2023/05/23(火) - 17:26
ようやくマリアローザ争いが幕を開ける。そう言っても過言ではないくらい、第3週目は山岳ばかりの過酷な道のり。そのため第17ステージとパレード走行する最終日を除き、総合上位陣による戦いがようやく繰り広げられる。そんな第16〜21ステージのコースを紹介します。
5月23日(火)第16ステージ → コースマップ
サッビオ・キエーゼ〜モンテ・ボンドーネ 203km(山岳/山頂)
大会最後の休息日を終えた選手たちにとって、獲得標高差5,200mに達する山岳ステージはあまりにも過酷。ロンバルディア州のサッビオ・キエーゼのスタートして、まずはイタリア最大のガルダ湖を沿う数多のトンネルをくぐりながらドロミテ山塊のモンテ・ボンドーネ(ボンドーネ山)を目指す。
最初の64kmで身体を暖めた選手たちの前には、まず最大勾配14%の1級山岳サンタ・バルバラ(距離12.7km/平均8.3%)が立ちはだかる。そこでスプリンターが脱落した集団は3級山岳ボルダラを越え、15.8kmの急勾配ダウンヒルを経て2つの2級山岳をクリア。9.6kmの僅かな平坦区間で息を整え、最終1級山岳モンテ・ボンドーネの頂きに臨む。
登坂距離21.4kmに平均勾配6.7%、一気に1,430mを駆け上るボンドーネは登り口から9%の勾配が脚のない者を振り落とす。勝負所は勾配が上がる残り9.4km地点からで、細いつづら折りは最大勾配15%に達する。前回ボンドーネがジロに登場したのは2006年のこと。マリアローザを着用したイヴァン・バッソ(イタリア)が2位に1分26秒をつける大差で勝利を収め、自身初となる総合優勝に輝いた。
5月24日(水)第17ステージ → コースマップ
ペルジーネ・ヴァルスガーナ〜カオルレ 195km(平坦)
久々にスプリンターに出番が回ってくる。と同時に、このチャンスを逃すとスプリンターの出番は最終日のローマまで回ってこない。内陸のペルジーネ・ヴァルスガーナを出発し、カオルレまでの195kmは若干の下がり基調。その道程はレース主催者が「地形的な障害物」はないと言うように真っ平らだ。
設定された中間ポイントは2箇所(残り114km&残り31.3km地点)でスプリント前哨戦を終えた後、選手たちは大会3度目となるアドリア海に至る。勝負の鍵となるのは残り4km地点を過ぎてから訪れる5回の直角コーナーで、特に残り600mの左コーナーでの位置取り争いがスプリントに影響を及ぼすだろう。
5月25日(木)第18ステージ → コースマップ
オデルツォ〜ヴァル・ディ・ゾルド 161km(丘陵)
ジロはイタリア北部、ドロミテ山塊を舞台にした3日連続山頂フィニッシュに突入する。その初日は分類でこそ丘陵ステージだが、161kmの比較的短い距離に獲得標高差4,100mの登りが詰め込まれたため難易度は4つ星だ。
オデルツォをスタートした選手たちは北に進路を取り、足(脚)慣らしと呼ぶには過酷な1級山岳ラ・クロゼッタ(距離11.6km/平均7.1%)をクリア。細かなアップダウンを含む下りから4級山岳と平坦路を挟み、いよいよ1級山岳フォルチェッラ・チビアーナ(距離9.6km/平均7.8%)に突入する。
登りの序盤には最大勾配15%が登場し、ラストの約5kmは平均勾配は9.3%まで跳ね上がる。そして頂上から12kmの急勾配な下りを経て、最後は2つ連なる2級山岳コイ(距離5.8km/平均9.7%/最大19%!)とバル・ディ・ゾルド(距離2.7km/平均6.4%)を登った先にようやくフィニッシュラインが待っている。純粋な登坂力だけではなく、フォルチェッラ・チビアーナの下りもマリアローザ争いの重要なポイントとなる。
5月26日(金)第19ステージ → コースマップ
ロンガロネ〜トレチーメ・ディ・ラヴァレード 183km(山岳/山頂)
ドロミテ山塊の2日目にして、ロードレースでのマリアローザ争いはこれが最後となる。獲得標高差5,400mに達するクイーンステージには5つのカテゴリー山岳(2級、1級、1級、2級、1級)が設定され、約30kmの平坦路区間から先は、登りと下りしかない過酷を極めるレイアウトだ。
まずは最初の2級山岳に向けて60km弱の距離を緩やかに登っていく。その途中にある中間ポイントでスプリンターたちはお役御免。その後はグルペットでひたすらにフィニッシュを目指すこととなる。シェイプされたプロトンはその後1級山岳ヴァルパローラ(距離14.1km/平均5.6%)から下りを経て臨む1級山岳ジャウは、距離9.9kmに平均勾配9.3%と険しい。
ラストは2級トレ・クローチ(距離7.9km/平均7.2%)を登り、栄光のフィニッシュラインの待つ1級山岳トレチーメ・ディ・ラヴァレド(距離7.2km/平均7.6%)を駆け上がる。この峠は2013年大会でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が着用するマリアローザを手中に収めた場。登り始めから最大勾配18%の区間が現れ、一度短く下った後に、平均勾配11.7%とグランツールでもなかなかお目にかかれない破壊力抜群の登りを駆け上がる。
5月27日(土)第20ステージ → コースマップ
タルヴィジオ〜モンテ・ルッサリ 18.6km(個人TT)
ジロのマリアローザ争いを締めくくるのは、18.6kmに及ぶ大会3度目の個人タイムトライアル。しかしその実は1級山岳モンテ・ルッサーリを登る”山頂フィニッシュ”だ。
平坦路はスタート後11.1kmで終わり、ノーマルバイクへの乗り換えは第1計測地点(10.8km)の直前の区間に定められている。そして距離7.3km/平均12.1%の登坂が待ち受けており、序盤とフィニッシュ手前1km地点に最大勾配22%が2度登場するため、通常のタイムトライアル以上にペース配分が求められる。
山頂フィニッシュの個人TTといえば、思い出されるのが2020年ツール・ド・フランスでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に襲った悪夢。マリアローザを掴むためには避けることのできない苦い過去を、ログリッチは払拭することができるのだろうか。
5月28日(日)第21ステージ → コースマップ
ローマ〜ローマ 135km(平坦)
ドロミテでマリアローザ着用者の決めたプロトンは、飛行機に乗って大移動。午後3時30分、最終ステージは首都ローマをスタートする。大会最終日は5年振りとなる平坦ステージで争われ、お馴染みのパレードランは一度ティレニア海を経由後、再びローマの市街地に戻ってくる。サンピエトロ大聖堂など数々の名所を通過して、いよいよ白熱の集団スプリントが繰り広げられる。
ラスト700mはサンピエトリーニ(ローマ特有の石畳)が敷き詰められた直線路。第2休息日で今シーズン限りの引退を発表したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)や今大会で急成長を遂げたジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)など、険しい山岳ステージを耐え忍んだスプリンターたちが競演する。
text:Sotaro.Arakawa
5月23日(火)第16ステージ → コースマップ
サッビオ・キエーゼ〜モンテ・ボンドーネ 203km(山岳/山頂)
大会最後の休息日を終えた選手たちにとって、獲得標高差5,200mに達する山岳ステージはあまりにも過酷。ロンバルディア州のサッビオ・キエーゼのスタートして、まずはイタリア最大のガルダ湖を沿う数多のトンネルをくぐりながらドロミテ山塊のモンテ・ボンドーネ(ボンドーネ山)を目指す。
最初の64kmで身体を暖めた選手たちの前には、まず最大勾配14%の1級山岳サンタ・バルバラ(距離12.7km/平均8.3%)が立ちはだかる。そこでスプリンターが脱落した集団は3級山岳ボルダラを越え、15.8kmの急勾配ダウンヒルを経て2つの2級山岳をクリア。9.6kmの僅かな平坦区間で息を整え、最終1級山岳モンテ・ボンドーネの頂きに臨む。
登坂距離21.4kmに平均勾配6.7%、一気に1,430mを駆け上るボンドーネは登り口から9%の勾配が脚のない者を振り落とす。勝負所は勾配が上がる残り9.4km地点からで、細いつづら折りは最大勾配15%に達する。前回ボンドーネがジロに登場したのは2006年のこと。マリアローザを着用したイヴァン・バッソ(イタリア)が2位に1分26秒をつける大差で勝利を収め、自身初となる総合優勝に輝いた。
5月24日(水)第17ステージ → コースマップ
ペルジーネ・ヴァルスガーナ〜カオルレ 195km(平坦)
久々にスプリンターに出番が回ってくる。と同時に、このチャンスを逃すとスプリンターの出番は最終日のローマまで回ってこない。内陸のペルジーネ・ヴァルスガーナを出発し、カオルレまでの195kmは若干の下がり基調。その道程はレース主催者が「地形的な障害物」はないと言うように真っ平らだ。
設定された中間ポイントは2箇所(残り114km&残り31.3km地点)でスプリント前哨戦を終えた後、選手たちは大会3度目となるアドリア海に至る。勝負の鍵となるのは残り4km地点を過ぎてから訪れる5回の直角コーナーで、特に残り600mの左コーナーでの位置取り争いがスプリントに影響を及ぼすだろう。
5月25日(木)第18ステージ → コースマップ
オデルツォ〜ヴァル・ディ・ゾルド 161km(丘陵)
ジロはイタリア北部、ドロミテ山塊を舞台にした3日連続山頂フィニッシュに突入する。その初日は分類でこそ丘陵ステージだが、161kmの比較的短い距離に獲得標高差4,100mの登りが詰め込まれたため難易度は4つ星だ。
オデルツォをスタートした選手たちは北に進路を取り、足(脚)慣らしと呼ぶには過酷な1級山岳ラ・クロゼッタ(距離11.6km/平均7.1%)をクリア。細かなアップダウンを含む下りから4級山岳と平坦路を挟み、いよいよ1級山岳フォルチェッラ・チビアーナ(距離9.6km/平均7.8%)に突入する。
登りの序盤には最大勾配15%が登場し、ラストの約5kmは平均勾配は9.3%まで跳ね上がる。そして頂上から12kmの急勾配な下りを経て、最後は2つ連なる2級山岳コイ(距離5.8km/平均9.7%/最大19%!)とバル・ディ・ゾルド(距離2.7km/平均6.4%)を登った先にようやくフィニッシュラインが待っている。純粋な登坂力だけではなく、フォルチェッラ・チビアーナの下りもマリアローザ争いの重要なポイントとなる。
5月26日(金)第19ステージ → コースマップ
ロンガロネ〜トレチーメ・ディ・ラヴァレード 183km(山岳/山頂)
ドロミテ山塊の2日目にして、ロードレースでのマリアローザ争いはこれが最後となる。獲得標高差5,400mに達するクイーンステージには5つのカテゴリー山岳(2級、1級、1級、2級、1級)が設定され、約30kmの平坦路区間から先は、登りと下りしかない過酷を極めるレイアウトだ。
まずは最初の2級山岳に向けて60km弱の距離を緩やかに登っていく。その途中にある中間ポイントでスプリンターたちはお役御免。その後はグルペットでひたすらにフィニッシュを目指すこととなる。シェイプされたプロトンはその後1級山岳ヴァルパローラ(距離14.1km/平均5.6%)から下りを経て臨む1級山岳ジャウは、距離9.9kmに平均勾配9.3%と険しい。
ラストは2級トレ・クローチ(距離7.9km/平均7.2%)を登り、栄光のフィニッシュラインの待つ1級山岳トレチーメ・ディ・ラヴァレド(距離7.2km/平均7.6%)を駆け上がる。この峠は2013年大会でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が着用するマリアローザを手中に収めた場。登り始めから最大勾配18%の区間が現れ、一度短く下った後に、平均勾配11.7%とグランツールでもなかなかお目にかかれない破壊力抜群の登りを駆け上がる。
5月27日(土)第20ステージ → コースマップ
タルヴィジオ〜モンテ・ルッサリ 18.6km(個人TT)
ジロのマリアローザ争いを締めくくるのは、18.6kmに及ぶ大会3度目の個人タイムトライアル。しかしその実は1級山岳モンテ・ルッサーリを登る”山頂フィニッシュ”だ。
平坦路はスタート後11.1kmで終わり、ノーマルバイクへの乗り換えは第1計測地点(10.8km)の直前の区間に定められている。そして距離7.3km/平均12.1%の登坂が待ち受けており、序盤とフィニッシュ手前1km地点に最大勾配22%が2度登場するため、通常のタイムトライアル以上にペース配分が求められる。
山頂フィニッシュの個人TTといえば、思い出されるのが2020年ツール・ド・フランスでプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)に襲った悪夢。マリアローザを掴むためには避けることのできない苦い過去を、ログリッチは払拭することができるのだろうか。
5月28日(日)第21ステージ → コースマップ
ローマ〜ローマ 135km(平坦)
ドロミテでマリアローザ着用者の決めたプロトンは、飛行機に乗って大移動。午後3時30分、最終ステージは首都ローマをスタートする。大会最終日は5年振りとなる平坦ステージで争われ、お馴染みのパレードランは一度ティレニア海を経由後、再びローマの市街地に戻ってくる。サンピエトロ大聖堂など数々の名所を通過して、いよいよ白熱の集団スプリントが繰り広げられる。
ラスト700mはサンピエトリーニ(ローマ特有の石畳)が敷き詰められた直線路。第2休息日で今シーズン限りの引退を発表したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)や今大会で急成長を遂げたジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)など、険しい山岳ステージを耐え忍んだスプリンターたちが競演する。
text:Sotaro.Arakawa
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