クイーンステージが悪天候による気温低下で距離短縮となったロマンディ第4ステージ。リーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィズマ)がトルゴン山頂フィニッシュを制し、総合争いをより確実なものにした。
途中の山岳はカットされたものの丘の地形が続く photo:Tour de Romandie
第4ステージは今大会中もっとも難関と言える山岳群が設定されたクイーンステージ。しかしこの日はあいにくの悪天候に見舞われた。この日通過する予定の最高標高地点のモッス峠では気温が氷点下近くとなる予報で、気温が低いことを考慮した主催者は、選手たちの安全のためにモッス峠を含む途中の峠越えをカットする決断をした。その結果レース距離が約70km短縮され、176.0kmから107.6kmに変更となった。
獲得標高は3,643mから1,989mに。中間の山岳3つはカットされ、3級と1級の2つのみになったが、最後の1級山岳である12kmの登坂のトルゴンの山頂フィニッシュはそのまま。距離は短くなれど、ショートレースの常であるように展開自体が激しくなることを考えれば、レース難易度自体は変わらないとも言える。
この日の朝、ジロ・デ・イタリアを見据えるエリア・ヴィヴイアー二が出走せず、125名の選手たちが雨のなか走しだした。
雨に煙る菜の花畑を行くプロトン photo:Tour de Romandie
山岳賞リーダーであるシモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム)や”スーパーキッズ”レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)らを含む8人の逃げが決まる。 このなかで総合成績がもっともいいのは1分29秒差の総合22位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)。マルティネスは新人賞対象選手だ。
トルゴン山頂へと向かう絞られた集団 photo:Tour de Romandie
メイン集団はリーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ擁するユンボ・ヴィズマがコントロール。その後ろにはステージ2連勝を上げた絶好調のグルパマFDJがつける。タイム差は50kmで2分程度。逃げにマルティネスら危険な選手がいることでメイン集団はタイム差を大きく開かせない。逃げグループも8人と人数を揃えていることでハイペースを保ち、残り20kmを切ってもタイム差は2分と変わらず。
1級山岳のトルゴン山頂に登り始めると逃げグループはバラけ始め、集団とのタイム差は残り10kmで1分程度。メイン集団はトニー・マルティンが先頭に立つユンボ・ヴィズマが牽引して登り始める。
トルゴンへの上りは平均勾配6.8、最大勾配は12%。崩壊した逃げグループではダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)と山岳賞ジャージのシモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム)の2人が粘る。ペローは途中の山岳ポイントを獲得したことですでに山岳賞を確実なものにしており、あとは完走さえすれば山岳賞総合首位は手にしたも同然だ。
山岳賞ジャージを確実なものにしたシモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム) photo:Tour de Romandie
ペローが遅れ、代わってアレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)がマルティネスに追従。集団からのアタックも活性化した。
ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)とアレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)が逃げ粘る photo:Tour de Romandie
最終盤までは勾配の平均した登坂。残り6kmを切って、先頭のステージ争いとともに後方の総合争いも激化。逃げる2人とはわずか10秒差に。集団ではゲラント・トーマスをアシストするチームイネオスが強力にペースアップ。残り4.8kmでマルティネスを吸収、レースは振り出しに。
代わって昨日の覇者ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)がペースメイク。そしてユンボ・ヴィズマのエースナンバーをつけたステフェン・クライスヴァイクがログリッチェを牽いて対抗する。
残り2km、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)とヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ)が抜け出しを図ると、リーダージャージのログリッチェが猛チャージして先頭を奪う。抜け出すログリッチェにゲラント・トーマスが追いつき、2人でラスト1kmへ。
後方から追いついたフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックしてリードを奪おうとするが、ログリッチェはそれを許さず、しかし再びマイケル・ウッズをアシストしようというカーシーがアタック。すぐさまその差を埋めたログリッチェは、追従するルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)との差を保ったまま雨のトルゴン山頂にトップフィニッシュした。
山頂スプリントを制したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Tour de Romandie
クライミング、ゴールスプリントいずれも強さを見せつけたログリッチェは第1ステージに次ぐステージ2勝目でリーダーの座を確実なものに。2位に入ったルイ・コスタがボーナスタイムにより総合ではダヴィ・ゴデュを抜き2位に浮上した。
3位フィニッシュしたゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) photo:Tour de Romandie
残すは第5ステージの個人タイムトライアル。TTが得意なログリッチェの優位は揺るがないだろう。総合2位ルイ・コスタに12秒、3位ダヴィ・ゴデュに16秒、4位のゲラント・トーマスには26秒の差を持って16.9kmTTに向かう。そしてログリッチェはちょうど1週間後に開幕を控えるジロ・デ・イタリアへ向けてこの好調さをつなぎたいところだ。
総合リーダーを確実なものにしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Tour de Romandie
プリモシュ・ログリッチェのコメント
タフで寒いステージだった。昨日のひどいスプリントをしてしまったあとで、今日勝てて本当に嬉しい。今日もチームは最高の働きをしてくれた。ステフェン(クライスヴァイク)と僕を峠までにパーフェクトな位置に引き上げてくれ、ステフェンは僕をアシストしてくれた。彼らがしてくれたことには感謝してもしきれないよ。そして僕の調子もいい。

第4ステージは今大会中もっとも難関と言える山岳群が設定されたクイーンステージ。しかしこの日はあいにくの悪天候に見舞われた。この日通過する予定の最高標高地点のモッス峠では気温が氷点下近くとなる予報で、気温が低いことを考慮した主催者は、選手たちの安全のためにモッス峠を含む途中の峠越えをカットする決断をした。その結果レース距離が約70km短縮され、176.0kmから107.6kmに変更となった。
獲得標高は3,643mから1,989mに。中間の山岳3つはカットされ、3級と1級の2つのみになったが、最後の1級山岳である12kmの登坂のトルゴンの山頂フィニッシュはそのまま。距離は短くなれど、ショートレースの常であるように展開自体が激しくなることを考えれば、レース難易度自体は変わらないとも言える。
この日の朝、ジロ・デ・イタリアを見据えるエリア・ヴィヴイアー二が出走せず、125名の選手たちが雨のなか走しだした。

山岳賞リーダーであるシモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム)や”スーパーキッズ”レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)らを含む8人の逃げが決まる。 このなかで総合成績がもっともいいのは1分29秒差の総合22位につけるダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)。マルティネスは新人賞対象選手だ。

メイン集団はリーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ擁するユンボ・ヴィズマがコントロール。その後ろにはステージ2連勝を上げた絶好調のグルパマFDJがつける。タイム差は50kmで2分程度。逃げにマルティネスら危険な選手がいることでメイン集団はタイム差を大きく開かせない。逃げグループも8人と人数を揃えていることでハイペースを保ち、残り20kmを切ってもタイム差は2分と変わらず。
1級山岳のトルゴン山頂に登り始めると逃げグループはバラけ始め、集団とのタイム差は残り10kmで1分程度。メイン集団はトニー・マルティンが先頭に立つユンボ・ヴィズマが牽引して登り始める。
トルゴンへの上りは平均勾配6.8、最大勾配は12%。崩壊した逃げグループではダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト)と山岳賞ジャージのシモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム)の2人が粘る。ペローは途中の山岳ポイントを獲得したことですでに山岳賞を確実なものにしており、あとは完走さえすれば山岳賞総合首位は手にしたも同然だ。

ペローが遅れ、代わってアレクシー・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)がマルティネスに追従。集団からのアタックも活性化した。

最終盤までは勾配の平均した登坂。残り6kmを切って、先頭のステージ争いとともに後方の総合争いも激化。逃げる2人とはわずか10秒差に。集団ではゲラント・トーマスをアシストするチームイネオスが強力にペースアップ。残り4.8kmでマルティネスを吸収、レースは振り出しに。
代わって昨日の覇者ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)がペースメイク。そしてユンボ・ヴィズマのエースナンバーをつけたステフェン・クライスヴァイクがログリッチェを牽いて対抗する。
残り2km、ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト)とヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ)が抜け出しを図ると、リーダージャージのログリッチェが猛チャージして先頭を奪う。抜け出すログリッチェにゲラント・トーマスが追いつき、2人でラスト1kmへ。
後方から追いついたフェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックしてリードを奪おうとするが、ログリッチェはそれを許さず、しかし再びマイケル・ウッズをアシストしようというカーシーがアタック。すぐさまその差を埋めたログリッチェは、追従するルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)との差を保ったまま雨のトルゴン山頂にトップフィニッシュした。

クライミング、ゴールスプリントいずれも強さを見せつけたログリッチェは第1ステージに次ぐステージ2勝目でリーダーの座を確実なものに。2位に入ったルイ・コスタがボーナスタイムにより総合ではダヴィ・ゴデュを抜き2位に浮上した。

残すは第5ステージの個人タイムトライアル。TTが得意なログリッチェの優位は揺るがないだろう。総合2位ルイ・コスタに12秒、3位ダヴィ・ゴデュに16秒、4位のゲラント・トーマスには26秒の差を持って16.9kmTTに向かう。そしてログリッチェはちょうど1週間後に開幕を控えるジロ・デ・イタリアへ向けてこの好調さをつなぎたいところだ。

プリモシュ・ログリッチェのコメント
タフで寒いステージだった。昨日のひどいスプリントをしてしまったあとで、今日勝てて本当に嬉しい。今日もチームは最高の働きをしてくれた。ステフェン(クライスヴァイク)と僕を峠までにパーフェクトな位置に引き上げてくれ、ステフェンは僕をアシストしてくれた。彼らがしてくれたことには感謝してもしきれないよ。そして僕の調子もいい。
ツール・ド・ロマンディ2019第4ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 2:42:21 |
---|---|---|
2位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | |
4位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | |
5位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
6位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | ヤン・ヒルト(チェコ、アスタナ) | |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) |
個人総合成績
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 15:05:13 |
---|---|---|
2位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:00:12 |
3位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:00:16 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:26 |
5位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:29 |
6位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 0:00:37 |
7位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 0:00:38 |
8位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:39 |
9位 | カルロス・ベタンクール(コロンビア、モビスター) | 0:00:57 |
10位 | シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) | 0:01:00 |
ポイント賞
1位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 125 |
---|---|---|
2位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 97 |
3位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 92 |
山岳賞
1位 | シモン・ペロー(スイス、スイスサイクリングチーム) | 51 |
---|---|---|
2位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | 24 |
3位 | ディエゴ・ローザ(イタリア、チームイネオス) | 22 |
ヤングライダー賞
1位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 15:05:29 |
---|---|---|
2位 | ジェームス・ノックス(イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:01:15 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | 0:04:05 |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 45:20:01 |
---|---|---|
2位 | モビスター | 0:00:04 |
3位 | アスタナ | 0:05:43 |
text:Makoto AYANO
photo:Tour de Romandie
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