2018/03/13(火) - 09:58
5日後のミラノ〜サンレモ初出場に向けた布石。マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)がティレーノ〜アドリアティコ第6ステージでスプリント2勝目を飾った。総合争いは翌日の個人TTで決する。
アドリア海に沿ってマルケ州を北上するティレーノ〜アドリアティコ第6ステージ。前半にかけて高低差200mほどの丘を断続的に越え、獲得標高差は2,000mに達するが、終盤の40kmはほぼフラット。ファーノの12.8km市街地周回コースを2周してフィニッシュを迎える。
ドイツチャンピオンのマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とポイント賞ジャージのジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)、そしてアルテム・ナイシュ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)の4名がスタート直後から逃げを開始。序盤からカチューシャ・アルペシンがコントロールしたメイン集団は逃げグループに3分30秒前後のタイム差を与えながらマルケ州の丘陵を越えていく。
レース中盤の急勾配のGPMでブルグハートが独走に持ち込むと他の逃げメンバーは吸収。タイム差をキープしながらブルグハートが逃げ続けたが、単独で大集団を相手にするには旗色が悪かった。
1回目のフィニッシュライン通過時(残り26km地点)に設定された第2スプリントでは、ブルグハートから1分遅れの集団内で総合成績にかかわるボーナスタイムをかけた動きが。総合首位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が2番手通過&ボーナスタイム2秒を狙ってスプリント。しかしBMCレーシングのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)とパトリック・ベヴィン(ニュージーランド)に先行されたクウィアトコウスキーは4番手通過に終わり、ボーナスタイム獲得を逃している。
先頭ブルグハートは残り19km地点で吸収され、そこからスプリンターチームが列をなしてポジションを争いながらスピードを上げた。最終周回突入前に総合4位のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がパンクするも、タイムを失うことなく集団内でフィニッシュしている。
残り8kmを切ってすぐ発生した集団落車にはフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)が巻き込まれた。ガビリアは左手の第一中手骨を変位骨折。手術が必要な骨折であり、回復に4週間を要するためミラノ〜サンレモ出場に赤信号が灯っている。また、総合12位バルデは怪我を免れながらも50秒のタイムロスを被った。
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は落車で足止めを食らいながらも残り4km地点で集団に復帰し、チームメイトの力を借りて急いで集団前方へ。カチューシャ・アルペシンとトレック・セガフレードが積極的にリードしながらスプリントが始まった。
クイックステップフロアーズのゼネク・スティバル(チェコ)とマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)、カチューシャ・アルペシンのリック・ツァベル(ドイツ)とマルセル・キッテル(ドイツ)、その後ろにサガンという並びで残り1kmアーチを通過。最終コーナーを抜けてスティバルのリードアウトが始まったが、ガビリアの代役としてスプリントに挑んだリケーゼが伸び悩む。
リケーゼとほぼ同時に加速したキッテルが先頭に立ち、サガンがそのスリップストリームから抜け出て並びかける。サガンを押さえ込んだキッテルが右手を大きく上げた。スプリントのトップスピードは67km/h前後。リーダージャージを着るクウィアトコウスキーはラスト3kmを平均54.5km/hで走行し、3分17秒間にわたって平均406Wを出力している。
キッテルはこれが今シーズン2勝目ならびに今大会2勝目、そしてカチューシャ・アルペシン移籍後2勝目。シーズン序盤は敗戦が続いたが、このティレーノ〜アドリアティコでようやく勝利の波をつかんだ印象だ。「イタリア国内での初勝利だった4日前のステージ優勝は本当にスペシャルだった。今日はチームメイトのネイサン・ハースの誕生日で、しかもイージーではないステージだったので、この勝利もスペシャルだ」とキッテルは語る。
「フェルナンド・ガビリアの落車が発生した時、クイックステップフロアーズのトレインの隣にいたので巻き込まれるところだった。そこからスプリントの準備に集中して、チームメイトたちが文句なしの走りで勝利に導いてくれた。アレックス・ドーセットとトニー・マルティンという強力なルーラーがレースをコントロールし、最後はリック・ツァベルとマルコ・ハラーにリードアウトされてスプリント。カチューシャ・アルペシンは高いポテンシャルを秘めているし、今日の勝利がチームのモチベーションを上げてくれる。ミラノ〜サンレモの出場についてはこのティレーノ〜アドリアティコでの走りを見て決める予定だった。ステージ2勝した今、出場の可能性は高くなったと思う」と、5日後に迫ったミラノ〜サンレモへの初挑戦を匂わせている。
最終日の個人タイムトライアルを前に、総合首位クウィアトコウスキーと総合2位ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)のタイム差は3秒のまま。「終盤の周回コースは観戦向きだけど、選手にとってはとてもトリッキー。集団前方にポジション取りして危険回避する必要があった。今日はスプリントポイントでボーナスタイムを狙ったけど1秒も取れず。明日のタイムトライアルでダミアーノ・カルーゾとのタイム差を守り抜きたい。フィニッシュラインを切るまでどっちが勝つかわからないようなスペクタクルな展開になると思う」とクウィアトコウスキーは接戦を予想する。総合3位以下も接戦が続いているため、総合表彰台をかけた戦いも秒差の争いになるだろう。
アドリア海に沿ってマルケ州を北上するティレーノ〜アドリアティコ第6ステージ。前半にかけて高低差200mほどの丘を断続的に越え、獲得標高差は2,000mに達するが、終盤の40kmはほぼフラット。ファーノの12.8km市街地周回コースを2周してフィニッシュを迎える。
ドイツチャンピオンのマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とポイント賞ジャージのジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)、そしてアルテム・ナイシュ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)の4名がスタート直後から逃げを開始。序盤からカチューシャ・アルペシンがコントロールしたメイン集団は逃げグループに3分30秒前後のタイム差を与えながらマルケ州の丘陵を越えていく。
レース中盤の急勾配のGPMでブルグハートが独走に持ち込むと他の逃げメンバーは吸収。タイム差をキープしながらブルグハートが逃げ続けたが、単独で大集団を相手にするには旗色が悪かった。
1回目のフィニッシュライン通過時(残り26km地点)に設定された第2スプリントでは、ブルグハートから1分遅れの集団内で総合成績にかかわるボーナスタイムをかけた動きが。総合首位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が2番手通過&ボーナスタイム2秒を狙ってスプリント。しかしBMCレーシングのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)とパトリック・ベヴィン(ニュージーランド)に先行されたクウィアトコウスキーは4番手通過に終わり、ボーナスタイム獲得を逃している。
先頭ブルグハートは残り19km地点で吸収され、そこからスプリンターチームが列をなしてポジションを争いながらスピードを上げた。最終周回突入前に総合4位のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がパンクするも、タイムを失うことなく集団内でフィニッシュしている。
残り8kmを切ってすぐ発生した集団落車にはフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)が巻き込まれた。ガビリアは左手の第一中手骨を変位骨折。手術が必要な骨折であり、回復に4週間を要するためミラノ〜サンレモ出場に赤信号が灯っている。また、総合12位バルデは怪我を免れながらも50秒のタイムロスを被った。
ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は落車で足止めを食らいながらも残り4km地点で集団に復帰し、チームメイトの力を借りて急いで集団前方へ。カチューシャ・アルペシンとトレック・セガフレードが積極的にリードしながらスプリントが始まった。
クイックステップフロアーズのゼネク・スティバル(チェコ)とマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)、カチューシャ・アルペシンのリック・ツァベル(ドイツ)とマルセル・キッテル(ドイツ)、その後ろにサガンという並びで残り1kmアーチを通過。最終コーナーを抜けてスティバルのリードアウトが始まったが、ガビリアの代役としてスプリントに挑んだリケーゼが伸び悩む。
リケーゼとほぼ同時に加速したキッテルが先頭に立ち、サガンがそのスリップストリームから抜け出て並びかける。サガンを押さえ込んだキッテルが右手を大きく上げた。スプリントのトップスピードは67km/h前後。リーダージャージを着るクウィアトコウスキーはラスト3kmを平均54.5km/hで走行し、3分17秒間にわたって平均406Wを出力している。
キッテルはこれが今シーズン2勝目ならびに今大会2勝目、そしてカチューシャ・アルペシン移籍後2勝目。シーズン序盤は敗戦が続いたが、このティレーノ〜アドリアティコでようやく勝利の波をつかんだ印象だ。「イタリア国内での初勝利だった4日前のステージ優勝は本当にスペシャルだった。今日はチームメイトのネイサン・ハースの誕生日で、しかもイージーではないステージだったので、この勝利もスペシャルだ」とキッテルは語る。
「フェルナンド・ガビリアの落車が発生した時、クイックステップフロアーズのトレインの隣にいたので巻き込まれるところだった。そこからスプリントの準備に集中して、チームメイトたちが文句なしの走りで勝利に導いてくれた。アレックス・ドーセットとトニー・マルティンという強力なルーラーがレースをコントロールし、最後はリック・ツァベルとマルコ・ハラーにリードアウトされてスプリント。カチューシャ・アルペシンは高いポテンシャルを秘めているし、今日の勝利がチームのモチベーションを上げてくれる。ミラノ〜サンレモの出場についてはこのティレーノ〜アドリアティコでの走りを見て決める予定だった。ステージ2勝した今、出場の可能性は高くなったと思う」と、5日後に迫ったミラノ〜サンレモへの初挑戦を匂わせている。
最終日の個人タイムトライアルを前に、総合首位クウィアトコウスキーと総合2位ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)のタイム差は3秒のまま。「終盤の周回コースは観戦向きだけど、選手にとってはとてもトリッキー。集団前方にポジション取りして危険回避する必要があった。今日はスプリントポイントでボーナスタイムを狙ったけど1秒も取れず。明日のタイムトライアルでダミアーノ・カルーゾとのタイム差を守り抜きたい。フィニッシュラインを切るまでどっちが勝つかわからないようなスペクタクルな展開になると思う」とクウィアトコウスキーは接戦を予想する。総合3位以下も接戦が続いているため、総合表彰台をかけた戦いも秒差の争いになるだろう。
ティレーノ〜アドリアティコ2018第6ステージ結果
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 3:49:54 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ) | |
4位 | サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | |
5位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) | |
8位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ) | |
10位 | リック・ツァベル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | |
125位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 0:04:31 |
個人総合成績
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 25:21:22 |
2位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 0:00:03 |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:00:23 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:29 |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:34 |
6位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:36 |
7位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:37 |
8位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:39 |
9位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 0:00:41 |
10位 | ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター) | 0:00:47 |
ポイント賞
1位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 33pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 30pts |
3位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 24pts |
山岳賞
1位 | ニコラ・バジョーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) | 35pts |
2位 | ジャコポ・モスカ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 25pts |
3位 | ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) | 20pts |
ヤングライダー賞
1位 | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | 25:22:01 |
2位 | ハイメ・ロソン(スペイン、モビスター) | 0:00:08 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:02:03 |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 75:25:54 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:00:10 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:01:41 |
text:Kei Tsuji
photo:LaPresse - Ferrari / Spada
photo:LaPresse - Ferrari / Spada