2024/05/18(土) - 08:36
イネオスが横風分断を仕掛けたジロ・デ・イタリア第12ステージ。そのピンチをリドル・トレックが一丸となって回避し、圧巻のリードアウトからジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)が区間3勝目をマークした。
アップダウンの連続だった前日から一転、ジロ・デ・イタリア第13ステージのコースは起伏一つない真っ平ら。アドリア海を臨むビーチリゾート、リッチョーネから内陸のチェントまで179kmを進む。
中間スプリントポイントとインテルジロはコース中盤にまとまって登場し、フィニッシュ手前3kmからは6度のコーナーが設定されたテクニカルなレイアウト。最終ストレートは残り500mから右コーナーを先にあり、ここを逃せば第18ステージまでスプリントチャンスは巡ってこないため、スプリンターチームは鼻息荒く狙ってくる。
ステージの難易度を示す星は1つだが、強い横風による集団分断が心配されたレースは現地時間午後1時10分にスタート。すると直後にアンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・コメタ)が飛び出し、それにVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネのマヌエーレ・トロッツィとアレッサンドロ・トネッリが続く。その結果、イタリア人3名による逃げが驚くほどあっさりと決まった。
一気に最大3分20秒までリードを得た逃げグループに対し、メイン集団はこの日もアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)が牽引を担当。そこに同じスプリンターチームであるスーダル・クイックステップとアルペシン・ドゥクーニンクも選手を送りながら、典型的なスプリントステージの様相を呈した。
この日一つ目の中間スプリントは残り113.2kmに登場した。逃げ集団ではこれが今大会4度目の逃げとなったピエトロボンが先頭で通過し、プロトンではマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)とランキング2位のカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントバトル。ここはミランに軍配が上がり(4位通過で5pts獲得)、リードを65ポイントまで拡大させた。
逃げとプロトンの差が1分半まで縮まるなか、選手たちは人口3万人ほどの街ルーゴに設定されたインテルジロにやっていくる。上位3名にはボーナスタイム(3、2、1秒)が、上位8名まではスプリントポイント(12、8、6…1pts)が付与されるこのポイントは、フィニッシュ直前に通過するファエンツァ出身のトロッツィが先頭で通過。そしてメイン集団ではエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)によるフィニッシュスプリントのような高速リードアウトから、その背後についたグローブスが4位通過し5ptsを取り戻した。
その後ボーナスタイムのみが与えられる中間スプリントを通過し、コンセーリチェを出てフィニッシュ地点チェントに向かい北西に進路を変えた選手たちに、懸念されていた強い横風が吹きつける。そしてその瞬間を、イネオス・グレナディアーズが狙っていた。
元タイムトライアル世界王者のトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ)が一気にプロトンのペースを上げ、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)も加わった高速牽引によって集団は分裂する。フィリッポ・ガンナ(イタリア)に先頭が代わると時速は58kmに達し、ゲラント・トーマス(イギリス)の後ろにマリアローザのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)や総合上位勢が食らいつくなか、ミランが遅れを取った。
35名程度に絞られたポガチャル・グループの中には、グローブスとティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も残ることに成功。マリアチクラミーノが遅れたことによりスプリンターチームのアルペシンはもちろん、人数を減らしより安全なスプリントに持ち込みたいためか、ボーラ・ハンスグローエやUAEも牽引に力を貸す。そしてプロトンが一気にペースを上げたため、残り53km地点で逃げ3名を捉えた。
レース先頭となった第1集団を追うミラン・グループは、モビスターやヴィスマ・リースアバイクも追走に加わる。そのため差は徐々に縮まり、残り43km地点のモリネッラの街で先頭に合流。再びひと塊となった集団のペースは一度落ち着きを見せ、その中からマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)とドリース・デポーテル(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が逃げを打った。
共に25歳以下の若手2名(マルチェルージ24歳、デポーテル21歳)によるアタックは一気に30秒差を得る。そして徐々にスプリントに向けて緊張感が高まるプロトンでは、残り20km地点で落車が発生する。第3週目での走りが期待されるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ら約10名が巻き込まれた落車による大きな怪我はなく、選手たちは集団に復帰。そしてマルチェルージとデポーテルを飲み込んだプロトンは、フィニッシュラインの引かれたチェントに到着した。
安全確保のためにイネオスが先導し、救済措置が取られる残り3km地点を過ぎると前日勝者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が先頭へ。その後は集団分断の影響を感じさせないリドルが先頭に人数を固め、万全の態勢を整えながら最終ストレートに突入した。
これまでのスプリントと同じくシモーネ・コンソンニ(イタリア)がミランの最終発射台となり、残り300mからフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)が得意のアーリースプリントを開始する。しかしその背後にミランがつくと、そのスピードを利用して先頭に立つ。そこからマリアチクラミーノが披露したトップスピードに後続は届かず、今大会3勝目をマークした。
途中横風分断に見舞われながらも、見事なチーム力とスプリントで勝利したミラン。「集団の後方にいたタイミングでエシュロンが起こってしまった。だけどチームによる相変わらずの素晴らしい走りによって集団復帰することができた。最後はチームが僕を集団先頭に運んでくれた。本当にチームメイトに感謝したいし、彼らを誇りに思う」と語った。
区間2位にはスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)が入り、 3位はフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)。メルリールは15位と勝負に絡めず、16位だったグローブスは、ポイント賞ランキングでミランとの差を63から110ptsまで拡げられている。
アップダウンの連続だった前日から一転、ジロ・デ・イタリア第13ステージのコースは起伏一つない真っ平ら。アドリア海を臨むビーチリゾート、リッチョーネから内陸のチェントまで179kmを進む。
中間スプリントポイントとインテルジロはコース中盤にまとまって登場し、フィニッシュ手前3kmからは6度のコーナーが設定されたテクニカルなレイアウト。最終ストレートは残り500mから右コーナーを先にあり、ここを逃せば第18ステージまでスプリントチャンスは巡ってこないため、スプリンターチームは鼻息荒く狙ってくる。
ステージの難易度を示す星は1つだが、強い横風による集団分断が心配されたレースは現地時間午後1時10分にスタート。すると直後にアンドレア・ピエトロボン(イタリア、ポルティ・コメタ)が飛び出し、それにVFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネのマヌエーレ・トロッツィとアレッサンドロ・トネッリが続く。その結果、イタリア人3名による逃げが驚くほどあっさりと決まった。
一気に最大3分20秒までリードを得た逃げグループに対し、メイン集団はこの日もアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)が牽引を担当。そこに同じスプリンターチームであるスーダル・クイックステップとアルペシン・ドゥクーニンクも選手を送りながら、典型的なスプリントステージの様相を呈した。
この日一つ目の中間スプリントは残り113.2kmに登場した。逃げ集団ではこれが今大会4度目の逃げとなったピエトロボンが先頭で通過し、プロトンではマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)とランキング2位のカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がスプリントバトル。ここはミランに軍配が上がり(4位通過で5pts獲得)、リードを65ポイントまで拡大させた。
逃げとプロトンの差が1分半まで縮まるなか、選手たちは人口3万人ほどの街ルーゴに設定されたインテルジロにやっていくる。上位3名にはボーナスタイム(3、2、1秒)が、上位8名まではスプリントポイント(12、8、6…1pts)が付与されるこのポイントは、フィニッシュ直前に通過するファエンツァ出身のトロッツィが先頭で通過。そしてメイン集団ではエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)によるフィニッシュスプリントのような高速リードアウトから、その背後についたグローブスが4位通過し5ptsを取り戻した。
その後ボーナスタイムのみが与えられる中間スプリントを通過し、コンセーリチェを出てフィニッシュ地点チェントに向かい北西に進路を変えた選手たちに、懸念されていた強い横風が吹きつける。そしてその瞬間を、イネオス・グレナディアーズが狙っていた。
元タイムトライアル世界王者のトビアス・フォス(ノルウェー、イネオス・グレナディアーズ)が一気にプロトンのペースを上げ、ジョナタン・ナルバエス(エクアドル)も加わった高速牽引によって集団は分裂する。フィリッポ・ガンナ(イタリア)に先頭が代わると時速は58kmに達し、ゲラント・トーマス(イギリス)の後ろにマリアローザのタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)や総合上位勢が食らいつくなか、ミランが遅れを取った。
35名程度に絞られたポガチャル・グループの中には、グローブスとティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も残ることに成功。マリアチクラミーノが遅れたことによりスプリンターチームのアルペシンはもちろん、人数を減らしより安全なスプリントに持ち込みたいためか、ボーラ・ハンスグローエやUAEも牽引に力を貸す。そしてプロトンが一気にペースを上げたため、残り53km地点で逃げ3名を捉えた。
レース先頭となった第1集団を追うミラン・グループは、モビスターやヴィスマ・リースアバイクも追走に加わる。そのため差は徐々に縮まり、残り43km地点のモリネッラの街で先頭に合流。再びひと塊となった集団のペースは一度落ち着きを見せ、その中からマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)とドリース・デポーテル(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ)が逃げを打った。
共に25歳以下の若手2名(マルチェルージ24歳、デポーテル21歳)によるアタックは一気に30秒差を得る。そして徐々にスプリントに向けて緊張感が高まるプロトンでは、残り20km地点で落車が発生する。第3週目での走りが期待されるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ら約10名が巻き込まれた落車による大きな怪我はなく、選手たちは集団に復帰。そしてマルチェルージとデポーテルを飲み込んだプロトンは、フィニッシュラインの引かれたチェントに到着した。
安全確保のためにイネオスが先導し、救済措置が取られる残り3km地点を過ぎると前日勝者のジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が先頭へ。その後は集団分断の影響を感じさせないリドルが先頭に人数を固め、万全の態勢を整えながら最終ストレートに突入した。
これまでのスプリントと同じくシモーネ・コンソンニ(イタリア)がミランの最終発射台となり、残り300mからフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)が得意のアーリースプリントを開始する。しかしその背後にミランがつくと、そのスピードを利用して先頭に立つ。そこからマリアチクラミーノが披露したトップスピードに後続は届かず、今大会3勝目をマークした。
途中横風分断に見舞われながらも、見事なチーム力とスプリントで勝利したミラン。「集団の後方にいたタイミングでエシュロンが起こってしまった。だけどチームによる相変わらずの素晴らしい走りによって集団復帰することができた。最後はチームが僕を集団先頭に運んでくれた。本当にチームメイトに感謝したいし、彼らを誇りに思う」と語った。
区間2位にはスタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)が入り、 3位はフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)。メルリールは15位と勝負に絡めず、16位だったグローブスは、ポイント賞ランキングでミランとの差を63から110ptsまで拡げられている。
ジロ・デ・イタリア2024第13ステージ結果
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 4:02:03 |
2位 | スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス) | |
3位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
4位 | ティム・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
5位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
6位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
7位 | フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ) | |
9位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・コメタ) | |
10位 | アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チューダー・プロサイクリング) | |
15位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
16位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 49:24:38 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:40 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +2:56 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +3:39 |
5位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:27 |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +4:57 |
7位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +5:19 |
8位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +5:23 |
9位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +5:28 |
10位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +5:52 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 284pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 174pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 93pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 104pts |
2位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) | 59pts |
3位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 55pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 49:29:05 |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:56 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +1:25 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 148:27:57 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +2:13 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | +20:31 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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