2016/05/29(日) - 06:23
フレンチアルプスを舞台に繰り広げられたジロ・デ・イタリア最後の山岳バトルでライバルたちを一蹴したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が逆転で総合首位に浮上。前日に総合エースを失ったレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)が逃げ切った。
マリアローザ争いを決定づける最終日前日の第20ステージは、距離が134kmと短いにもかかわらず、獲得標高差が4300mに達する。まさに登りと下りしかない過酷な山岳アドベンチャーだ。
スタート直後に始まる1級山岳ヴァール峠(18.2km/平均6%)では、大方の予想通り、逃げるための熾烈なアタック合戦が繰り広げられる。10日間着続けたマリアアッズーラを守り切りたいダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が果敢にアタックを仕掛けたが決まらない。
アタック合戦の末に抜け出したのはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)、ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)、タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)、レイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)、アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、そして山岳賞2位のミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)と山岳賞3位のステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)という面々。
総合12位アタプマの含まれていたが、マリアローザから20分51秒遅れのためオリカ・グリーンエッジは無理に追走することなく逃げを容認。タイム差が7分まで広がる中、ポイント賞2位のディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が先頭グループに単独ブリッジを成功させ、合計11名となった逃げグループはデニフルを先頭に1級山岳ヴァール峠をクリアした。
長いハイスピードダウンヒルを経て、続く標高2715mの1級山岳ボネット峠(22.2km/平均6.7%)の登りが始まる頃にはタイム差は10分にまで広がる。ここから逃げグループではステージ優勝争いが、そしてメイン集団では総合争いが同時進行で行われることになる。前日のチーマコッピに匹敵するヨーロッパ有数の峠であるボネット峠で、先頭からニエベが飛び出した。
第13ステージで勝利し、さらに前日の第19ステージで2位に入ったバスクのピュアクライマーは森林限界を超えて岩が露出した峠道でぐんぐんとリードを広げ、追走6名(ターラマエ、フォリフォロフ、アタプマ、ドンブロウスキー、ヴィスコンティ、カンゲルト)を1分09秒引き離してボネット峠をクリアする。この時点で合計47ポイントを稼ぎ出したニエベはクネゴを抜いて暫定的に山岳賞のトップに躍り出た。
メイン集団はしばらくオリカ・グリーンエッジのコントロール下に置かれていたが、登坂距離22kmオーバーのボネット峠でモビスターとティンコフが牽引開始。激しくレースが動くことはなかったが、確実にメイン集団の人数は減少する。後方ではスプリンターを含むグルペットが形成され、山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)もしっかりとこの中に入った。
1級山岳ボネット峠の長いダウンヒルを終えたニエベには、長らく追走していた6名が合流。遅れてブランブッラも合流し、8名に人数を増やした先頭グループがメイン集団から10分40秒リードした状態で1級山岳ロンバルダ峠(19.8km/平均7.5%)の登坂を開始する。
イタリアとの国境に位置する今大会最後の1級山岳で先頭はドンブロウスキーとアタプマ、ヴィスコンティの3名に絞り込まれたものの、一定ペースを刻んだカンゲルトとターラマエがジョイン。前日のスカルポーニ同様にニーバリをサポートするためにカンゲルトが逃げを離脱する中、頂上まで3kmを残してターラマエが単独で抜け出した。
フィニッシュまで14kmを残して独走に持ち込んだターラマエはアタプマを31秒、ヴィスコンティとドンブロウスキーを46秒、そしてニエベを2分38秒引き離して1級山岳ロンバルダ峠をクリア。テクニカルなダウンヒルを難なくこなしたターラマエが、そのまま残り2.3kmから始まる3級山岳サンタンナ・ディ・ヴィナディオ(平均8.1%)を独走で登りきった。
前日にイルヌール・ザッカリン(ロシア)が落車リタイアし、総合エースを失った状態で大会最後の山岳ステージに挑んだカチューシャ。「昨日は一瞬にして3週間の努力が泡となって消えてしまった。これはチームにとってとても重要な勝利だ。これまでの努力が実を結んだよ。今日は何としてもザッカリンのために勝ちたいと思っていた」と、エストニア人としてステージ初優勝を飾ったターラマエは語る。
ステージ2位に入ったアタプマは総合12位から総合9位までジャンプアップすることに成功。最終的にターラマエ、アタプマ、ドンブロウスキー、ニエベ、フォリフォロフの5名がメイン集団を振り切った。最後の3級山岳でさらに山岳ポイントを加算したニエベはマリアアッズーラを手にしている。
1級山岳ロンバルダ峠で繰り広げられたマリアローザを懸けた最後の山岳バトル。頂上まで5kmを残して最初に動いたのは44秒差をひっくり返したい総合2位のニーバリだ。
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)にお膳立てされる形でアタックしたニーバリを逃すまいと、マリアローザのエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)と総合4位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が間髪入れずに反応する。前日の落車で肋骨にヒビが見つかりながらも出走したステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)は遅れた。
ニーバリの執拗なアタックによってついにバルベルデとチャベスが脱落。逃げから降りてきたカンゲルトのサポートを受けたニーバリは総合逆転に向けて登りを突き進む。
防戦一方となったチャベスは「コロンビア人としてチャンスがあればサポートしたい」と前日に語っていたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)やバルベルデのペースにも付いていけず、フィニッシュまでの距離と反比例してニーバリとのタイム差が広がっていく。
得意のダウンヒル区間に突入したニーバリから55秒遅れて、マリアビアンカのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)やクルイスウィクとともに1級山岳ロンバルダ峠の頂上に到着したマリアローザのチャベス。その時点でマリアローザの持ち主はチャベスからニーバリへ。最終的にチャベスを1分36秒引き離して、ニーバリが大歓声に包まれた3級山岳サンタンナ・ディ・ヴィナディオの頂上にフィニッシュした。
最終日前日に起こった総合逆転。前日のステージ優勝に続く圧倒的な登坂力でニーバリが歴史的な逆転劇を演じた。
「スペクタクルな1日だった。失うものはなかった。昨日の時点で総合優勝の可能性を感じていたので、ライバルたちが苦しんでいると感じた瞬間にアタックしたんだ」。2013年に続く自身2度目のジロ制覇をほぼ確実なものにしたニーバリは語る。
「飛び出してからは常に後続とのタイム差を無線で聞いていた。チャベスの強さは昨年のブエルタで感じていたし、最後までプッシュし続けた。フィニッシュラインを切って初めてマリアローザが自分のものになったと気づいた。逆転で総合優勝だなんて今でも信じられない」。ニーバリは翌日マリアローザを着て終着地トリノに凱旋する。
ライバルたちから遅れたクルイスウィクが総合4位にダウンした一方で、「標高の高さに身体が慣れ始めた」というバルベルデが総合3位に浮上している。総合上位陣の中では急ブレーキがかかったドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)が総合10位から総合20位まで順位を落としている。
ジロ・デ・イタリア2016第20ステージ結果
1位 レイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ) 4h22’43”
2位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +52”
3位 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール) +1’17”
4位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +4’12”
5位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +4’36”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +6’44”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +6’57”
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +7’47”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +8’06”
11位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
12位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +8’13”
13位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
14位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +8’20”
19位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +10’29”
21位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +11’15”
114位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +45’06”
140位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 82h44’31”
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +52”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’17”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +1’50”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4’37”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +8’31”
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +11’47”
8位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +13’21”
9位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +14’09”
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +16’20”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 185pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 152pts
3位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) 141pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 152pts
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 134pts
3位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 118pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 78h22’13”
2位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +22’09”
3位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +59’22”
チーム総合成績
1位 アスタナ 235h05’31”
2位 キャノンデール +12’09”
3位 モビスター +18’56”
text&photo:Kei Tsuji in Vinadio, Italy
マリアローザ争いを決定づける最終日前日の第20ステージは、距離が134kmと短いにもかかわらず、獲得標高差が4300mに達する。まさに登りと下りしかない過酷な山岳アドベンチャーだ。
スタート直後に始まる1級山岳ヴァール峠(18.2km/平均6%)では、大方の予想通り、逃げるための熾烈なアタック合戦が繰り広げられる。10日間着続けたマリアアッズーラを守り切りたいダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が果敢にアタックを仕掛けたが決まらない。
アタック合戦の末に抜け出したのはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール)、ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)、タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)、レイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)、アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、そして山岳賞2位のミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)と山岳賞3位のステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)という面々。
総合12位アタプマの含まれていたが、マリアローザから20分51秒遅れのためオリカ・グリーンエッジは無理に追走することなく逃げを容認。タイム差が7分まで広がる中、ポイント賞2位のディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が先頭グループに単独ブリッジを成功させ、合計11名となった逃げグループはデニフルを先頭に1級山岳ヴァール峠をクリアした。
長いハイスピードダウンヒルを経て、続く標高2715mの1級山岳ボネット峠(22.2km/平均6.7%)の登りが始まる頃にはタイム差は10分にまで広がる。ここから逃げグループではステージ優勝争いが、そしてメイン集団では総合争いが同時進行で行われることになる。前日のチーマコッピに匹敵するヨーロッパ有数の峠であるボネット峠で、先頭からニエベが飛び出した。
第13ステージで勝利し、さらに前日の第19ステージで2位に入ったバスクのピュアクライマーは森林限界を超えて岩が露出した峠道でぐんぐんとリードを広げ、追走6名(ターラマエ、フォリフォロフ、アタプマ、ドンブロウスキー、ヴィスコンティ、カンゲルト)を1分09秒引き離してボネット峠をクリアする。この時点で合計47ポイントを稼ぎ出したニエベはクネゴを抜いて暫定的に山岳賞のトップに躍り出た。
メイン集団はしばらくオリカ・グリーンエッジのコントロール下に置かれていたが、登坂距離22kmオーバーのボネット峠でモビスターとティンコフが牽引開始。激しくレースが動くことはなかったが、確実にメイン集団の人数は減少する。後方ではスプリンターを含むグルペットが形成され、山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)もしっかりとこの中に入った。
1級山岳ボネット峠の長いダウンヒルを終えたニエベには、長らく追走していた6名が合流。遅れてブランブッラも合流し、8名に人数を増やした先頭グループがメイン集団から10分40秒リードした状態で1級山岳ロンバルダ峠(19.8km/平均7.5%)の登坂を開始する。
イタリアとの国境に位置する今大会最後の1級山岳で先頭はドンブロウスキーとアタプマ、ヴィスコンティの3名に絞り込まれたものの、一定ペースを刻んだカンゲルトとターラマエがジョイン。前日のスカルポーニ同様にニーバリをサポートするためにカンゲルトが逃げを離脱する中、頂上まで3kmを残してターラマエが単独で抜け出した。
フィニッシュまで14kmを残して独走に持ち込んだターラマエはアタプマを31秒、ヴィスコンティとドンブロウスキーを46秒、そしてニエベを2分38秒引き離して1級山岳ロンバルダ峠をクリア。テクニカルなダウンヒルを難なくこなしたターラマエが、そのまま残り2.3kmから始まる3級山岳サンタンナ・ディ・ヴィナディオ(平均8.1%)を独走で登りきった。
前日にイルヌール・ザッカリン(ロシア)が落車リタイアし、総合エースを失った状態で大会最後の山岳ステージに挑んだカチューシャ。「昨日は一瞬にして3週間の努力が泡となって消えてしまった。これはチームにとってとても重要な勝利だ。これまでの努力が実を結んだよ。今日は何としてもザッカリンのために勝ちたいと思っていた」と、エストニア人としてステージ初優勝を飾ったターラマエは語る。
ステージ2位に入ったアタプマは総合12位から総合9位までジャンプアップすることに成功。最終的にターラマエ、アタプマ、ドンブロウスキー、ニエベ、フォリフォロフの5名がメイン集団を振り切った。最後の3級山岳でさらに山岳ポイントを加算したニエベはマリアアッズーラを手にしている。
1級山岳ロンバルダ峠で繰り広げられたマリアローザを懸けた最後の山岳バトル。頂上まで5kmを残して最初に動いたのは44秒差をひっくり返したい総合2位のニーバリだ。
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)にお膳立てされる形でアタックしたニーバリを逃すまいと、マリアローザのエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)と総合4位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が間髪入れずに反応する。前日の落車で肋骨にヒビが見つかりながらも出走したステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)は遅れた。
ニーバリの執拗なアタックによってついにバルベルデとチャベスが脱落。逃げから降りてきたカンゲルトのサポートを受けたニーバリは総合逆転に向けて登りを突き進む。
防戦一方となったチャベスは「コロンビア人としてチャンスがあればサポートしたい」と前日に語っていたリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)やバルベルデのペースにも付いていけず、フィニッシュまでの距離と反比例してニーバリとのタイム差が広がっていく。
得意のダウンヒル区間に突入したニーバリから55秒遅れて、マリアビアンカのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)やクルイスウィクとともに1級山岳ロンバルダ峠の頂上に到着したマリアローザのチャベス。その時点でマリアローザの持ち主はチャベスからニーバリへ。最終的にチャベスを1分36秒引き離して、ニーバリが大歓声に包まれた3級山岳サンタンナ・ディ・ヴィナディオの頂上にフィニッシュした。
最終日前日に起こった総合逆転。前日のステージ優勝に続く圧倒的な登坂力でニーバリが歴史的な逆転劇を演じた。
「スペクタクルな1日だった。失うものはなかった。昨日の時点で総合優勝の可能性を感じていたので、ライバルたちが苦しんでいると感じた瞬間にアタックしたんだ」。2013年に続く自身2度目のジロ制覇をほぼ確実なものにしたニーバリは語る。
「飛び出してからは常に後続とのタイム差を無線で聞いていた。チャベスの強さは昨年のブエルタで感じていたし、最後までプッシュし続けた。フィニッシュラインを切って初めてマリアローザが自分のものになったと気づいた。逆転で総合優勝だなんて今でも信じられない」。ニーバリは翌日マリアローザを着て終着地トリノに凱旋する。
ライバルたちから遅れたクルイスウィクが総合4位にダウンした一方で、「標高の高さに身体が慣れ始めた」というバルベルデが総合3位に浮上している。総合上位陣の中では急ブレーキがかかったドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)が総合10位から総合20位まで順位を落としている。
ジロ・デ・イタリア2016第20ステージ結果
1位 レイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ) 4h22’43”
2位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +52”
3位 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール) +1’17”
4位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +4’12”
5位 アレクサンドル・フォリフォロフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +4’36”
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +6’44”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +6’57”
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +7’47”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +8’06”
11位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)
12位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +8’13”
13位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
14位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +8’20”
19位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +10’29”
21位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +11’15”
114位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +45’06”
140位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
マリアローザ 個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) 82h44’31”
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +52”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’17”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +1’50”
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +4’37”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +8’31”
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +11’47”
8位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +13’21”
9位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) +14’09”
10位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ) +16’20”
マリアロッサ ポイント賞
1位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 185pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) 152pts
3位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ) 141pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 152pts
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 134pts
3位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 118pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 78h22’13”
2位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +22’09”
3位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) +59’22”
チーム総合成績
1位 アスタナ 235h05’31”
2位 キャノンデール +12’09”
3位 モビスター +18’56”
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サイクルスポーツ2016年07月号
八重洲出版