2017/02/12(日) - 22:27
まさにその走りは世界基準。中盤でアタックしたスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームバイG4)が男子エリートレースで圧勝。日本人として気を吐いた竹之内悠(東洋フレーム)は3位に食い込んだ。
大観衆が集う中開催された男子エリート。1周目から先頭に立つスティーブ・シェネル(Cross Team by G4) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子 スタート前にリラックスした表情を見せるスティーブ・シェネル(Cross Team by G4) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子スタート photo:Makoto.AYANO
エリート男子 積極的にレースをリードする竹之内悠(東洋フレーム) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子 オーストラリアチャンピオンのクリス・ジョンジェワード(Flanders-Nemisis) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
先頭を奪い返した竹之内悠(TOYOフレーム) photo:Makoto.AYANO
エリート男子 竹之内と先頭を走るスティーブ・シェネル(Cross Team by G4) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com東京の一大観光地、お台場の海岸沿いを舞台にしたシクロクロス東京も今年で6年目。シーズン最終盤のビッグレースとして確固たる地位を築いたシクロクロス東京の最終レースとして男子エリートレースが開催され、その異次元の走りに主催者発表2万人という過去最大人数の観客が湧くことになる。
エリート男子のレース時間は60分。国内外の招待選手とJCXランキングで上位につける選手を合わせた37名が13時40分、号砲と共にお台場の砂浜へ弾けるように飛び出した。
好スタートを切ったのは、最前列右側に並んだスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームバイG4)やオーストラリアナショナルチャンピオンのクリス・ジョンジェワード(オーストラリア、フランダース・ネミシス)。これにダッシュを決めた2列目スタートの竹之内悠(東洋フレーム)が続く。
第1コーナーの落車を回避し先頭をひた走るシェネルだったが、長い砂浜区間のラインが変わっていたことを受けてか走りが安定せず、合流した竹之内が先頭に。ここにジョンジェワードと昨年大会で勝利したジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)、アンソニー・クラーク(アメリカ、スクウィッドバイクス)も加わり、2周目までは先頭が入れ替わる展開で推移した。
すると3周目、パワフルな走りのジョンジェワードと砂の処理に長ける竹之内、そしてシェネルの3名がやや抜け出し、パワーズとクラークとの距離を開けていく。特に「攻めるだけ攻めて日本人としての威厳を見せたかった」と言う竹之内のサンドセクションの走りは巧みで、そのペースにまずはジョンジェワードが遅れた。
シェネルと竹之内を先頭に進む中、全日本王者の沢田時(ブリヂストンアンカー)や、スタート直後の混乱に巻き込まれた小坂光(宇都宮ブリッツェン)はその後ろから追走する展開に。若手で唯一気を吐いたのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)で、クラークやケリー・ワーナー(アメリカ、コナエンデュランスチーム)らと絡みながらレースを進めていく。
そんな中、「4周目のテクニカル(林間)セクションで勝負をかけようと決め、アタックした」というシェネルのダッシュが決まる。竹之内を突き放してプッシュを続け、次の5周回目には今大会の出場選手中最速ラップとなる5分25秒をマークする。この加速でレースを大きく自分有利に傾けた。
エリート男子 独走するスティーブ・シェネル(Cross Team by G4) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子 2番手パックを形成するジェレミー・パワーズ(ASPIRE RACING)と竹之内悠(東洋フレーム) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子 4番手を走るクリス・ジョンジェワード(Flanders-Nemisis) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
エリート男子 全日本チャンピオンの沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
インパクトのあるジャージで走るアンソニー・クラーク(Squid Bikes) photo:Makoto.AYANO
エリート男子を制したスティーブ・シェネル(クロスチームバイG4) photo:Makoto.AYANO
エリート男子 健闘を称え合う竹之内悠(東洋フレーム)とジェレミー・パワーズ(ASPIRE RACING) photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com遅れた竹之内にはパワーズが合流し、付かず離れずの感覚で数十秒先のシェネルを追いかける展開に。ジッパーを大きく開けて走る竹之内はこの時を「彼の持っている引き出しを使わせてもらおうと、キツいながらも後ろから観察させてもらっていた」と振り返っている。5秒ほどを空けたジョンジェワードも追走を試みたが、やや砂の処理に苦戦して水を空けられてしまう。
一方先頭をひた走るシェネルの走りは際立っていた。2位グループに対して1周あたり5〜10秒速いラップタイムを刻み、周回数は同じ60分間レースながら昨日のC1よりも2周多い計11周に。残り2周回の砂浜区間ではラインをミスした竹之内をパワーズがパスし、およそ10秒のリードを得て最終周回のコールを受けた。
そしてシェネルは大観衆の声援を受けながら、最後はややペースを落としてフィニッシュ。前プログラムの女子エリートで勝利した妻ルーシーと共に、夫婦でシクロクロス東京の男女エリートレース両制覇を成し遂げた。
今シーズン、アメリカで行われたCXCカップにてテレネット・フィデア勢を一網打尽にする勝利でシーズンインを飾ったシェネルは、同じく海外(=日本)でのシーズン最終戦勝利を「本当にハッピー。最高の気分だよ」と喜ぶ。「このコースのサンドセクションは非常に厳しいものだが、フィジカルコンディションが良ければ問題ない」と語った。
昨年から1つポジションを落としたパワーズだが、「スティーブの後ろでフィニッシュできたので満足」と清々しい笑顔で表彰台に登壇。「ユウ(竹之内)とのバトルは楽しかったね。シーズン最後のレースを大好きなシクロクロス東京のポディウムで締めくくれて嬉しい。日本のことが大好きで、いつも日本で経験することは最高なんだ。最高のレースに、皆の笑顔。またこのシクロクロス東京に必ず戻ってくるよ」
2年連続の3位となった竹之内も、レース後は晴れやかな表情でインタビューに応えていたのが印象的だった。「観客の皆さんの声援が力になりました。それがなかったらここまで走れなかった」、とも。「多くのファンの前で良い走りができたので嬉しいです。日本人として(沢田)時や(小坂)光、僕が良い走りを見せなければいけないと感じていたのですが、今日は僕の番でしたね」。
4位には粘りの走りでプッシュを続けたジョンジェワードが入り、次いで前田、6位にワーナー。7位は力強いランニングで印象を残したクラーク。シェネルが刻んだハイペースにより、この日最終的なフルラップ達成者は10位に入った丸山厚(BOMA)までとなった。
エリート男子表彰台 photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
JCX年間シリーズランキング表彰台 photo:Kei Tsuji / www.cyclocrosstokyo.com
シクロクロス東京2017男子エリートレース結果
1位 スティーブ・シェネル(フランス、クロスチームバイG4) 1h03’51”
2位 ジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング) +52”
3位 竹之内悠(東洋フレーム) +1’10”
4位 クリス・ジョンジェワード(オーストラリア、フランダース・ネミシス) +1’45”
5位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2’36”
6位 ケリー・ワーナー(アメリカ、コナエンデュランスチーム) +3’03”
7位 アンソニー・クラーク(アメリカ、スクウィッドバイクス) +3’55”
8位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +4’10”
9位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +5’02”
10位 丸山厚(BOMA) +6’02”
text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji,Makoto.Ayano
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エリート男子のレース時間は60分。国内外の招待選手とJCXランキングで上位につける選手を合わせた37名が13時40分、号砲と共にお台場の砂浜へ弾けるように飛び出した。
好スタートを切ったのは、最前列右側に並んだスティーブ・シェネル(フランス、クロスチームバイG4)やオーストラリアナショナルチャンピオンのクリス・ジョンジェワード(オーストラリア、フランダース・ネミシス)。これにダッシュを決めた2列目スタートの竹之内悠(東洋フレーム)が続く。
第1コーナーの落車を回避し先頭をひた走るシェネルだったが、長い砂浜区間のラインが変わっていたことを受けてか走りが安定せず、合流した竹之内が先頭に。ここにジョンジェワードと昨年大会で勝利したジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)、アンソニー・クラーク(アメリカ、スクウィッドバイクス)も加わり、2周目までは先頭が入れ替わる展開で推移した。
すると3周目、パワフルな走りのジョンジェワードと砂の処理に長ける竹之内、そしてシェネルの3名がやや抜け出し、パワーズとクラークとの距離を開けていく。特に「攻めるだけ攻めて日本人としての威厳を見せたかった」と言う竹之内のサンドセクションの走りは巧みで、そのペースにまずはジョンジェワードが遅れた。
シェネルと竹之内を先頭に進む中、全日本王者の沢田時(ブリヂストンアンカー)や、スタート直後の混乱に巻き込まれた小坂光(宇都宮ブリッツェン)はその後ろから追走する展開に。若手で唯一気を吐いたのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)で、クラークやケリー・ワーナー(アメリカ、コナエンデュランスチーム)らと絡みながらレースを進めていく。
そんな中、「4周目のテクニカル(林間)セクションで勝負をかけようと決め、アタックした」というシェネルのダッシュが決まる。竹之内を突き放してプッシュを続け、次の5周回目には今大会の出場選手中最速ラップとなる5分25秒をマークする。この加速でレースを大きく自分有利に傾けた。
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一方先頭をひた走るシェネルの走りは際立っていた。2位グループに対して1周あたり5〜10秒速いラップタイムを刻み、周回数は同じ60分間レースながら昨日のC1よりも2周多い計11周に。残り2周回の砂浜区間ではラインをミスした竹之内をパワーズがパスし、およそ10秒のリードを得て最終周回のコールを受けた。
そしてシェネルは大観衆の声援を受けながら、最後はややペースを落としてフィニッシュ。前プログラムの女子エリートで勝利した妻ルーシーと共に、夫婦でシクロクロス東京の男女エリートレース両制覇を成し遂げた。
今シーズン、アメリカで行われたCXCカップにてテレネット・フィデア勢を一網打尽にする勝利でシーズンインを飾ったシェネルは、同じく海外(=日本)でのシーズン最終戦勝利を「本当にハッピー。最高の気分だよ」と喜ぶ。「このコースのサンドセクションは非常に厳しいものだが、フィジカルコンディションが良ければ問題ない」と語った。
昨年から1つポジションを落としたパワーズだが、「スティーブの後ろでフィニッシュできたので満足」と清々しい笑顔で表彰台に登壇。「ユウ(竹之内)とのバトルは楽しかったね。シーズン最後のレースを大好きなシクロクロス東京のポディウムで締めくくれて嬉しい。日本のことが大好きで、いつも日本で経験することは最高なんだ。最高のレースに、皆の笑顔。またこのシクロクロス東京に必ず戻ってくるよ」
2年連続の3位となった竹之内も、レース後は晴れやかな表情でインタビューに応えていたのが印象的だった。「観客の皆さんの声援が力になりました。それがなかったらここまで走れなかった」、とも。「多くのファンの前で良い走りができたので嬉しいです。日本人として(沢田)時や(小坂)光、僕が良い走りを見せなければいけないと感じていたのですが、今日は僕の番でしたね」。
4位には粘りの走りでプッシュを続けたジョンジェワードが入り、次いで前田、6位にワーナー。7位は力強いランニングで印象を残したクラーク。シェネルが刻んだハイペースにより、この日最終的なフルラップ達成者は10位に入った丸山厚(BOMA)までとなった。
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シクロクロス東京2017男子エリートレース結果
1位 スティーブ・シェネル(フランス、クロスチームバイG4) 1h03’51”
2位 ジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング) +52”
3位 竹之内悠(東洋フレーム) +1’10”
4位 クリス・ジョンジェワード(オーストラリア、フランダース・ネミシス) +1’45”
5位 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2’36”
6位 ケリー・ワーナー(アメリカ、コナエンデュランスチーム) +3’03”
7位 アンソニー・クラーク(アメリカ、スクウィッドバイクス) +3’55”
8位 沢田時(ブリヂストンアンカー) +4’10”
9位 小坂光(宇都宮ブリッツェン) +5’02”
10位 丸山厚(BOMA) +6’02”
text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji,Makoto.Ayano
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