2017/08/18(金) - 12:11
赤いマイヨロホをめぐるトップレーサーの競演。ブエルタ・ア・エスパーニャを最後に引退するコンタドールやダブルツール狙いのフルームを中心に、バルデやニーバリ、アル、チャベス、マイカらが揃うマイヨロホ争いの注目選手をピックアップ。
ブエルタ総合リーダーの証 マイヨロホ(レッドジャージ)
レッドジャージを意味するマイヨロホはブエルタ・ア・エスパーニャ最高の栄誉。長年にわたって金色のマイヨオロが採用されていたが、2010年にツール・ド・フランス主催者のASOがブエルタ主催者Unipublicに資本参入を開始したことを受け、黄色いマイヨジョーヌとの混同を避けるためにスペインのナショナルカラーである赤色に変更された。
ツールのマイヨジョーヌ、ジロのマリアローザにあたる個人総合成績のリーダージャージであり、毎日のステージ成績を積算し、その最も少ない選手が翌日のステージでマイヨロホを着る。つまり最終日を終えた時点でマイヨロホを着ている選手がブエルタ総合優勝の栄冠に輝く。2013年からジャージスポンサーを務めるのは売り上げ世界2位のスーパーマーケットチェーン「カルフール」だ。
ボーナスタイムは2017年も健在。ブエルタではチームTTと個人TTを除く各ステージの上位3名(1位10秒、2位6秒、3位4秒)と中間スプリントポイント上位3名(1位3秒、2位2秒、3位1秒)にボーナスタイムが与えられるため、山頂フィニッシュで活躍する選手が加速度的に総合リードを広げるだろう。
引退戦のコンタドールとダブルツール狙いのフルーム、フレッシュなニーバリに注目
近年ブエルタには世界トップクラスのグランツールレーサーが集結している。その豪華さはツールをも上回るほどだ。2017年大会で最も大きな注目を集めているのは、このブエルタを最後に現役を引退するアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。34歳の「エル・ピストレロ」は2008年、2012年、2014年に総合優勝を飾っており、相性の良いブエルタで有終の美を飾りたいところ。7月のツールは総合9位だった。
コンタドールの前には再びクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が立ちはだかる。ツールで4度目の総合優勝を果たしたフルームは、過去にアンクティルとイノーしか果たしていないツールとブエルタのダブルツールを狙う。ブエルタが開催時期を4〜5月から8〜9月に移した1995年以降、ダブルツールを果たしている選手はいない。なお、コンタドールは2008年にジロとブエルタのダブルツールを達成している。
春のステージレースで精彩を欠きながら、ツールの後半にかけて調子を上げたフルームは好調のままブエルタに挑むと見られる。フルームは2011年、2014年、2016年のブエルタで総合2位フィニッシュ。山岳アシストとしてミケル・ニエベ(スペイン)やワウト・プールス(オランダ)、ディエゴ・ローザ(イタリア)を従えての出場で、ツールに続いてチーム力で山岳ステージを支配すると見られる。
2010年ブエルタの総合優勝者であるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はジロを総合3位で終え、ツールを欠場してこのブエルタに照準を合わせてきた。コンタドールとともに全グランツール総合優勝を果たしているニーバリはフルームと同じ32歳。ツールから連戦出場のライバルたちに対してニーバリの強みはそのフレッシュさだ。直前のツール・ド・ポローニュでは総合9位とまずまずの結果を残している。
2015年に総合優勝を果たしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)はツールからの連戦出場。膝の故障から復活したアルはツール後半にかけて調子を落としながらも総合5位。2016年ツール・ド・スイス総合優勝者の若いミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)とダブルエースを組むことになるだろう。
ツールでフルームとバトルを繰り広げて総合3位に入ったロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は、ツール以外のグランツールに初めて出場する。ツールで見せた登坂力をキープできれば総合上位に絡むことは十分に可能だ。
シーズン前半に低迷し、ツールでアシスト役に徹したエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は調子を上げてブエルタに挑むはず。2年連続ツールでヤングライダー賞を獲得したアダムとサイモンのイェーツ兄弟(イギリス)のバックアップを得て、チャベスは2016年の総合3位を上回る成績を狙う。
地元スペイン唯一のUCIワールドチームで、タイトル防衛がかかったモビスターはビッグエースを欠いた状態。ボルタ・ア・カタルーニャで総合3位に入った23歳のマルク・ソレール(スペイン)や、大ベテランで最多出場(10回目)のダニエル・モレーノ(スペイン)、そしてカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)らがキンタナやバルベルデに代わってエースを担う。
2015年ブエルタ総合3位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は、ツールを負傷リタイアしながらツール・ド・ポローニュで僅差の総合2位に。ツールの山岳王ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)はウィルコ・ケルデルマン(オランダ)らとともに総合上位を目指す。ジロ総合5位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)はブエルタ初出場。山岳ステージの比重が高いだけに、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)らクライマーたちにもチャンスがあるだろう。
ロットNLユンボはステフェン・クライスヴァイク(オランダ)とジョージ・ベネット(ニュージーランド)のダブルエース体制。BMCレーシングはサンチェスのドーピング違反疑惑で出鼻をくじかれながらもニコラス・ロッシュ(アイルランド)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)という強力な布陣を敷く。
ジロのヤングライダー賞1位ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)や、ツールのヤングライダー賞2位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)ら、若手の活躍にも期待したい。
text:Kei Tsuji
ブエルタ総合リーダーの証 マイヨロホ(レッドジャージ)
レッドジャージを意味するマイヨロホはブエルタ・ア・エスパーニャ最高の栄誉。長年にわたって金色のマイヨオロが採用されていたが、2010年にツール・ド・フランス主催者のASOがブエルタ主催者Unipublicに資本参入を開始したことを受け、黄色いマイヨジョーヌとの混同を避けるためにスペインのナショナルカラーである赤色に変更された。
ツールのマイヨジョーヌ、ジロのマリアローザにあたる個人総合成績のリーダージャージであり、毎日のステージ成績を積算し、その最も少ない選手が翌日のステージでマイヨロホを着る。つまり最終日を終えた時点でマイヨロホを着ている選手がブエルタ総合優勝の栄冠に輝く。2013年からジャージスポンサーを務めるのは売り上げ世界2位のスーパーマーケットチェーン「カルフール」だ。
ボーナスタイムは2017年も健在。ブエルタではチームTTと個人TTを除く各ステージの上位3名(1位10秒、2位6秒、3位4秒)と中間スプリントポイント上位3名(1位3秒、2位2秒、3位1秒)にボーナスタイムが与えられるため、山頂フィニッシュで活躍する選手が加速度的に総合リードを広げるだろう。
引退戦のコンタドールとダブルツール狙いのフルーム、フレッシュなニーバリに注目
近年ブエルタには世界トップクラスのグランツールレーサーが集結している。その豪華さはツールをも上回るほどだ。2017年大会で最も大きな注目を集めているのは、このブエルタを最後に現役を引退するアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)。34歳の「エル・ピストレロ」は2008年、2012年、2014年に総合優勝を飾っており、相性の良いブエルタで有終の美を飾りたいところ。7月のツールは総合9位だった。
コンタドールの前には再びクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が立ちはだかる。ツールで4度目の総合優勝を果たしたフルームは、過去にアンクティルとイノーしか果たしていないツールとブエルタのダブルツールを狙う。ブエルタが開催時期を4〜5月から8〜9月に移した1995年以降、ダブルツールを果たしている選手はいない。なお、コンタドールは2008年にジロとブエルタのダブルツールを達成している。
春のステージレースで精彩を欠きながら、ツールの後半にかけて調子を上げたフルームは好調のままブエルタに挑むと見られる。フルームは2011年、2014年、2016年のブエルタで総合2位フィニッシュ。山岳アシストとしてミケル・ニエベ(スペイン)やワウト・プールス(オランダ)、ディエゴ・ローザ(イタリア)を従えての出場で、ツールに続いてチーム力で山岳ステージを支配すると見られる。
2010年ブエルタの総合優勝者であるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はジロを総合3位で終え、ツールを欠場してこのブエルタに照準を合わせてきた。コンタドールとともに全グランツール総合優勝を果たしているニーバリはフルームと同じ32歳。ツールから連戦出場のライバルたちに対してニーバリの強みはそのフレッシュさだ。直前のツール・ド・ポローニュでは総合9位とまずまずの結果を残している。
2015年に総合優勝を果たしたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)はツールからの連戦出場。膝の故障から復活したアルはツール後半にかけて調子を落としながらも総合5位。2016年ツール・ド・スイス総合優勝者の若いミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)とダブルエースを組むことになるだろう。
ツールでフルームとバトルを繰り広げて総合3位に入ったロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は、ツール以外のグランツールに初めて出場する。ツールで見せた登坂力をキープできれば総合上位に絡むことは十分に可能だ。
シーズン前半に低迷し、ツールでアシスト役に徹したエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は調子を上げてブエルタに挑むはず。2年連続ツールでヤングライダー賞を獲得したアダムとサイモンのイェーツ兄弟(イギリス)のバックアップを得て、チャベスは2016年の総合3位を上回る成績を狙う。
地元スペイン唯一のUCIワールドチームで、タイトル防衛がかかったモビスターはビッグエースを欠いた状態。ボルタ・ア・カタルーニャで総合3位に入った23歳のマルク・ソレール(スペイン)や、大ベテランで最多出場(10回目)のダニエル・モレーノ(スペイン)、そしてカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)らがキンタナやバルベルデに代わってエースを担う。
2015年ブエルタ総合3位のラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は、ツールを負傷リタイアしながらツール・ド・ポローニュで僅差の総合2位に。ツールの山岳王ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)はウィルコ・ケルデルマン(オランダ)らとともに総合上位を目指す。ジロ総合5位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)はブエルタ初出場。山岳ステージの比重が高いだけに、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)らクライマーたちにもチャンスがあるだろう。
ロットNLユンボはステフェン・クライスヴァイク(オランダ)とジョージ・ベネット(ニュージーランド)のダブルエース体制。BMCレーシングはサンチェスのドーピング違反疑惑で出鼻をくじかれながらもニコラス・ロッシュ(アイルランド)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)という強力な布陣を敷く。
ジロのヤングライダー賞1位ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)や、ツールのヤングライダー賞2位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)ら、若手の活躍にも期待したい。
text:Kei Tsuji
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