2019/05/14(火) - 03:40
ジロ・デ・イタリア第3ステージで初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)がスタート直後から単独逃げを敢行。144kmにわたって逃げた初山を吸収した集団によるスプリントでエリア・ヴィヴィアーニ(ドゥクーニンク・クイックステップ)が先着したが、降格処分によってステージ優勝はフェルナンド・ガビリア(UAEチームエミレーツ)の手に。
レオナルド・ダヴィンチの没後500年を記念して、ジロ・デ・イタリア第3ステージは芸術家であり発明家の生誕地ヴィンチをスタート。トスカーナ州の丘陵地帯をひたすら南下し、強い北東の風が吹くティレニア海に近いオルベテッロでフィニッシュを迎える。
ヴィンチを離れるとすぐ、初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が0km地点で有言実行の逃げを開始した。ファーストアタックから逃げ始めた初山に反応する選手やチームはおらず、そのままタイム差は拡大を開始。すでに総合で15分41秒遅れている初山はメイン集団から一時的に7分のリードを得た。
予想された強風は丘陵地帯に吹かず、初山が40km/h前後のペースを刻んでソロエスケープを継続した。メイン集団をコントロールしたのはカレブ・ユアン(オーストラリア)のためにスプリントに持ち込みたいロット・スーダルで、逃げのスペシャリストでもあるトーマス・デヘント(ベルギー)が長時間にわたって集団先頭で警戒に当たった。
丘陵地帯を抜け、平野部に差し掛かると追い風〜横風が選手たちに吹き付け始めた。危険回避のために総合系チームも前に上がり、自然とペースが上がったメイン集団は初山との間合いを詰めていく。一旦ペースの上がったメイン集団は止まらず、スタートから144kmにわたって逃げ続けた初山を残り76km地点で吸収した。
初山吸収後もメイン集団は落ち着かず、危険な街中コーナーでは落車が散発する。総合7位のタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス)が落車で膝を痛めたが、チームメイトのサポートによってメイン集団に復帰。2つの中間スプリントではグルパマFDJが積極的に動き、エーススプリンターのアルノー・デマール(フランス)のポイント獲得をサポートしている。
この日唯一のカテゴリー山岳である4級山岳ポッジオ・ラパリータはマリアアッズーラを着るジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が先頭通過。そこからスプリンターチームに加えてユンボ・ヴィズマやバーレーン・メリダ、ミッチェルトン・スコットが人数を揃えてメイン集団を率いて残り20km。予想された集団分断作戦を敢行するチームは出てこず、そのまま集団スプリントに向けて平地を高速巡航した。
残り9km地点で発生したメカトラによって46秒遅れることになったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)に続いて、残り5km地点で発生した落車にゲオゲガンハートが再び巻き込まれてしまう。もう一人のエースであるパヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)が先頭集団に残った一方で、チームメイトの力を借りても集団復帰できなかったゲオゲガンハートは1分28秒遅れでフィニッシュ。総合7位から総合57位にダウンした。
追い風から横風に変わった残り3km地点でメイン集団はさらに人数を減らし、80名弱の塊となって集団スプリントへ。グルパマFDJとUAEチームエミレーツが先頭で競り合いながら残り1.5km地点からの向かい風区間に突入し、残り500mからの連続直角コーナーに向けて各チームがさらに熱いポジション争いを繰り広げる。
ディメンションデータとグルパマFDJを先頭に連続コーナーを抜けた時点で良いポジションにつけたのはマリアチクラミーノを着るパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。チームメイトのリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトを受けたアッカーマンが残り250mでステージ2連勝に向かって加速を開始した。
向かい風の中でロングスプリントを仕掛けたアッカーマンの後ろでは、イタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が虎視眈々と飛び出すタイミングを計っていた。アッカーマンのスプリント開始から6秒ほど待ってから、ヴィヴィアーニがスリップストリームから抜けるとともにラインを変えてスプリント。並走しながら同じく加速を開始していたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)の前を塞ぐ形で前に出たヴィヴィアーニが先頭に立ち、アッカーマンを抜き去るとともにガビリアとデマールに付け入る隙を与えなかった。
ヴィヴィアーニの勝利に会場は沸いたものの、レース後のUCIコミッセールの映像判定によってイタリアチャンピオンの降格が決定。モスケッティのラインを潰す斜行をしたという判断で、ヴィヴィアーニは同タイムの集団最後尾への降格処分が与えられた。
こうして確定したガビリアのステージ通算5勝目。負けを認め、ヴィヴィアーニの降格処分に納得しないガビリアは「エリア(ヴィヴィアーニ)は何も間違ったことをしていない。リプレイを見るとわかるけど、彼はわざと(斜行を)したわけじゃない。彼は自分のスプリントをしただけだ。公平な勝利を望んでいるので、これはとても厳しい判断だと思う。とにかくエリアに申し訳なく思う」とコメント。マリアチクラミーノも手元にやってきたが、ガビリアは表彰台で両手を固く腰の後ろで組み、決して手を上げて勝利を祝福することはしなかった。
初山は3分14秒遅れでフィニッシュ。坂本拓也マッサーを含めたチームスタッフに迎えられた初山は、イタリア放送局のテレビインタビューのために急いでチームバスへと戻っていった。初山のコメントは後ほど選手コメント記事ならびに現地レポート内でお伝えします。
レオナルド・ダヴィンチの没後500年を記念して、ジロ・デ・イタリア第3ステージは芸術家であり発明家の生誕地ヴィンチをスタート。トスカーナ州の丘陵地帯をひたすら南下し、強い北東の風が吹くティレニア海に近いオルベテッロでフィニッシュを迎える。
ヴィンチを離れるとすぐ、初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)が0km地点で有言実行の逃げを開始した。ファーストアタックから逃げ始めた初山に反応する選手やチームはおらず、そのままタイム差は拡大を開始。すでに総合で15分41秒遅れている初山はメイン集団から一時的に7分のリードを得た。
予想された強風は丘陵地帯に吹かず、初山が40km/h前後のペースを刻んでソロエスケープを継続した。メイン集団をコントロールしたのはカレブ・ユアン(オーストラリア)のためにスプリントに持ち込みたいロット・スーダルで、逃げのスペシャリストでもあるトーマス・デヘント(ベルギー)が長時間にわたって集団先頭で警戒に当たった。
丘陵地帯を抜け、平野部に差し掛かると追い風〜横風が選手たちに吹き付け始めた。危険回避のために総合系チームも前に上がり、自然とペースが上がったメイン集団は初山との間合いを詰めていく。一旦ペースの上がったメイン集団は止まらず、スタートから144kmにわたって逃げ続けた初山を残り76km地点で吸収した。
初山吸収後もメイン集団は落ち着かず、危険な街中コーナーでは落車が散発する。総合7位のタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス)が落車で膝を痛めたが、チームメイトのサポートによってメイン集団に復帰。2つの中間スプリントではグルパマFDJが積極的に動き、エーススプリンターのアルノー・デマール(フランス)のポイント獲得をサポートしている。
この日唯一のカテゴリー山岳である4級山岳ポッジオ・ラパリータはマリアアッズーラを着るジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)が先頭通過。そこからスプリンターチームに加えてユンボ・ヴィズマやバーレーン・メリダ、ミッチェルトン・スコットが人数を揃えてメイン集団を率いて残り20km。予想された集団分断作戦を敢行するチームは出てこず、そのまま集団スプリントに向けて平地を高速巡航した。
残り9km地点で発生したメカトラによって46秒遅れることになったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)に続いて、残り5km地点で発生した落車にゲオゲガンハートが再び巻き込まれてしまう。もう一人のエースであるパヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス)が先頭集団に残った一方で、チームメイトの力を借りても集団復帰できなかったゲオゲガンハートは1分28秒遅れでフィニッシュ。総合7位から総合57位にダウンした。
追い風から横風に変わった残り3km地点でメイン集団はさらに人数を減らし、80名弱の塊となって集団スプリントへ。グルパマFDJとUAEチームエミレーツが先頭で競り合いながら残り1.5km地点からの向かい風区間に突入し、残り500mからの連続直角コーナーに向けて各チームがさらに熱いポジション争いを繰り広げる。
ディメンションデータとグルパマFDJを先頭に連続コーナーを抜けた時点で良いポジションにつけたのはマリアチクラミーノを着るパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)。チームメイトのリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトを受けたアッカーマンが残り250mでステージ2連勝に向かって加速を開始した。
向かい風の中でロングスプリントを仕掛けたアッカーマンの後ろでは、イタリアチャンピオンのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)が虎視眈々と飛び出すタイミングを計っていた。アッカーマンのスプリント開始から6秒ほど待ってから、ヴィヴィアーニがスリップストリームから抜けるとともにラインを変えてスプリント。並走しながら同じく加速を開始していたマッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード)の前を塞ぐ形で前に出たヴィヴィアーニが先頭に立ち、アッカーマンを抜き去るとともにガビリアとデマールに付け入る隙を与えなかった。
ヴィヴィアーニの勝利に会場は沸いたものの、レース後のUCIコミッセールの映像判定によってイタリアチャンピオンの降格が決定。モスケッティのラインを潰す斜行をしたという判断で、ヴィヴィアーニは同タイムの集団最後尾への降格処分が与えられた。
こうして確定したガビリアのステージ通算5勝目。負けを認め、ヴィヴィアーニの降格処分に納得しないガビリアは「エリア(ヴィヴィアーニ)は何も間違ったことをしていない。リプレイを見るとわかるけど、彼はわざと(斜行を)したわけじゃない。彼は自分のスプリントをしただけだ。公平な勝利を望んでいるので、これはとても厳しい判断だと思う。とにかくエリアに申し訳なく思う」とコメント。マリアチクラミーノも手元にやってきたが、ガビリアは表彰台で両手を固く腰の後ろで組み、決して手を上げて勝利を祝福することはしなかった。
初山は3分14秒遅れでフィニッシュ。坂本拓也マッサーを含めたチームスタッフに迎えられた初山は、イタリア放送局のテレビインタビューのために急いでチームバスへと戻っていった。初山のコメントは後ほど選手コメント記事ならびに現地レポート内でお伝えします。
ジロ・デ・イタリア2019第3ステージ結果
1位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 5:23:19 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | マッテオ・モスケッティ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
5位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ) | |
6位 | ヤコブ・マレツコ(イタリア、CCCチーム) | |
7位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
8位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
9位 | クリスティアン・クネース(ドイツ、チームイネオス) | |
10位 | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト) | |
169位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:03:14 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 10:21:01 |
2位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:19 |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:23 |
4位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:28 |
5位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:33 |
7位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:39 |
8位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:40 |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 0:00:42 |
10位 | ビクトル・デラパルテ(スペイン、CCCチーム) | 0:00:45 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 58pts |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 50pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 49pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 24pts |
2位 | フランソワ・ビダール(フランス、アージェードゥーゼール) | 6pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 4pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 10:21:29 |
2位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 0:00:19 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:00:33 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィズマ | 31:04:44 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:00:15 |
3位 | アスタナ | 0:00:28 |
text&photo:Kei Tsuji in Orbetello, Italy
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