2017/08/25(金) - 08:46
フィニッシュまで36kmを残した2級山岳(最大勾配22%)でのアルベルト・コンタドールのアタックによって総合争いに火がついたブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージ。逃げトリオのスプリントでトーマス・マルチンスキーが自身初のステージ優勝を掴んだ。
バレンシア州の内陸部を走るプロトン photo:Tim de Waele / TDWsport
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第6ステージ image:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第6ステージ image:Unipublic
地中海に沿ってブエルタは南下を継続。中級山岳ステージにカテゴライズされた第6ステージには合計5つのカテゴリー山岳が設定されており、4つの3級山岳を越えた先に2級山岳ガルビ峠(長さ9.3%/平均5.1%)をクリアする。最大勾配が22%にも達するこの最後のハードルを越えると、後は地中海沿いのサグントまで36kmの下り&平坦路。1日の獲得標高差2,600mの逃げ切り向きのステージだが、トレック・セガフレードの攻撃によって単純な逃げ切りデーにはならなかった。
204.4kmのステージは1時間にわたるアタック合戦の末に37名が逃げ集団を形成する展開に。この中には前日のステージ優勝者アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やマイヨモンターニャを着るダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、マイヨプントスを着るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)の姿も。総合で3分24秒しか遅れていないルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)も逃げに乗ったため、チームスカイ率いるメイン集団はタイム差を3分前後に押さえ込んだ。
人数を減らしながら進む逃げ集団の中では、前半の3級山岳でヴィレッラが8ポイントを量産する。この日3つめの3級山岳を越えたところで逃げ集団の中からボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)とマキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)の2名がアタックして1分先行。しかしユンゲルスとモンフォールは残り65km地点で逃げ集団に引き戻された。
山火事によって黒く焦げた山岳地帯を走る photo:Tim de Waele / TDWsport
サンチェスが逃げに乗ったためチームスカイがペースを緩めず追走 photo:Tim de Waele / TDWsport
逃げグループを牽引するトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport
2級山岳ガルビ峠を先頭で登るエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
そして迎えた最後の2級山岳ガルビ峠でレースは動く。ロット・ソウダルとクイックステップフロアーズはステージ優勝に向けて引き続き積極的に動き、今度はエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)とトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)が逃げ集団から飛び出す。ここにパウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が追いつき、下り区間でサンチェスとアントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター)も追いついた。
2分後方のメイン集団ではトレック・セガフレードの攻撃が始まる。急勾配区間を前にピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)がペースを上げ、そこからアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が一気にアタック。総合挽回のために動いたコンタドールに反応できたのはマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター)、ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だけだった。
序盤から逃げに乗っていたヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)のアシストを得てコンタドールはハイスピード登坂を継続。急勾配区間を力強いダンシングでクリアしたコンタドールはエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む追走集団を引き離すとともに逃げ集団の1分後方に迫った。
精鋭グループ内で2級山岳ガルビ峠をクリアしたヴァンガーデレンは下り区間で落車して脱落。コンタドールが積極的に牽引する精鋭グループはチャベスやニーバリを含む追走集団から20秒のリードを奪ったものの、完全には引き離せずに下り区間で集団は一つに戻る。こうして、総合2位ヴァンガーデレンや総合5位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)を欠いた約20名のメイン集団が再編成された。
先頭グループを形成するトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)、パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
最大勾配22%の2級山岳ガルビ峠でアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
パンタノにアシストされてライバルを引き離すアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
後方を確認するマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
逃げグループとメイン集団のタイム差は残り20km地点で10秒以下に縮まったものの、諦めないマス、マルチンスキー、ポリャンスキーの3名が逃げを継続。メイン集団のペースが落ち着いたため逃げ3名のリードは逆に広がりを見せ、そのままサグントの街まで逃げ切った。
牽制を経て始まったスペイン人1名vsポーランド人2名によるスプリント。残り100mで最初に仕掛けたマスはライバルたちを引き離せず、スリップストリームから脱したマルチンスキーがポリャンスキーを押さえて勝利した。メイン集団は26秒差でフィニッシュラインを切り、デラクルスを含む追走集団は43秒遅れ。残り3km地点のラウンドアバウトで再び落車したヴァンガーデレンは46秒遅れでフィニッシュに辿り着いている。
「とてもクレイジーなステージだった」と振り返るのはステージ優勝を飾ったマルチンスキー。過去に3回ポーランドのナショナルチャンピオンに輝いている33歳は「目標とするステージ優勝にこんな早く手が届くとは。序盤から大きな逃げ集団が形成され、登りで人数を減らしていく展開で、最後は3名に絞られた。仮にフィニッシュで力が残ってなくてもいいから、絶対にライバルのアタックを封じ込めようと思っていた。逃げのチャンスを最大限生かせたと思う。完璧だった」と、自身初のグランツール勝利を喜んだ。
コンタドールが総合26位から23位に順位を上げた一方で、ヴァンガーデレンは総合2位から4位に、デラクルスは総合5位から6位に順位を下げている。マイヨロホを守ったフルームは「サンチェスが逃げに乗っていたのでチームスカイはスピードを緩めるわけにはいかず、終盤はアタックが頻発。ここまでで最も厳しいステージだった。エネルギーを使う本当にタフなステージだったけど、チームスカイにとっては良い1日だったと思う。今日はコンタドールがインプレッシブだった。この先も彼はアタックを止めないと確信している」とコメント。コンタドールのアタックの際にはチームメイトから孤立したが、危なげなくライバルたちの攻撃を防ぎきった。
3名によるスプリントで勝利したトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele / TDWsport
ライバルたちから17秒失ったダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ優勝を飾ったトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele / TDWsport
マイヨロホを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
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地中海に沿ってブエルタは南下を継続。中級山岳ステージにカテゴライズされた第6ステージには合計5つのカテゴリー山岳が設定されており、4つの3級山岳を越えた先に2級山岳ガルビ峠(長さ9.3%/平均5.1%)をクリアする。最大勾配が22%にも達するこの最後のハードルを越えると、後は地中海沿いのサグントまで36kmの下り&平坦路。1日の獲得標高差2,600mの逃げ切り向きのステージだが、トレック・セガフレードの攻撃によって単純な逃げ切りデーにはならなかった。
204.4kmのステージは1時間にわたるアタック合戦の末に37名が逃げ集団を形成する展開に。この中には前日のステージ優勝者アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)やマイヨモンターニャを着るダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、マイヨプントスを着るマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)の姿も。総合で3分24秒しか遅れていないルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)も逃げに乗ったため、チームスカイ率いるメイン集団はタイム差を3分前後に押さえ込んだ。
人数を減らしながら進む逃げ集団の中では、前半の3級山岳でヴィレッラが8ポイントを量産する。この日3つめの3級山岳を越えたところで逃げ集団の中からボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)とマキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)の2名がアタックして1分先行。しかしユンゲルスとモンフォールは残り65km地点で逃げ集団に引き戻された。
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そして迎えた最後の2級山岳ガルビ峠でレースは動く。ロット・ソウダルとクイックステップフロアーズはステージ優勝に向けて引き続き積極的に動き、今度はエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)とトーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル)が逃げ集団から飛び出す。ここにパウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)が追いつき、下り区間でサンチェスとアントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター)も追いついた。
2分後方のメイン集団ではトレック・セガフレードの攻撃が始まる。急勾配区間を前にピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)がペースを上げ、そこからアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が一気にアタック。総合挽回のために動いたコンタドールに反応できたのはマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、モビスター)、ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だけだった。
序盤から逃げに乗っていたヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)のアシストを得てコンタドールはハイスピード登坂を継続。急勾配区間を力強いダンシングでクリアしたコンタドールはエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)を含む追走集団を引き離すとともに逃げ集団の1分後方に迫った。
精鋭グループ内で2級山岳ガルビ峠をクリアしたヴァンガーデレンは下り区間で落車して脱落。コンタドールが積極的に牽引する精鋭グループはチャベスやニーバリを含む追走集団から20秒のリードを奪ったものの、完全には引き離せずに下り区間で集団は一つに戻る。こうして、総合2位ヴァンガーデレンや総合5位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)を欠いた約20名のメイン集団が再編成された。
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逃げグループとメイン集団のタイム差は残り20km地点で10秒以下に縮まったものの、諦めないマス、マルチンスキー、ポリャンスキーの3名が逃げを継続。メイン集団のペースが落ち着いたため逃げ3名のリードは逆に広がりを見せ、そのままサグントの街まで逃げ切った。
牽制を経て始まったスペイン人1名vsポーランド人2名によるスプリント。残り100mで最初に仕掛けたマスはライバルたちを引き離せず、スリップストリームから脱したマルチンスキーがポリャンスキーを押さえて勝利した。メイン集団は26秒差でフィニッシュラインを切り、デラクルスを含む追走集団は43秒遅れ。残り3km地点のラウンドアバウトで再び落車したヴァンガーデレンは46秒遅れでフィニッシュに辿り着いている。
「とてもクレイジーなステージだった」と振り返るのはステージ優勝を飾ったマルチンスキー。過去に3回ポーランドのナショナルチャンピオンに輝いている33歳は「目標とするステージ優勝にこんな早く手が届くとは。序盤から大きな逃げ集団が形成され、登りで人数を減らしていく展開で、最後は3名に絞られた。仮にフィニッシュで力が残ってなくてもいいから、絶対にライバルのアタックを封じ込めようと思っていた。逃げのチャンスを最大限生かせたと思う。完璧だった」と、自身初のグランツール勝利を喜んだ。
コンタドールが総合26位から23位に順位を上げた一方で、ヴァンガーデレンは総合2位から4位に、デラクルスは総合5位から6位に順位を下げている。マイヨロホを守ったフルームは「サンチェスが逃げに乗っていたのでチームスカイはスピードを緩めるわけにはいかず、終盤はアタックが頻発。ここまでで最も厳しいステージだった。エネルギーを使う本当にタフなステージだったけど、チームスカイにとっては良い1日だったと思う。今日はコンタドールがインプレッシブだった。この先も彼はアタックを止めないと確信している」とコメント。コンタドールのアタックの際にはチームメイトから孤立したが、危なげなくライバルたちの攻撃を防ぎきった。
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ステージ成績
1位 | トーマス・マルチンスキー(ポーランド、ロット・ソウダル) | 4:47:02 |
2位 | パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
4位 | ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) | 0:00:08 |
5位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
6位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 0:00:26 |
7位 | ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
8位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
9位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | |
10位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、オリカ・スコット) | |
12位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | |
13位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | |
15位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | |
17位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
18位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
21位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | |
22位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | |
25位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:00:43 |
28位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | |
44位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | 0:00:46 |
59位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:06:52 |
DNF | ジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) | |
DNF | ニコラス・ドゥーガル(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
敢闘賞 | エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 22:54:38 |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:00:11 |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | 0:00:13 |
4位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | 0:00:30 |
5位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:36 |
6位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | 0:00:40 |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:00:49 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:00:50 |
9位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:01:13 |
10位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:01:26 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 49pts |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 31pts |
3位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 29pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 38pts |
2位 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 12pts |
3位 | ルイス・マス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) | 11pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 12pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) | 28pts |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | 38pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 68:11:35 |
2位 | オリカ・スコット | 0:01:59 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:02:56 |
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