2016/08/26(金) - 09:54
暑さとテクニカルコースによってプロフィールからは分からない厳しい戦いに持ち込まれたブエルタ第6ステージ。初勝利を飾ったサイモン・イェーツや、無事にフィニッシュラインにたどり着いた総合勢のコメントを紹介します。
ステージ優勝を飾ったサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
今日はオリカ・バイクエクスチェンジがハードな展開に持ち込んで、この勝利をお膳立てしてくれた。レースは後半はとにかくコーナーの連続でテクニカルだった。路面も荒くて気が抜けないコースだったので、チームのペースアップによって集団後方の選手はかなり苦しんだと思う。
アタックのタイミングは完璧だった。チームのペースアップによって多くの選手が疲労した状態だったし、本能のままにアタックしたんだ。エステバン(チャベス)に「今日はサイモン向きのステージだから、アタックすれば勝てる」と言われていた。チームリーダーに背中を押されたことが自信に繋がったし、そんな絶好の機会を逃したくなかった。集団から抜け出して距離が開いたことを確認して、そこからは全力で踏み続けたんだ。
(4ヶ月の)出場停止処分中は厳しいトレーニングに打ち込んだ。こうしてレースに復帰して、勝つことができて本当に嬉しい。よく(双子の兄弟の)アダムとのパフォーマンスの差について聞かれるけど、彼の活躍をいつでも喜んでいるし、どうしてそんな質問を受けるのか分からない。これまで兄弟揃ってビッグレースで勝つ才能があると言われ続けてきた。自分たちの過去の成績に不満なんてないし、2人で揃って成長していることを嬉しく思う。
ステージ2位に入ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
昨日4位で今日は2位。つまり徐々に1位に近づいている。早くステージ優勝を飾りたい。今日はメイン集団がずっとハイペースで進んだので、どの選手も疲れていると思う。できる限りリカバリーして次のチャンスに備えたい。
前日の2位に続いて3位に入ったファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
最後の登りでのイェーツのアタックは強烈だった。選手がこういった素晴らしい走りをした時は何よりもまず賞賛の言葉を贈りたい。今日は自分の完敗だった。結果には失望したけど、調子の良さが継続していることをポジティブに捉えたい。毎日この調子が続けば遅かれ早かれステージ優勝がやってくるはず。
ステージ4位に入ったベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
一日中ずっと調子の良さを感じていた。序盤から高速レースが展開され、オリカ・バイクエクスチェンジが早めにペースアップを開始したものの、ハードな展開は自分向きだった。終盤にかけても脚がよく回っていたので、チャンスと判断してアタック。サイモン・イェーツとダニエル・モレーノに追いつきたかったけど、前を塞がれてスピードを失ってしまい、踏みなおしたけど届かなかった。追走グループを形成したもののローテーションは機能せず、集団に追いつかれてしまった。勝負に絡んだ走りは明日以降の自信につながる。
ステージ8位に終わったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ハードな展開に持ち込んだものの、勝てなかった。チームが長時間メイン集団を牽引した結果、最後はナイロ(キンタナ)と自分だけになってしまい、逃げを追うことができなかったんだ。絶好のチャンスを逃してしまった。
今日は最初から自分でステージ優勝を狙う予定だったけど、残り5kmでダニ(モレーノ)にアタックさせた。先行するフランクに追いついてそのまま逃げれば彼にステージ優勝のチャンスがあると思っていた。でもその作戦は上手く行かず、強力なイェーツを逃してしまった。ナイロはチームリーダーであり、彼に集団の先頭を引かせることはしなかった。ステージ優勝のチャンスを逃したものの、チーム力を改めて見せつけるとともに、総合上位のポジションをキープしたまま難しいステージを乗り切ることができたことが好材料だ。
安全にテクニカルコースを終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
落車に巻き込まれることなくフィニッシュにたどり着いてホッとしている。毎日トラブルなく走ることが成功への鍵になっている。今日はとても危険な下りが何カ所かあったけど、幸い雨が降っていなくて助かった。
今日はスプリンターにもチャンスがあるステージだと言われていたけど、蓋を開けてみると完全に総合リーダーたちのためのステージだった。チームは集中力を切らさずに常に良いポジションをキープ。ハイペースに暑さが加わってとても厳しい一日になった。
敢闘賞を獲得したオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)
今日は逃げ向きのステージだったので、チームとして少なくとも1人は逃げに選手を送り込む作戦だった。ハイスピードなアタック合戦の末に最初の登りで逃げが形成されたものの、総合で危険な選手が逃げに入っていたためタイム差は広がらず。逃げ切る確率が下がったので、監督と相談して2級山岳でアタックした。
アタック後は後続とタイム差が開いたので、単独逃げ切りも頭に浮かんだけど、現実はそんな簡単なものじゃなかった。後続に追いつかれ、集団に吸収。今日はダメだったけどまた挑戦したい。
序盤にアタックした新城幸也(ランプレ・メリダ)
今日も逃げになる為に何度かアタックしたが、僕が乗った逃げが行くことは無かった。チームからはコンティが入った逃げが行ったが、逃げ切るかと思われていた逃げは捕まってしまった。
さらにチームメイトは2人も落車。イリヤとルイス。イリヤは序盤のアタック合戦中に転んで、頬と口の中を縫合する怪我だった。ルイスは残り8kmでの落車に巻き込まれてしまった。どちらの選手も明日もスタートする予定だが、パフォーマンスには影響のありそうな怪我だったので心配だ。
連日逃げを試みて、前半のアタック合戦に挑戦しているけど、なかなか簡単に逃げることができないのがヴエルタ。しかし、脚の調子は良いのでまた明日も逃げに挑戦するよ!レースでは良い事が無かったけど、今日はエチオピアライダー(今回の相部屋)グルメイの25歳の誕生日だった。夕食にケーキ食べて、シャンパンで乾杯することが出来た。
別府史之(トレック・セガフレード)
SRMの温度計は40°C。かなりの暑さで周りを見渡すとみんなげっそりしていた。逃げとのタイム差は2〜3分で保ったまま、いいペースで走っていたが、カテゴリー2級の山の前の下りでオリカが奇襲攻撃に出て集団を高速で引っ張り始めた。長い曲がりくねった下りで集団は一列に、こうなるともう前には出れず。集団の真ん中ら辺に位置していたけど、気がついた時には既に遅し、登りに入った瞬間に集団は分裂していて、ペロトンの半分以上の選手たちはここで脱落してしまった。
ここからずっと平坦が全くなくてアップダウンが続きハードなステージだった。そんな中で昨日のステージ2位だったフェリーネが調子の良さを見せてステージ3位に入った。今日のステージは暑さもあってかみんな口を揃えてキツかったというようなタフなステージだった。
明日も登り基調でアップダウンが続くステージ。最後が下ってゴールだからどうなることやら、イタリアクオリティもそうだけどスペインクオリティもなかなか侮れない。
レースプログラムの高低図はただの横線の波打ってるだけだけど、しっかりと登ってるからとツッコミたくなるような山がたくさんある。坂ごとに山岳カテゴリーを付けていったら3級、2級のオンパレードになるんじゃないかと思うくらい。 まぁ第6ステージを終えて、そういうのも気にならなくなってきたのもまんざら悪くないかもしれない。
text&photo:Kei Tsuji in Ourense, Spain
ステージ優勝を飾ったサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
今日はオリカ・バイクエクスチェンジがハードな展開に持ち込んで、この勝利をお膳立てしてくれた。レースは後半はとにかくコーナーの連続でテクニカルだった。路面も荒くて気が抜けないコースだったので、チームのペースアップによって集団後方の選手はかなり苦しんだと思う。
アタックのタイミングは完璧だった。チームのペースアップによって多くの選手が疲労した状態だったし、本能のままにアタックしたんだ。エステバン(チャベス)に「今日はサイモン向きのステージだから、アタックすれば勝てる」と言われていた。チームリーダーに背中を押されたことが自信に繋がったし、そんな絶好の機会を逃したくなかった。集団から抜け出して距離が開いたことを確認して、そこからは全力で踏み続けたんだ。
(4ヶ月の)出場停止処分中は厳しいトレーニングに打ち込んだ。こうしてレースに復帰して、勝つことができて本当に嬉しい。よく(双子の兄弟の)アダムとのパフォーマンスの差について聞かれるけど、彼の活躍をいつでも喜んでいるし、どうしてそんな質問を受けるのか分からない。これまで兄弟揃ってビッグレースで勝つ才能があると言われ続けてきた。自分たちの過去の成績に不満なんてないし、2人で揃って成長していることを嬉しく思う。
ステージ2位に入ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
昨日4位で今日は2位。つまり徐々に1位に近づいている。早くステージ優勝を飾りたい。今日はメイン集団がずっとハイペースで進んだので、どの選手も疲れていると思う。できる限りリカバリーして次のチャンスに備えたい。
前日の2位に続いて3位に入ったファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
最後の登りでのイェーツのアタックは強烈だった。選手がこういった素晴らしい走りをした時は何よりもまず賞賛の言葉を贈りたい。今日は自分の完敗だった。結果には失望したけど、調子の良さが継続していることをポジティブに捉えたい。毎日この調子が続けば遅かれ早かれステージ優勝がやってくるはず。
ステージ4位に入ったベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)
一日中ずっと調子の良さを感じていた。序盤から高速レースが展開され、オリカ・バイクエクスチェンジが早めにペースアップを開始したものの、ハードな展開は自分向きだった。終盤にかけても脚がよく回っていたので、チャンスと判断してアタック。サイモン・イェーツとダニエル・モレーノに追いつきたかったけど、前を塞がれてスピードを失ってしまい、踏みなおしたけど届かなかった。追走グループを形成したもののローテーションは機能せず、集団に追いつかれてしまった。勝負に絡んだ走りは明日以降の自信につながる。
ステージ8位に終わったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
ハードな展開に持ち込んだものの、勝てなかった。チームが長時間メイン集団を牽引した結果、最後はナイロ(キンタナ)と自分だけになってしまい、逃げを追うことができなかったんだ。絶好のチャンスを逃してしまった。
今日は最初から自分でステージ優勝を狙う予定だったけど、残り5kmでダニ(モレーノ)にアタックさせた。先行するフランクに追いついてそのまま逃げれば彼にステージ優勝のチャンスがあると思っていた。でもその作戦は上手く行かず、強力なイェーツを逃してしまった。ナイロはチームリーダーであり、彼に集団の先頭を引かせることはしなかった。ステージ優勝のチャンスを逃したものの、チーム力を改めて見せつけるとともに、総合上位のポジションをキープしたまま難しいステージを乗り切ることができたことが好材料だ。
安全にテクニカルコースを終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
落車に巻き込まれることなくフィニッシュにたどり着いてホッとしている。毎日トラブルなく走ることが成功への鍵になっている。今日はとても危険な下りが何カ所かあったけど、幸い雨が降っていなくて助かった。
今日はスプリンターにもチャンスがあるステージだと言われていたけど、蓋を開けてみると完全に総合リーダーたちのためのステージだった。チームは集中力を切らさずに常に良いポジションをキープ。ハイペースに暑さが加わってとても厳しい一日になった。
敢闘賞を獲得したオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)
今日は逃げ向きのステージだったので、チームとして少なくとも1人は逃げに選手を送り込む作戦だった。ハイスピードなアタック合戦の末に最初の登りで逃げが形成されたものの、総合で危険な選手が逃げに入っていたためタイム差は広がらず。逃げ切る確率が下がったので、監督と相談して2級山岳でアタックした。
アタック後は後続とタイム差が開いたので、単独逃げ切りも頭に浮かんだけど、現実はそんな簡単なものじゃなかった。後続に追いつかれ、集団に吸収。今日はダメだったけどまた挑戦したい。
序盤にアタックした新城幸也(ランプレ・メリダ)
今日も逃げになる為に何度かアタックしたが、僕が乗った逃げが行くことは無かった。チームからはコンティが入った逃げが行ったが、逃げ切るかと思われていた逃げは捕まってしまった。
さらにチームメイトは2人も落車。イリヤとルイス。イリヤは序盤のアタック合戦中に転んで、頬と口の中を縫合する怪我だった。ルイスは残り8kmでの落車に巻き込まれてしまった。どちらの選手も明日もスタートする予定だが、パフォーマンスには影響のありそうな怪我だったので心配だ。
連日逃げを試みて、前半のアタック合戦に挑戦しているけど、なかなか簡単に逃げることができないのがヴエルタ。しかし、脚の調子は良いのでまた明日も逃げに挑戦するよ!レースでは良い事が無かったけど、今日はエチオピアライダー(今回の相部屋)グルメイの25歳の誕生日だった。夕食にケーキ食べて、シャンパンで乾杯することが出来た。
別府史之(トレック・セガフレード)
SRMの温度計は40°C。かなりの暑さで周りを見渡すとみんなげっそりしていた。逃げとのタイム差は2〜3分で保ったまま、いいペースで走っていたが、カテゴリー2級の山の前の下りでオリカが奇襲攻撃に出て集団を高速で引っ張り始めた。長い曲がりくねった下りで集団は一列に、こうなるともう前には出れず。集団の真ん中ら辺に位置していたけど、気がついた時には既に遅し、登りに入った瞬間に集団は分裂していて、ペロトンの半分以上の選手たちはここで脱落してしまった。
ここからずっと平坦が全くなくてアップダウンが続きハードなステージだった。そんな中で昨日のステージ2位だったフェリーネが調子の良さを見せてステージ3位に入った。今日のステージは暑さもあってかみんな口を揃えてキツかったというようなタフなステージだった。
明日も登り基調でアップダウンが続くステージ。最後が下ってゴールだからどうなることやら、イタリアクオリティもそうだけどスペインクオリティもなかなか侮れない。
レースプログラムの高低図はただの横線の波打ってるだけだけど、しっかりと登ってるからとツッコミたくなるような山がたくさんある。坂ごとに山岳カテゴリーを付けていったら3級、2級のオンパレードになるんじゃないかと思うくらい。 まぁ第6ステージを終えて、そういうのも気にならなくなってきたのもまんざら悪くないかもしれない。
text&photo:Kei Tsuji in Ourense, Spain
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