ツアー・オブ・ジャパンいなべステージは、リアルスタート直後に飛び出したカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島)が逃げ切ってステージ優勝。メイン集団の先頭でフィニッシュして2位となったルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)がリーダージャージとポイント賞ジャージを奪回した。



第3ステージ スタート前の各賞ジャージ photo:Satoru Kato

山岳賞ポイントにはこんな立て看板が常設されている photo:Satoru Kato
世界的に話題の方が観戦? photo:Satoru Kato


ツアー・オブ・ジャパン第3ステージは、三重県北部のいなべ市でのレース。三岐鉄道の阿下喜駅前をパレードスタートし、いなべ市梅林公園をフィニッシュ地点とする1周14.8kmを8周する。2級山岳に指定される山岳賞ポイントまで約1km続く最大斜度10%以上の厳しい登りや、平坦な水田地帯を駆け抜ける部分など、変化に富むコースを走る。

いなべ市長の日沖靖市長がスタート前に選手を激励 photo:Satoru Kato
三重県立朝明高校自転車部によるパレード photo:Satoru Kato


雨がパラつく中、三岐鉄道の阿下喜駅前をパレードスタート photo:Satoru Kato

前日までとうって変わって朝から雲が広がり、寒さを感じるほどの強めの風が吹き続ける1日。スタート直前に雨が降ったものの、集団が周回コースに入る頃までにはやみ、周回の進行と共に晴れて青空が広がりはじめた。

スタートアタックを決めた2名 photo:Satoru Kato

田植えの済んだ水田地帯を進む集団 photo:Satoru Kato

リアルスタート直後、カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島)とケヴィン・マッカンブリッジ(トリニティレーシグ)の2名が抜け出し、1周目に早くも1分以上の差をつけて先行する。

メイン集団はリーダージャージのゲオルギオス・バグラス擁するマトリックスパワータグがコントロールに入るも、レース中盤にかけて1周につき1分ずつ差が広がり、レース中盤の4周目には4分以上まで開く。この時点で、バーチャルリーダーはベトルスとなる。

登り頂上へ向かう先頭2名 photo:Satoru Kato

山岳賞ジャージの兒島直樹を牽引して2回目の山岳賞に向かう松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato

2周目と5周目に設定された山岳賞は、共にベルトスが1位通過。「逃げに乗り損ねてしまった」と言う山岳賞ジャージの兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)は、2回共にメイン集団先頭で3位通過してポイントを加算し、ジャージを守った。

小林海を先頭にマトリックスパワータグのコントロールで進むメイン集団 photo:Satoru Kato

レース後半に入ると、メイン集団がペースアップ。それまで22分台で周回していたが、残り2周となる7周目には21分台で周回。先行する2名との差を一気に詰めていく。

フィニッシュ直前、後方を確認するカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

第3ステージのほぼ全距離を逃げきったカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

最終周回に入ると、ベトルスが単独先行。遅れたマッカンブリッジを吸収したメイン集団は1分差まで迫り、さらに差を縮めていく。しかし捕まえるまでには至らず、ベトルスがほぼレース全距離を逃げ切っていなべステージを制した。

観客に向かって花束を投げるカーター・ベトルス(ヴィクトワール広島) photo:Satoru Kato

ベトルスは今年ヴィクトワール広島に加入。3月に行われたジャパンサイクルリーグ真岡芳賀ロードレースで優勝しているが、今回は自身初のUCIレースでの勝利となった。

カーター・ベトルス コメント
「昨日の京都ステージで落車して個人総合のタイムを失ってしまったので、今日は逃げて勝つことがチームの作戦だった。差が広がったけれど、最後まで勝てる確信は無かった。残り1周に入ったところでチャンスはあると思ったけれど、残り7kmがとてもキツく、残り200mでやっと勝利を確信することが出来た。出来れば富士山の前にもう1勝したいけれど、今日は脚を使ってしまったので明日はちょっと休みたい」

18秒差まで詰めたメイン集団の先頭はルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)が獲る photo:Satoru Kato
総合首位はルーク・ランパーティ(トリニティレーシング)が奪回 photo:Satoru Kato


個人総合順位は、途中のスプリントポイントを2位通過し、メイン集団の先頭でフィニッシュして2位となったルーク・ランパーティー(トリニティレーシング)が首位を奪回。ポイント賞もあわせて奪回し、リーダージャージ、ポイント賞ジャージ、新人賞ジャージの3枚を再び手中にした。しかし、「リーダージャージをキープすることは素晴らしいことだが、それが私の目標ではない。だから最後までこのジャージを守ろうとは思っていない」と言う。


明日5月24日は岐阜県美濃市で第4ステージが行われる。長良川沿いを走る周回コースで集団でのスプリント勝負になることが多いステージ。総合順位に大きな変動は起きづらいと思われるが、果たしてどうなるか?

ツアー・オブ・ジャパン 第3ステージ・いなべ 結果(127.0km)
1位 カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島) 3時間15分29秒
2位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、トリニティレーシング) +18秒
3位 イエルン・メイヤス(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
4位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム)
5位 ネイサン・アール(オーストラリア、JCLチーム右京)
6位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCLチーム右京)
7位 レオネル・キンテロ・アルテアガ(ベネズエラ、ヴィクトワール広島) +20秒
8位 孫崎大樹(キナンレーシングチーム)
9位 石原悠希(シマノレーシング) +21秒
10位 ドリュー・モレ(オーストラリア、キナンレーシングチーム)
個人総合順位(第3ステージ終了時)
1位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、トリニティレーシング) 6時間1分55秒
2位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +2秒
3位 ゲオルギオス・バグラス(ギリシャ、マトリックスパワータグ) +4秒
4位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、JCLチーム右京)
5位 イエルン・メイヤス(オランダ、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) +8秒
6位 リアム・ジョンストン(オーストラリア、トリニティレーシング) +10秒
ポイント賞(第3ステージ終了時)
1位 ルーク・ランパーティー(アメリカ、トリニティレーシグ) 42p
2位 カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島) 35p
3位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) 32p
山岳賞(第3ステージ終了時)
1位 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 12p
2位 カーター・ベトルス(オーストラリア、ヴィクトワール広島) 10p
3位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル、トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム) 6p
チーム総合成績(第3ステージ終了時)
1位 JCLチーム右京 18時間6分16秒
2位 トレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチーム +9秒
3位 マトリックスパワータグ +24秒

text&photo:Satoru Kato

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