2021/08/13(金) - 17:16
今年、大分市を拠点に発足した新チーム「スパークルおおいたレーシングチーム」。立ち上げたのは元チームブリヂストンサイクリングの黒枝士揮と、元シマノレーシングの黒枝咲哉の兄弟だ。新チームにかける想いを、弟の黒枝咲哉に聞いた。
JCL第5戦のチームプレゼンテーションに登壇したスパークルおおいたレーシングチームのメンバー photo:Satoru Kato
ジャパンサイクルリーグを主戦場に活動する「スパークルおおいたレーシングチーム」は、ロードレースチームとしては異例のスプリンターチームとしてスタートした。クライマーが注目されがちな日本において思い切ったコンセプトを打ち出したが、その狙いは何か?。
本来であれば黒枝士揮・咲哉の兄弟に話を聞きたかったが、残念ながら兄の士揮はJCL大分欠場のため、弟の咲哉に話を聞いた。
地元に自転車チームがあればいいなと思っていた
オートポリスで行われた2013年インターハイロードを走る黒枝咲哉(日出暘谷・日出総合高)後ろは山本大喜(榛生昇陽高) photo:Hideaki TAKAGI元々、自分が自転車を始めた頃から地元にチームが出来ればいいなと思っていました。大分には自転車部が強い高校がふたつあって、Jプロツアーのレースも開催されてきて、自転車競技に理解のある地域でした。でも自分達で作ろうというところまではなくて、チームがあればいいなと思うくらいでした。
チーム設立に向けて具体的に動き出したのは1年ほど前から。大分で自転車文化を加速させるには、やはりチームが必要だと感じていたし、チームを作るという話は周囲にしていたので、みんなの意見はまとまっていました。幸いにも、僕の父がレース開催などで作った土壌があったので、それを引き継がせてもらって、強いチームを作ろうと考えました。
練習不足で臨んだという地元初開催のバンクリーグでは、1ポイントを取ることに集中したと言う photo:Satoru Kato実際始めてみたらずっと大変です。選手と運営の両立は改めて難しいと感じています。今は兄(士揮)と父と、スタッフとで分担してチームの運営業務をやっていますが、選手時代とは生活リズムがまったく違います。
以前は練習時間以外はリカバリーに充てて翌日の高強度の練習に備えることが出来ましたが、今は早めの時間に練習して午後から運営の仕事をして、終わるのは早くて午後9時とか・・・。それも「終わらせる」という感じで、時には深夜までかかってしまうこともあります。
代償はいっぱいあるけれど、僕らが立ち上げたチームなので、今まで出来ずに歯痒い思いをしていたことも全て出来るし、それが今は幸せだと感じています。
スプリンターが活躍できる尖ったチームを作りたかった
JCL第4戦広島クリテリウムで優勝した沢田桂太郎 photo:Nobumichi Komori
僕ら兄弟がスプリンターなので、今まで日本に無かったスプリンターが活躍できるチームにしたいというのが念頭にありました。尖ったチームを作りたいと思っていたのもありますが、活躍できるレースが限定されてしまうので、そういう時は応援してくれる人達には申し訳ないと思うこともあります。でも、JCL広島クリテリウムで優勝し、地元開催のバンクリーグでも優勝することが出来て、スプリンターレースではより注目してもらえるようになったと思っています。
世界のレースを見るとクライマーのレベルはかなり高いですが、アジア人選手はスプリント力の強い選手が多い。だから、僕らのチームはスプリントで世界に挑めるようになりたいと考えています。
バンクリーグ大分ステージは、地元開催のレースを制した photo:Satoru Kato
地元開催のレースにサポーターが駆けつけた photo:Satoru Kato
ありがたいことに、5月のツアー・オブ・ジャパンに出場させてもらいましたが、初日の富士山はリザルトを残すことは無理なので、第2ステージの相模原か、最終ステージの東京で狙おうとチーム内で話し合っていました。相模原は僕らがやりたかったレースの形には出来ず、大本命の東京では逃げていたメンバーを把握しきれていなかったミスをしてしまいましたが、手応えはありました。アジアツアーでは平坦コースのレースも多いので、そういうところで目立てるようなチームにしたいですね。
兄の士揮と共にスパークルおおいたレーシングチームを立ち上げた黒枝咲哉 photo:Satoru Kato2023年ツール・ド・九州をホストチームとして迎えたい
今後は、2023年のツール・ド・九州開催が決まったので、それまでにUCIコンチネンタルチーム登録が出来るようにしたいです。ホストチームとして九州で活躍して、目標である「九州から世界に挑む」というチームのコンセプトを実現できるようにしたい。そのために九州で僕らの名前と自転車ロードレースを知ってもらい、より多くの人達に自転車に乗ってもらって自転車が健康や観光に役立つことを知ってもらえるような活動をしていきたいです。
text:Satoru Kato
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ジャパンサイクルリーグを主戦場に活動する「スパークルおおいたレーシングチーム」は、ロードレースチームとしては異例のスプリンターチームとしてスタートした。クライマーが注目されがちな日本において思い切ったコンセプトを打ち出したが、その狙いは何か?。
本来であれば黒枝士揮・咲哉の兄弟に話を聞きたかったが、残念ながら兄の士揮はJCL大分欠場のため、弟の咲哉に話を聞いた。
地元に自転車チームがあればいいなと思っていた
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チーム設立に向けて具体的に動き出したのは1年ほど前から。大分で自転車文化を加速させるには、やはりチームが必要だと感じていたし、チームを作るという話は周囲にしていたので、みんなの意見はまとまっていました。幸いにも、僕の父がレース開催などで作った土壌があったので、それを引き継がせてもらって、強いチームを作ろうと考えました。
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以前は練習時間以外はリカバリーに充てて翌日の高強度の練習に備えることが出来ましたが、今は早めの時間に練習して午後から運営の仕事をして、終わるのは早くて午後9時とか・・・。それも「終わらせる」という感じで、時には深夜までかかってしまうこともあります。
代償はいっぱいあるけれど、僕らが立ち上げたチームなので、今まで出来ずに歯痒い思いをしていたことも全て出来るし、それが今は幸せだと感じています。
スプリンターが活躍できる尖ったチームを作りたかった
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僕ら兄弟がスプリンターなので、今まで日本に無かったスプリンターが活躍できるチームにしたいというのが念頭にありました。尖ったチームを作りたいと思っていたのもありますが、活躍できるレースが限定されてしまうので、そういう時は応援してくれる人達には申し訳ないと思うこともあります。でも、JCL広島クリテリウムで優勝し、地元開催のバンクリーグでも優勝することが出来て、スプリンターレースではより注目してもらえるようになったと思っています。
世界のレースを見るとクライマーのレベルはかなり高いですが、アジア人選手はスプリント力の強い選手が多い。だから、僕らのチームはスプリントで世界に挑めるようになりたいと考えています。
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ありがたいことに、5月のツアー・オブ・ジャパンに出場させてもらいましたが、初日の富士山はリザルトを残すことは無理なので、第2ステージの相模原か、最終ステージの東京で狙おうとチーム内で話し合っていました。相模原は僕らがやりたかったレースの形には出来ず、大本命の東京では逃げていたメンバーを把握しきれていなかったミスをしてしまいましたが、手応えはありました。アジアツアーでは平坦コースのレースも多いので、そういうところで目立てるようなチームにしたいですね。
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今後は、2023年のツール・ド・九州開催が決まったので、それまでにUCIコンチネンタルチーム登録が出来るようにしたいです。ホストチームとして九州で活躍して、目標である「九州から世界に挑む」というチームのコンセプトを実現できるようにしたい。そのために九州で僕らの名前と自転車ロードレースを知ってもらい、より多くの人達に自転車に乗ってもらって自転車が健康や観光に役立つことを知ってもらえるような活動をしていきたいです。
text:Satoru Kato
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