2017/05/19(金) - 15:14
ジロ史上初めてアウトストラーダ(高速道路)が組み込まれた第12ステージ。だからと言って特に変わったことは起こらなかった。相変わらず好天続きで、コロンビア勢の勢いが続く。
今年のジロは天気が良い。ここまでの2週間、レインジャケットを必要とした日はゼロ。個人的には洗濯物がよく変わるので嬉しい一方、ポプラなどの花粉の飛散が激しいので一長一短だ。なお、2週目までに天気の運を使い果たしたのか、最終週は天気が下り坂になるという予報が出ている。
この日の朝、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)が宿泊ホテルに置いてけぼりを食らうという珍しい事態が起こった。ゲシュケは「誰かジロのスタートまで連れて行ってくれる人を募集中。チームバスが僕を忘れて出発してしまった」というコメントとともに、親指を立ててヒッチハイクを試みる写真をツイートした。連絡を受けたチームバスが10分後に引き返して事なきを得たが、その後ゲシュケは出走サインを忘れるというミスを犯している。
連日ジロ特集ページを組んでいるガゼッタ紙はこの日、元モトGP王者ニッキー・ヘイデンが5月17日のサイクリング中に対向車と衝突し、深刻な脳損傷を負った事を伝えた。事故の発生場所は現在ジロが訪れているエミリアロマーニャ州のリミニで、ヘイデンは第12ステージのスタート地点フォルリから15kmほどしか離れていないチェゼーナの病院の集中治療室に入っているという。種目は違えど、ジロに出場している選手からもヘイデンの回復を願うコメントが相次いだ。
イタリア北部のエミリアロマーニャ州とイタリア中部トスカーナ州の間にはアペニン山脈が横たわっている。例えばミラノからローマまで向かうにはこのアペニン山脈を越えなければならず、勾配のある主要アウトストラーダ(高速道路)のA1は長年渋滞のボトルネックになっていた。
慢性的な渋滞を解消すべく、ジロの大会スポンサーでもあるアウトストラーデ・ペル・リターリア社は2015年12月に長いトンネルをふんだんに使った新しいA1を開通させた。標高731mの峠(この日の3級山岳)を通過する従来のA1よりも標高にして226m低く、直線的で、もちろん勾配が緩いため大型トレーラーもスピードを落とさずクリアでき、全体の所要時間は従来比で30%短縮された。
従来のA1は閉鎖されることなくA1パノラミカとして併用されている。主催者はこのA1パノラミカを朝7時半から17時半まで交通規制し、ジロの通過を実現させた。日本で例えるならば、新東名が開通したので東名を規制してジロを通過させたような感じ。これまで緊急の迂回路としてアウトストラーダを通過したことはあるが、正式なコースとして組み込まれたのは今回が初めてのこと。
まあ、現実的なことを言うと、高速道路を走ったからレースに影響が出るわけでもないし、パノラミカ(景色が良い)と言う名前の割には景色が良くもなく、観客がゼロなので盛り上がりに欠けた。デュムランも「別に何かがあるわけではなく、単に幅の広い道だった」とすんなり言ってしまうほど、普通の道だった。
229kmの平均スピードは43.083km/h。選手たちは残り10kmの平坦路を平均スピード59km/hで駆け抜けている。そんなハイスピードな集団の先頭に立ち、そこからさらに加速しなければ勝負にならない。スプリント中のデータを見ると、ステージ3位のベネットは最大996W(5秒間920W)、ステージ7位のモードロは最大1,059W(5秒間992W)、ステージ8位のグライペルにいたっては最大1,619W(5秒間1,212W)というずば抜けた数字を叩き出したが、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)のハットトリックは阻止できなかった。
ガビリアはジロ1大会でステージ3勝を飾った初めてのコロンビア人選手となった。もしもう1勝することができれば、2001年のブエルタ・ア・エスパーニャでサンティアゴ・ボテーロが作ったグランツール1大会でステージ4勝という記録に並ぶ。この日もフィニッシュ地点に駆けつけた家族とともに抱き合い、表彰台の裏で賑やかに友人たちと勝利を祝福した。
ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)のステージ2位はイタリアにとって唯一の好材料。再三お伝えしている通りイタリア人選手はステージ優勝に見放されていて、最後のステージ優勝は2016年大会の第19ステージ(5月27日)のニーバリまで遡る。つまりここまで14ステージ連続でイタリア人選手の優勝は無し。この日、ステージ優勝の不名誉な歴代最長空白記録を更新してしまった。
text&photo:Kei Tsuji in Reggio Emilia, Italy
今年のジロは天気が良い。ここまでの2週間、レインジャケットを必要とした日はゼロ。個人的には洗濯物がよく変わるので嬉しい一方、ポプラなどの花粉の飛散が激しいので一長一短だ。なお、2週目までに天気の運を使い果たしたのか、最終週は天気が下り坂になるという予報が出ている。
この日の朝、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、サンウェブ)が宿泊ホテルに置いてけぼりを食らうという珍しい事態が起こった。ゲシュケは「誰かジロのスタートまで連れて行ってくれる人を募集中。チームバスが僕を忘れて出発してしまった」というコメントとともに、親指を立ててヒッチハイクを試みる写真をツイートした。連絡を受けたチームバスが10分後に引き返して事なきを得たが、その後ゲシュケは出走サインを忘れるというミスを犯している。
連日ジロ特集ページを組んでいるガゼッタ紙はこの日、元モトGP王者ニッキー・ヘイデンが5月17日のサイクリング中に対向車と衝突し、深刻な脳損傷を負った事を伝えた。事故の発生場所は現在ジロが訪れているエミリアロマーニャ州のリミニで、ヘイデンは第12ステージのスタート地点フォルリから15kmほどしか離れていないチェゼーナの病院の集中治療室に入っているという。種目は違えど、ジロに出場している選手からもヘイデンの回復を願うコメントが相次いだ。
イタリア北部のエミリアロマーニャ州とイタリア中部トスカーナ州の間にはアペニン山脈が横たわっている。例えばミラノからローマまで向かうにはこのアペニン山脈を越えなければならず、勾配のある主要アウトストラーダ(高速道路)のA1は長年渋滞のボトルネックになっていた。
慢性的な渋滞を解消すべく、ジロの大会スポンサーでもあるアウトストラーデ・ペル・リターリア社は2015年12月に長いトンネルをふんだんに使った新しいA1を開通させた。標高731mの峠(この日の3級山岳)を通過する従来のA1よりも標高にして226m低く、直線的で、もちろん勾配が緩いため大型トレーラーもスピードを落とさずクリアでき、全体の所要時間は従来比で30%短縮された。
従来のA1は閉鎖されることなくA1パノラミカとして併用されている。主催者はこのA1パノラミカを朝7時半から17時半まで交通規制し、ジロの通過を実現させた。日本で例えるならば、新東名が開通したので東名を規制してジロを通過させたような感じ。これまで緊急の迂回路としてアウトストラーダを通過したことはあるが、正式なコースとして組み込まれたのは今回が初めてのこと。
まあ、現実的なことを言うと、高速道路を走ったからレースに影響が出るわけでもないし、パノラミカ(景色が良い)と言う名前の割には景色が良くもなく、観客がゼロなので盛り上がりに欠けた。デュムランも「別に何かがあるわけではなく、単に幅の広い道だった」とすんなり言ってしまうほど、普通の道だった。
229kmの平均スピードは43.083km/h。選手たちは残り10kmの平坦路を平均スピード59km/hで駆け抜けている。そんなハイスピードな集団の先頭に立ち、そこからさらに加速しなければ勝負にならない。スプリント中のデータを見ると、ステージ3位のベネットは最大996W(5秒間920W)、ステージ7位のモードロは最大1,059W(5秒間992W)、ステージ8位のグライペルにいたっては最大1,619W(5秒間1,212W)というずば抜けた数字を叩き出したが、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)のハットトリックは阻止できなかった。
ガビリアはジロ1大会でステージ3勝を飾った初めてのコロンビア人選手となった。もしもう1勝することができれば、2001年のブエルタ・ア・エスパーニャでサンティアゴ・ボテーロが作ったグランツール1大会でステージ4勝という記録に並ぶ。この日もフィニッシュ地点に駆けつけた家族とともに抱き合い、表彰台の裏で賑やかに友人たちと勝利を祝福した。
ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)のステージ2位はイタリアにとって唯一の好材料。再三お伝えしている通りイタリア人選手はステージ優勝に見放されていて、最後のステージ優勝は2016年大会の第19ステージ(5月27日)のニーバリまで遡る。つまりここまで14ステージ連続でイタリア人選手の優勝は無し。この日、ステージ優勝の不名誉な歴代最長空白記録を更新してしまった。
text&photo:Kei Tsuji in Reggio Emilia, Italy
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