2023/05/18(木) - 08:00
総合3位につけていたテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車し、レースを去ったジロ・デ・イタリア第11ステージ。パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)がカヴェンディッシュやミランを退け、4年振りのジロ区間優勝を掴んだ。
第106回大会の最長距離を誇るジロ・デ・イタリア第11ステージは、ティレニア海に面したカマイオーレを出発して内陸部のトルトナに至る219km。途中に3級、3級、4級山岳と越えるものの、いずれも平均勾配5%以下と難易度は低く、前日の登坂に苦しんだピュアスプリンターたちも遅れることなく登れるはず。ラスト30kmからは遮るもののない道幅の広い直線路で、残り500m地点に右コーナーでの位置取り争いが勝負にどんな影響を及ぼすか。
この日はスーダル・クイックステップの4名(マティア・カッタネオ、ヨセフ・チェルニー、ヤン・ヒルト、ルイス・フェルヴァーケ)が新型コロナウイルスの検査で陽性が出たためリタイア。クイックステップは残りのジロをダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)ら3名で戦うことになり、またアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)も陽性反応で棄権し、ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)は”新型コロナではないウイルス性疾患”を理由にレースを去っている。
この日だけで8名が棄権し、全142名となった選手たちが曇り空のカマイオーレを出発した。連日積極的に逃げを目指すトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)をきっかけに形成された逃げグループは6名で、そこにチーム・コラテックは2名を送り、リタイア者続出で4名となったアンテルマルシェ・サーカス・ワンティからはローレンス・レックス(ベルギー)が入った。
逃げグループに対し4分差を許したメイン集団は、集団スプリントに持ち込みたいトレック・セガフレードやアスタナ・カザフスタン、バーレーン・ヴィクトリアスが牽引を担当。62.1km地点に設定された最初の中間スプリントをヴェリコ・ストイニッチ(セビリア、チーム・コラテック)が先頭通過し、残る2ポイントをマリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るミランジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を退け獲得している。
終始ハイペースだった前日から一転、リラックスムードがプロトンに漂う。しかしこの日の優勝候補でもあるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)は体調不良のため早々と遅れ、2つ目の3級山岳ボアージ峠(残り76km地点)を下るメイン集団の前方でアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が落車した。
濡れた路面によりタイヤを滑らせたコーヴィとと共に、その背後にいたマリアローザのゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が転倒する。幸いトーマスやログリッチに大きな怪我はなかったものの、テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が左臀部を打ちつけて骨折。総合3位につけていた2020年の総合優勝者が、大会11日目にして無念のリタイアとなった。
その少し後にオスカル・ロドリゲス(スペイン、モビスター)も下りでコントロールを失い、標識と沿道の家の壁に激突。ゲイガンハートに続く2人目の途中棄権者となっている。
落ち着きを取り戻したプロトンは逃げ集団との差を1分差まで詰め、最終4級山岳カスタニョーラでフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)がペースアップを敢行する。ピュアスプリンターを退け、登り耐性のあるマイケル・マシューズ(オーストラリア)に有利な展開を作り出そうと試みたものの、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)やジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を脱落させるには至らず。フィニッシュまで続く下りと平坦路に入り、その攻撃対象であったモビスターやバーレーンが集団の牽引に加わった。
逃げ集団では残り20kmからレックスが単独となり、25秒差でフィニッシュを目指し邁進する。しかし、前日に逃げ切り勝利を許したスプリンターチームのペースは速く、レックスは残り5km地点で吸収。カウンターで飛び出したチャーリー・クオーターマン(イギリス、チーム・コラテック)のアタックも成功することはなく、トルトナのフィニッシュラインに向かって124名の集団が突進した。
残り2km地点でフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)がヤシャ・ズッタリン(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)とヘノック・ムルブラン(エリトリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)と共に落車する不運に見舞われるなか、ワールドチームを相手にプロチームのエオーロ・コメタが先頭に立つプロトンがフラムルージュ(残り1km)を通過した。
チームDSM、UAEチームエミレーツ、トレック・セガフレードと目まぐるしく集団先頭が入れ替わる中、残り300mで真っ先に仕掛けたのはピーダスンだった。その背後にカヴェンディッシュ、その更に後ろにパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)がつき、ミランは一人別のラインからスプリントを開始する。ピーダスンのスピードが伸び悩むなか、カヴェンディッシュと横並びになったアッカーマンが先頭でフィニッシュ。集団中ほどからのスプリントを強いられ、大外から猛追するミランとのハンドル投げをアッカーマンが制した。
アッカーマンにとってマリアチクラミーノを獲得した2019年大会以来、実に4年振りとなるジロ勝利。「昨年の尾骨骨折から復活し、掴んだこの勝利は特別な気持ちがするよ。この数日間、調子自体は良かったもののいまいち自分の強さを示すことができないでいた。向かい風が少し吹いていたため、ギリギリまで集団の中で我慢するのが賢明だったのだろうが、最終コーナーもあり落車回避のために前に出た。カヴェンディッシュはとても強かったものの、結果的に僕の完璧なリードアウトになった」と、アッカーマンは喜んだ。
マリアローザはトーマスがキープに成功したもののダブルエースの一人であったゲイガンハートを失い、また同じ落車に巻き込まれた総合8位のパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)が総合争いから脱落。8名とフルメンバーが揃う総合2位ログリッチに対し、6名での戦いを強いられることとなった。
また、前日に右目に異物が入るトラブルに見舞われた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は69位で無事にレースを終えている。
第106回大会の最長距離を誇るジロ・デ・イタリア第11ステージは、ティレニア海に面したカマイオーレを出発して内陸部のトルトナに至る219km。途中に3級、3級、4級山岳と越えるものの、いずれも平均勾配5%以下と難易度は低く、前日の登坂に苦しんだピュアスプリンターたちも遅れることなく登れるはず。ラスト30kmからは遮るもののない道幅の広い直線路で、残り500m地点に右コーナーでの位置取り争いが勝負にどんな影響を及ぼすか。
この日はスーダル・クイックステップの4名(マティア・カッタネオ、ヨセフ・チェルニー、ヤン・ヒルト、ルイス・フェルヴァーケ)が新型コロナウイルスの検査で陽性が出たためリタイア。クイックステップは残りのジロをダヴィデ・バッレリーニ(イタリア)ら3名で戦うことになり、またアンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン)も陽性反応で棄権し、ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)は”新型コロナではないウイルス性疾患”を理由にレースを去っている。
この日だけで8名が棄権し、全142名となった選手たちが曇り空のカマイオーレを出発した。連日積極的に逃げを目指すトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)をきっかけに形成された逃げグループは6名で、そこにチーム・コラテックは2名を送り、リタイア者続出で4名となったアンテルマルシェ・サーカス・ワンティからはローレンス・レックス(ベルギー)が入った。
逃げグループに対し4分差を許したメイン集団は、集団スプリントに持ち込みたいトレック・セガフレードやアスタナ・カザフスタン、バーレーン・ヴィクトリアスが牽引を担当。62.1km地点に設定された最初の中間スプリントをヴェリコ・ストイニッチ(セビリア、チーム・コラテック)が先頭通過し、残る2ポイントをマリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るミランジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を退け獲得している。
終始ハイペースだった前日から一転、リラックスムードがプロトンに漂う。しかしこの日の優勝候補でもあるカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)は体調不良のため早々と遅れ、2つ目の3級山岳ボアージ峠(残り76km地点)を下るメイン集団の前方でアレッサンドロ・コーヴィ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が落車した。
濡れた路面によりタイヤを滑らせたコーヴィとと共に、その背後にいたマリアローザのゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が転倒する。幸いトーマスやログリッチに大きな怪我はなかったものの、テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が左臀部を打ちつけて骨折。総合3位につけていた2020年の総合優勝者が、大会11日目にして無念のリタイアとなった。
その少し後にオスカル・ロドリゲス(スペイン、モビスター)も下りでコントロールを失い、標識と沿道の家の壁に激突。ゲイガンハートに続く2人目の途中棄権者となっている。
落ち着きを取り戻したプロトンは逃げ集団との差を1分差まで詰め、最終4級山岳カスタニョーラでフィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)がペースアップを敢行する。ピュアスプリンターを退け、登り耐性のあるマイケル・マシューズ(オーストラリア)に有利な展開を作り出そうと試みたものの、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)やジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)を脱落させるには至らず。フィニッシュまで続く下りと平坦路に入り、その攻撃対象であったモビスターやバーレーンが集団の牽引に加わった。
逃げ集団では残り20kmからレックスが単独となり、25秒差でフィニッシュを目指し邁進する。しかし、前日に逃げ切り勝利を許したスプリンターチームのペースは速く、レックスは残り5km地点で吸収。カウンターで飛び出したチャーリー・クオーターマン(イギリス、チーム・コラテック)のアタックも成功することはなく、トルトナのフィニッシュラインに向かって124名の集団が突進した。
残り2km地点でフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)がヤシャ・ズッタリン(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)とヘノック・ムルブラン(エリトリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)と共に落車する不運に見舞われるなか、ワールドチームを相手にプロチームのエオーロ・コメタが先頭に立つプロトンがフラムルージュ(残り1km)を通過した。
チームDSM、UAEチームエミレーツ、トレック・セガフレードと目まぐるしく集団先頭が入れ替わる中、残り300mで真っ先に仕掛けたのはピーダスンだった。その背後にカヴェンディッシュ、その更に後ろにパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)がつき、ミランは一人別のラインからスプリントを開始する。ピーダスンのスピードが伸び悩むなか、カヴェンディッシュと横並びになったアッカーマンが先頭でフィニッシュ。集団中ほどからのスプリントを強いられ、大外から猛追するミランとのハンドル投げをアッカーマンが制した。
アッカーマンにとってマリアチクラミーノを獲得した2019年大会以来、実に4年振りとなるジロ勝利。「昨年の尾骨骨折から復活し、掴んだこの勝利は特別な気持ちがするよ。この数日間、調子自体は良かったもののいまいち自分の強さを示すことができないでいた。向かい風が少し吹いていたため、ギリギリまで集団の中で我慢するのが賢明だったのだろうが、最終コーナーもあり落車回避のために前に出た。カヴェンディッシュはとても強かったものの、結果的に僕の完璧なリードアウトになった」と、アッカーマンは喜んだ。
マリアローザはトーマスがキープに成功したもののダブルエースの一人であったゲイガンハートを失い、また同じ落車に巻き込まれた総合8位のパヴェル・シヴァコフ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)が総合争いから脱落。8名とフルメンバーが揃う総合2位ログリッチに対し、6名での戦いを強いられることとなった。
また、前日に右目に異物が入るトラブルに見舞われた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は69位で無事にレースを終えている。
ジロ・デ・イタリア2023第11ステージ結果
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | 5:09:02 |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) | |
4位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
5位 | ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
6位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
7位 | マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM) | |
8位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | |
9位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) | |
10位 | アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
69位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 39:26:33 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:02 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:22 |
4位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:35 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:28 |
6位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:52 |
7位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +2:32 |
8位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +2:36 |
10位 | オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | +2:48 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 164pts |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 128pts |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 100pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 104pts |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 50pts |
3位 | カレル・ヴァチェク(チェコ、チーム・コラテック) | 36pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 44:35:57 |
2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:13 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:10 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 133:46:54 |
2位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +6:17 |
3位 | EFエデュケーション・イージーポスト | +6:19 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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