2016/05/20(金) - 03:21
海沿いのビーチリゾート地ビビオーネで繰り広げられたジロ・デ・イタリア第12ステージの集団スプリント。翌日にリタイアを予定しているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が強力なリードアウトトレインを味方につけ、圧巻のステージ3勝目を飾った。
ノアーレからヴェネツィア近くを経てビビオーネに向かうジロ第12ステージはフルフラット。今大会最もフラットな182kmコースはもちろんスプリンターのためにある。
ヴェネト州は生憎の雨模様で、気温も14度ほどまでしか上がらない。冷たい雨が降る中、正式なスタートフラッグが振られると同時に山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)がファーストアタックを仕掛けた。
「体調は戻りました。チームから逃げろと言われているので今日こそ逃げたい」と気合を入れ、集団前方でスタートを切った山本だったがファーストアタックは決まらない。山本は3〜4回仕掛けたが決まらず、5km地点でダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)とマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)が先行を開始した。
思うようにタイム差が広がらずにトレンティンが諦めた一方でオスは逃げを継続する。やがてミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)が追いついて先頭は2名に。単独追走を試みたアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は届かず、オスとマエストリの長旅が始まった。
「天気が悪く、終盤にトリッキーな周回コースが登場するので、逃げにもチャンスがあるステージだった」とオスは語る。しかしランプレ・メリダやロット・ソウダルの集団コントロールによってタイム差は2分と2分半を行ったり来たり。フィニッシュまで50kmを残してタイム差は早くも1分を切った。
2人逃げは集団にもポイント獲得チャンスを与え、94.7km地点と131.1km地点のスプリントポイントでジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)が連続3番手通過している。
フィニッシュまで23kmを残してオスとマエストリが吸収される頃、コミッセールの判断でビビオーネのテクニカルな周回コースで総合タイムが争われないこと、1回目のフィニッシュラインでのタイムが総合タイムに反映されることが各チームに通達される。
メンバー全員を集めたロット・ソウダルが強力に集団をリードし、他チームに付け入る隙を与えないまま最終周回に入る。残り1kmでランプレ・メリダが被せにかかるもユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)が先頭に立って最終コーナーをクリア。残り300mの直角コーナーを立ち上がるとその後ろからマリアロッサのグライペルが加速した。
上手くグライペルの番手をとったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が同時に腰を上げたが、グライペルが力強いスプリントで引き離す。ユアンやジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)、サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)の追撃は届かずに、グライペルが大きく両手を広げた。
「チームメンバーが全員揃った状態で最終周回を迎える作戦だった。特にユルゲン・ルーランズのリードアウトは素晴らしく、彼と少し距離が開いてしまうほどだった。でも脚の調子はとてもよく、そのまま上手くスプリントに持ち込んだんだ」とグライペル。今大会ステージ3勝目でポイント賞ランキングのトップを快走中だが、この第12ステージを最後にリタイアすることを宣言している。
「マリアロッサを着てジロを去るのは残念だが、長いシーズンで他にも目標とするレースがあるので今は休息が必要。このジロでは十分に目標が達成された」。ここまでの平坦ステージでスプリントを支配していたジャーマンスプリンター2人がジロから姿を消すことになる。
マリアローザを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)はリスクを負わずに集団から遅れてフィニッシュ。翌日から始まる山岳バトルに向けて「いよいよマリアローザを守るための戦いが始まる。自分が優勝候補と呼ばれる選手たちからどれだけタイムを失うのか分からないし、過剰に期待はしていないけど、全力を尽くすことは約束するよ」とコメントしている。
ジロ・デ・イタリア2016第12ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h16’00”
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 イヴァン・サヴィツキー(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)
10位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
179位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +4’14”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 49h32’20”
2位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +24”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’07”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +1’09”
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +2’01”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’25”
8位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’43”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +2’45”
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +2’47”
マリアロッサ ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 169pts
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 103pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 56pts
2位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) 27pts
3位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 49h32’20”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’49”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +13’31”
チーム総合成績
1位 モビスター 148h42’01”
2位 エティックス・クイックステップ +2’07”
3位 アスタナ +5’52”
text&photo:Kei Tsuji in Bibione, Italy
ノアーレからヴェネツィア近くを経てビビオーネに向かうジロ第12ステージはフルフラット。今大会最もフラットな182kmコースはもちろんスプリンターのためにある。
ヴェネト州は生憎の雨模様で、気温も14度ほどまでしか上がらない。冷たい雨が降る中、正式なスタートフラッグが振られると同時に山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)がファーストアタックを仕掛けた。
「体調は戻りました。チームから逃げろと言われているので今日こそ逃げたい」と気合を入れ、集団前方でスタートを切った山本だったがファーストアタックは決まらない。山本は3〜4回仕掛けたが決まらず、5km地点でダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)とマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)が先行を開始した。
思うようにタイム差が広がらずにトレンティンが諦めた一方でオスは逃げを継続する。やがてミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)が追いついて先頭は2名に。単独追走を試みたアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は届かず、オスとマエストリの長旅が始まった。
「天気が悪く、終盤にトリッキーな周回コースが登場するので、逃げにもチャンスがあるステージだった」とオスは語る。しかしランプレ・メリダやロット・ソウダルの集団コントロールによってタイム差は2分と2分半を行ったり来たり。フィニッシュまで50kmを残してタイム差は早くも1分を切った。
2人逃げは集団にもポイント獲得チャンスを与え、94.7km地点と131.1km地点のスプリントポイントでジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)が連続3番手通過している。
フィニッシュまで23kmを残してオスとマエストリが吸収される頃、コミッセールの判断でビビオーネのテクニカルな周回コースで総合タイムが争われないこと、1回目のフィニッシュラインでのタイムが総合タイムに反映されることが各チームに通達される。
メンバー全員を集めたロット・ソウダルが強力に集団をリードし、他チームに付け入る隙を与えないまま最終周回に入る。残り1kmでランプレ・メリダが被せにかかるもユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)が先頭に立って最終コーナーをクリア。残り300mの直角コーナーを立ち上がるとその後ろからマリアロッサのグライペルが加速した。
上手くグライペルの番手をとったカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が同時に腰を上げたが、グライペルが力強いスプリントで引き離す。ユアンやジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)、サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)の追撃は届かずに、グライペルが大きく両手を広げた。
「チームメンバーが全員揃った状態で最終周回を迎える作戦だった。特にユルゲン・ルーランズのリードアウトは素晴らしく、彼と少し距離が開いてしまうほどだった。でも脚の調子はとてもよく、そのまま上手くスプリントに持ち込んだんだ」とグライペル。今大会ステージ3勝目でポイント賞ランキングのトップを快走中だが、この第12ステージを最後にリタイアすることを宣言している。
「マリアロッサを着てジロを去るのは残念だが、長いシーズンで他にも目標とするレースがあるので今は休息が必要。このジロでは十分に目標が達成された」。ここまでの平坦ステージでスプリントを支配していたジャーマンスプリンター2人がジロから姿を消すことになる。
マリアローザを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)はリスクを負わずに集団から遅れてフィニッシュ。翌日から始まる山岳バトルに向けて「いよいよマリアローザを守るための戦いが始まる。自分が優勝候補と呼ばれる選手たちからどれだけタイムを失うのか分からないし、過剰に期待はしていないけど、全力を尽くすことは約束するよ」とコメントしている。
ジロ・デ・イタリア2016第12ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 4h16’00”
2位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 イヴァン・サヴィツキー(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 リック・ツァベル(ドイツ、BMCレーシング)
10位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
179位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +4’14”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 49h32’20”
2位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +24”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’07”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +1’09”
6位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +2’01”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’25”
8位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’43”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +2’45”
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +2’47”
マリアロッサ ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 169pts
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) 138pts
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 103pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 56pts
2位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) 27pts
3位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 49h32’20”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’49”
3位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ) +13’31”
チーム総合成績
1位 モビスター 148h42’01”
2位 エティックス・クイックステップ +2’07”
3位 アスタナ +5’52”
text&photo:Kei Tsuji in Bibione, Italy
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