2020/01/17(金) - 13:38
終盤の起伏を利用して猛攻を仕掛けたミッチェルトン・スコットがリーダージャージ奪取に成功。ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第2ステージで、大会4連覇のかかったアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がステージ優勝を飾った。
マレー川にかかるマレー橋を通過 photo:Kei Tsuji
マレーブリッジの街中をニュートラル走行する photo:Kei Tsuji
ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2020第2ステージ photo:Santos Women's Tour Down Underウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー第2ステージは、その名の通り、オーストラリア最長(2,508km)の河川であるマレー川を跨ぐ橋があるマレーブリッジをスタート。アデレードから80km近く離れた田舎町には、1879年に初めてマレー川にかかったことでオーストラリア国内では有名なマレー橋がある。
前日同様に気温は20度ほどまでしか上がらないが、真夏らしい太陽が照らすため体感温度は高め。南から吹く冷たい風を利用して序盤の平坦強風区間でミッチェルトン・スコットやキャニオン・スラムがエシュロンを作り出したものの、フィニッシュまで距離があるため完全集団分裂にはつながらなかった。
この日もボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が設定された中間スプリントに関連する動きがレースの流れを作り出した。ボーナスタイム狙いのビッグチームがレースをコントロールしたため逃げという逃げが生まれず、総合3位のリア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ)と総合8位アナスタシア・チュルジナ(ロシア、アレBTCリュブリャナ)が最大タイムを獲得してクロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング)とのタイム差を詰めることに成功する。しかし、その数秒の争いが大きな意味を為さないと思えるほどの動きを、終盤にかけてミッチェルトン・スコットが作り出すことになる。
いくつもの踏切を通過していくプロトン photo:Kei Tsuji
中間スプリントで競り合うクロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング) photo:Kei Tsuji
QOMヒルロードでアタックを仕掛けるアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:CorVos
2020年に初めて導入されたオーストラリア国内でのレース中継映像の中で、フィニッシュまで残り30kmを切ったところでミッチェルトン・スコットが隊列を組んで猛烈にペースを上げ始めた。勝負所と見られたこの日唯一のQOM(クイーンオブマウンテン)を待たずして全開牽引を開始。カテゴリーのついていない距離1.6km/平均4%の登りを平均スピード31.2km/hで突き進むと、リーダージャージを着るクロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング)が遅れ、さらに大勢のビッグネームが失速し、先頭はわずかに5名に絞られた。
ミッチェルトン・スコットのアマンダ・スプラット、グレース・ブラウン、ルーシー・ケネディ(いずれもオーストラリア)の3名に食らいつくことができたのは、アメリカチャンピオンジャージを着るルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)と22歳のリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)だけ。そのまま後続を引き離しながらQOMヒルロード(距離3.8km/平均3%)に突入すると、オーストラリアチャンピオンジャージを着るスプラットがさらに加速する。
しかしスプラットはウィンダーとリペットを振り切ることができなかった。遅れながらも復帰したブラウンのカウンターアタックを活かしてもなおライバルたちを振り切ることができず、スプラットはウィンダーとリペットとともにQOMヒルロードの頂上をクリア。脱落後も追走を続けたブラウンは届かず、勝負は先頭3名のよる三つ巴スプリントに。
過去にスプリントで成績を残しているウィンダーに有利な展開と見られたが、スプラットのスプリントが伸びた。距離114km、獲得標高差1,500m、3時間のレースの最後のスプリントで、スプラットの最高スピードは56.2km/hに達している。
3名でのスプリントで先行するアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾ったアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
大会4連覇に向けてリードを得たアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
「ハードな展開に持ち込もうとチームで決めていた」というスプラットの言葉通り、ミッチェルトン・スコットが文字通りメイン集団を粉砕し、人数を揃えて先頭で展開し、ステージ優勝とリーダージャージを獲得した。「戦歴だけを見るとライバル2人に有利な展開だったけど、完璧なスプリントに持ち込むことができた」。
母親から大声援を受ける中でリーダージャージに袖を通したスプラットはウィンダーから4秒、リペットから5秒の総合リードを得ている状態。スプラットは「明日のステージもハードなので何も終わっていない。明日すべてがひっくり返る可能性もある」とコメントしている。
リーダージャージに袖を通したアマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
ヤングライダー賞と山岳賞でトップに立ったリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji
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前日同様に気温は20度ほどまでしか上がらないが、真夏らしい太陽が照らすため体感温度は高め。南から吹く冷たい風を利用して序盤の平坦強風区間でミッチェルトン・スコットやキャニオン・スラムがエシュロンを作り出したものの、フィニッシュまで距離があるため完全集団分裂にはつながらなかった。
この日もボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が設定された中間スプリントに関連する動きがレースの流れを作り出した。ボーナスタイム狙いのビッグチームがレースをコントロールしたため逃げという逃げが生まれず、総合3位のリア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ)と総合8位アナスタシア・チュルジナ(ロシア、アレBTCリュブリャナ)が最大タイムを獲得してクロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング)とのタイム差を詰めることに成功する。しかし、その数秒の争いが大きな意味を為さないと思えるほどの動きを、終盤にかけてミッチェルトン・スコットが作り出すことになる。
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2020年に初めて導入されたオーストラリア国内でのレース中継映像の中で、フィニッシュまで残り30kmを切ったところでミッチェルトン・スコットが隊列を組んで猛烈にペースを上げ始めた。勝負所と見られたこの日唯一のQOM(クイーンオブマウンテン)を待たずして全開牽引を開始。カテゴリーのついていない距離1.6km/平均4%の登りを平均スピード31.2km/hで突き進むと、リーダージャージを着るクロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング)が遅れ、さらに大勢のビッグネームが失速し、先頭はわずかに5名に絞られた。
ミッチェルトン・スコットのアマンダ・スプラット、グレース・ブラウン、ルーシー・ケネディ(いずれもオーストラリア)の3名に食らいつくことができたのは、アメリカチャンピオンジャージを着るルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード)と22歳のリアン・リペット(ドイツ、サンウェブ)だけ。そのまま後続を引き離しながらQOMヒルロード(距離3.8km/平均3%)に突入すると、オーストラリアチャンピオンジャージを着るスプラットがさらに加速する。
しかしスプラットはウィンダーとリペットを振り切ることができなかった。遅れながらも復帰したブラウンのカウンターアタックを活かしてもなおライバルたちを振り切ることができず、スプラットはウィンダーとリペットとともにQOMヒルロードの頂上をクリア。脱落後も追走を続けたブラウンは届かず、勝負は先頭3名のよる三つ巴スプリントに。
過去にスプリントで成績を残しているウィンダーに有利な展開と見られたが、スプラットのスプリントが伸びた。距離114km、獲得標高差1,500m、3時間のレースの最後のスプリントで、スプラットの最高スピードは56.2km/hに達している。
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母親から大声援を受ける中でリーダージャージに袖を通したスプラットはウィンダーから4秒、リペットから5秒の総合リードを得ている状態。スプラットは「明日のステージもハードなので何も終わっていない。明日すべてがひっくり返る可能性もある」とコメントしている。
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ウィメンズ・ツアー・ダウンアンダー2020第2ステージ結果
1位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 3:04:27 |
2位 | ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) | |
3位 | リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) | |
4位 | グレース・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:02 |
5位 | ジェイム・ガンニング(オーストラリア、スペシャライズド・ウィメンズ) | 0:00:13 |
6位 | ペタ・ミュレンス(オーストラリア、ロックスソルト・アタッカー) | 0:00:15 |
7位 | レイチェル・ネイラン(オーストラリア、UniSAオーストラリア) | 0:00:18 |
8位 | エラ・ハリス(ニュージーランド、キャニオン・スラム) | |
9位 | シャラ・ギロー(オーストラリア、FDJ) | |
10位 | ジュリエット・ラボー(フランス、サンウェブ) |
個人総合成績
1位 | アマンダ・スプラット(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 6:21:19 |
2位 | ルス・ウィンダー(アメリカ、トレック・セガフレード) | 0:00:04 |
3位 | リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) | 0:00:05 |
4位 | グレース・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:12 |
5位 | クロエ・ホスキング(オーストラリア、ラリーサイクリング) | 0:00:21 |
6位 | グレース・ブラウン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:23 |
7位 | リア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ) | 0:00:24 |
8位 | ペタ・ミュレンス(オーストラリア、ロックスソルト・アタッカー) | 0:00:25 |
9位 | ジュリエット・ラボー(フランス、サンウェブ) | 0:00:27 |
10位 | シャラ・ギロー(オーストラリア、FDJ) | 0:00:28 |
その他の特別賞
ポイント賞 | リア・キルシュマン(カナダ、サンウェブ) |
山岳賞 | リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) |
ヤングライダー賞 | リアン・リペット(ドイツ、サンウェブ) |
チーム総合成績 | ミッチェルトン・スコット |
text:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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