2024/05/15(水) - 08:03
第2週目に突入したジロ・デ・イタリア第10ステージの舞台は、1級山岳の山頂フィニッシュ。27名の大集団が逃げたレースはヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が登坂でロマン・バルデを退け、プロ初勝利を飾った。
風光明媚なナポリの景観を楽しんだ選手たちは、第2週目の初日から険しい山頂フィニッシュに挑む。ヴェスヴィオ火山が見下ろすポンペイを出発後、内陸を真北に進んでフィニッシュ地点のクザーノ・ムトリを目指す距離は142kmと比較的短めだ。
しかし平坦路は最初の50kmで終わり、そこからアペニン山脈の山岳がスタートする。まずはカテゴリーのつかない急勾配の丘を越え、臨むのは2級山岳カンポザウロ(距離6.1km/平均7.8%)。この最大勾配14%の登りでスプリンターはお役御免となり、下りと細かなアップダウンを経て、最終1級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァ(距離20.9km/平均4.6%)を駆け上がる。
この日は休息日に熱を出した第9ステージの勝者オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)や、マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)など4名が未出走。そのため158名となった選手たちがポンペイを出発し、アクチュアルスタートの旗が振られた直後からアタックと吸収が繰り返された。
特に総合順位を争う選手のいないEFエデュケーション・イージーポストやジェイコ・アルウラーが積極的に仕掛けるなか、サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とクインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)の3名が先頭に立つ。それに続けとフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)を中心とした9名の集団が迫ったものの、これはメイン集団には許されず引き戻された。
最初の50kmを平均スピード51.379km/hというハイペースで進むなか、先頭集団からはデマルキが脱落する。そのためクラークとヘルマンスは中間スプリント(残りkm地点)を通過し、プロトンからはマリアチクラミーノ(ポイント賞)で2位につけるカーデン・グローブス(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が3位通過。直後にメイン集団は一度落ち着き、2名の逃げがようやく決まったかと思われたものの、再び逃げを目指す動きが勃発した。
UAEチームエミレーツが牽引するプロトンから飛び出したのは、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)とロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)というビッグネームを含む4名。遅れてダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やエステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)など強力なクライマーも加わり、25名の追走集団が形成。そして2級山岳を前に先頭2名を捉え、27名という大きな逃げ集団が出来上がった。
スタートして80km地点でようやく成立した逃げに、プロトンの選手たちが胸をなでおろすなか、残り60km地点でその差は3分半まで拡がる。2級山岳をトップで通過したのは、現役最後のジロを楽しむシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)。その後カテゴリーのつかない登りの頂上にあるインテルジロ(残り37.2km)ではフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭通過し、ここからレースが動き出した。
この時点で逃げは4分半のリードを得ていたため、ステージ優勝の行方はほぼ逃げ集団に委ねられる。そんな中ヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク)が逃げ集団から飛び出し、単独先頭のまま最終1級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァ(距離20.9km/平均4.6%)に入る。
その後方ではアラフィリップが力なく逃げ集団から遅れていくなか、バルデとアンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)、ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)、マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の4名が第1追走集団を形成。トラトニクから37秒遅れで、1級山岳に足を踏み入れた。
2020年大会以来、自身2度目のジロ区間優勝を狙うトラトニクは登りで後続との差を1分15秒まで拡げる。それを尻目にバルデ・グループからはフリーゴが遅れ、続いてフリーゴも脱落。そのため兄オレリアンと共に逃げに乗り、ステージ優勝のチャンスを狙う弟のヴァランタン(パレパントル)とバルデというフランス出身の2名がトラトニクを追いかけた。
クライマーではないものの、緩斜面を得意の単独走で順調に登っていくトラトニク。しかし徐々に勾配が厳しくなったこともあり、頂上まで残り5kmを通過した時点で後続との差は39秒まで縮小。すると残り3kmの手前でパレパントルがスピードを上げ、バルデを引き離しトラトニクに迫った。
今大会の出場選手の中で体重が最も軽い52kgというデータもあるパレパントルは、ダンシングとシッティングを織り交ぜながら軽快な登坂を披露する。その勢いのままパレパントルはトラトニクを残り2.7kmで抜き、ダンシングで一気に突き放す。そしてバルデの追い上げも許さなかったパレパントルが、プロ初勝利をジロ・デ・イタリアという大舞台で手に入れた。
「言葉で説明できないほど嬉しいよ。バルデは僕がジュニアの頃、テレビでツール・ド・フランスの表彰台に上がる姿を観ていた選手。そんな偉大な選手に勝てるなんて本当に嬉しい。残り4kmから勾配が上がると分かっていたので、終盤でのアタックを考えていたんだ」とパレパントルは喜んだ。
パレパントルはデカトロン(AG2R)の下部チーム出身の23歳。2022年のプロデビューから3年目でプロ初勝利を掴み、また兄オレリアンが昨年区間優勝しているため、これで兄弟揃ってのジロ勝利となった。
一方のプロトンではバーレーン・ヴィクトリアスが高速牽引を見せ、人数が絞られるなかアレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のリードアウトを受けた総合4位のベン・オコーナー(オーストラリア)がスプリントする。しかし総合勢を引き離すには至らず、そのままフィニッシュに到達。そのため総合順位はバルデが総合7位にジャンプアップした以外、大きな変動はなかった。
風光明媚なナポリの景観を楽しんだ選手たちは、第2週目の初日から険しい山頂フィニッシュに挑む。ヴェスヴィオ火山が見下ろすポンペイを出発後、内陸を真北に進んでフィニッシュ地点のクザーノ・ムトリを目指す距離は142kmと比較的短めだ。
しかし平坦路は最初の50kmで終わり、そこからアペニン山脈の山岳がスタートする。まずはカテゴリーのつかない急勾配の丘を越え、臨むのは2級山岳カンポザウロ(距離6.1km/平均7.8%)。この最大勾配14%の登りでスプリンターはお役御免となり、下りと細かなアップダウンを経て、最終1級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァ(距離20.9km/平均4.6%)を駆け上がる。
この日は休息日に熱を出した第9ステージの勝者オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)や、マックス・カンター(ドイツ、アスタナ・カザクスタン)など4名が未出走。そのため158名となった選手たちがポンペイを出発し、アクチュアルスタートの旗が振られた直後からアタックと吸収が繰り返された。
特に総合順位を争う選手のいないEFエデュケーション・イージーポストやジェイコ・アルウラーが積極的に仕掛けるなか、サイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)とクインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)の3名が先頭に立つ。それに続けとフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)を中心とした9名の集団が迫ったものの、これはメイン集団には許されず引き戻された。
最初の50kmを平均スピード51.379km/hというハイペースで進むなか、先頭集団からはデマルキが脱落する。そのためクラークとヘルマンスは中間スプリント(残りkm地点)を通過し、プロトンからはマリアチクラミーノ(ポイント賞)で2位につけるカーデン・グローブス(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が3位通過。直後にメイン集団は一度落ち着き、2名の逃げがようやく決まったかと思われたものの、再び逃げを目指す動きが勃発した。
UAEチームエミレーツが牽引するプロトンから飛び出したのは、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)とロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)というビッグネームを含む4名。遅れてダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やエステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)など強力なクライマーも加わり、25名の追走集団が形成。そして2級山岳を前に先頭2名を捉え、27名という大きな逃げ集団が出来上がった。
スタートして80km地点でようやく成立した逃げに、プロトンの選手たちが胸をなでおろすなか、残り60km地点でその差は3分半まで拡がる。2級山岳をトップで通過したのは、現役最後のジロを楽しむシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)。その後カテゴリーのつかない登りの頂上にあるインテルジロ(残り37.2km)ではフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が先頭通過し、ここからレースが動き出した。
この時点で逃げは4分半のリードを得ていたため、ステージ優勝の行方はほぼ逃げ集団に委ねられる。そんな中ヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク)が逃げ集団から飛び出し、単独先頭のまま最終1級山岳ボッカ・デッラ・セルヴァ(距離20.9km/平均4.6%)に入る。
その後方ではアラフィリップが力なく逃げ集団から遅れていくなか、バルデとアンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック)、ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)、マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の4名が第1追走集団を形成。トラトニクから37秒遅れで、1級山岳に足を踏み入れた。
2020年大会以来、自身2度目のジロ区間優勝を狙うトラトニクは登りで後続との差を1分15秒まで拡げる。それを尻目にバルデ・グループからはフリーゴが遅れ、続いてフリーゴも脱落。そのため兄オレリアンと共に逃げに乗り、ステージ優勝のチャンスを狙う弟のヴァランタン(パレパントル)とバルデというフランス出身の2名がトラトニクを追いかけた。
クライマーではないものの、緩斜面を得意の単独走で順調に登っていくトラトニク。しかし徐々に勾配が厳しくなったこともあり、頂上まで残り5kmを通過した時点で後続との差は39秒まで縮小。すると残り3kmの手前でパレパントルがスピードを上げ、バルデを引き離しトラトニクに迫った。
今大会の出場選手の中で体重が最も軽い52kgというデータもあるパレパントルは、ダンシングとシッティングを織り交ぜながら軽快な登坂を披露する。その勢いのままパレパントルはトラトニクを残り2.7kmで抜き、ダンシングで一気に突き放す。そしてバルデの追い上げも許さなかったパレパントルが、プロ初勝利をジロ・デ・イタリアという大舞台で手に入れた。
「言葉で説明できないほど嬉しいよ。バルデは僕がジュニアの頃、テレビでツール・ド・フランスの表彰台に上がる姿を観ていた選手。そんな偉大な選手に勝てるなんて本当に嬉しい。残り4kmから勾配が上がると分かっていたので、終盤でのアタックを考えていたんだ」とパレパントルは喜んだ。
パレパントルはデカトロン(AG2R)の下部チーム出身の23歳。2022年のプロデビューから3年目でプロ初勝利を掴み、また兄オレリアンが昨年区間優勝しているため、これで兄弟揃ってのジロ勝利となった。
一方のプロトンではバーレーン・ヴィクトリアスが高速牽引を見せ、人数が絞られるなかアレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のリードアウトを受けた総合4位のベン・オコーナー(オーストラリア)がスプリントする。しかし総合勢を引き離すには至らず、そのままフィニッシュに到達。そのため総合順位はバルデが総合7位にジャンプアップした以外、大きな変動はなかった。
ジロ・デ・イタリア2024第10ステージ結果
1位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 3:43:50 |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +0:29 |
3位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:01 |
4位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック) | +1:18 |
5位 | オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +1:25 |
6位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) | |
7位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | |
8位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
9位 | ニコラ・コンチ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:41 |
10位 | エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:56 |
14位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +3:14 |
15位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
16位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
17位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 36:46:08 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:40 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +2:58 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +3:39 |
5位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:15 |
6位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:27 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +4:57 |
8位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +5:19 |
9位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +5:23 |
10位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +5:28 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 174pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 122pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 100pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 104pts |
2位 | シモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス) | 58pts |
3位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 55pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 36:50:23 |
2位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:12 |
3位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +1:08 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 110:32:27 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +7:07 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | +20:31 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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