2017/09/09(土) - 10:30
逃げ切りに向けた最後のチャンスをモノにしたのは、チームの上昇気流に乗ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)。山岳で抜け出したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)の動きは封じられ、総合争いは翌日のアングリル決戦に集約された。
1級山岳コリャドナ峠(長さ7km/平均6.8%)を皮切りに、3級山岳エミリアーノ峠→3級山岳ロスロボス峠→最後の3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセス(長さ4.5km/平均7.2%)と4つの中級山岳が149.7kmに凝縮されたブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)第19ステージ。
スプリンターにとっては厳しく、総合争いにとっては難易度が低すぎるコースは、翌日にアングリル決戦、翌々日にマドリードの最終ステージを控える中でアタッカーにとっては最後のチャンス。勝機を狙う選手たちがスタート直後から激しいアタック合戦を繰り広げた。
この日はアタックと追走、合流を経て60km地点の3級山岳エミリアーノ峠までに30名ほどの逃げグループが形成される。総合争いからステージ優勝に目標を切り替えたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)を筆頭に、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、マイヨプントス(ポイント賞)を諦めないマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)の前待ち作戦も視野に入れるヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)とエドワード・トゥーンス(ベルギー)、マイヨモンターニャ(山岳賞)のダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、元世界王者のルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、地元で錦を飾りたいイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)とダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)など、様々な思惑を持った選手が逃げグループのローテーションを回した。
その後方を走るメイン集団は沈黙を守った。総合争いに危険を及ぼさない逃げメンバーを見送るとイージーモードに切り替え、翌日に控えるアングリル決戦に向けて温存を図っていく。すぐにタイム差は15分に到達し逃げ切りに青信号が灯ったため、逃げグループもメイン集団も大きな動きは起こらず、淡々と距離を消化する時間が続いた。
山岳ポイントの度に動いたのはヴィレッラで、狙い通り第1、第2山岳を先頭通過。この日1つ用意された中間スプリントでもトレンティンが先頭通過しそれぞれ加点する。
落ち着いたレースをまず最初に動かしたのは、「今日のフィニッシュ地点は僕の地元。チームにはニーバリを守るという任務があったけれど、僕はステージを狙っても良いと許可がでたので自分のカードを切ることにしたんだ」というガルシア。
およそ15kmを単独で走ったガルシアには、中盤1kmの平均勾配が12%に達する3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセスでロッシュが追走を試みた。バルデとコスタがロッシュを追い、KOMポイントを挟んで4名が合流する。この頃メイン集団では道幅の狭くなった下りで石垣に追いやられたマトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がクラッシュ。打ち所が悪かったマミキンはすぐさま病院へと緊急搬送され、左骨盤骨折という診断を受けた。今後数日間は入院の必要があるという。
残り10kmを切ると先頭4名の中からはステージ優勝争いが勃発し、まずはロッシュが、続いてバルデが独走を狙ったもののチャンスは見出せない。牽制によってスピードが落ちたため追走グループ(ボブ・ユンゲルス、フローリス・デティエ、パンタノ、デヘント、ナバーロ)の合流を許してしまう。これを嫌うように再びロッシュが仕掛けるも決まらず、9名がヒホンの海岸通りに到達。スプリント体制に入った。
ロッシュのペースメイクから真っ先にロングスプリントを仕掛けたのはガルシア。勢い良くリードを稼いだものの「脚が攣りかけていたのでスピードに乗せきれなかった」と徐々に失速。その後ろから冷静に追撃し、タイミングを待ってスプリントしたデヘントが伸びた。
続いたパンタノを1車身以上引き離したデヘントが勝利。ロット・ソウダルとしては前日のサンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)に続く逃げ切りによるステージ2連勝であり、大会序盤〜中盤にはトーマス・マルチンスキー(ポーランド)も2勝。逃げ切りによってステージ4勝をこのブエルタで収めており、絶好調真っ只中の雰囲気が今回の勝利にも繋がったとデヘントは振り返っている。
「終盤にバルデ達が逃げてしまった時はもうダメかと思ったけれど、ユンゲルスが鬼牽きしてくれたので追いついたんだ。位置取りが良かったのでガルシアをパスできた。マルチンスキーの勝利によってチームのプレッシャーがほぐれて、そこから物事が全て良い方向に向かってきた。自分向きのコースじゃない上に、スプリントで勝てたなんて自分でも驚いた」と、全グランツアーでのステージ優勝を飾ったデヘントは喜びと驚きを隠さない。
およそ10分以上遅れて最後の3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセスをクライムするメイン集団からは、コンタドールが動いた。チームメイトを発射台に飛び出したコンタドールは、追従したイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)を振り切り、前から降りてきたトゥーンスと合流して、およそ1分弱のリードを稼ぎ出す。
しかし集団をコントロールするチームスカイは冷静だった。人数を揃えて着々と2人のリードを削り取り、残り2.4kmで回収に成功。総合ライバルにアタックを許さない監視体制を敷いてフィニッシュしたため、総合ランキングに変化は起こらなかった。
翌日第20ステージは、いよいよ今大会最後にして最強の山岳決戦の場「アルト・デ・ラングリル」に直面。TOJ名物のあざみラインと同等レベルの激坂が、72回目のブエルタ総合争いを決定づける。J SPORTSによる日本での中継開始は21:15からだ。
1級山岳コリャドナ峠(長さ7km/平均6.8%)を皮切りに、3級山岳エミリアーノ峠→3級山岳ロスロボス峠→最後の3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセス(長さ4.5km/平均7.2%)と4つの中級山岳が149.7kmに凝縮されたブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)第19ステージ。
スプリンターにとっては厳しく、総合争いにとっては難易度が低すぎるコースは、翌日にアングリル決戦、翌々日にマドリードの最終ステージを控える中でアタッカーにとっては最後のチャンス。勝機を狙う選手たちがスタート直後から激しいアタック合戦を繰り広げた。
この日はアタックと追走、合流を経て60km地点の3級山岳エミリアーノ峠までに30名ほどの逃げグループが形成される。総合争いからステージ優勝に目標を切り替えたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)を筆頭に、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、マイヨプントス(ポイント賞)を諦めないマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)の前待ち作戦も視野に入れるヤルリンソン・パンタノ(コロンビア)とエドワード・トゥーンス(ベルギー)、マイヨモンターニャ(山岳賞)のダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、元世界王者のルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)、地元で錦を飾りたいイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)とダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)など、様々な思惑を持った選手が逃げグループのローテーションを回した。
その後方を走るメイン集団は沈黙を守った。総合争いに危険を及ぼさない逃げメンバーを見送るとイージーモードに切り替え、翌日に控えるアングリル決戦に向けて温存を図っていく。すぐにタイム差は15分に到達し逃げ切りに青信号が灯ったため、逃げグループもメイン集団も大きな動きは起こらず、淡々と距離を消化する時間が続いた。
山岳ポイントの度に動いたのはヴィレッラで、狙い通り第1、第2山岳を先頭通過。この日1つ用意された中間スプリントでもトレンティンが先頭通過しそれぞれ加点する。
落ち着いたレースをまず最初に動かしたのは、「今日のフィニッシュ地点は僕の地元。チームにはニーバリを守るという任務があったけれど、僕はステージを狙っても良いと許可がでたので自分のカードを切ることにしたんだ」というガルシア。
およそ15kmを単独で走ったガルシアには、中盤1kmの平均勾配が12%に達する3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセスでロッシュが追走を試みた。バルデとコスタがロッシュを追い、KOMポイントを挟んで4名が合流する。この頃メイン集団では道幅の狭くなった下りで石垣に追いやられたマトヴィ・マミキン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がクラッシュ。打ち所が悪かったマミキンはすぐさま病院へと緊急搬送され、左骨盤骨折という診断を受けた。今後数日間は入院の必要があるという。
残り10kmを切ると先頭4名の中からはステージ優勝争いが勃発し、まずはロッシュが、続いてバルデが独走を狙ったもののチャンスは見出せない。牽制によってスピードが落ちたため追走グループ(ボブ・ユンゲルス、フローリス・デティエ、パンタノ、デヘント、ナバーロ)の合流を許してしまう。これを嫌うように再びロッシュが仕掛けるも決まらず、9名がヒホンの海岸通りに到達。スプリント体制に入った。
ロッシュのペースメイクから真っ先にロングスプリントを仕掛けたのはガルシア。勢い良くリードを稼いだものの「脚が攣りかけていたのでスピードに乗せきれなかった」と徐々に失速。その後ろから冷静に追撃し、タイミングを待ってスプリントしたデヘントが伸びた。
続いたパンタノを1車身以上引き離したデヘントが勝利。ロット・ソウダルとしては前日のサンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)に続く逃げ切りによるステージ2連勝であり、大会序盤〜中盤にはトーマス・マルチンスキー(ポーランド)も2勝。逃げ切りによってステージ4勝をこのブエルタで収めており、絶好調真っ只中の雰囲気が今回の勝利にも繋がったとデヘントは振り返っている。
「終盤にバルデ達が逃げてしまった時はもうダメかと思ったけれど、ユンゲルスが鬼牽きしてくれたので追いついたんだ。位置取りが良かったのでガルシアをパスできた。マルチンスキーの勝利によってチームのプレッシャーがほぐれて、そこから物事が全て良い方向に向かってきた。自分向きのコースじゃない上に、スプリントで勝てたなんて自分でも驚いた」と、全グランツアーでのステージ優勝を飾ったデヘントは喜びと驚きを隠さない。
およそ10分以上遅れて最後の3級山岳サンマルティン・デ・ウエルセスをクライムするメイン集団からは、コンタドールが動いた。チームメイトを発射台に飛び出したコンタドールは、追従したイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)を振り切り、前から降りてきたトゥーンスと合流して、およそ1分弱のリードを稼ぎ出す。
しかし集団をコントロールするチームスカイは冷静だった。人数を揃えて着々と2人のリードを削り取り、残り2.4kmで回収に成功。総合ライバルにアタックを許さない監視体制を敷いてフィニッシュしたため、総合ランキングに変化は起こらなかった。
翌日第20ステージは、いよいよ今大会最後にして最強の山岳決戦の場「アルト・デ・ラングリル」に直面。TOJ名物のあざみラインと同等レベルの激坂が、72回目のブエルタ総合争いを決定づける。J SPORTSによる日本での中継開始は21:15からだ。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第19ステージ
ステージ成績
マイヨロホ(個人総合成績)
マイヨプントス(ポイント賞)
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
txet:So.Isobe
photo:CorVos/Unipublic
photo:CorVos/Unipublic
Amazon.co.jp