2018/07/10(火) - 10:18
1991年に世界で初めて自転車用バックパックを開発したブランド、ドイター。同社が展開するラインアップの中でも定番モデルとして親しまれてきたRACEシリーズが今期モデルチェンジを果たした。新型となったRACEシリーズをインプレッション。
バックパックに求める要件とはなんだろうか。使用シチュエーションにマッチした収納容量、小物を収納しやすくするポケットの充実度、ルックスと様々な事が挙げられるが、そもそも何かしらにストレスを感じるようなバックパックは積極的には選ばないはず。そうであるならば、背負った時の快適性とフィット感という点が製品選びではキーポイントとなるはずだ。
バックパックに求める快適性は、バックパネルやショルダーストラップの通気性が大部分を占めていると言っても良いだろう。背中だけがメッシュのサイクルジャージが開発されていることからも、サイクリングにおいて背中のクーリングは重要であることがわかるはずだ。もちろんバックパックを背負ってのライドを経験がある方ならば、背中とストラップ部分の熱こもりが非常に大きなストレスとなることは既に明らかのことだろう。
RACE EXP AIR
今回テストを行ったドイターの新型RACEシリーズは、背面パネルとショルダーストラップの排熱性に優れた工夫が施されており、一般的なバックパックと比較しても明らかに熱によるストレスが少なくなっている。特にRACE EXP AIRは唯一無二の背面形状を採用することで、非常に優れた通気性を実現した。
RACE EXP AIRの背面は、金属フレームによってメッシュが張られた構造になっている。一見しただけでも体の熱がバックパックに伝わりにくいこと、空気の流れを期待できる作りであることがわかるはずだ。荷物の重量がかかる肩周りと腰には厚手のクッションが設けられているため、身体への負担が少ないこともルックスから想像できる。
このメッシュパネル構造のメリットは通気性だけではない。バックパックを背負ってみたところの第一印象としては、荷物をギュウギュウに詰め込んでいても、荷物の存在感を背中で感じることがないのだ。カメラなど固いものを背中側にパッキングしてしまっても背中に気を取られることなくライドに集中することができる。
この背面システムのデメリットを挙げるとすると、金属製のフレームによって荷室が制限されていること。背中側が弧を描いているため、PCや厚めの書籍類は収納しにくくなってしまっている。通勤通学で使用することを考えている方は一度現物を手に取り確認したほうが良いかもしれない。とはいえ、パッキング次第で解消できるデメリットであると感じる。
通気性に関しては期待通り。乗り始める前はヘルメットのベンチレーションのように、襟部分から空気が流入し、腰部分で排出されるようなイメージを持っていたが、実際のRACE EXP AIRでは風が抜けるという印象よりも熱がそっと何処かへと逃げていくようなイメージだ。走行中に背中で風を感じることは少なく、横風や下りのコーナリング時に、風は背中とバックパックの間を抜けていく。
走行中は通気性について強いイメージを抱くことは無かったのだが、停車した時に背中から熱気がムワッと湧き出た時に初めて走行中に発していた熱は発散されていたことに気がつく。再び走行し始めると停止時に背中とバックパックの間に籠もった熱はまたたく間に何処かへと行ってしまう。
ショルダーストラップも数多くの穴が開けられた薄手のクッションが大部分を占めているため、熱が肩周りにこもってしまうこともない。バックパックを背負った時に体に伝わる熱を感じることがなく、イメージとしては、空気の通り道を作っているというよりも、バックパックを背負っていない状態を作っているよう。
また、今回テストした14リットルモデルは3リットル分の拡張マチが設けられていたため、1泊分の衣類と輪行袋は収納することが可能であった。テストライドでは4.3kgと決して軽くはない重量を背負ってみたが、肩や腰に強い負担を感じることはない。輪行ありきのワンウェイサイクリングなどで活躍してくれそうだ。
RACE
ここからはRACEを紹介しよう。RACEは一般的なバックパック同様、背面パネルに設けるクッション配置によって通気性を確保するデザインが採用されている。背筋に沿った通気用の溝となるように、左右それぞれに1つの大きなクッションを配置し、走行風が溝を通ることで背中の熱を逃がそうという仕組みだ。
クッションと体の接地面積が大きく、体からの熱はRACE EXP AIRよりは伝わってくるが、走行風が腰の方に押し出してくれるイメージがあり涼しさを感じられる。空気の通り道がハッキリしているため、走行中に風の抜けが非常に感じ取りやすいことがRACEの特徴だろう。肩紐と腰ストラップはRACE EXP AIRと同様の多孔タイプとなっているため、ストラップの存在を忘れてしまうのではないかと思うほどの通気性を備えている。
ベーシックな荷室の作りとなっているため、RACE EXP AIRと比較するとどのようにパッキングすれば良いかイメージしやすい。今回試用した8リットルモデルに収納できる荷物は、自走での日帰りロングライドに必要な物程度。着替えやシューズの替えなどを用意する必要がある日帰り輪行ツーリングには、持ち運ぶ荷物を洗練させれば対応できそうだ。
今回のテストで感じられたのはRACE EXP AIRの素晴らしい通気性だ。走行中はもちろん、歩行時や完全に停止しているときでも熱がこもらないため、わざわざバッグを下ろす必要がなく、観光を含むライドなどで活躍してくれそうだ。対してRACEは走行中の排熱性に優れており、背中で風が抜けていく感覚が心地よいと感じるほど。停車する時間が短いファストランなどが多い方にピッタリだ。
各モデルの特徴などは新型RACEシリーズの発表時に掲載した記事が詳しいため、こちらを参照してほしい。
ドイター RACE
容 量:8リットル
重 量:530g
サイズ:H43×W22×D14cm
カラー:アルパイングリーン×フォレスト、ベイ×ミッドナイト、グラファイト×ぺトロール、ブラック
素 材:100D PA リップストップ/210D PA
装 備:レインカバー内蔵、サングラスフォルダー、サイド&トップポケット、2リットルまでのハイドレーションリザーバー収納可能
価 格:9,000円(税抜)
ドイター RACE EXP AIR
容 量:14+3リットル
重 量:890g
サイズ:H46×W26×D18cm
カラー:ぺトロール×アークティック、ブラック、ネイビー×デニム、クランベリー×マロン
素 材:100D PA リップストップ/210D PA
装 備:レインカバー内蔵、サングラスフォルダー、サイド&大型フロントポケットヘルメットホルダー内蔵、2リットルまでのハイドレーションリザーバー収納可能
価 格:12,000円(税抜)
バックパックに求める要件とはなんだろうか。使用シチュエーションにマッチした収納容量、小物を収納しやすくするポケットの充実度、ルックスと様々な事が挙げられるが、そもそも何かしらにストレスを感じるようなバックパックは積極的には選ばないはず。そうであるならば、背負った時の快適性とフィット感という点が製品選びではキーポイントとなるはずだ。
バックパックに求める快適性は、バックパネルやショルダーストラップの通気性が大部分を占めていると言っても良いだろう。背中だけがメッシュのサイクルジャージが開発されていることからも、サイクリングにおいて背中のクーリングは重要であることがわかるはずだ。もちろんバックパックを背負ってのライドを経験がある方ならば、背中とストラップ部分の熱こもりが非常に大きなストレスとなることは既に明らかのことだろう。
RACE EXP AIR
今回テストを行ったドイターの新型RACEシリーズは、背面パネルとショルダーストラップの排熱性に優れた工夫が施されており、一般的なバックパックと比較しても明らかに熱によるストレスが少なくなっている。特にRACE EXP AIRは唯一無二の背面形状を採用することで、非常に優れた通気性を実現した。
RACE EXP AIRの背面は、金属フレームによってメッシュが張られた構造になっている。一見しただけでも体の熱がバックパックに伝わりにくいこと、空気の流れを期待できる作りであることがわかるはずだ。荷物の重量がかかる肩周りと腰には厚手のクッションが設けられているため、身体への負担が少ないこともルックスから想像できる。
このメッシュパネル構造のメリットは通気性だけではない。バックパックを背負ってみたところの第一印象としては、荷物をギュウギュウに詰め込んでいても、荷物の存在感を背中で感じることがないのだ。カメラなど固いものを背中側にパッキングしてしまっても背中に気を取られることなくライドに集中することができる。
この背面システムのデメリットを挙げるとすると、金属製のフレームによって荷室が制限されていること。背中側が弧を描いているため、PCや厚めの書籍類は収納しにくくなってしまっている。通勤通学で使用することを考えている方は一度現物を手に取り確認したほうが良いかもしれない。とはいえ、パッキング次第で解消できるデメリットであると感じる。
通気性に関しては期待通り。乗り始める前はヘルメットのベンチレーションのように、襟部分から空気が流入し、腰部分で排出されるようなイメージを持っていたが、実際のRACE EXP AIRでは風が抜けるという印象よりも熱がそっと何処かへと逃げていくようなイメージだ。走行中に背中で風を感じることは少なく、横風や下りのコーナリング時に、風は背中とバックパックの間を抜けていく。
走行中は通気性について強いイメージを抱くことは無かったのだが、停車した時に背中から熱気がムワッと湧き出た時に初めて走行中に発していた熱は発散されていたことに気がつく。再び走行し始めると停止時に背中とバックパックの間に籠もった熱はまたたく間に何処かへと行ってしまう。
ショルダーストラップも数多くの穴が開けられた薄手のクッションが大部分を占めているため、熱が肩周りにこもってしまうこともない。バックパックを背負った時に体に伝わる熱を感じることがなく、イメージとしては、空気の通り道を作っているというよりも、バックパックを背負っていない状態を作っているよう。
また、今回テストした14リットルモデルは3リットル分の拡張マチが設けられていたため、1泊分の衣類と輪行袋は収納することが可能であった。テストライドでは4.3kgと決して軽くはない重量を背負ってみたが、肩や腰に強い負担を感じることはない。輪行ありきのワンウェイサイクリングなどで活躍してくれそうだ。
RACE
ここからはRACEを紹介しよう。RACEは一般的なバックパック同様、背面パネルに設けるクッション配置によって通気性を確保するデザインが採用されている。背筋に沿った通気用の溝となるように、左右それぞれに1つの大きなクッションを配置し、走行風が溝を通ることで背中の熱を逃がそうという仕組みだ。
クッションと体の接地面積が大きく、体からの熱はRACE EXP AIRよりは伝わってくるが、走行風が腰の方に押し出してくれるイメージがあり涼しさを感じられる。空気の通り道がハッキリしているため、走行中に風の抜けが非常に感じ取りやすいことがRACEの特徴だろう。肩紐と腰ストラップはRACE EXP AIRと同様の多孔タイプとなっているため、ストラップの存在を忘れてしまうのではないかと思うほどの通気性を備えている。
ベーシックな荷室の作りとなっているため、RACE EXP AIRと比較するとどのようにパッキングすれば良いかイメージしやすい。今回試用した8リットルモデルに収納できる荷物は、自走での日帰りロングライドに必要な物程度。着替えやシューズの替えなどを用意する必要がある日帰り輪行ツーリングには、持ち運ぶ荷物を洗練させれば対応できそうだ。
今回のテストで感じられたのはRACE EXP AIRの素晴らしい通気性だ。走行中はもちろん、歩行時や完全に停止しているときでも熱がこもらないため、わざわざバッグを下ろす必要がなく、観光を含むライドなどで活躍してくれそうだ。対してRACEは走行中の排熱性に優れており、背中で風が抜けていく感覚が心地よいと感じるほど。停車する時間が短いファストランなどが多い方にピッタリだ。
各モデルの特徴などは新型RACEシリーズの発表時に掲載した記事が詳しいため、こちらを参照してほしい。
ドイター RACE
容 量:8リットル
重 量:530g
サイズ:H43×W22×D14cm
カラー:アルパイングリーン×フォレスト、ベイ×ミッドナイト、グラファイト×ぺトロール、ブラック
素 材:100D PA リップストップ/210D PA
装 備:レインカバー内蔵、サングラスフォルダー、サイド&トップポケット、2リットルまでのハイドレーションリザーバー収納可能
価 格:9,000円(税抜)
ドイター RACE EXP AIR
容 量:14+3リットル
重 量:890g
サイズ:H46×W26×D18cm
カラー:ぺトロール×アークティック、ブラック、ネイビー×デニム、クランベリー×マロン
素 材:100D PA リップストップ/210D PA
装 備:レインカバー内蔵、サングラスフォルダー、サイド&大型フロントポケットヘルメットホルダー内蔵、2リットルまでのハイドレーションリザーバー収納可能
価 格:12,000円(税抜)
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