2017/01/09(月) - 05:48
全日本選手権も終了し、2016年の後半戦に入った年末はクリスマスの12月25日に東北シクロクロス第2戦郡山ラウンドが行われた。C1クラスは鈴木龍(ブリヂストンアンカー)が制した。
当日に関西シクロクロス(JCX戦)烏丸半島が行われたこともあり参加者の確保も心配されたが、結果的にはC3/4カテゴリー中心に第1戦さがえラウンドと同等の146名のエントリーがあった。
会場の郡山市大槻公園は体育館や児童遊具、林間バーベキュー場などのある多目的施設で、そのグラウンドと周辺林間エリア等を使って2.5kmのコース設定で行われた。晴れていても時折雪が散らつき、昼頃から安達太良山からの寒風も吹くようになった。
コース状況はグランド内の水はけが悪く、ウエットでやや粘土分が多い感じ。ただ深くはないのでラインを外さなければさほど影響を受けない様だった。最近のトレンドに沿って全体は直線部を組み合わせた高速コースセットだが、南の遊具エリアの土手と北の林間バーベキュー場エリアではいくつものキャンバーが選手を待ち受ける。特にバーベキュー場エリアは キャンバーに加えアンギュレーションのきついアップダウン。微妙な杭セットなどコースマップには浮かんで来ない菅田オーガナイザー的スパイスの効いた部分になった。
カテゴリー1は12名という少ないエントラントでの争いとなったが、仙台出身の鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)や福島出身の窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)等、シーズン中は海外のロードレースで活躍する選手が参加。それを東北シリーズ常連選手が迎え撃つ形が整い見応えのあるレースとなった。
展開は序盤から鈴木龍と山田大介(PAXPROJECT)の1位争い。そしてその後方では窪木一茂と齋藤拓真(Team GARNEAU CHAINRING)の
3位争いと、地元のファンには嬉しいドッグファイトが繰り広げられた。
鈴木がメイクし8周回となったレースの5周目。パック先頭に出て山田との間合いを見ていた鈴木はそこから更にブーストを上げストレートではTTポジションをとる別次元の速度域で引き離しに入り、30秒以上のアドバンテージを保って周回を続け優勝した。
山田は2位。先日の全日本シクロクロスでは山田に前を獲られた鈴木は、そのお返しもできたようだ。3位争いも何度か入れ替わりながら最後に最終コーナーを先に回ってきたのは斎藤。そのまま窪木を振り切ってフィニッシュし、ポディウムを得る。
今季CCM白樺湖ステージの優勝でC1に昇格した窪木は「正月3日からチームとイタリアで合流するので これが今シーズン最後のシクロクロスレース。しかしシクロクロスは本当にいいトレーニングになりますね。ここのコース、キツいし参ったよ!」とレース後語った。
プログラム最初のレースはもっとも多くの65名のエントラントを集めたC3。AとBの2グループに分けられ行われたが、C3Aは後続を絶って本多拓貴(F(t)麒麟山Racing)が優勝。次のC3Bではかつて宇都宮BLITZENに所属し、現在は引退した中村誠(HONDA栃木)が、全日本の前日に宇都宮で行われたJCX選手権に続いて参戦。C2でも上位に喰いこめそうなタイムで独走優勝した。
「1周目に様子を見ながら、とにかく前に出られたのでそこからスパートをかけた。願い通り優勝しC2への昇格ができて良かった。このレベル、まずはフィジカルが重要だと考え重点的にやってきた。そして技術面は宇都宮のレース仲間たちの練習に入れてもらい吸収してきた。実は林間エリアでは何度か落車したんです。何もなかった様な顔をしているけどね!(笑)」と中村。シクロクロスに夢中のようだ。
そして15名がスタートしたCM1。ホールショットを取った江川嘉宏(PEDAL NATION)と須藤大輔(VOLCAオードビーBOMA・UVEX)、続いて宇野一成(茨城CXracingteam)、坂田智徳(あぶくまサイクリングクラブ)らがパックで林間ゾーンに入るが、須藤はひとりリードを奪うとそのまま最終周回まで差を拡げながらフィニッシュラインを超え、前回のさがえラウンドに続き、東北シリーズ2戦続けての優勝となった。2位は小堺猛弘 (taiki☆works)、3位は坂田 智徳(あぶくまサイクリングクラブ)。
19名出走のC2では 今年欧州へ留学すると言われる 渡邉歩(EQADS)がローディーらしい切れのいい走りを見せてくれた。そしてその渡邉や久保田冬吾(東北学院大学自転車競技部CX班)等と三つ巴のレースを繰り広げたホストチームの積田連(Team GARNEAU CHAINRIHG)が、久保田にトップを奪われ入った最終5周回目、再び逆転して最終コーナーに現れ、優勝。会場を沸かせた。2位に久保田、3位 に渡邉。
C2と同時に行われた女子はCL1が3名、CL2が2名という「西高東低」と言われるシクロクロスとしてもかなり寂しいレースに。エントラントの少なさからCL1/CL2での混走という形になった。
CL1は須藤むつみ(Ready Go JAPAN)がレースを終始リード。独走のまま淡々と、しかし十分なマージンを得たあともタイムを下げることなくラップを刻み、フィニッシュ。M1で優勝した須藤大輔とともに夫婦で優勝となった。2位は宮崎優花(Team GARNEAU CHAINRING)。
そして須藤と絡んでいたものの2周目に前輪パンクで後退した高橋織江(PEDAL NATION)が、2分近かった宮崎とのギャップをフィニッシュでは6秒差までに詰めて3位に。
CL2は先日のデビュー戦JCX選手権女子クラスで優勝した新川明子(ブラウブリッツェン)がCL1の須藤を追うラップタイムで再び優勝。ただ出走人数が規定の6名に満たないため、CL1への昇格は無い。ロードレースも活躍する新川、シクロクロスのトップカテゴリーでの活躍も期待したい。2位には村上佳子(PAXPROJECT)。
ところで、今季の東北シクロクロスシリーズのウェアスポンサーとなったのがツール・ド・ランカウイ等のスポンサーも務めるマレーシアのシクリスタ社。そのCEOのShahirudeen Seeni Mohamad氏が、前日の成田着で郡山までレースの視察に来ていた。熱帯のマレーシアからいきなり冬の寒い東北でびっくりしたことと思うが、お話を伺った。
「マレーシアでは ロードレースやトラックレースは認知度もあるが、シクロクロスは誰も知らない。今日来て観て、大変面白くエキサイティングな競技だとわかったので、マレーシアでも機会を作って広めていきたいと思う」と語ってくれた。
最後に大会オーガナイザー 菅田氏のコメントを紹介しよう。
「昨シーズンに続き2回目の開催となった郡山ラウンドですが、基本平坦基調ながら土手のアップダウンや山の斜面を使った階段セクションからのダウンヒル区間など、コースのバリエーションが豊富なコースで参加者からも好評を頂いています。今年からチャンピオンジャージスポンサーをして頂いているシクリスタ社の社長も来日してシリーズチャンピオンとは別に今回の全カテゴリーの優勝者へチャンピオンジャージの贈呈もして頂き、大会を盛り上げて頂きました。
また、地元のサイクリストやチームの方にもスタッフとして協力して頂き、非常に良い雰囲気で開催できました。 ここ郡山ラウンドはクリスマスクロスとして定着させたいと思っており、来シーズンも12/24に開催予定です。」
photo&text:Masakazu.Abe/TOHOKU CX
当日に関西シクロクロス(JCX戦)烏丸半島が行われたこともあり参加者の確保も心配されたが、結果的にはC3/4カテゴリー中心に第1戦さがえラウンドと同等の146名のエントリーがあった。
会場の郡山市大槻公園は体育館や児童遊具、林間バーベキュー場などのある多目的施設で、そのグラウンドと周辺林間エリア等を使って2.5kmのコース設定で行われた。晴れていても時折雪が散らつき、昼頃から安達太良山からの寒風も吹くようになった。
コース状況はグランド内の水はけが悪く、ウエットでやや粘土分が多い感じ。ただ深くはないのでラインを外さなければさほど影響を受けない様だった。最近のトレンドに沿って全体は直線部を組み合わせた高速コースセットだが、南の遊具エリアの土手と北の林間バーベキュー場エリアではいくつものキャンバーが選手を待ち受ける。特にバーベキュー場エリアは キャンバーに加えアンギュレーションのきついアップダウン。微妙な杭セットなどコースマップには浮かんで来ない菅田オーガナイザー的スパイスの効いた部分になった。
カテゴリー1は12名という少ないエントラントでの争いとなったが、仙台出身の鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)や福島出身の窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)等、シーズン中は海外のロードレースで活躍する選手が参加。それを東北シリーズ常連選手が迎え撃つ形が整い見応えのあるレースとなった。
展開は序盤から鈴木龍と山田大介(PAXPROJECT)の1位争い。そしてその後方では窪木一茂と齋藤拓真(Team GARNEAU CHAINRING)の
3位争いと、地元のファンには嬉しいドッグファイトが繰り広げられた。
鈴木がメイクし8周回となったレースの5周目。パック先頭に出て山田との間合いを見ていた鈴木はそこから更にブーストを上げストレートではTTポジションをとる別次元の速度域で引き離しに入り、30秒以上のアドバンテージを保って周回を続け優勝した。
山田は2位。先日の全日本シクロクロスでは山田に前を獲られた鈴木は、そのお返しもできたようだ。3位争いも何度か入れ替わりながら最後に最終コーナーを先に回ってきたのは斎藤。そのまま窪木を振り切ってフィニッシュし、ポディウムを得る。
今季CCM白樺湖ステージの優勝でC1に昇格した窪木は「正月3日からチームとイタリアで合流するので これが今シーズン最後のシクロクロスレース。しかしシクロクロスは本当にいいトレーニングになりますね。ここのコース、キツいし参ったよ!」とレース後語った。
プログラム最初のレースはもっとも多くの65名のエントラントを集めたC3。AとBの2グループに分けられ行われたが、C3Aは後続を絶って本多拓貴(F(t)麒麟山Racing)が優勝。次のC3Bではかつて宇都宮BLITZENに所属し、現在は引退した中村誠(HONDA栃木)が、全日本の前日に宇都宮で行われたJCX選手権に続いて参戦。C2でも上位に喰いこめそうなタイムで独走優勝した。
「1周目に様子を見ながら、とにかく前に出られたのでそこからスパートをかけた。願い通り優勝しC2への昇格ができて良かった。このレベル、まずはフィジカルが重要だと考え重点的にやってきた。そして技術面は宇都宮のレース仲間たちの練習に入れてもらい吸収してきた。実は林間エリアでは何度か落車したんです。何もなかった様な顔をしているけどね!(笑)」と中村。シクロクロスに夢中のようだ。
そして15名がスタートしたCM1。ホールショットを取った江川嘉宏(PEDAL NATION)と須藤大輔(VOLCAオードビーBOMA・UVEX)、続いて宇野一成(茨城CXracingteam)、坂田智徳(あぶくまサイクリングクラブ)らがパックで林間ゾーンに入るが、須藤はひとりリードを奪うとそのまま最終周回まで差を拡げながらフィニッシュラインを超え、前回のさがえラウンドに続き、東北シリーズ2戦続けての優勝となった。2位は小堺猛弘 (taiki☆works)、3位は坂田 智徳(あぶくまサイクリングクラブ)。
19名出走のC2では 今年欧州へ留学すると言われる 渡邉歩(EQADS)がローディーらしい切れのいい走りを見せてくれた。そしてその渡邉や久保田冬吾(東北学院大学自転車競技部CX班)等と三つ巴のレースを繰り広げたホストチームの積田連(Team GARNEAU CHAINRIHG)が、久保田にトップを奪われ入った最終5周回目、再び逆転して最終コーナーに現れ、優勝。会場を沸かせた。2位に久保田、3位 に渡邉。
C2と同時に行われた女子はCL1が3名、CL2が2名という「西高東低」と言われるシクロクロスとしてもかなり寂しいレースに。エントラントの少なさからCL1/CL2での混走という形になった。
CL1は須藤むつみ(Ready Go JAPAN)がレースを終始リード。独走のまま淡々と、しかし十分なマージンを得たあともタイムを下げることなくラップを刻み、フィニッシュ。M1で優勝した須藤大輔とともに夫婦で優勝となった。2位は宮崎優花(Team GARNEAU CHAINRING)。
そして須藤と絡んでいたものの2周目に前輪パンクで後退した高橋織江(PEDAL NATION)が、2分近かった宮崎とのギャップをフィニッシュでは6秒差までに詰めて3位に。
CL2は先日のデビュー戦JCX選手権女子クラスで優勝した新川明子(ブラウブリッツェン)がCL1の須藤を追うラップタイムで再び優勝。ただ出走人数が規定の6名に満たないため、CL1への昇格は無い。ロードレースも活躍する新川、シクロクロスのトップカテゴリーでの活躍も期待したい。2位には村上佳子(PAXPROJECT)。
ところで、今季の東北シクロクロスシリーズのウェアスポンサーとなったのがツール・ド・ランカウイ等のスポンサーも務めるマレーシアのシクリスタ社。そのCEOのShahirudeen Seeni Mohamad氏が、前日の成田着で郡山までレースの視察に来ていた。熱帯のマレーシアからいきなり冬の寒い東北でびっくりしたことと思うが、お話を伺った。
「マレーシアでは ロードレースやトラックレースは認知度もあるが、シクロクロスは誰も知らない。今日来て観て、大変面白くエキサイティングな競技だとわかったので、マレーシアでも機会を作って広めていきたいと思う」と語ってくれた。
最後に大会オーガナイザー 菅田氏のコメントを紹介しよう。
「昨シーズンに続き2回目の開催となった郡山ラウンドですが、基本平坦基調ながら土手のアップダウンや山の斜面を使った階段セクションからのダウンヒル区間など、コースのバリエーションが豊富なコースで参加者からも好評を頂いています。今年からチャンピオンジャージスポンサーをして頂いているシクリスタ社の社長も来日してシリーズチャンピオンとは別に今回の全カテゴリーの優勝者へチャンピオンジャージの贈呈もして頂き、大会を盛り上げて頂きました。
また、地元のサイクリストやチームの方にもスタッフとして協力して頂き、非常に良い雰囲気で開催できました。 ここ郡山ラウンドはクリスマスクロスとして定着させたいと思っており、来シーズンも12/24に開催予定です。」
photo&text:Masakazu.Abe/TOHOKU CX
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