オランダ人として38年ぶりの優勝を飾ったマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)は「追いつかれてもスプリントで勝てると思い、下りではリスクを取らなかった」と振り返った。2位のガンナや3位のファンアールトなど、300kmの激戦を終えた選手たちの言葉を紹介します。



優勝 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

レース直後インタビュー

地面に倒れ込みながら笑顔を見せるマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

これ以上のシナリオは想像ができない。チプレッサでは向かい風があり、昨年ほど厳しくはなかった。その時すでに自分の脚の良さとフレッシュさを感じていた。ポッジオの登りの終わりで仕掛けようと思っており、ポガチャルとワウト(ファンアールト)との差を作ることができた。

ミラノ〜サンレモは心から勝ちたいと願っていたレースの一つ。今日の勝利は予想を遥かに超えた結果だ。本当に嬉しいよ。

祖父が過去に勝ったからだけでなく、これはモニュメントなのだから全ての選手が勝ちたいと願っているレースだ。シクロクロス世界選手権を終えてからミラノ〜サンレモに照準を定めていた。確かにティレーノ~アドリアティコでは良い走りができなかったものの、高いレースレベルに身体を戻すためには時間が必要だった。そして今日という日に、最高のコンディションまで高めることができた。

表彰式後インタビュー

トロフィーを手にしたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:RCS Sport

皆、僕がどれほどこのレースで勝ちたいかは伝わっていただろう。もちろんチームとしても勝利がほしかった。今日のシナリオも含め、忘れることのない勝利になった。

チプレッサで既に手応えは感じており、ポッジオでは前にいた選手の背後をとり、後ろを振り返ったら誰もついてこれていなかった。そして脚に力を感じたのでそのままアタックしたんだ。その結果後続とギャップが生まれ、勝利に繋げることができた。本当に嬉しいよ。

正直、下りではリスクのあるライン取りはしていない。仮に追いつかれたとしてもスプリントで勝利できる脚があると思っていたからね。単独でのアタックはもちろんリスクもあるが、そのままフィニッシュを目指せる脚の力を感じていた。だからペースを保ち、最後まで踏み続けたんだ。

ミラノ〜サンレモが今年の大きな目標の一つだった。モニュメントでの勝利はいつも特別だよ。

2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)

互いの健闘を称え合うフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)とファンデルプール photo:CorVos

今年は2位ばかりだが、今日の2位はとても特別な気持ちがする。サポートしてくれたチームメイトに感謝したい。頭ではマチューのアタックについていきたいと思っていたのだが、脚のことを考えるとどちらが正解かわからなかった。だから追いかけず、下りと平坦路で何が起こるか見てみることにしたんだ。もしダウンヒルをこなして小集団のまま平坦区間に突入したら、カンチェラーラのようにアタックするつもりだった。しかし、そう上手くいくわけはないよね。

3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

3位でフィニッシュしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

今日のレースに後悔はなく、マチューがその強さを見せつけた。適切なタイミングで適切な力を発揮した彼を祝福したい。僕らは常に逃げに大きなリードを許さず、一日を通して速いペースに持ち込んだ。だが向かい風の影響もあり、チプレッサは予想よりも穏やかなペースだった。だから大きな集団でポッジオに突入し、そこからはご存知の通りだ。強豪揃いの良い先頭集団だったが、マチューがただただ強かった。それだけだよ。

4位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ウェレンスのペースアップを経てアタックするタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今日のレースに後悔はない。ポッジオでティム・ウェレンスの牽引が終わった直後にアタックするのが、今日掲げていた一つの目標だった。単独走に持ち込めるほどの強さはなく、代わってファンデルプールが強烈なアタックで一瞬にして独走体勢を築いた。フィニッシュ争いでは僕はまるで死体のように疲れ果てていた。4位が今日掴むことができた最大限の結果だ。来年のミラノ〜サンレモは高い志で挑むことになる。

8位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)

マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)は今年もドロッパーポストを装備 photo:CorVos

ポッジオの序盤から僕たちが牽引を担い、UAEチームエミレーツがそれを中腹から引き継いだ。僕自身の脚の状態は良かったものの、ポガチャルのアタックについていくことはできなかった。なのでピーダスンとセーアン・クラーウアナスンと一緒に前を追った。しかし残念ながら、先頭の4名に追いつくことは叶わなかった。

昨年とは風向きが違い、追い風という難しい状況だった。最終盤に向けての準備は同じだが、状況が僕向きではなかっただけだ。

15位 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

マチューはこのレースに向けてティレーノ~アドリアティコを走り、今日の彼は強くやる気に満ち溢れていた。しかしこのレースで勝つにはあの2人(ポガチャルとファンアールト)を倒さなければならない。ポッジオで先頭集団が形成され、僕らチームからはマチューとセーアンが入った。だから完璧な状況だったと思う。僕自身はとても疲れたよ。

text:Sotaro.Arakawa

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