2018/08/28(火) - 08:55
第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ最初の本格的な集団スプリントに持ち込まれた第3ステージ。序盤からレースをコントロールし、チームメイトにリードアウトされたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が自身初のステージ優勝を飾った。
アンダルシアの白い山岳地帯を走るプロトン photo:CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ photo:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ photo:Unipublic
アンダルシア州らしい白壁の街ミハスをスタートする第3ステージはスプリンター向き。スタート後しばらく海岸線を走ったのち、標高1,065mの1級山岳マドローニョ峠(全長20.1km/平均4.9%)を駆け上がる。内陸の山岳地帯をぐるっと回ってからコスタ・デル・ソル(太陽海岸)に戻り、マラガ近郊のアラウリン・デ・ラ・トレでフィニッシュ。獲得標高差が3,000mに達する中級山岳ステージだが、ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームがレースをコントロールした。
この日の最高気温は前日よりも低い30度ほど。海風吹くミハスをスタートすると、13km地点のマルベーリャ在住のルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)ら6名が早速飛び出した。山岳賞ジャージを守る立場のマテマルドネスは2日連続の逃げ。
1級山岳マドローニョ峠を50分10秒かけて登りきった逃げグループは、4分のリードを築いてマテマルドネスを先頭に頂上をクリアしていく。一方、チームスカイが先頭に陣取るメイン集団は51分30秒で登坂を完了。この日最大の登りを越えると、クイックステップフロアーズが集団コントロールを開始した。
シエラ・デ・ラス・ニエベス自然公園の周囲を走るアップダウンコースで逃げグループとメイン集団のタイム差は3分差で推移する。山岳賞ジャージのマテマルドネスは続く3級山岳ビエント峠も先頭通過することに成功し、前日の11ポイントに13ポイントを加算して山岳賞首位の座を固めている。12ポイント差の山岳賞2位には、同じく2日連続逃げのピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)がつけた。
アンダルシアの内陸部に向かうプロトン photo:CorVos
ジョルディ・シモン(スペイン、ブルゴスBH)を含む逃げグループ photo:CorVos
集団牽引役としてクイックステップフロアーズにボーラ・ハンスグローエも加わると逃げグループのリードは1分台に。やがて残り43km地点でタイム差が1分を切ると新たな動きが生まれる。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)とイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)がカウンターアタックを仕掛け、ここに抑え役としてルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が反応。カウンターアタッカーたちはすぐさま先頭の逃げグループに追いつき、2人ずつを揃えたアージェードゥーゼールとロット・スーダルが快調にローテーションを回し始めた。
新たな戦力を得た先頭グループはタイム差45秒で逃げ続けたものの、下り区間で前に出たカンペナールツがコーナーで落車するなど徐々に崩壊。すると、ローテーションに加わっていなかったペストルベルガーが下りで独走を開始する。追い風が吹く平坦区間を60km/hオーバーのハイペースで巡行したペストルベルガー。しかし直線的な平坦路では大集団に立ち向かえず、残り6.5km地点で逃げは全て吸収された。
リラックスして走る世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)を含む逃げグループ photo:CorVos
追走に力を使ったクイックステップフロアーズはリードアウトトレインを築けず、総合系チームを含むいくつものチームが集団先頭でポジション争いを繰り広げる。連続するラウンドアバウトを抜け、混戦状態のまま残り1kmアーチを切った。
常に70km/h近いスピードで突き進んだメイン集団の先頭では、残り300mでミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)がヴィヴィアーニをリードアウト。完璧なトレインを欠きながらも、タイミングよくデンマークチャンピオンがイタリアチャンピオンを発射する。ヴィヴィアーニと同時にジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)が腰を上げ、遅れてペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も追撃体勢に入った。
ヴィヴィアーニが加速勝負でライバルたちを置き去りにした。ニッツォーロと横並びでスプリントを開始したヴィヴィアーニが先行。完全にニッツォーロの前に出たヴィヴィアーニが、先に勝利を確信して手を挙げるモルコフに見守られながら、右手を振り上げた。
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が先頭でスプリントし、モルコフが手を挙げる photo:CorVos
ニッツォーロを下したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
「美しい勝利だ。今日は言葉が出てこないほどチームメイトたちが素晴らしかった。勝ち続けるのは簡単なことじゃない。今日は他のチームが積極的に集団を引かなかったので、コントロールするのが難しかった。ステージの約90%はクイックステップフロアーズが前を引いていたと思う。獲得標高差が3,000mに達する厳しいステージだったので勝利を確信していなかったものの、ウルフパック(狼の群れ)として一つの目標に向かってコミットしたんだ」。今シーズン世界最多の16勝目を飾った29歳のスプリンターはそう語る。ジロ・デ・イタリアでステージ通算5勝を飾っているヴィヴィアーニがブエルタでステージ優勝するのはこれが初めて。
ヴィヴィアーニは前週のユーロアイズ・サイクラシックスで連覇を飾っており、クイックステップフロアーズはこれが今シーズン58勝目。「ブエルタではステージ2位を2回経験していたので、初勝利をとても嬉しく思う。素晴らしいシーズンがこのまま続くことを願っているよ」と語るヴィヴィアーニはこの先の平坦ステージで勝利を量産するだろう。
総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)と並んでステージ13位でフィニッシュしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープ。クウィアトコウスキーはバルベルデに対して14秒のリードで翌日の1級山岳アルファカル峠山頂フィニッシュに挑む。
ステージ優勝を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
ステージ13位のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープ photo:CorVos
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アンダルシア州らしい白壁の街ミハスをスタートする第3ステージはスプリンター向き。スタート後しばらく海岸線を走ったのち、標高1,065mの1級山岳マドローニョ峠(全長20.1km/平均4.9%)を駆け上がる。内陸の山岳地帯をぐるっと回ってからコスタ・デル・ソル(太陽海岸)に戻り、マラガ近郊のアラウリン・デ・ラ・トレでフィニッシュ。獲得標高差が3,000mに達する中級山岳ステージだが、ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームがレースをコントロールした。
この日の最高気温は前日よりも低い30度ほど。海風吹くミハスをスタートすると、13km地点のマルベーリャ在住のルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)ら6名が早速飛び出した。山岳賞ジャージを守る立場のマテマルドネスは2日連続の逃げ。
1級山岳マドローニョ峠を50分10秒かけて登りきった逃げグループは、4分のリードを築いてマテマルドネスを先頭に頂上をクリアしていく。一方、チームスカイが先頭に陣取るメイン集団は51分30秒で登坂を完了。この日最大の登りを越えると、クイックステップフロアーズが集団コントロールを開始した。
シエラ・デ・ラス・ニエベス自然公園の周囲を走るアップダウンコースで逃げグループとメイン集団のタイム差は3分差で推移する。山岳賞ジャージのマテマルドネスは続く3級山岳ビエント峠も先頭通過することに成功し、前日の11ポイントに13ポイントを加算して山岳賞首位の座を固めている。12ポイント差の山岳賞2位には、同じく2日連続逃げのピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)がつけた。
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集団牽引役としてクイックステップフロアーズにボーラ・ハンスグローエも加わると逃げグループのリードは1分台に。やがて残り43km地点でタイム差が1分を切ると新たな動きが生まれる。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)とイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)がカウンターアタックを仕掛け、ここに抑え役としてルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が反応。カウンターアタッカーたちはすぐさま先頭の逃げグループに追いつき、2人ずつを揃えたアージェードゥーゼールとロット・スーダルが快調にローテーションを回し始めた。
新たな戦力を得た先頭グループはタイム差45秒で逃げ続けたものの、下り区間で前に出たカンペナールツがコーナーで落車するなど徐々に崩壊。すると、ローテーションに加わっていなかったペストルベルガーが下りで独走を開始する。追い風が吹く平坦区間を60km/hオーバーのハイペースで巡行したペストルベルガー。しかし直線的な平坦路では大集団に立ち向かえず、残り6.5km地点で逃げは全て吸収された。
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追走に力を使ったクイックステップフロアーズはリードアウトトレインを築けず、総合系チームを含むいくつものチームが集団先頭でポジション争いを繰り広げる。連続するラウンドアバウトを抜け、混戦状態のまま残り1kmアーチを切った。
常に70km/h近いスピードで突き進んだメイン集団の先頭では、残り300mでミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)がヴィヴィアーニをリードアウト。完璧なトレインを欠きながらも、タイミングよくデンマークチャンピオンがイタリアチャンピオンを発射する。ヴィヴィアーニと同時にジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)が腰を上げ、遅れてペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も追撃体勢に入った。
ヴィヴィアーニが加速勝負でライバルたちを置き去りにした。ニッツォーロと横並びでスプリントを開始したヴィヴィアーニが先行。完全にニッツォーロの前に出たヴィヴィアーニが、先に勝利を確信して手を挙げるモルコフに見守られながら、右手を振り上げた。
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「美しい勝利だ。今日は言葉が出てこないほどチームメイトたちが素晴らしかった。勝ち続けるのは簡単なことじゃない。今日は他のチームが積極的に集団を引かなかったので、コントロールするのが難しかった。ステージの約90%はクイックステップフロアーズが前を引いていたと思う。獲得標高差が3,000mに達する厳しいステージだったので勝利を確信していなかったものの、ウルフパック(狼の群れ)として一つの目標に向かってコミットしたんだ」。今シーズン世界最多の16勝目を飾った29歳のスプリンターはそう語る。ジロ・デ・イタリアでステージ通算5勝を飾っているヴィヴィアーニがブエルタでステージ優勝するのはこれが初めて。
ヴィヴィアーニは前週のユーロアイズ・サイクラシックスで連覇を飾っており、クイックステップフロアーズはこれが今シーズン58勝目。「ブエルタではステージ2位を2回経験していたので、初勝利をとても嬉しく思う。素晴らしいシーズンがこのまま続くことを願っているよ」と語るヴィヴィアーニはこの先の平坦ステージで勝利を量産するだろう。
総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)と並んでステージ13位でフィニッシュしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープ。クウィアトコウスキーはバルベルデに対して14秒のリードで翌日の1級山岳アルファカル峠山頂フィニッシュに挑む。
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ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ結果
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 4:48:12 |
2位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) | |
5位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) | |
7位 | ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ) | |
8位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
9位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
10位 | トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
敢闘賞 | ジョルディ・シモン(スペイン、ブルゴスBH) |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 9:10:52 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:14 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:25 |
4位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:28 |
5位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:00:30 |
6位 | ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:32 |
8位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:33 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:35 |
ポイント賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 43pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 29pts |
3位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 25pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 24pts |
2位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 12pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) | 5pts |
複合賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 9pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 9pts |
3位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 19pts |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 27:33:39 |
2位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:00:48 |
3位 | クイックステップフロアーズ | 0:00:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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