2019/06/15(土) - 15:56
ロット・スーダルも使用するHJCヘルメットより、新登場したミドルグレードのロードモデル「Valeco」をテスト。トップモデルのテクノロジーを受け継いだシェルデザインによって、優れた空力性能と通気性を持つオールラウンドヘルメットを紹介しよう。
HJC Valeco photo:Yuto.Murata
モーターサイクル用ヘルメットの開発で培ったテクノロジーを活かした、高性能なロードサイクリングヘルメットを生み出しているHJC。ブランドの処女作である2つのトップモデルIbexとFurionに続き、ラインアップ拡充のため新たに登場したのがミドルグレードの「Valeco」である。
HJCが得意とするエアロダイナミクスと通気性を両立させたオールラウンドモデル「Ibex」を踏襲しつつ、コストパフォーマンスを高めたレーシングヘルメットのValeco。シェルのシルエットやベンチレーションホールの配置はIbexに通ずるセミエアロデザインを採用し、下位モデルながら見劣りしないルックスを獲得している。
フロントビュー 3つ大きく空いた開口部が空気を取り込む
サイドビュー エアロダイナミクスに配慮した流線型のシェル
バックビュー 全12個のベンチレーションホールによって通気性を確保
開口部にブリッジを設けヘルメットとしての強度を高めている
通気性を確保するためシェル全体に開口部を12個設け、あらゆる方向から排熱を促すとともに、特にフロントのエアホールを大きく空けることで効率よく空気を取り込む設計に。空気の流れを狭めることで流速を増加させるベンチュリ効果という流体力学の理論が応用されており、ベンチレーションホールの大きさや形状を工夫することで効率的なエアフローを実現している。
自社に風洞実験施設を持つHJCとあって、ミドルグレードでも空力性能の追求は怠らない。テールにかけて滑らかな流線型を描くシェル形状とし、スムーズな空気の流れを生み出すよう考えられている。現代のロードヘルメットらしい空気抵抗を抑えたエッジの少ないデザインだ。
内側にはクッション性のあるパッドを配している
フィッティングダイヤルは上下方向にも調整可能
あご紐は一般的なバックルタイプ
額部分から空気を取り込むよう溝を設ける
シェル内部に補強骨格を入れたインモールド構造によってヘルメットとして重要な安全性にも十分に配慮。万が一頭部に衝撃が加わった際もヘルメットが破砕することなく頭部を確実に守ってくれる。ポリカーボネート製のアウターシェルにEPSフォームを使用したインナーシェルを組み合わせは一般的なヘルメット構造と同じだ。
また、Valecoにはアジアンフィットを採用した点にも注目。今までのHJCヘルメットはヨーロッパフィットとアジアンフィットの中間といったフィット感であったが、今作はより日本人にフィットするよう作り込まれている。
Mサイズ実測重量 243g
Lサイズ実測重量 265g
豊富な7カラー展開でウェアやバイクの色に合わせたコーディネートも楽しめる。M(55-59cm)、L(58-62cm)の2サイズで販売され、価格は17,300円(税抜)だ。今回は、普段ジロやカスクのSサイズヘルメットを着用しているCW編集部員・村田がインプレッションした。
― 編集部インプレッション
昨年から自転車業界に新規参入したHJCだが、ヘルメットブランドとして歴史の長い企業だけに、ワールドチームでも採用される信頼感のある作りは手で持ってみても十分に感じられる。Mサイズで200g前半の重量に収まっており、ミドルグレードと考えれば軽量な部類に入るのではないだろうか。箱から出してみたときも「おっ、軽いな」と感じるほどで非常に好印象だ。
「軽量な被り心地とレーシーなデザイン性が好印象、アジアンフィットで日本人にもマッチする」
IbexとFurionは正直日本人の頭には合う合わないが分かれそうな帽体形状だったが、Valecoはアジアンフィットとなり個人的にはかなり被りやすくなった。カブトほど丸型ではないが、深さもしっかりありフィット感は良好。横幅も十分に確保されているため幅広いサイクリストにマッチしそうだ。フィッティングのダイヤルもカチカチッとはっきり音が鳴る、いい意味で固めの回し心地でしっかり締めている感覚が伝わってくる。
被った時にサイドの張り出しが少ないデザインで、いわゆるキノコ頭にならないのは嬉しいポイント。重量バランスの悪さはなく長時間着用していても首への負担は少なそうだ。ロット・スーダルが使うIbexにも似たデザインで見た目的にも満足感は高い。
サイドのベンチレーションホールにアイウェアを保持できる
確かな締め心地のあるフィッティングダイヤル
いざ走ってみると、フロントの大きな開口部3箇所から風が当たる感覚は強くあり通気性は十分に感じる。ヘルメット内側の空気が通る溝は浅めのため、前から後ろまで風が流れるような印象は薄いが、ベンチレーションホールがシェル全面にあることで排熱性に心配はなさそうだ。シェルの形状的にエアロダイナミクスも悪くなさそうだが、その性能が如何ほどかは今回のテストでは体感することはできなかった。
オールラウンドモデルということで何かに特化した性能は感じないものの、デザインの良さや選べるカラーの豊富さもValecoの魅力。ミドルグレードの価格帯で軽量なレーシングヘルメットを探している人は選択肢に入れてみてほしい製品である。(CW編集部:村田悠人)
HJC Valeco
サイズ:M(55-59cm)、L(58-62cm)
実測重量:243g(Mサイズ)、265g(Lサイズ)
カラー:Matt Glossy black、Silver White、Matt Glossy Red Black、Matt Hivis Yellow Black、Matt Glossy Navy Black、Matt Olive Black、Matt Glossy Grey Black
価 格:17,300円(税抜)
![HJC Valeco](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8579.jpg)
モーターサイクル用ヘルメットの開発で培ったテクノロジーを活かした、高性能なロードサイクリングヘルメットを生み出しているHJC。ブランドの処女作である2つのトップモデルIbexとFurionに続き、ラインアップ拡充のため新たに登場したのがミドルグレードの「Valeco」である。
HJCが得意とするエアロダイナミクスと通気性を両立させたオールラウンドモデル「Ibex」を踏襲しつつ、コストパフォーマンスを高めたレーシングヘルメットのValeco。シェルのシルエットやベンチレーションホールの配置はIbexに通ずるセミエアロデザインを採用し、下位モデルながら見劣りしないルックスを獲得している。
![フロントビュー 3つ大きく空いた開口部が空気を取り込む](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8593.jpg)
![サイドビュー エアロダイナミクスに配慮した流線型のシェル](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8601.jpg)
![バックビュー 全12個のベンチレーションホールによって通気性を確保](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8603.jpg)
![開口部にブリッジを設けヘルメットとしての強度を高めている](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8609.jpg)
通気性を確保するためシェル全体に開口部を12個設け、あらゆる方向から排熱を促すとともに、特にフロントのエアホールを大きく空けることで効率よく空気を取り込む設計に。空気の流れを狭めることで流速を増加させるベンチュリ効果という流体力学の理論が応用されており、ベンチレーションホールの大きさや形状を工夫することで効率的なエアフローを実現している。
自社に風洞実験施設を持つHJCとあって、ミドルグレードでも空力性能の追求は怠らない。テールにかけて滑らかな流線型を描くシェル形状とし、スムーズな空気の流れを生み出すよう考えられている。現代のロードヘルメットらしい空気抵抗を抑えたエッジの少ないデザインだ。
![内側にはクッション性のあるパッドを配している](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8646.jpg)
![フィッティングダイヤルは上下方向にも調整可能](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8643.jpg)
![あご紐は一般的なバックルタイプ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8622.jpg)
![額部分から空気を取り込むよう溝を設ける](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8636.jpg)
シェル内部に補強骨格を入れたインモールド構造によってヘルメットとして重要な安全性にも十分に配慮。万が一頭部に衝撃が加わった際もヘルメットが破砕することなく頭部を確実に守ってくれる。ポリカーボネート製のアウターシェルにEPSフォームを使用したインナーシェルを組み合わせは一般的なヘルメット構造と同じだ。
また、Valecoにはアジアンフィットを採用した点にも注目。今までのHJCヘルメットはヨーロッパフィットとアジアンフィットの中間といったフィット感であったが、今作はより日本人にフィットするよう作り込まれている。
![Mサイズ実測重量 243g](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8650.jpg)
![Lサイズ実測重量 265g](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mkb8658.jpg)
豊富な7カラー展開でウェアやバイクの色に合わせたコーディネートも楽しめる。M(55-59cm)、L(58-62cm)の2サイズで販売され、価格は17,300円(税抜)だ。今回は、普段ジロやカスクのSサイズヘルメットを着用しているCW編集部員・村田がインプレッションした。
― 編集部インプレッション
昨年から自転車業界に新規参入したHJCだが、ヘルメットブランドとして歴史の長い企業だけに、ワールドチームでも採用される信頼感のある作りは手で持ってみても十分に感じられる。Mサイズで200g前半の重量に収まっており、ミドルグレードと考えれば軽量な部類に入るのではないだろうか。箱から出してみたときも「おっ、軽いな」と感じるほどで非常に好印象だ。
![「軽量な被り心地とレーシーなデザイン性が好印象、アジアンフィットで日本人にもマッチする」](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mka8029.jpg)
IbexとFurionは正直日本人の頭には合う合わないが分かれそうな帽体形状だったが、Valecoはアジアンフィットとなり個人的にはかなり被りやすくなった。カブトほど丸型ではないが、深さもしっかりありフィット感は良好。横幅も十分に確保されているため幅広いサイクリストにマッチしそうだ。フィッティングのダイヤルもカチカチッとはっきり音が鳴る、いい意味で固めの回し心地でしっかり締めている感覚が伝わってくる。
被った時にサイドの張り出しが少ないデザインで、いわゆるキノコ頭にならないのは嬉しいポイント。重量バランスの悪さはなく長時間着用していても首への負担は少なそうだ。ロット・スーダルが使うIbexにも似たデザインで見た目的にも満足感は高い。
![サイドのベンチレーションホールにアイウェアを保持できる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mka8124.jpg)
![確かな締め心地のあるフィッティングダイヤル](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2019/06/10/mka8117.jpg)
いざ走ってみると、フロントの大きな開口部3箇所から風が当たる感覚は強くあり通気性は十分に感じる。ヘルメット内側の空気が通る溝は浅めのため、前から後ろまで風が流れるような印象は薄いが、ベンチレーションホールがシェル全面にあることで排熱性に心配はなさそうだ。シェルの形状的にエアロダイナミクスも悪くなさそうだが、その性能が如何ほどかは今回のテストでは体感することはできなかった。
オールラウンドモデルということで何かに特化した性能は感じないものの、デザインの良さや選べるカラーの豊富さもValecoの魅力。ミドルグレードの価格帯で軽量なレーシングヘルメットを探している人は選択肢に入れてみてほしい製品である。(CW編集部:村田悠人)
HJC Valeco
サイズ:M(55-59cm)、L(58-62cm)
実測重量:243g(Mサイズ)、265g(Lサイズ)
カラー:Matt Glossy black、Silver White、Matt Glossy Red Black、Matt Hivis Yellow Black、Matt Glossy Navy Black、Matt Olive Black、Matt Glossy Grey Black
価 格:17,300円(税抜)
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