2024/04/28(日) - 08:30
イネオスのチーム力が光ったツール・ド・ロマンディ第4ステージは、1級山岳フィニッシュの最難関ステージ。リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が勝利し、区間3位のカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)が総合首位に立った。
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第4ステージを迎えたツール・ド・ロマンディ photo:CorVos
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ツール・ド・ロマンディ2024第4ステージ コースプロフィール image:Tour de Romandie
ジュラ山脈とアルプス山脈に挟まれ、風光明媚な山岳を望むスイスを巡るツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。その5日目にして第4ステージは、1級山岳レザン(距離13.8km/平均6%)の山頂を目指す山岳決戦だ。
サイヨンを出発する151.7kmは序盤に1級山岳を越え、コース後半から3級、2級、3級と立て続けに低難易度のカテゴリー山岳をクリア。そして翌日が平坦基調のステージのため、標高1,259mの1級山岳レザン頂上で総合優勝が実質的に決まる。
逃げ切り勝利だけでなく、山岳賞獲得のチャンスもあるため選手たちは序盤から激しいアタック合戦を繰り広げる。それは最初の1級山岳まで続き、ようやく6名の逃げグループが成立。その中には第1ステージで勝利したドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)や35歳のベテラン、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)の姿もあった。
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イネオス・グレナディアーズの牽引により、逃げとのタイム差が一気に縮まる photo:CorVos
それを追うメイン集団は、前日の個人タイムトライアルで区間優勝を含むトップ5に3名を入れたUAEチームエミレーツがコントロールする。逃げではユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)が山岳ポイントを加算し、山岳賞ジャージの保持に成功。そしてプロトンの牽引にイネオス・グレナディアーズが加わると逃げとの差は一気に縮まり、危機感を感じた逃げからクレマン・ベルテ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が一人飛び出した。
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逃げ集団から飛び出し、単独先頭で最終山岳に突入したクレマン・ベルテ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos
残り52km地点から単独先頭に立ったベルテは2級、3級山岳を立て続けに越えていき、1級山岳レザン(距離13.8km/平均6%)に突入する。プロトンでは総合4位(11秒遅れ)のカルロス・ロドリゲス(スペイン)を擁するイネオスが引き続きペースを作り、カストロビエホ→ヘイター→アレンスマンと往年の高速牽引を披露。集団の人数を絞っていく。
そして懸命に逃げ続けたベルテを残り5.5kmで捉えると、エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。総合で1分13秒遅れのベルナルだが、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ)は総合リーダージャージを着るフアン・アユソ(スペイン)のために引き戻した。
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アタックし、その後ハイペースで集団を牽引したエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
その後ベルナルはロドリゲスのアシストに役目を切り替え、ハイテンポでアタックを抑制しながら集団の人数を減らしていく。そのスピードによって総合2位のイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が脱落。そしてベルナルが仕事を終えると、残り3km地点で総合6位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)による加速にロドリゲスとリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が食らいついた。
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残り2kmでアタックしたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
アユソが力なく遅れていくなか、残り2km地点でカラパスが仕掛ける。1分16秒遅れと総合争いの脅威でないカラパスのアタックをロドリゲスとリポヴィッツは見送り、後続とのタイム差をつけることに専念する。しかしフラムルージュ(残り1km地点)を過ぎ、リポヴィッツがロドリゲスを追い抜いて加速。カラパスを猛追を開始した。
矢のようなスピードでカラパスに迫ったリポヴィッツだったが、僅かに届かない。そのためカラパスがステージ優勝を掴んだ。
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猛追するリポヴィッツを振り切り、勝利を掴んだリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
フィニッシュ後ハンドルにうなだれるほど力を振り絞ったカラパス。ワールドツアーの舞台では2022年のブエルタ・ア・エスパーニャとなる2年振りの勝利となった。
そしてカラパスたちから10秒遅れの区間3位でロドリゲスがフィニッシュ。チーム一丸となって総合優勝に王手を掛けたロドリゲスは、「僕らには作戦があり、皆が全力を尽くした。チームの走りを誇りに思うし、あと1日頑張ればこのジャージを持って帰ることができる」とコメントしている。
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総合優勝をほぼ手中に収めたカルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
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ジュラ山脈とアルプス山脈に挟まれ、風光明媚な山岳を望むスイスを巡るツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)。その5日目にして第4ステージは、1級山岳レザン(距離13.8km/平均6%)の山頂を目指す山岳決戦だ。
サイヨンを出発する151.7kmは序盤に1級山岳を越え、コース後半から3級、2級、3級と立て続けに低難易度のカテゴリー山岳をクリア。そして翌日が平坦基調のステージのため、標高1,259mの1級山岳レザン頂上で総合優勝が実質的に決まる。
逃げ切り勝利だけでなく、山岳賞獲得のチャンスもあるため選手たちは序盤から激しいアタック合戦を繰り広げる。それは最初の1級山岳まで続き、ようやく6名の逃げグループが成立。その中には第1ステージで勝利したドリアン・ゴドン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)や35歳のベテラン、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)の姿もあった。
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それを追うメイン集団は、前日の個人タイムトライアルで区間優勝を含むトップ5に3名を入れたUAEチームエミレーツがコントロールする。逃げではユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク)が山岳ポイントを加算し、山岳賞ジャージの保持に成功。そしてプロトンの牽引にイネオス・グレナディアーズが加わると逃げとの差は一気に縮まり、危機感を感じた逃げからクレマン・ベルテ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)が一人飛び出した。
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残り52km地点から単独先頭に立ったベルテは2級、3級山岳を立て続けに越えていき、1級山岳レザン(距離13.8km/平均6%)に突入する。プロトンでは総合4位(11秒遅れ)のカルロス・ロドリゲス(スペイン)を擁するイネオスが引き続きペースを作り、カストロビエホ→ヘイター→アレンスマンと往年の高速牽引を披露。集団の人数を絞っていく。
そして懸命に逃げ続けたベルテを残り5.5kmで捉えると、エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)がアタック。総合で1分13秒遅れのベルナルだが、パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ)は総合リーダージャージを着るフアン・アユソ(スペイン)のために引き戻した。
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その後ベルナルはロドリゲスのアシストに役目を切り替え、ハイテンポでアタックを抑制しながら集団の人数を減らしていく。そのスピードによって総合2位のイラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が脱落。そしてベルナルが仕事を終えると、残り3km地点で総合6位のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)による加速にロドリゲスとリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が食らいついた。
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アユソが力なく遅れていくなか、残り2km地点でカラパスが仕掛ける。1分16秒遅れと総合争いの脅威でないカラパスのアタックをロドリゲスとリポヴィッツは見送り、後続とのタイム差をつけることに専念する。しかしフラムルージュ(残り1km地点)を過ぎ、リポヴィッツがロドリゲスを追い抜いて加速。カラパスを猛追を開始した。
矢のようなスピードでカラパスに迫ったリポヴィッツだったが、僅かに届かない。そのためカラパスがステージ優勝を掴んだ。
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フィニッシュ後ハンドルにうなだれるほど力を振り絞ったカラパス。ワールドツアーの舞台では2022年のブエルタ・ア・エスパーニャとなる2年振りの勝利となった。
そしてカラパスたちから10秒遅れの区間3位でロドリゲスがフィニッシュ。チーム一丸となって総合優勝に王手を掛けたロドリゲスは、「僕らには作戦があり、皆が全力を尽くした。チームの走りを誇りに思うし、あと1日頑張ればこのジャージを持って帰ることができる」とコメントしている。
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ツール・ド・ロマンディ2024第4ステージ結果
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | 4:06:03 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +0:10 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:14 |
5位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:27 |
7位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:31 |
8位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック) | +0:40 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +0:41 |
10位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ) | +0:44 |
個人総合成績
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 12:22:46 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:07 |
3位 | ロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:09 |
4位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:21 |
5位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:27 |
6位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:38 |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:49 |
8位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:52 |
9位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック) | +1:02 |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +1:23 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) |
山岳賞 | ユーリ・ホルマン(ドイツ、アルペシン・ドゥクーニンク) |
ヤングライダー賞 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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