2021/08/31(火) - 06:42
獲得標高差4000mに及ぶ254kmの難コースで行われた第85回ブルターニュクラシック・ウエストフランス。ブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン)が必勝パターンに持ち込んだアラフィリップを一騎打ちスプリントで破った。
約1ヶ月振りのレース復帰となったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に注目が集まった photo:CorVos
ブルターニュクラシック・ウエストフランス2021 コースマップ (c)www.grandprix-plouay.com/
ブルターニュクラシック・ウエストフランス2021 コースプロフィール (c)www.grandprix-plouay.com/
8月29日に行われた第85回ブルターニュクラシック・ウエストフランス。その名の通り自転車熱の高いフランス北西部のブルターニュ地方最大のワンデーレースであり、初回開催が1931年とツール・ド・フランスに次ぐ歴史ある大会だ。
プルエーから西へ大西洋に面するドゥアルネネスに向かい、再びプルエーに戻る254kmのコース。14カ所の短くも勾配のある登りをこなすレイアウトはベルギーのフランダースに似ており、獲得標高差は4000mに迫るタフなレイアウトになっている。レース終盤ではポン・ヌフ(距離1km/平均5.1%)を越え、一度フィニッシュ地点を通過してから残り3kmで再びポン・ヌフ越えて平坦路にフィニッシュする。
次週より開催される欧州選手権や9月下旬の世界選手権などに向けて調整を進めるビッグネームが多数出場する今大会。スタートリストにはアルカンシェルを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の他に、銅メダルを獲得した東京五輪個人タイムトライアル以来の実戦復帰となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やヨナス・ヴィンゲゴー(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、ツアー・オブ・ノルウェーを制したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が名を連ねた。
レース序盤から逃げたアレクシー・グジャール(フランス、AG2Rシトロエン)ら4名 photo:CorVos
プルエーを離れてすぐにアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)、アレクシー・グジャール(フランス、AG2Rシトロエン)、セバスティアン・グリニャード(ベルギー、ロット・スーダル)、クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)という4名の逃げグループが形成。それをゥクーニンク・クイックステップやUAEチームエミレーツとともに、2年連続の出場となった中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)が先頭で牽引しながら、約6分差で折り返し地点ドゥアルネネスを通過した。
東に進路を変えプルエーに向かう先行集団から、連続するアップダウンに疲弊したグリニャード、グジャールと相次いで遅れる。それを追うプロトンでは残り65km地点のサン・タラリン(距離1.4 km/平均4.7%)を前にドゥクーニンク・クイックステップがペースアップを敢行。これによりメイン集団を縮小しながら先行するデマルキとヘルマンスに3分30秒遅れで道の狭いサン・タラリンに突入した。
最大勾配が12%に及ぶ未舗装路に差し掛かると、アラフィリップがチームメイトの牽引から単独で加速。その動きに反応したポガチャル、コスヌフロワ、そしてチームメイトのホノレという4人による精鋭グループが形成され、先頭を行く逃げ集団、追走集団、そして3月ミラノ〜サンレモを制したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を含むメイン集団の3つに分かれた。
中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)も加わったメイン集団の先頭 photo:CorVos
ポガチャルがドゥクーニンク2人によるハイペースによって残り34kmのベル・ア・サル(距離0.5km/平均7.4%)を待たずに遅れると、逃げていたヘルマンス、デマルキをそれぞれ吸収していく。東京五輪の金メダリスト(チームパシュート)シモーネ・コンソンニ(イタリア)のためにコフィディスが引く追走集団に、アラフィリップ、ホノレ、コスヌフロワの3名が1分10秒差をつけて1度目のフィニッシュ地点を通過した。
ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)やヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)が単独で飛び出し一時は35秒差まで迫るものの、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がブリッジをかけて封じ込める。残り4km地点で追走集団でシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)など10名による落車もあり、勝利は先行する3名に絞り込まれた。
コスヌフロワを先頭にポン・ヌフ(距離1km/平均5.1%)入ると、ホノレの後ろで機会を窺っていたアラフィリップがダンシングでアタック。だがコスヌフロワが危なげなく食らいつくと、頂上からフィニッシュまで続く平坦区間で再びホノレが合流する。残り150mからホノレの後ろからアラフィリップとコスヌフロワのスプリントが開始。横並びで踏み続けたアラフィリップが先に音を上げ、コスヌフロワが先着した。
ラスト150mから横並びになるジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)とブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) photo:Deceuninck Quick Step
アラフィリップを下したブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) photo:CorVos
「ワールドツアーで初めて勝利だ。この瞬間を待ち望んでいたので最高に嬉しいよ。今日はエキサイティングなレースで、最後は僕がドゥクーニンクの2人に対する構図となった。自分の調子の良さは自覚していたので、ジュリアンのアタックにもついていけると思っていた。ここでのスプリントは他のレースとは異なるもので、勝つ自信もあった」と、表彰台でドゥクーニンク2人の真ん中に立ったコスヌフロワは語った。母国フランスでワールドツアー初勝利を挙げた25歳は、出場予定の世界選手権ロードに向けて弾みをつけた。
トップから13秒遅れでやってきた追走集団によるスプリントでは、好調を維持するヘイターがコナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック)に先着し4位入賞。途中でバイクを降りるもレース序盤で集団牽引する役目を果たした中根は「UAEx2人の5人で集団牽引開始。100km地点あたりから横向かい風になるとこでペースを一段上げる事になり3人の牽引となってしまう。そこからフルガス。残り90kmくらいで出し切って離脱。今日も応援有難うございました」と、レース後にSNSで振り返っている。
表彰台でドゥクーニンク・クイックステップに挟まれるブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) photo:CorVos
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8月29日に行われた第85回ブルターニュクラシック・ウエストフランス。その名の通り自転車熱の高いフランス北西部のブルターニュ地方最大のワンデーレースであり、初回開催が1931年とツール・ド・フランスに次ぐ歴史ある大会だ。
プルエーから西へ大西洋に面するドゥアルネネスに向かい、再びプルエーに戻る254kmのコース。14カ所の短くも勾配のある登りをこなすレイアウトはベルギーのフランダースに似ており、獲得標高差は4000mに迫るタフなレイアウトになっている。レース終盤ではポン・ヌフ(距離1km/平均5.1%)を越え、一度フィニッシュ地点を通過してから残り3kmで再びポン・ヌフ越えて平坦路にフィニッシュする。
次週より開催される欧州選手権や9月下旬の世界選手権などに向けて調整を進めるビッグネームが多数出場する今大会。スタートリストにはアルカンシェルを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)の他に、銅メダルを獲得した東京五輪個人タイムトライアル以来の実戦復帰となるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やヨナス・ヴィンゲゴー(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)、ツアー・オブ・ノルウェーを制したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が名を連ねた。
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プルエーを離れてすぐにアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、イスラエル・スタートアップネイション)、アレクシー・グジャール(フランス、AG2Rシトロエン)、セバスティアン・グリニャード(ベルギー、ロット・スーダル)、クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)という4名の逃げグループが形成。それをゥクーニンク・クイックステップやUAEチームエミレーツとともに、2年連続の出場となった中根英登(EFエデュケーション・NIPPO)が先頭で牽引しながら、約6分差で折り返し地点ドゥアルネネスを通過した。
東に進路を変えプルエーに向かう先行集団から、連続するアップダウンに疲弊したグリニャード、グジャールと相次いで遅れる。それを追うプロトンでは残り65km地点のサン・タラリン(距離1.4 km/平均4.7%)を前にドゥクーニンク・クイックステップがペースアップを敢行。これによりメイン集団を縮小しながら先行するデマルキとヘルマンスに3分30秒遅れで道の狭いサン・タラリンに突入した。
最大勾配が12%に及ぶ未舗装路に差し掛かると、アラフィリップがチームメイトの牽引から単独で加速。その動きに反応したポガチャル、コスヌフロワ、そしてチームメイトのホノレという4人による精鋭グループが形成され、先頭を行く逃げ集団、追走集団、そして3月ミラノ〜サンレモを制したヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)を含むメイン集団の3つに分かれた。
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ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)やヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)が単独で飛び出し一時は35秒差まで迫るものの、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)がブリッジをかけて封じ込める。残り4km地点で追走集団でシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)など10名による落車もあり、勝利は先行する3名に絞り込まれた。
コスヌフロワを先頭にポン・ヌフ(距離1km/平均5.1%)入ると、ホノレの後ろで機会を窺っていたアラフィリップがダンシングでアタック。だがコスヌフロワが危なげなく食らいつくと、頂上からフィニッシュまで続く平坦区間で再びホノレが合流する。残り150mからホノレの後ろからアラフィリップとコスヌフロワのスプリントが開始。横並びで踏み続けたアラフィリップが先に音を上げ、コスヌフロワが先着した。
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「ワールドツアーで初めて勝利だ。この瞬間を待ち望んでいたので最高に嬉しいよ。今日はエキサイティングなレースで、最後は僕がドゥクーニンクの2人に対する構図となった。自分の調子の良さは自覚していたので、ジュリアンのアタックにもついていけると思っていた。ここでのスプリントは他のレースとは異なるもので、勝つ自信もあった」と、表彰台でドゥクーニンク2人の真ん中に立ったコスヌフロワは語った。母国フランスでワールドツアー初勝利を挙げた25歳は、出場予定の世界選手権ロードに向けて弾みをつけた。
トップから13秒遅れでやってきた追走集団によるスプリントでは、好調を維持するヘイターがコナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック)に先着し4位入賞。途中でバイクを降りるもレース序盤で集団牽引する役目を果たした中根は「UAEx2人の5人で集団牽引開始。100km地点あたりから横向かい風になるとこでペースを一段上げる事になり3人の牽引となってしまう。そこからフルガス。残り90kmくらいで出し切って離脱。今日も応援有難うございました」と、レース後にSNSで振り返っている。
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ブルターニュクラシック・ウエストフランス2021結果
1位 | ブノワ・コスヌフロワ(フランス、AG2Rシトロエン) | 5:59:56 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:03 |
4位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:13 |
5位 | コナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック) | |
6位 | フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ KTM) | |
7位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
8位 | ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ) | |
9位 | カンタン・パシェ(フランス、B&Bホテルズ KTM) | 0:16 |
10位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、クベカ・アソス) | 0:17 |
DNF | 中根英登(EFエデュケーション・NIPPO) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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