2018/09/05(水) - 08:50
完璧なリードアウトトレインから発進したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が大会2勝目。数少ないスプリンター向きステージでチャンスをものにした。
スペイン最古の大学、サラマンカ大学をスタート (c)CorVos
今年で創設800年を迎えた、マドリードの西北西に位置する都市サラマンカにあるスペイン最古の大学、サラマンカ大学をスタートするブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージは完全なるスプリンター向けステージ。
ベルミージョ・デ・サヤゴを目指す177kmコースは常に標高700〜800m台の台地を走るものの、山岳ポイントは149km地点にある3級山岳フェルモセリェ(登坂距離5.4km、平均勾配4.5%)のみ。ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームがコントロールを担った。
また、この日は双子の出産が迫った妻の元へ帰るためにダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)が未出走。「若いチームメンバーのサポートと、ファビオ(アル)のサポートをするつもりで参加していた。これまでの走りは自分の望んだレベルには達さなかったけれど、レース自体はとても楽しめた。けれど予定日よりもタイミングが早まったので、この人生の重要なタイミングを妻と一緒に過ごすことを選んだんだ。理解あるチームに感謝したい」と帰宅の途に付いている。
趣あるサラマンカの町並みをバックに走り出すプロトン (c)CorVos
トレインを組みレースを進めるサンウェブ (c)CorVos
リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は総合8位で変わらず (c)CorVos
この日は休息日明けのステージとあってかスタート直後のアタックがすんなりと決まる。ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)とヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴス・BH)の逃げを集団が容認し、長く続く2人旅が始まった。
ステージ2勝目を狙うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するクイックステップフロアーズや、コフィディス、そしてトレック・セガフレード、更にはボーラ・ハンスグローエといったスプリンターチームが集団先頭に立ち、タイム差を最大3分程度に抑え込んだ状態で距離を消化していく。
危険視されていた強風も吹かず、平穏な時を過ごしたメイン集団。しかし残り41km地点ではシモーネ・ペティッリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が激しく落車してしまう。顔面から着地し歯を折ったペティッリはすぐさま病院へと搬送されてDNF。外傷のみで済んだものの、UAEはこの日だけで2名が戦列から離れることとなった。
ブエルタにしては数少ない平坦ステージ (c)CorVos
パンクしチームカーを呼ぶサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) (c)CorVos
3級山岳に到達するとメイン集団はマシャドとエスケラを吸収し、KOMではアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が先着。1秒差の総合2位バルデルデは複合賞ランキングのポイントを1点リードさせることに成功している。
チームメイトの吸収を見たディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴス・BH)が単独アタックし、ゴールまで距離を残していたために集団は静観。集団内ではマイヨロホのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、総合3位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスターチーム)らが次々とパンクに見舞われたが、ペースアップ前だったため全員事なきを得ている。
ルビオを吸収し、クイックステップフロアーズを先頭にスプリントに向けて突き進んだメイン集団。残り1kmのアーチをくぐると同時にルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックするも、デンマーク王者でトラック6日間レースのスペシャリストであるミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)によって吸収。リードアウトの名手ファビオ・サバティーニ(イタリア)が繋ぎ、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の前を塞ぐ絶妙のタイミングでヴィヴィアーニが加速した。
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)の勝利を確信し手を挙げるチームメイト (c)CorVos
スプリントを制したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
ブエルタ2勝目を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos
マイヨロホはサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)で変わらず (c)CorVos
ポイント賞トップに躍り出たペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos
左側のフェンスギリギリの進路を突き進んだヴィヴィアーニは、サガンやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)を寄せ付けずに大会2勝目を達成。両手を広げるヴィヴィアーニ独特のフィニッシュポーズでチャンピオンジャージを大きくアピールした。
「ジロで4勝して、ブエルタで現在2勝目。信じられないほど最高のシーズンを過ごしていると言えるよ。この勝利はいつも僕に尽くし、勝たせてくれる全てのチームメイトにプレゼントしたい」と語るヴィヴィアーニ。シーズン最多勝利を更新する17勝目で、「ウルフパック」にとっては今回が何とステージ60勝目。カチューシャ・アルペシンとEFエデュケーションファースト・ドラパックが未だ5勝にとどまる中での節目となった。
総合上位陣は平穏な1日を過ごしたため成績に変動は無し。翌日は逃げ切り有利なアップダウンコースが用意されている。
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今年で創設800年を迎えた、マドリードの西北西に位置する都市サラマンカにあるスペイン最古の大学、サラマンカ大学をスタートするブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージは完全なるスプリンター向けステージ。
ベルミージョ・デ・サヤゴを目指す177kmコースは常に標高700〜800m台の台地を走るものの、山岳ポイントは149km地点にある3級山岳フェルモセリェ(登坂距離5.4km、平均勾配4.5%)のみ。ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームがコントロールを担った。
また、この日は双子の出産が迫った妻の元へ帰るためにダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)が未出走。「若いチームメンバーのサポートと、ファビオ(アル)のサポートをするつもりで参加していた。これまでの走りは自分の望んだレベルには達さなかったけれど、レース自体はとても楽しめた。けれど予定日よりもタイミングが早まったので、この人生の重要なタイミングを妻と一緒に過ごすことを選んだんだ。理解あるチームに感謝したい」と帰宅の途に付いている。
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この日は休息日明けのステージとあってかスタート直後のアタックがすんなりと決まる。ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)とヘスス・エスケラ(スペイン、ブルゴス・BH)の逃げを集団が容認し、長く続く2人旅が始まった。
ステージ2勝目を狙うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)擁するクイックステップフロアーズや、コフィディス、そしてトレック・セガフレード、更にはボーラ・ハンスグローエといったスプリンターチームが集団先頭に立ち、タイム差を最大3分程度に抑え込んだ状態で距離を消化していく。
危険視されていた強風も吹かず、平穏な時を過ごしたメイン集団。しかし残り41km地点ではシモーネ・ペティッリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が激しく落車してしまう。顔面から着地し歯を折ったペティッリはすぐさま病院へと搬送されてDNF。外傷のみで済んだものの、UAEはこの日だけで2名が戦列から離れることとなった。
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3級山岳に到達するとメイン集団はマシャドとエスケラを吸収し、KOMではアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が先着。1秒差の総合2位バルデルデは複合賞ランキングのポイントを1点リードさせることに成功している。
チームメイトの吸収を見たディエゴ・ルビオ(スペイン、ブルゴス・BH)が単独アタックし、ゴールまで距離を残していたために集団は静観。集団内ではマイヨロホのサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)、総合3位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスターチーム)らが次々とパンクに見舞われたが、ペースアップ前だったため全員事なきを得ている。
ルビオを吸収し、クイックステップフロアーズを先頭にスプリントに向けて突き進んだメイン集団。残り1kmのアーチをくぐると同時にルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がアタックするも、デンマーク王者でトラック6日間レースのスペシャリストであるミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)によって吸収。リードアウトの名手ファビオ・サバティーニ(イタリア)が繋ぎ、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)の前を塞ぐ絶妙のタイミングでヴィヴィアーニが加速した。
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左側のフェンスギリギリの進路を突き進んだヴィヴィアーニは、サガンやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)を寄せ付けずに大会2勝目を達成。両手を広げるヴィヴィアーニ独特のフィニッシュポーズでチャンピオンジャージを大きくアピールした。
「ジロで4勝して、ブエルタで現在2勝目。信じられないほど最高のシーズンを過ごしていると言えるよ。この勝利はいつも僕に尽くし、勝たせてくれる全てのチームメイトにプレゼントしたい」と語るヴィヴィアーニ。シーズン最多勝利を更新する17勝目で、「ウルフパック」にとっては今回が何とステージ60勝目。カチューシャ・アルペシンとEFエデュケーションファースト・ドラパックが未だ5勝にとどまる中での節目となった。
総合上位陣は平穏な1日を過ごしたため成績に変動は無し。翌日は逃げ切り有利なアップダウンコースが用意されている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第10ステージ結果
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 4h08’08” |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
4位 | アンドレス・ソト(コロンビア、カハルーラル・セグロスRGA) | |
5位 | マルク・サルー(フランス、グルパマFDJ) | |
6位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | |
7位 | イヴァン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) | |
8位 | ヨン・アヴェラストゥリ(スペイン、エウスカディ・ムリアス) | |
9位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | マッテーオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット) |
個人総合成績
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 41h03’00” |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +01” |
3位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | +14” |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +16” |
5位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | +17” |
6位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | +24” |
7位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | +27” |
8位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | +32” |
9位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | +43” |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | +47” |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 83pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 81pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 66pts |
山岳賞
山岳賞 | ||
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 60pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 33pts |
3位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 24pts |
複合賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 11pts |
2位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 24pts |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 32pts |
チーム総合成績
1位 | ロットNLユンボ | 123h09’16” | |
2位 | モビスター | +1’36” | |
3位 | アスタナ | +4’08” |
text:So,Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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