。そして現地時間の午後3時半、マリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭にスタートが切られた。
まずフォトセッションが行われたのはヘルメットからシューズ、そしてバイクに至るまでマリアローザのピンク色に染めたポガチャル。それを3週間に渡って支え、チーム力でもライバルたちを圧倒したラファウ・マイカ(ポーランド)を含むUAEチームエミレーツの選手たちは、お揃いのピンクのアイウェアと肩にマリアローザカラーの入った白地のジャージを着用。そして集団先頭に出ると全員が肩を組み、笑顔と共にポーズを取った。
続いて先頭に出たのは、チームを変え2年連続でマリアチクラミーノ(ポイント賞)に輝いたジョナサン・ミラン(イタリア)とリドル・トレックの選手たち。世界のトップスプリンターが集った今大会で、ミランはここまで区間3勝&3度の2位とその力をいかんなく発揮。またスプリントステージではアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア)が長時間集団を牽引し、最終リードアウトから勝利を演出したシモーネ・コンソンニ(イタリア)などそのチーム力も大会を通して光った。
そして予想を上回る活躍によりマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得したアントニオ・ティベーリ(イタリア)を中心とするバーレーン・ヴィクトリアスも先頭へ。今大会は総合エースであるダミアーノ・カルーゾ(イタリア)が振るわず、フィル・バウハウス(ドイツ)も3位に2度入りながら第13ステージでリタイア。しかし22歳のティベーリは山岳ステージで積極果敢に攻め、また難関ステージでも耐えて総合5位に入る活躍を見せた。
その後はポガチャルの繰り下げながらも、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着た今大会最年少20歳のジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)を含む4賞ジャージが揃う。そしてティレニア海に至った集団は方向を180度変え、一路ローマの市街地を目指した。
9.5kmコースに入り一度目のフィニッシュライン手前では、これが現役最後のジロとなるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭に出る。今年限りで引退するポッツォヴィーヴォは自身18度目のジロを終え、沿道に詰めかけた大観衆の声援に応えた。
そしてアレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアタックから最終ステージの優勝を争うレースがスタートした。そこにはミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)とエウェン・コステュー(フランス、アルケアB&Bホテルズ)、そして出場選手の中で唯一のローマ出身者マルティン・マルチェルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)も追従。この4名の逃げをスーダル・クイックステップが中心となるメイン集団が追いかけた。
途中にそのスーダルのエーススプリンター、ティム・メルリール(ベルギー)がパンク修理から素早いシクロクロス・スタイルの乗車に失敗するシーンもありながら、無事集団に復帰する。プロトンはリドルやチューダー・プロサイクリングなどスプリンターチームがペースを作り、残り13km地点に逃げを吸収。ポガチャルの安全確保に加え、フアン・モラノ(コロンビア)でスプリント勝負したいUAEを先頭に最終ラップの鐘が鳴った。
残り距離と反比例するように集団のスピードが上がっていく残り8.5km地点では、ミランがメカトラに見舞われバイク交換を強いられる。しかし冷静さを保ったミランはチームカーの隊列を利用しながら集団に追いつき、リドルのチームメイトによって集団内のポジションを上げていく。
残り2km地点ではポガチャルがモラノのため集団先頭で牽引し、フィニッシュ手前1.7kmでリドルがミランを前方に引き上げる。そして今大会見せた強力なチームワークを最終日でも発揮したリドルが先頭でフラムルージュ(残り1km)を通過。各チームがトレインを維持するのに苦労する混沌のなか、選手たちが石畳の敷かれた最終ストレートに突入した。
ティム・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先にスプリントを開始したものの、それを遥かに上回るスピードで駆けたメルリールが先頭へ。ミランは石畳で上手くスピードに乗ったメルリールの背後につくことすらできず、番手を上げたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)の猛追も届かない。そしてそのまま他を圧倒したメルリールがフィニッシュラインを通過し、区間3勝目を手に入れた。
メカトラの不運から集団復帰を果たしたミランは2位、そして3位にはガビリアをフィニッシュ手前で抜いたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が入り、最終日は第18ステージと全く同じトップ3となった。
「脚の状態が良くなかったので最後はカジノ(早いタイミングでのスプリント)を仕掛けた。最終ストレートでは良いリードアウトをしてくれたベルト(ファンレルベルへ)を見失ってしまい申し訳なかったが、勝利を掴むことができた。昨日飛行機で皆ビールなどを飲む姿を見た翌日の勝利は、少し奇妙な気持ち。だけどスプリンターとしてこの勝利が意味するものは大きいよ」と、ミランを退け最終日勝利を手に入したメルリールは喜んだ。
そして総合首位のポガチャルはトップ集団でフィニッシュ。そのため第2ステージから着用したマリアローザを纏い、総合2位に9分56秒という大差で総合優勝を決めた。
フィニッシュ後チームと喜びながらも、総合優勝を噛みしめるように黙り込む、珍しい表情を見せたポガチャル。「この感情を説明する言葉が見つからない。本当に素晴らしい瞬間だ。一つを選べないほどたくさんの思い出ができたジロだった。マリアローザを獲得し、素晴らしいファンに囲まれた本当にクレイジーな大会だった」と語った。
2021年大会ではエガン・ベルナルの総合優勝をアシストしたダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が総合2位。そして総合3位には昨年2位だったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が入っている。
イタリア北西部ピエモンテ州のトリノ近郊でスタートした第107回ジロ・デ・イタリアは、20日間のレースを経てローマにたどり着いた。最終日の舞台は2年連続となるスプリントステージ。前日のフィニッシュ地点から飛行機でローマに到着した選手たちは、互いに3週間に渡る戦いを労いながらパレード走行を楽しむ。
第20ステージはレース時間が3時間に満たない125kmコースで行われ、一度ティレニア海を経由してからローマの中心地へと向かい、最後は9.5kmコースを8周回する。そして現地時間の午後3時半、マリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)を先頭にスタートが切られた。
まずフォトセッションが行われたのはヘルメットからシューズ、そしてバイクに至るまでマリアローザのピンク色に染めたポガチャル。それを3週間に渡って支え、チーム力でもライバルたちを圧倒したラファウ・マイカ(ポーランド)を含むUAEチームエミレーツの選手たちは、お揃いのピンクのアイウェアと肩にマリアローザカラーの入った白地のジャージを着用。そして集団先頭に出ると全員が肩を組み、笑顔と共にポーズを取った。
続いて先頭に出たのは、チームを変え2年連続でマリアチクラミーノ(ポイント賞)に輝いたジョナサン・ミラン(イタリア)とリドル・トレックの選手たち。世界のトップスプリンターが集った今大会で、ミランはここまで区間3勝&3度の2位とその力をいかんなく発揮。またスプリントステージではアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア)が長時間集団を牽引し、最終リードアウトから勝利を演出したシモーネ・コンソンニ(イタリア)などそのチーム力も大会を通して光った。
そして予想を上回る活躍によりマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得したアントニオ・ティベーリ(イタリア)を中心とするバーレーン・ヴィクトリアスも先頭へ。今大会は総合エースであるダミアーノ・カルーゾ(イタリア)が振るわず、フィル・バウハウス(ドイツ)も3位に2度入りながら第13ステージでリタイア。しかし22歳のティベーリは山岳ステージで積極果敢に攻め、また難関ステージでも耐えて総合5位に入る活躍を見せた。
その後はポガチャルの繰り下げながらも、マリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)を着た今大会最年少20歳のジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)を含む4賞ジャージが揃う。そしてティレニア海に至った集団は方向を180度変え、一路ローマの市街地を目指した。
9.5kmコースに入り一度目のフィニッシュライン手前では、これが現役最後のジロとなるドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭に出る。今年限りで引退するポッツォヴィーヴォは自身18度目のジロを終え、沿道に詰めかけた大観衆の声援に応えた。
そしてアレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアタックから最終ステージの優勝を争うレースがスタートした。そこにはミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)とエウェン・コステュー(フランス、アルケアB&Bホテルズ)、そして出場選手の中で唯一のローマ出身者マルティン・マルチェルージ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)も追従。この4名の逃げをスーダル・クイックステップが中心となるメイン集団が追いかけた。
途中にそのスーダルのエーススプリンター、ティム・メルリール(ベルギー)がパンク修理から素早いシクロクロス・スタイルの乗車に失敗するシーンもありながら、無事集団に復帰する。プロトンはリドルやチューダー・プロサイクリングなどスプリンターチームがペースを作り、残り13km地点に逃げを吸収。ポガチャルの安全確保に加え、フアン・モラノ(コロンビア)でスプリント勝負したいUAEを先頭に最終ラップの鐘が鳴った。
残り距離と反比例するように集団のスピードが上がっていく残り8.5km地点では、ミランがメカトラに見舞われバイク交換を強いられる。しかし冷静さを保ったミランはチームカーの隊列を利用しながら集団に追いつき、リドルのチームメイトによって集団内のポジションを上げていく。
残り2km地点ではポガチャルがモラノのため集団先頭で牽引し、フィニッシュ手前1.7kmでリドルがミランを前方に引き上げる。そして今大会見せた強力なチームワークを最終日でも発揮したリドルが先頭でフラムルージュ(残り1km)を通過。各チームがトレインを維持するのに苦労する混沌のなか、選手たちが石畳の敷かれた最終ストレートに突入した。
ティム・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先にスプリントを開始したものの、それを遥かに上回るスピードで駆けたメルリールが先頭へ。ミランは石畳で上手くスピードに乗ったメルリールの背後につくことすらできず、番手を上げたフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)の猛追も届かない。そしてそのまま他を圧倒したメルリールがフィニッシュラインを通過し、区間3勝目を手に入れた。
メカトラの不運から集団復帰を果たしたミランは2位、そして3位にはガビリアをフィニッシュ手前で抜いたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が入り、最終日は第18ステージと全く同じトップ3となった。
「脚の状態が良くなかったので最後はカジノ(早いタイミングでのスプリント)を仕掛けた。最終ストレートでは良いリードアウトをしてくれたベルト(ファンレルベルへ)を見失ってしまい申し訳なかったが、勝利を掴むことができた。昨日飛行機で皆ビールなどを飲む姿を見た翌日の勝利は、少し奇妙な気持ち。だけどスプリンターとしてこの勝利が意味するものは大きいよ」と、ミランを退け最終日勝利を手に入したメルリールは喜んだ。
そして総合首位のポガチャルはトップ集団でフィニッシュ。そのため第2ステージから着用したマリアローザを纏い、総合2位に9分56秒という大差で総合優勝を決めた。
フィニッシュ後チームと喜びながらも、総合優勝を噛みしめるように黙り込む、珍しい表情を見せたポガチャル。「この感情を説明する言葉が見つからない。本当に素晴らしい瞬間だ。一つを選べないほどたくさんの思い出ができたジロだった。マリアローザを獲得し、素晴らしいファンに囲まれた本当にクレイジーな大会だった」と語った。
2021年大会ではエガン・ベルナルの総合優勝をアシストしたダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が総合2位。そして総合3位には昨年2位だったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が入っている。
ジロ・デ・イタリア2024第21ステージ結果
1位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 2:51:50 |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
5位 | ティム・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
6位 | スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス) | |
7位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チューダー・プロサイクリング) | |
8位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・コメタ) | |
9位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
10位 | ドナヴァン・グロンダン(フランス、アルケアB&Bホテルズ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 79:14:03 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +9:56 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +10:24 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +12:07 |
5位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +12:49 |
6位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +14:31 |
7位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +15:52 |
8位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +18:05 |
9位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +20:32 |
10位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダー・プロサイクリング) | +21:11 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 352pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 225pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 193pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 270pts |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 206pts |
3位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 153pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 79:26:52 |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +1:42 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +11:10 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 238:30:07 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +44:23 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +1:01:50 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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