2017/08/30(水) - 02:00
雨のムルシア州を走るブエルタ第10ステージで11名の逃げ切り決まる。1級山岳を攻略したマッテオ・トレンティンがステージ2勝目を飾り、終盤の下りでアタックを成功させた総合3位のニコラス・ロッシュが29秒を獲得した。
雨の中、繰り返されるアタック photo:Kei Tsuji / TDWsport
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第10ステージ image:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第10ステージ image:Unipublic
大会最初の休息日を経てブエルタ・ア・エスパーニャはムルシア州へ移動。逃げ切り向きの中級山岳164.8kmコースでブエルタの後半戦はスタートする。残り40kmを切ってから立て続けに登場する3級山岳モロン・デ・トタナ峠(長さ5.7km/平均5.7%)と1級山岳コリャド・ベルメホ(長さ7.7km/平均6.5%)の登り、そしてそれに続くテクニカルな下りがキーポイントだ。
好天に恵まれた1週目とは打って変わってスペイン南部は雨雲に覆われた。スタート前に降り始めた雨は本降りに変わり、雷を伴う強雨となって選手たちを襲う。気温20度ほどの叩きつける雨の中、序盤の平坦路ではアタックの応酬が繰り広げられる。
逃げがようやく決まったのは164.8kmステージの折り返し地点を過ぎた90km地点。マイヨプントスを着るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)や地元ムルシア出身のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)らを含む18名が飛び出したところでようやくメイン集団はペースを落とした。
断続的なアタック合戦が繰り広げられた結果、最初の2時間の平均スピードが52.3km/hという猛烈な数字を叩き出している。逃げグループ形成と時を同じくして雨は上がり、ステージ後半は概ね曇り空の中でのレースに。逃げグループの中で総合成績が最も良いのは12分25秒遅れのハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)。つまり逃げ切りが決まっても問題無いメンバーによる逃げだが、メイン集団の警備に当たるチームスカイによってタイム差は5分半に抑え込まれた。
丸ハンドルのサイモン・イェーツのバイク(手前)よりシャローハンドルのアダム・イェーツのバイク(奥)のほうがサドルが2mm高い photo:Kei Tsuji / TDWsport
ハイスピードで進行したレース序盤の平坦区間 photo:Tim de Waele / TDWsport
あまりのハイペースでメイン集団が割れるシーンも photo:Tim de Waele / TDWsport
メイン集団を牽引するクリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)ら photo:Tim de Waele / TDWsport
エースのダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)をサポート photo:Tim de Waele / TDWsport
逃げグループを牽引するアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport
トレンティンを先頭にスプリントポイント通過後、5分リードで3級山岳モロン・デ・トタナ峠の登坂を開始した逃げグループからはジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)がまずアタック。後続を30秒引き離して3級山岳をクリアしたヤンセファンレンズバーグはそのまま単独で1級山岳コリャド・ベルメホに向かう。後方の逃げグループからはサンチェスと同じくムルシア出身のホセ・ロハス(スペイン、モビスター)がカウンターアタックを仕掛け、トレンティンとロソンとともに先頭ヤンセファンレンズバーグに追いついた。
チームスカイのコントロールによって逃げグループとほぼ同じペースを刻んでいたメイン集団では、1級山岳の山頂まで5kmを残してバーレーン・メリダがペースアップを開始する。するとチームメイトにアシストされたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が山頂手前で加速。総合4位ニーバリが持ち前のダウンヒルテクニックを発揮し、半分ウェットな下りで一時的にリードを奪うことに成功した。
先頭はヤンセファンレンズバーグとロソンの脱落によって下り区間でトレンティンとロハスの2人に。危険な下りを終えたトレンティンとロハスが晴れ間の覗くフィニッシュ地点まで逃げ切り、じりじりとした牽制の末に始まったスプリント一騎打ちでトレンティンが勝利した。
チームスカイのメンバーに援護されて集団先頭で走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
1級山岳コリャド・ベルメホを登るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)ら photo:Tim de Waele / TDWsport
1級山岳コリャド・ベルメホの下りをこなすマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ロハスとの一騎打ちを制したマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ポイント賞のリードを広げたトレンティンは「このステージを狙っていた。1級山岳は自分でもこなせる程度の厳しさで、下りはスーパーテクニカル。下りが得意なロハスと一緒に飛び出したことが勝利につながった。下りには自信があったけど、彼に先行を許してしまうシーンもあった」と、ステージ2勝目を振り返る。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスでそれぞれステージ5勝を飾ったクイックステップフロアーズが今大会ステージ4勝目。トレンティンは「ステージ5勝目を狙わないわけにはいかない」とさらなる活躍を誓った。
1級山岳の下り区間で攻撃を仕掛けたニーバリは引き戻され、約25名にまで人数を増やしたメイン集団からは続いて総合3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がアタック。自力でリードを広げたロッシュはステージ優勝者トレンティンから4分03秒遅れでフィニッシュにたどり着いた。マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を含むメイン集団が4分32秒遅れでフィニッシュしたため、ロッシュは総合ライバルたちから29秒のリードを奪うことに成功している。
「下りでニーバリに追いついてからアタック。可能な限り速いスピードで下り、後方が離れてからは全開走行だった。即興のアタックが決まったんだ」と語るロッシュは総合2位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)と同タイムの総合3位に。フルームとの総合タイム差は36秒にまで縮まった。
総合ライバルたちから29秒奪ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport
ロッシュに先行を許したものの安全に集団内でフィニッシュするクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ2勝目を飾ったマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨロホを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
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大会最初の休息日を経てブエルタ・ア・エスパーニャはムルシア州へ移動。逃げ切り向きの中級山岳164.8kmコースでブエルタの後半戦はスタートする。残り40kmを切ってから立て続けに登場する3級山岳モロン・デ・トタナ峠(長さ5.7km/平均5.7%)と1級山岳コリャド・ベルメホ(長さ7.7km/平均6.5%)の登り、そしてそれに続くテクニカルな下りがキーポイントだ。
好天に恵まれた1週目とは打って変わってスペイン南部は雨雲に覆われた。スタート前に降り始めた雨は本降りに変わり、雷を伴う強雨となって選手たちを襲う。気温20度ほどの叩きつける雨の中、序盤の平坦路ではアタックの応酬が繰り広げられる。
逃げがようやく決まったのは164.8kmステージの折り返し地点を過ぎた90km地点。マイヨプントスを着るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)や地元ムルシア出身のルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)らを含む18名が飛び出したところでようやくメイン集団はペースを落とした。
断続的なアタック合戦が繰り広げられた結果、最初の2時間の平均スピードが52.3km/hという猛烈な数字を叩き出している。逃げグループ形成と時を同じくして雨は上がり、ステージ後半は概ね曇り空の中でのレースに。逃げグループの中で総合成績が最も良いのは12分25秒遅れのハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)。つまり逃げ切りが決まっても問題無いメンバーによる逃げだが、メイン集団の警備に当たるチームスカイによってタイム差は5分半に抑え込まれた。
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チームスカイのコントロールによって逃げグループとほぼ同じペースを刻んでいたメイン集団では、1級山岳の山頂まで5kmを残してバーレーン・メリダがペースアップを開始する。するとチームメイトにアシストされたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が山頂手前で加速。総合4位ニーバリが持ち前のダウンヒルテクニックを発揮し、半分ウェットな下りで一時的にリードを奪うことに成功した。
先頭はヤンセファンレンズバーグとロソンの脱落によって下り区間でトレンティンとロハスの2人に。危険な下りを終えたトレンティンとロハスが晴れ間の覗くフィニッシュ地点まで逃げ切り、じりじりとした牽制の末に始まったスプリント一騎打ちでトレンティンが勝利した。
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ポイント賞のリードを広げたトレンティンは「このステージを狙っていた。1級山岳は自分でもこなせる程度の厳しさで、下りはスーパーテクニカル。下りが得意なロハスと一緒に飛び出したことが勝利につながった。下りには自信があったけど、彼に先行を許してしまうシーンもあった」と、ステージ2勝目を振り返る。ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスでそれぞれステージ5勝を飾ったクイックステップフロアーズが今大会ステージ4勝目。トレンティンは「ステージ5勝目を狙わないわけにはいかない」とさらなる活躍を誓った。
1級山岳の下り区間で攻撃を仕掛けたニーバリは引き戻され、約25名にまで人数を増やしたメイン集団からは続いて総合3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)がアタック。自力でリードを広げたロッシュはステージ優勝者トレンティンから4分03秒遅れでフィニッシュにたどり着いた。マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を含むメイン集団が4分32秒遅れでフィニッシュしたため、ロッシュは総合ライバルたちから29秒のリードを奪うことに成功している。
「下りでニーバリに追いついてからアタック。可能な限り速いスピードで下り、後方が離れてからは全開走行だった。即興のアタックが決まったんだ」と語るロッシュは総合2位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)と同タイムの総合3位に。フルームとの総合タイム差は36秒にまで縮まった。
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ステージ成績
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 3:34:56 |
2位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 0:00:01 |
3位 | ハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) | 0:00:19 |
4位 | ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 0:00:21 |
5位 | アレクサンドル・ジェニエス(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:56 |
6位 | マルク・ソレール(スペイン、モビスター) | 0:00:59 |
7位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:02:22 |
8位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) | |
9位 | アルノー・クールテイユ(フランス、エフデジ) | 0:02:40 |
10位 | ラファエル・レイス(ポルトガル、カハルーラル・セグロスRGA) | 0:03:05 |
12位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | 0:04:03 |
24位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:04:32 |
敢闘賞 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 16:12:44 |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:00:36 |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | |
4位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:17 |
5位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | 0:01:27 |
6位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:01:30 |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:01:33 |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:01:52 |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:01:55 |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:02:15 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 78pts |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 55pts |
3位 | パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 44pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 38pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 17pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 15pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 6pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) | 17pts |
3位 | ホセ・ロハス(スペイン、モビスター) | 31pts |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 119:57:59 |
2位 | アスタナ | 0:09:24 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:11:37 |
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