ツール・ド・熊野第2ステージは、残り500mまでに全ての逃げが吸収されてのスプリント勝負となり、ベンジャミ・プラデス(VC福岡)が優勝。岡篤志(JCLチーム右京)が個人総合首位となった。



第2ステージのスタートラインに揃った各賞ジャージ photo:Satoru Kato

ツール・ド・熊野第2ステージは、期間中唯一の三重県でのレース。「日本の棚田百選」に選ばれる丸山千枚田を登るツール・ド・熊野を象徴するステージだ。

日本の棚田百選に選ばれる丸山千枚田 photo:Satoru Kato

今年はコースが変更され、丸山千枚田を含む1周17.2kmの周回部分が新たに設定された。ここを4周回するため、2級山岳が設定される丸山千枚田を4回登ることになる。従来1級山岳に指定されていた札立峠が無くなったとは言え、登りと下りが繰り返されるハードなステージであることに変わりはない。加えて、フィニッシュは3級山岳に指定される登りフィニッシュとなり、ボーナスタイムが与えられない代わりにタイム差を取られることになる。

序盤は大集団のままレースが進行していく photo:Satoru Kato

トンネルが連続する第2ステージ photo:Satoru Kato

第1ステージ同様、朝から晴れて気温が上昇する中パレードスタート。周回部分を控えてか、リアルスタート後にアタックが散発するものの集団は大きく崩れることなく進む。

キナンレーシングチームを先頭に1回目の千枚田を登る集団 photo:Satoru Kato

4回目の千枚田登りでクドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)と小林海(マトリックスパワータグ)が抜け出す photo:Satoru Kato

山岳賞ジャージを着た小林海(マトリックスパワータグ)は、第2ステージでも山岳ポイントを獲りに動いた。4回ある山岳賞のうち、1回目と2回目を連続して1位通過。3回目は2位通過となるものの、4回目はクドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア)と共に丸山千枚田の中腹から先行して1位通過。計39ポイントとして、明日の第3ステージを完走すれば小林の山岳賞が確定することになった。

クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)が小林海(マトリックスパワータグ)を切り離すアタック photo:Satoru Kato


その4回目の山岳賞に向けて先行した小林とゲブレメディンは、その後も後続に40秒前後の差をつけて先行。30名ほどになっていた集団はさらに10名ほどまで絞られ、JCLチーム右京を中心に先行する2名を追走する。周回部分の短い登りと下りが繰り返される区間に入ると、ゲブレメディンがアタックして小林を切り離しにかかる。昨年までEFエデュケーション・イージーポストに所属していたゲブレメディンは下りのスピードをもってさらに小林との差を広げ、30秒以上のリードをもって残り15kmを過ぎる。

ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)が小林海(マトリックスパワータグ)に追いつく photo:Satoru Kato

岡篤志(JCLチーム右京)が追走集団を牽引 photo:Satoru Kato

一方、遅れた小林は後方から追走してきたベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)と合流。さらに岡篤志、山本大喜らJCLチーム右京を中心に追走してきた集団が吸収し、単独先行するゲブレメディンとの差を縮めていく。

逃げるクドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)の後方に追走集団が迫る photo:Satoru Kato

残り10kmを切ったところで、追走集団はゲブレメディンを吸収。そのカウンターで山本大喜が飛び出し、10秒前後の差を維持して単独先行する。しかし残り500mで追走集団に捕まり、残り100mの登りスプリント勝負へ。

スプリントで前に出るベンジャミ・プラデス(VC福岡) photo:Satoru Kato

ベンジャミ・プラデス(VC福岡)がステージ優勝 photo:Satoru Kato

先頭で姿を現したのはベンジャミ・プラデス(VC福岡)。追従するレオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)とライアン・カバナ(キナンレーシングチーム)を引き離し、最後は後ろを確認してからガッツポーズを決める余裕を見せて優勝。マトリックスパワータグに所属していた2015年以来9年ぶりに熊野の地で勝利を挙げた。

リーダージャージのジョン・カーター (キャッシュ・パー・クップ)8分以上遅れてフィニッシュ photo:Satoru Kato
4位でフィニッシュする岡篤志(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato


リーダージャージを着たジョン・カーター(キャッシュ・パー・クップ)は9分近く遅れてフィニッシュ。この結果、4位に入った岡が個人総合首位となった。

第2ステージ 表彰式 photo:Satoru Kato

第2ステージ優勝 ベンジャミ・プラデス コメント
「とてもハードな1日だった。調子は良くなかったけれど、終盤に逃げを捕まえるために数チームがコントロールしてくれたおかげで、最後のスプリントで勝つことができた。9年ぶりに熊野で勝てて嬉しい。首位になった岡篤志のチームはとても強いから、明日の最終ステージで逆転総合優勝するのは難しいと思う。まずは今の順位を維持し、可能性があるならチャレンジしたい」

岡篤志(JCLチーム右京)が個人総合首位 photo:Satoru Kato

個人総合首位 岡篤志 コメント
「昨日の第1ステージで総合2位になって、チームとしては(山本)大喜が3位、小石(祐馬)さんが4位になっていて、今日は多分リーダーのジョン・カーターが遅れるだろうと予想していたので、まずは集団から遅れずにフィニッシュすることを目標に、ステージ優勝を狙っていた。終盤はクドゥス(・メルハウィ・ゲブレメディン)選手が1人で行って、強いのはわかっていたけれど1人なら大丈夫と思っていた。でも他のチームが協調してくれなくて自分と小石さんで牽引して捕まえ、カウンターで大喜がアタックしたけれど捕まってしまった。追走で脚を使った状態でスプリントしたが、ベンジャミ(・プラデス)に獲られてしまった。

明日は総合首位を守るためのコントロールは厳しくなりそうだけれど、枚数(=人数)はいるし、大喜と小石さんもタイム差は近いので、誰が勝っても良い状況なので、パニックにならないように対処できるようにしたい。昨年は総合優勝したとは言え、大喜のパンクで譲り受けたようなもので心から喜べなかったので、今年はみんなで笑って終われるようにしたい」

山岳賞 小林海(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
新人賞 山口瑛志(レバンテフジ静岡) photo:Satoru Kato


ツール・ド・熊野 第2ステージ結果(107.7km)
1位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) 2時間44分39秒
2位 レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島、ベネズエラ) +0秒
3位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)
4位 岡 篤志 (JCLチーム右京)
5位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア)
6位 アナトリー・ブディアク (アナトリー・ブディアグ、ウクライナ)
7位 ルーベン・アコスタ (宇都宮ブリッツェン、コロンビア)
8位 フランシスコ・マンセボ・ペレス (マトリックスパワータグ、スペイン)
9位 ドリュー・モレ (キナンレーシングチーム、オーストラリア)
10位 石上優大 (愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績 第2ステージ終了時
1位 岡 篤志(JCLチーム右京) 5時間39分35秒
2位 山本大喜(JCLチーム右京) +5秒
3位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) +6秒
4位 小石祐馬(JCLチーム右京) +7秒
5位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)
6位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア)
ポイント賞 第2ステージ終了時
1位 ジョン・カーター(キャッシュ・パー・クップ) 26p
2位 岡 篤志(JCLチーム右京) 25p
3位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) 19p
山岳賞
1位 小林 海(マトリックスパワータグ) 39p
2位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン) 20p
3位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア) 9p
チーム総合成績 第2ステージ終了時
1位 チーム右京 16時間59分12秒
2位 マトリックスパワータグ +0秒
3位 宇都宮ブリッツェン +7秒

text&photo:Satoru Kato

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