2022/04/29(金) - 10:35
数少ないスプリンターの出番が訪れたツール・ド・ロマンディ第2ステージで、イネオス・グレナディアーズがそのチーム力を発揮。前日に落車しリーダージャージを失ったイーサン・ヘイター(イギリス)が集団スプリントで勝利を飾った。
エシャランの街をスタートする選手たち photo:CorVos
エシャランを発着点とする168.2kmで行われたツール・ド・ロマンディ第2ステージ。コース真ん中に3級山岳ラ・プラーズ(距離6.7km/平均4.6%)が登場して獲得標高差は2,300mを越えるものの、今大会で数少ないスプリンターにチャンスのあるレイアウトだ。
イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が巻き込まれた前日の落車によって、リタイアを余儀なくされたリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)らを除く132名がスタートを切ると、序盤からトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)やバティスト・プランカールト(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が逃げを開始。合計4名の逃げグループはメイン集団に3分差をつけた。
前日のイネオス・グレナディアーズから集団牽引の役割を引き継いだのは、リーダージャージを有するユンボ・ヴィスマ。先頭ではファビアン・カンチェラーラが2023年より本格始動させるチューダー・プロサイクリングチーム所属のニールス・ブラン(スイスナショナルチーム)が、この日唯一の3級山岳を先頭で通過した。
序盤から逃げ集団を形成したトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)たち photo:CorVos
メイン集団をコントロールするユンボ・ヴィスマ photo:CorVos
残り26km地点の中間スプリントポイントを通過した時点でタイム差は45秒。諦めずに逃げ続けたスクインシュとブランの2人が吸収されると、イネオス・グレナディアーズのローレンス・デプルス(ベルギー)に牽引が代わった集団は、徐々に人数を減らしながらフィニッシュに向かった。
イスラエル・プレミアテックやバーレーン・ヴィクトリアスなどのチームが入れ替わりで集団先頭で位置を主張するなか、プロトンはハイスピードでフラムルージュ(残り1km)を通過。勝負は約70名による集団スプリントに持ち込まれた。
残り300mから始まる緩やかな左コーナーを、ヘイターの最終発射台であるマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)がイン側を取りながら先頭へ。するとヘイターが残り200m地点で早くも仕掛けた。この虚を突く動きにフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)の反応が遅れる一方で、ヘイターのスプリントが伸びる。そしてジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)やガビリアを抑え込んだヘイターが、そのまま勝利を掴み取った。
スプリントでライバルたちを退けるイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
口元に人差し指を当て、感情を抑えながら喜ぶイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.
初日のプロローグを制したヘイターが、ワールドツアーのロードレースで初めてとなる勝利をマーク。「幸運にも昨日の落車による怪我はなかった。僕たちは今日の勝利を信じていたものの、落車の影響がどう出るかは分からなかった。だが自分の走りができ、チームの働きも素晴らしかった。キャリアで最も嬉しい勝利だ」と、チームに今季20勝目をもたらしたヘイターは語る。
またフィニッシュ直後、大きなガッツポーズではなく人差し指を口元に当てたポーズの意図を聞かれると「チームメイトに勝ったらやれと言われたんだ。昨日落車した僕が、今日の勝利で感情を爆発させるのはちょっと変かなと思ってね」と答えた。
総合首位はトップと同タイムフィニッシュしたローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)がキープ。そして翌日の第3ステージは、フィニッシュ手前8km地点に3級山岳セデイユ(距離4.5km/平均4.4%)が待ち受ける丘陵ステージだ。しかしフィニッシュまでは下り基調が続くため、再びパンチャーや登りに長けたスプリンターたちによる争いが予想される。
区間優勝と共にポイント賞ジャージも獲得したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:A.S.O.
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エシャランを発着点とする168.2kmで行われたツール・ド・ロマンディ第2ステージ。コース真ん中に3級山岳ラ・プラーズ(距離6.7km/平均4.6%)が登場して獲得標高差は2,300mを越えるものの、今大会で数少ないスプリンターにチャンスのあるレイアウトだ。
イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が巻き込まれた前日の落車によって、リタイアを余儀なくされたリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)らを除く132名がスタートを切ると、序盤からトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)やバティスト・プランカールト(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)が逃げを開始。合計4名の逃げグループはメイン集団に3分差をつけた。
前日のイネオス・グレナディアーズから集団牽引の役割を引き継いだのは、リーダージャージを有するユンボ・ヴィスマ。先頭ではファビアン・カンチェラーラが2023年より本格始動させるチューダー・プロサイクリングチーム所属のニールス・ブラン(スイスナショナルチーム)が、この日唯一の3級山岳を先頭で通過した。
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残り26km地点の中間スプリントポイントを通過した時点でタイム差は45秒。諦めずに逃げ続けたスクインシュとブランの2人が吸収されると、イネオス・グレナディアーズのローレンス・デプルス(ベルギー)に牽引が代わった集団は、徐々に人数を減らしながらフィニッシュに向かった。
イスラエル・プレミアテックやバーレーン・ヴィクトリアスなどのチームが入れ替わりで集団先頭で位置を主張するなか、プロトンはハイスピードでフラムルージュ(残り1km)を通過。勝負は約70名による集団スプリントに持ち込まれた。
残り300mから始まる緩やかな左コーナーを、ヘイターの最終発射台であるマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)がイン側を取りながら先頭へ。するとヘイターが残り200m地点で早くも仕掛けた。この虚を突く動きにフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)の反応が遅れる一方で、ヘイターのスプリントが伸びる。そしてジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード)やガビリアを抑え込んだヘイターが、そのまま勝利を掴み取った。
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初日のプロローグを制したヘイターが、ワールドツアーのロードレースで初めてとなる勝利をマーク。「幸運にも昨日の落車による怪我はなかった。僕たちは今日の勝利を信じていたものの、落車の影響がどう出るかは分からなかった。だが自分の走りができ、チームの働きも素晴らしかった。キャリアで最も嬉しい勝利だ」と、チームに今季20勝目をもたらしたヘイターは語る。
またフィニッシュ直後、大きなガッツポーズではなく人差し指を口元に当てたポーズの意図を聞かれると「チームメイトに勝ったらやれと言われたんだ。昨日落車した僕が、今日の勝利で感情を爆発させるのはちょっと変かなと思ってね」と答えた。
総合首位はトップと同タイムフィニッシュしたローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ)がキープ。そして翌日の第3ステージは、フィニッシュ手前8km地点に3級山岳セデイユ(距離4.5km/平均4.4%)が待ち受ける丘陵ステージだ。しかしフィニッシュまでは下り基調が続くため、再びパンチャーや登りに長けたスプリンターたちによる争いが予想される。
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ツール・ド・ロマンディ2022第2ステージ結果
1位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 4:04:55 |
2位 | ジョン・アベラストゥリ(スペイン、トレック・セガフレード) | |
3位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
6位 | クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
7位 | ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM) | |
8位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | |
9位 | フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) |
個人総合成績
1位 | ローハン・デニス(オーストラリア、ユンボ・ヴィスマ) | 8:34:43 |
2位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:14 |
3位 | マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 0:18 |
4位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
5位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
7位 | パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | 0:20 |
8位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:21 |
9位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:23 |
10位 | マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ) | 0:24 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) |
山岳賞 | トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス) |
ヤングライダー賞 | マウロ・シュミット(スイス、クイックステップ・アルファヴィニル) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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