2019/09/27(金) - 02:39
降りしきる雨の中を独走したクイン・シモンズ(アメリカ)が世界チャンピオンに。ロード世界選手権男子ジュニアに挑んだ山田拓海(長野県飯田風越高等学校)と津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校)はレース前半にメイン集団から脱落し、周回コースに入ることができずにDNFとなった。
晴れ間ののぞくリッチモンドをスタートし、ハロゲートに向かったのは41カ国/120名の選手たち。2つの登りを含む106.6kmのライン区間を経て、14kmのハロゲート周回コースを3周する全長148.1kmコースの獲得標高差は2,171mに達する。
朝方にかけて降った強い雨の影響で路面に水が残ったためレース序盤から落車やパンクが続出した。スタートから1時間近く続いたアタック合戦はドイツ、ノルウェー、イギリス、イタリア、ベルギーの選手による先行が始まったところで落ち着きを見せたが、タイム差1分で差し掛かった最初の本格的な登りであるキッズトーンズサミット(登坂距離3.7km/平均勾配6.4%)でアメリカがメイン集団のペースアップを開始。降り始めた冷たい雨と相まって、厳しいレースが展開された。
キッズトーンズサミットの急勾配区間で津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校)を始め多くの選手が脱落し、ペースの上がったメイン集団はそのまま逃げていた5名を吸収。山田拓海(長野県飯田風越高等学校)はメイン集団内で登りをクリアしたが、その後の下り&平坦区間で落車の足止めを食らって脱落した。津田と山田はレースを継続したものの、15分近く遅れてハロゲートに到着したため周回コースに入ることができずにDNFとなっている。
メイン集団を率いるアメリカは単独で30秒のリードを築いたマックス・ウォーカー(イギリス)をサマースケールス(登坂距離6.4km/平均勾配3.1%)の登りで吸収し、さらにペースを上げて人数を絞り込む。すると、サマースケールスの登りで40名ほどに絞られたメイン集団から、細かいアップダウンを利用してクイン・シモンズ(アメリカ)、マグナス・シェフィールド(アメリカ)、カルロス・ロドリゲス(スペイン)、ルイス・アスキー(イギリス)、パヴェル・ビトナー(チェコ)の5名が飛び出した。
ドイツやフランス、イタリアが率いるメイン集団に30秒のタイム差をつけてハロゲートの周回コースにたどり着いた先頭5名。雨によって完全ウェットな周回で、そこからフィニッシュまで33kmを残してシモンズが独走に持ち込んだ。
人数を減らしながら追走したメイン集団はシモンズ以外の先行者を吸収したが、独走者とのタイム差を縮められないまま1周回を完了。さらにリードを広げる走りを見せたシモンズは、単独追走をかけたアレッシオ・マルティネッリ(イタリア)に35秒、18名に絞られたメイン集団に1分15秒のタイム差をつけて最終周回に入る。トラブルなく、ペースを落とすことなく独走を続けたシモンズが沿道から受け取った星条旗を肩にかけ、喜びを爆発させながらフィニッシュラインを切った。
2位には追走を続けたマルティネッリが入り、シモンズの先行を演出したシェフィールドが3位争いのスプリントを制している。
2019年、ヘント〜ウェヴェルヘムを含めて12レースで勝利しているシモンズがジュニア世界チャンピオンに。全米ジュニア個人TTチャンピオンで、世界選手権ジュニア個人TTで4位に入った髭面の18歳は「今回のコースには良い印象を持っていたし、アメリカは強いメンバーを揃えていた。0km地点からずっと集団先頭で展開してくれたチームメイトたちにまずは感謝したい。逃げをセットアップしてくれたマグナスが3位に入って、アメリカにとってパーフェクトな1日になった。予定よりも早めの仕掛けになったけど、結果的にはそれでよかった。タイムトライアルで結果を残せなかったことが今日のレースへのモチベーションになったんだ」とコメントする。
アメリカ勢の男子ジュニアロードレース制覇は1979年のグレッグ・レモン、1991年のジェフ・エヴァンシャインに続く3人目。33kmの個人TT(独走)を成功させたシモンズは、ジュニア個人TT世界チャンピオンに輝いたアントニオ・ティベーリ(イタリア)とともにトレック・セガフレードへの移籍が決まっている。
以下はタイムトライアルとロードレースを走り終えた日本人選手のコメント。
山田拓海(長野県飯田風越高等学校)
最初の登りの手前で集団の一番前まで上ることができたんですが、すぐに被されて後ろに下がってしまいました。集団後方で頂上をクリアしたものの、そこからはもう前に上がれなかった。落車で足止めを食らって集団から脱落してからは5人ほどのグループで追いかけましたが、もう前は見えませんでした。
天候も目まぐるしく変わる中で、温かい日本から来たことで気温差に慣れてませんでした。もっと補給の取り方もうまくならないといけなかった。あとはこの世界での走り方も劣っていると感じました。今まで走ってきたレースの中で最もアップダウンが多くて厳しいコース。(ライン区間を)試走できていなかったので想像していたよりもアップダウンが厳しく、力の使い方が分かっていませんでした。
来年はU23カテゴリーに上がります。日本で漠然でやってるだけでは、日本でトップになるという目標を立てているだけでは、世界との差がどんどん広がってしまう。日本での立場は上がっても世界での立場は離れていってしまう。短い目で見るとこの世界選手権の結果は良くないものですが、ジュニアカテゴリーで世界を肌で感じることができたことは、長い目で見れば将来への糧になると思います。日本での走りでは通用しない、そして自分もここで走りたいと思いました。
来年は大学に進学するので、長期の休みを利用しながらヨーロッパで走ろうと計画しています。大学に行きながら世界の舞台で戦える選手という道を自分で開きたい。タイ合宿でもお世話になっている(新城)幸也さんを超えるような選手になりたいです。
津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校)
集団の前に上がろうと思ってたんですが、序盤に2回落車に引っかかってしまって、恐怖心から突っ込めなくなってしまいました。前に上ることができず、40km地点の登りで遅れてしまいました。ちょっとした登り返しでもパワーの差で下がってしまった。正直言って自分の想定していたところよりも早く力尽きてしまいました。
今シーズンはこれでレースが終わってしまいましたが、この大会を含めて、来シーズンに向けて自分が何をしないといけないのか、何をしないと世界と戦えるレベルまで上がらないのかということを、今は5割ぐらいしか理解できていないので、日本に帰ってから考えて、生活から全てにおいて、全てを変えて、全てにおいて強くなって、必ず来年この世界の舞台で結果を残したいと思いました。
強くならないといけない。そして今日という日を絶対に忘れない。今日のこの結果を忘れなければ、自分の中で高いモチベーションを保ってトレーニングできると思います。シーズンを振り返ってみて自分のスケジュール(調整)不足でした。今すぐに来年に向けて何をしないといけないのかを計画的に考えないといけない。自分の中で変えます、全てを。この経験をさせていただいて、ネガティブな気持ちを引きずるのか、それとも現実を受け止めて変えることに向けて行動を起こせるのか。今は悔しさというものがものすごくありますが、自分の中では後者にしたい。そして、ここで戦いたいと改めて思いました。
晴れ間ののぞくリッチモンドをスタートし、ハロゲートに向かったのは41カ国/120名の選手たち。2つの登りを含む106.6kmのライン区間を経て、14kmのハロゲート周回コースを3周する全長148.1kmコースの獲得標高差は2,171mに達する。
朝方にかけて降った強い雨の影響で路面に水が残ったためレース序盤から落車やパンクが続出した。スタートから1時間近く続いたアタック合戦はドイツ、ノルウェー、イギリス、イタリア、ベルギーの選手による先行が始まったところで落ち着きを見せたが、タイム差1分で差し掛かった最初の本格的な登りであるキッズトーンズサミット(登坂距離3.7km/平均勾配6.4%)でアメリカがメイン集団のペースアップを開始。降り始めた冷たい雨と相まって、厳しいレースが展開された。
キッズトーンズサミットの急勾配区間で津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校)を始め多くの選手が脱落し、ペースの上がったメイン集団はそのまま逃げていた5名を吸収。山田拓海(長野県飯田風越高等学校)はメイン集団内で登りをクリアしたが、その後の下り&平坦区間で落車の足止めを食らって脱落した。津田と山田はレースを継続したものの、15分近く遅れてハロゲートに到着したため周回コースに入ることができずにDNFとなっている。
メイン集団を率いるアメリカは単独で30秒のリードを築いたマックス・ウォーカー(イギリス)をサマースケールス(登坂距離6.4km/平均勾配3.1%)の登りで吸収し、さらにペースを上げて人数を絞り込む。すると、サマースケールスの登りで40名ほどに絞られたメイン集団から、細かいアップダウンを利用してクイン・シモンズ(アメリカ)、マグナス・シェフィールド(アメリカ)、カルロス・ロドリゲス(スペイン)、ルイス・アスキー(イギリス)、パヴェル・ビトナー(チェコ)の5名が飛び出した。
ドイツやフランス、イタリアが率いるメイン集団に30秒のタイム差をつけてハロゲートの周回コースにたどり着いた先頭5名。雨によって完全ウェットな周回で、そこからフィニッシュまで33kmを残してシモンズが独走に持ち込んだ。
人数を減らしながら追走したメイン集団はシモンズ以外の先行者を吸収したが、独走者とのタイム差を縮められないまま1周回を完了。さらにリードを広げる走りを見せたシモンズは、単独追走をかけたアレッシオ・マルティネッリ(イタリア)に35秒、18名に絞られたメイン集団に1分15秒のタイム差をつけて最終周回に入る。トラブルなく、ペースを落とすことなく独走を続けたシモンズが沿道から受け取った星条旗を肩にかけ、喜びを爆発させながらフィニッシュラインを切った。
2位には追走を続けたマルティネッリが入り、シモンズの先行を演出したシェフィールドが3位争いのスプリントを制している。
2019年、ヘント〜ウェヴェルヘムを含めて12レースで勝利しているシモンズがジュニア世界チャンピオンに。全米ジュニア個人TTチャンピオンで、世界選手権ジュニア個人TTで4位に入った髭面の18歳は「今回のコースには良い印象を持っていたし、アメリカは強いメンバーを揃えていた。0km地点からずっと集団先頭で展開してくれたチームメイトたちにまずは感謝したい。逃げをセットアップしてくれたマグナスが3位に入って、アメリカにとってパーフェクトな1日になった。予定よりも早めの仕掛けになったけど、結果的にはそれでよかった。タイムトライアルで結果を残せなかったことが今日のレースへのモチベーションになったんだ」とコメントする。
アメリカ勢の男子ジュニアロードレース制覇は1979年のグレッグ・レモン、1991年のジェフ・エヴァンシャインに続く3人目。33kmの個人TT(独走)を成功させたシモンズは、ジュニア個人TT世界チャンピオンに輝いたアントニオ・ティベーリ(イタリア)とともにトレック・セガフレードへの移籍が決まっている。
以下はタイムトライアルとロードレースを走り終えた日本人選手のコメント。
山田拓海(長野県飯田風越高等学校)
最初の登りの手前で集団の一番前まで上ることができたんですが、すぐに被されて後ろに下がってしまいました。集団後方で頂上をクリアしたものの、そこからはもう前に上がれなかった。落車で足止めを食らって集団から脱落してからは5人ほどのグループで追いかけましたが、もう前は見えませんでした。
天候も目まぐるしく変わる中で、温かい日本から来たことで気温差に慣れてませんでした。もっと補給の取り方もうまくならないといけなかった。あとはこの世界での走り方も劣っていると感じました。今まで走ってきたレースの中で最もアップダウンが多くて厳しいコース。(ライン区間を)試走できていなかったので想像していたよりもアップダウンが厳しく、力の使い方が分かっていませんでした。
来年はU23カテゴリーに上がります。日本で漠然でやってるだけでは、日本でトップになるという目標を立てているだけでは、世界との差がどんどん広がってしまう。日本での立場は上がっても世界での立場は離れていってしまう。短い目で見るとこの世界選手権の結果は良くないものですが、ジュニアカテゴリーで世界を肌で感じることができたことは、長い目で見れば将来への糧になると思います。日本での走りでは通用しない、そして自分もここで走りたいと思いました。
来年は大学に進学するので、長期の休みを利用しながらヨーロッパで走ろうと計画しています。大学に行きながら世界の舞台で戦える選手という道を自分で開きたい。タイ合宿でもお世話になっている(新城)幸也さんを超えるような選手になりたいです。
津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校)
集団の前に上がろうと思ってたんですが、序盤に2回落車に引っかかってしまって、恐怖心から突っ込めなくなってしまいました。前に上ることができず、40km地点の登りで遅れてしまいました。ちょっとした登り返しでもパワーの差で下がってしまった。正直言って自分の想定していたところよりも早く力尽きてしまいました。
今シーズンはこれでレースが終わってしまいましたが、この大会を含めて、来シーズンに向けて自分が何をしないといけないのか、何をしないと世界と戦えるレベルまで上がらないのかということを、今は5割ぐらいしか理解できていないので、日本に帰ってから考えて、生活から全てにおいて、全てを変えて、全てにおいて強くなって、必ず来年この世界の舞台で結果を残したいと思いました。
強くならないといけない。そして今日という日を絶対に忘れない。今日のこの結果を忘れなければ、自分の中で高いモチベーションを保ってトレーニングできると思います。シーズンを振り返ってみて自分のスケジュール(調整)不足でした。今すぐに来年に向けて何をしないといけないのかを計画的に考えないといけない。自分の中で変えます、全てを。この経験をさせていただいて、ネガティブな気持ちを引きずるのか、それとも現実を受け止めて変えることに向けて行動を起こせるのか。今は悔しさというものがものすごくありますが、自分の中では後者にしたい。そして、ここで戦いたいと改めて思いました。
ロード世界選手権2019男子ジュニアロードレース結果
1位 | クイン・シモンズ(アメリカ) | 3:38:04 |
2位 | アレッシオ・マルティネッリ(イタリア) | 0:00:56 |
3位 | マグナス・シェフィールド(アメリカ) | 0:01:33 |
4位 | エンゾ・レインセ(オランダ) | |
5位 | ジャンマルコ・ガローフォリ(イタリア) | |
6位 | ヴェガール・ストッケ(ノルウェー) | |
7位 | アルフレッド・ジョージ(イギリス) | 0:01:45 |
8位 | フレデリック・ワンダール(デンマーク) | |
9位 | ヤクブ・ボウチェク(チェコ) | |
10位 | ミラン・パウルス(ベルギー) | |
DNF | 山田拓海(長野県飯田風越高等学校) | |
DNF | 津田悠義(EQADS/愛知県立三好高校) |
text&photo:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom
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