翌日からの山岳決戦を前にした平坦ステージは久々の集団スプリントに。最高気温38度の暑い1日の最後に、マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)が今大会3勝目を飾った。
暑いアンダルシア州の内陸部を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第13ステージ image:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第13ステージ image:Unipublic
山岳ステージと山岳ステージに挟まれたスプリンター向きの平坦ステージ。ブエルタは引き続き暑いアンダルシア州を走る。翌日から最終日前日までマイヨロホをかけた山岳&TT決戦が続くため、実質的にスプリンターが揃う大会最後の集団スプリントに注目が集まった。
登場するカテゴリー山岳は序盤の3級山岳アルダレス峠だけ。174名の選手たちがスタートを切るとすぐ、この日は6km地点ですんなりと5名の逃げが始まる。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、アルノー・クールテイユ(フランス、エフデジ)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)というUCIワールドチーム選手5名が逃げグループを形成した。
マイヨモンターニャを着るヴィレッラは3級山岳アルダレス峠で3ポイントを獲得した時点でミッション終了。逃げ続けることなくヴィレッラはメイン集団に戻っている。こうして4名となった先頭グループが最高気温38度の暑さの中をエスケープ。しかし集団スプリントを狙うクイックステップフロアーズのコントロールによってタイム差の拡大は4分50秒でストップする。
集団牽引にはロットNLユンボとキャノンデール・ドラパックも加わり、タイム差が3分前後を刻みながらレースは後半へ。前日の第12ステージで2位に入ったオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)は体調不良により集団から脱落し、今大会25人目のリタイア者となっている。フライレのリタイアによってディメンションデータは3名(アントン、ヤンセファンレンズバーグ、モートン)にまでメンバーを減らした。
静かにプロトンの通過を見守る馬(ロバ?) photo:Tim de Waele / TDWsport
スタート前に互いのクイックリリースを外してじゃれ合うアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)とローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨロホを着て暑い1日をこなすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
高速ダウンヒルをこなすトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ロットNLユンボやクイックステップフロアーズがメイン集団を徹底的にコントロールした photo:Tim de Waele / TDWsport
200km近いコースの大半は道幅のある直線的な幹線道路。向かい風基調の中でも先頭4名は快調なペースを刻んだが、逃げ切りに最適とは言えない平坦路でメイン集団とのタイム差は2分以下に抑え込まれる。フィニッシュまで50kmを残してタイム差は1分30秒。クイックステップフロアーズ(→トレンティン、キャノンデール・ドラパック(→ヴァンアスブロック)、ロットNLユンボ(→ロバト)の3チームによる徹底コントロールによって逃げる選手には苦しい状況が続く。
メイン集団が1分後方まで迫り、残り20kmを切ると先頭はデマルキとデヘントの2人に。ペースを上げるメイン集団内ではニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がパンクによって脱落したが、チームメイトの力を借りて集団に復帰している。
やがてデヘントが力尽き、先頭ではデマルキが独走に持ち込んだものの、190km近い逃げは残り7km地点で終わりを迎える。クイックステップフロアーズを先頭にアンダルシア州の州都セビリアを駆け抜け、残り3kmから始まる登り区間をリード。マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)をはじめ、多くの総合上位陣がタイムロスや落車のリスクを避けるために集団10番手あたりに位置した。登りを利用したアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)やソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)のアタックも決まらず、ルクセンブルクチャンピオンジャージを着るボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を先頭に残り1kmを切った。
アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)やアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)が逃げる photo:Tim de Waele / TDWsport
暑く、砂埃で少し霞んだ空 photo:Tim de Waele / TDWsport
レース中盤に体調不良でリタイアしたオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り7kmまで逃げ続けたアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り700mから緩斜面が始まるとジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が先頭へ。残り300mの最終ラウンドアバウトを抜けたところでマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)とアンデルセンがほぼ同時に腰を上げてスプリント体制に入る。
緑色のマイヨプントスを着るトレンティンは、まるで全開でもがいていないような軽快なスプリントでライバルたちを引き離した。フルームをサポートしながら好位置をキープしたジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)もスプリントに絡み、アンデルセンを抜いて2番手に浮上。しかしモスコンの追い込みも、ポイント賞リーダーの背中には届かなかった。
トレンティンがマイヨプントスのリードをさらに広げるステージ3勝目。クイックステップフロアーズはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに続いてブエルタでもステージ5勝を達成した。「フィニッシュ手前に登りがあるので、決して自分向きのステージではなかった。でもチーム全体のサポートを得て、勝負を狙うことにしたんだ。そして彼らは信じられないような仕事ぶりを見せてくれた。100%の働きには勝利で報いるしかなかった」。フィニッシュ後に3本指を立てたトレンティンはチームメイトたちとステージ3勝目を喜んだ。多くのスプリンターが軒並み姿を消す中、トレンティンはポイント賞トップの座を固めている。
この日は総合2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がステージ6位に入り、マイヨロホのフルームもステージ7位でフィニッシュ。集団が割れたため、総合トップ10の選手の中でイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)の3名がそれぞれ7秒を失っている。
マイヨロホを守ったフルームは「中切れでタイムを失わないために集団の前方でフィニッシュした。今日はそれよりもジャンニ・モスコンがステージ2位に入ったことが大きなトピック。彼のおかげで集団前方の良い位置をキープできていた。そして残り1kmで彼に『ゴーゴーゴー!ステージ優勝を狙え!』と言ったんだ。もし彼がポジショニングに力を使わずスプリントに集中していれば結果は違っていたと思う。彼の時代は近い将来きっと来る」と、23歳の若いイタリアの才能を評する。フルームはニーバリと59秒差、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)と2分13秒差で翌日からのアンダルシア山岳2連戦に挑むことになった。
今大会3勝目を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
頭から水をかぶるマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ステージ3勝目を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
比較的平穏な1日を終えたマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport



山岳ステージと山岳ステージに挟まれたスプリンター向きの平坦ステージ。ブエルタは引き続き暑いアンダルシア州を走る。翌日から最終日前日までマイヨロホをかけた山岳&TT決戦が続くため、実質的にスプリンターが揃う大会最後の集団スプリントに注目が集まった。
登場するカテゴリー山岳は序盤の3級山岳アルダレス峠だけ。174名の選手たちがスタートを切るとすぐ、この日は6km地点ですんなりと5名の逃げが始まる。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、アルノー・クールテイユ(フランス、エフデジ)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)というUCIワールドチーム選手5名が逃げグループを形成した。
マイヨモンターニャを着るヴィレッラは3級山岳アルダレス峠で3ポイントを獲得した時点でミッション終了。逃げ続けることなくヴィレッラはメイン集団に戻っている。こうして4名となった先頭グループが最高気温38度の暑さの中をエスケープ。しかし集団スプリントを狙うクイックステップフロアーズのコントロールによってタイム差の拡大は4分50秒でストップする。
集団牽引にはロットNLユンボとキャノンデール・ドラパックも加わり、タイム差が3分前後を刻みながらレースは後半へ。前日の第12ステージで2位に入ったオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)は体調不良により集団から脱落し、今大会25人目のリタイア者となっている。フライレのリタイアによってディメンションデータは3名(アントン、ヤンセファンレンズバーグ、モートン)にまでメンバーを減らした。





200km近いコースの大半は道幅のある直線的な幹線道路。向かい風基調の中でも先頭4名は快調なペースを刻んだが、逃げ切りに最適とは言えない平坦路でメイン集団とのタイム差は2分以下に抑え込まれる。フィニッシュまで50kmを残してタイム差は1分30秒。クイックステップフロアーズ(→トレンティン、キャノンデール・ドラパック(→ヴァンアスブロック)、ロットNLユンボ(→ロバト)の3チームによる徹底コントロールによって逃げる選手には苦しい状況が続く。
メイン集団が1分後方まで迫り、残り20kmを切ると先頭はデマルキとデヘントの2人に。ペースを上げるメイン集団内ではニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がパンクによって脱落したが、チームメイトの力を借りて集団に復帰している。
やがてデヘントが力尽き、先頭ではデマルキが独走に持ち込んだものの、190km近い逃げは残り7km地点で終わりを迎える。クイックステップフロアーズを先頭にアンダルシア州の州都セビリアを駆け抜け、残り3kmから始まる登り区間をリード。マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)をはじめ、多くの総合上位陣がタイムロスや落車のリスクを避けるために集団10番手あたりに位置した。登りを利用したアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)やソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)のアタックも決まらず、ルクセンブルクチャンピオンジャージを着るボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を先頭に残り1kmを切った。




残り700mから緩斜面が始まるとジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が先頭へ。残り300mの最終ラウンドアバウトを抜けたところでマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)とアンデルセンがほぼ同時に腰を上げてスプリント体制に入る。
緑色のマイヨプントスを着るトレンティンは、まるで全開でもがいていないような軽快なスプリントでライバルたちを引き離した。フルームをサポートしながら好位置をキープしたジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)もスプリントに絡み、アンデルセンを抜いて2番手に浮上。しかしモスコンの追い込みも、ポイント賞リーダーの背中には届かなかった。
トレンティンがマイヨプントスのリードをさらに広げるステージ3勝目。クイックステップフロアーズはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに続いてブエルタでもステージ5勝を達成した。「フィニッシュ手前に登りがあるので、決して自分向きのステージではなかった。でもチーム全体のサポートを得て、勝負を狙うことにしたんだ。そして彼らは信じられないような仕事ぶりを見せてくれた。100%の働きには勝利で報いるしかなかった」。フィニッシュ後に3本指を立てたトレンティンはチームメイトたちとステージ3勝目を喜んだ。多くのスプリンターが軒並み姿を消す中、トレンティンはポイント賞トップの座を固めている。
この日は総合2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がステージ6位に入り、マイヨロホのフルームもステージ7位でフィニッシュ。集団が割れたため、総合トップ10の選手の中でイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)の3名がそれぞれ7秒を失っている。
マイヨロホを守ったフルームは「中切れでタイムを失わないために集団の前方でフィニッシュした。今日はそれよりもジャンニ・モスコンがステージ2位に入ったことが大きなトピック。彼のおかげで集団前方の良い位置をキープできていた。そして残り1kmで彼に『ゴーゴーゴー!ステージ優勝を狙え!』と言ったんだ。もし彼がポジショニングに力を使わずスプリントに集中していれば結果は違っていたと思う。彼の時代は近い将来きっと来る」と、23歳の若いイタリアの才能を評する。フルームはニーバリと59秒差、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)と2分13秒差で翌日からのアンダルシア山岳2連戦に挑むことになった。




ステージ成績
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 4:25:13 |
2位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) | |
3位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) | |
4位 | ミヒャエル・シュヴァルツマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、キャノンデール・ドラパック) | |
6位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
8位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
10位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | |
17位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:07 |
23位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
25位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
DNF | オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) | |
敢闘賞 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) |
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 53:48:06 |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:59 |
3位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:02:13 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:02:17 |
5位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:02:23 |
6位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:02:25 |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:02:37 |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:02:41 |
9位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 0:03:13 |
10位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:03:58 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 103pts |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 84pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 63pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 41pts |
2位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 27pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 21pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 6pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) | 23pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 28pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 160:55:30 |
2位 | モビスター | 0:00:17 |
3位 | チームスカイ | 0:06:44 |
tet:Kei Tsuji
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