2016/04/11(月) - 08:36
レース序盤から逃げ、後方から追いついた精鋭たちのアタックに反応。最後はヴェロドロームでのスプリントに持ち込まれ、自身16回目のパリ〜ルーベでマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が勝利した。
史上初めてスタートからレース中継が行われたことも影響し、第114回パリ〜ルーベは序盤から高速化した。晴れ間の覗くパリ郊外コンピエーニュをスタートした198名の多くが逃げに乗るために果敢にアタック。追い風も手伝ってハイスピードで巡航するメイン集団からマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)らが抜け出しを図ったが、メイン集団はスピードを緩めずに追走する。
逃げがようやく決まったのは75km地点。ツール・ド・ランカウイ覇者レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)や、このパリ〜ルーベを最後に現役を引退するヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、トレック・セガフレード)、ロンド・ファン・フラーンデレンで逃げに乗って7位に入ったイマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター)、2012年大会8位のマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、そしてシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)を含む16名が先行し、約1分のリードで最初のパヴェセクターNo.27 トロワヴィル(☆☆☆)に到達した。
レース中盤、タイム差が4分まで拡大したところで、フィニッシュまでまだ120km近くを残して、勝負を大きく左右する動きが生まれる。No.21 ケレネン(☆☆☆)で集団落車が発生し、多くの選手がシクロクロスさながらの軽やかなステップで農地を進んで回避。ここで集団が割れ、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が後方に取り残された。
この好機を生かしたいエティックス・クイックステップが集団先頭でペースアップ。同じ地域のパヴェを走った2015年ツール・ド・フランス第4ステージで優勝したトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が献身的に牽引した結果、カンチェラーラ/サガン集団は1分のタイムロスを被ってしまう。
エティックス・クイックステップは攻撃の手を緩めず、No.19 アヴルイ(☆☆☆☆)でトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が加速すると、マルティン、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らが抜け出す。カンチェラーラ/サガン集団は何とか前の集団に追いついたものの、そこにはボーネンらの姿はなかった。
ポポヴィッチを先頭にNo.18 アランベール(☆☆☆☆☆)に突っ込んだ逃げグループから1分30秒遅れでボーネン/ボアッソンハーゲン/スタナード集団、2分40秒遅れでカンチェラーラ/サガン集団という展開。ポポヴィッチ、ボーネン、カンチェラーラがそれぞれのグループを率いてアランベールの森を駆け抜ける。この難所でモーターバイクと接触したヴィヴィアーニは病院に搬送されている。
追走を続けていたセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)とルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)がボーネン/ボアッソンハーゲン/スタナード集団に追いついた一方で、カンチェラーラ/サガン集団はまとまりがなくスピードが上がらない。トレック・セガフレードやサガンが自ら先頭を引くも、ロットNLユンボ、エティックス・クイックステップ、チームスカイが牽引する前の集団との1分差が縮まらない。先頭ポポヴィッチは自らのチャンスを諦め、カンチェラーラ牽引のために下がった。
No.13ブヴリ=ラ=フォレ(☆☆☆)通過後、残り63km地点で先頭の逃げグループにボーネン/スタナード/ファンマルク集団が追いつく。こうして25名にまで膨れ上がった先頭集団を追って、47秒後方のメイン集団ではNo.12 オルシエ(☆☆☆)でカンチェラーラがアタック。サガンと協力して前を追ったがタイム差は30秒を割り込まない。
先頭集団にメンバー4名を揃えたチームスカイだったが、No.11 オシュイ=レ=オルシエ(☆☆☆☆)の濡れた石畳のコーナーでネオプロ21歳ジャンニ・モスコン(イタリア)が落車してエース格のロウを巻き込んでしまう。続けざまにサルヴァトーレ・プッチオ(イタリア)も落車。ロウは何とか先頭集団に復帰してスタナードに合流したものの、相次ぐ落車でチームスカイは大きく戦力を落としてしまう。
そして迎えたNo.10 モンサン・ぺヴェル(☆☆☆☆☆)でファンマルクとスタナードのアタックをきっかけに先頭はボーネン、ファンマルク、スタナード、エルビーティ、ヘイマン、ボアッソンハーゲン、アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)に絞られ、遅れてロウやハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)が合流。
1分後方の集団では、泥が堆積した荒れたストレートでカンチェラーラがスリップダウン。後続のサガンはバニーホップで飛び越えたが、優勝経験者ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)は避けきれずに落車する。いずれの選手も再スタートを切ったものの、カンチェラーラやテルプストラのチャンスは事実上ここで消えた。
フィニッシュまで40kmを切ると、史上最多5回目のパリ〜ルーベ制覇を狙うボーネンがアタックを連発したが、ライバルたちは徹底的にマークする。サガン集団との1分差をキープしながら先頭集団はNo.6 ブルゲル(☆☆☆☆)を通過。
チームメイトのロウが発射台となってNo.5 カンファナン=ペヴェル(☆☆☆☆)突入と同時にスタナードが加速すると、いよいよ先頭はスタナード、ヘイマン、ボーネン、ボアッソンハーゲン、ファンマルクの5名に。砂埃を巻き上げて突き進んだこの5名が後続を引き離して残り18km。
すると最後の難所No.4 カルフール・ド・ラルブル(☆☆☆☆☆)でファンマルクが強烈なアタックを仕掛け、残り16km地点から独走を開始した。スタナード、ボーネン、ボアッソンハーゲンが懸命に追走し、一旦千切れたヘイマンも合流して先頭ファンマルクを追う。
5秒リードでこの最後の5つ星パヴェをクリアしたファンマルクだったが、残り12kmで先頭は再び5名に。No.2 ウィラン=アム(☆☆)で再度ファンマルクが仕掛けたが決まらない。石畳でのアタックはいずれも成功せず、ヴェロドロームに向かう舗装路でのアタック勝負となった。
残り4.5km地点の緩い登りを利用してヘイマンが加速し、カウンターアタックでボアッソンハーゲンが先行。捕まるとそこからファンマルクがアタック。続いてボーネンとスタナードがカウンターアタック。すでに6時間近く走った脚を酷使しながら壮絶なアタック合戦が繰り広げられる。
残り2.7km地点でヘイマンが抜け出すと、ここにボーネンがジョイン。スタナード、ボアッソンハーゲン、ファンマルクは牽制し、先頭ヘイマンとボーネンがフラムルージュ(残り1km)を切ってルーベのヴェロドロームへ。合計1周半する競技場に入ると先頭が牽制でスローダウンしたため、スタナード、ボアッソンハーゲン、ファンマルクが復帰する。こうして先頭は5名で残り1周の鐘を聞いた。
ライバルたちの様子を伺いながら先頭で第3コーナーに差し掛かったボーネンが腰を上げる。これにはヘイマンとスタナードが応戦。脚が売り切れたファンマルクとボアッソンハーゲンはスプリントに加われない。
逃げグループの中で200km近く先頭を走り、粘りの走りで勝負に残ったヘイマンのスプリントが伸びた。第4コーナーでボーネンをパスしたヘイマンが先頭へ。ヴェロドロームのスプリントで、ヘイマンの歴史的勝利が決まった。
フィニッシュラインで大きく両手を広げながらも、うまく状況を飲み込めず、駆け付けたチームスタッフに勝利を確認するヘイマン。「まだ信じられない。過去15年間、パリ〜ルーベではツキに見放されていたけど、今日は全てが上手く行った。精神的にも落ち着いていたし、プレッシャーを感じることなく勝負に挑めたんだ」とヘイマンは語る。
ヘイマンは5週間前(2月27日)のオンループ・ヘットヒュースブラッドで右腕の橈骨を骨折し、予定していた石畳系クラシックをパス。直前のスペインレースで調子を合わせ、このパリ〜ルーベに挑んでいた。
「残り1kmの時点では『表彰台に登れたら御の字だ』と思っていた。脚はまだ回っていたし、トム(ボーネン)と一緒にヴェロドロームに入る感触は最高だったよ。後続に追いつかれてしまったけど、最終ストレートに向かってスプリントを開始した」と勝者は語る。プロ18年目のベテランが16回目のパリ〜ルーベで石畳のトロフィーを手にした。37歳と356日でのパリ〜ルーベ制覇は歴代4番目の記録。オーストラリア人による優勝は2007年のスチュアート・オグレディに続く2人目だ。
パリ〜ルーベ2016結果
1位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5h51’53”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
4位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +03”
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング) +1’00”
7位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、ロット・ソウダル)
8位 アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)
9位 イマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター) +1’07”
10位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) +2’20”
11位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
12位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ロットNLユンボ)
13位 オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング)
14位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
15位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
16位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール)
17位 ベルト・デバッカー(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
18位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +4’40”
19位 マルクス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング) +5’48”
20位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) +6’18”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
史上初めてスタートからレース中継が行われたことも影響し、第114回パリ〜ルーベは序盤から高速化した。晴れ間の覗くパリ郊外コンピエーニュをスタートした198名の多くが逃げに乗るために果敢にアタック。追い風も手伝ってハイスピードで巡航するメイン集団からマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)らが抜け出しを図ったが、メイン集団はスピードを緩めずに追走する。
逃げがようやく決まったのは75km地点。ツール・ド・ランカウイ覇者レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)や、このパリ〜ルーベを最後に現役を引退するヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、トレック・セガフレード)、ロンド・ファン・フラーンデレンで逃げに乗って7位に入ったイマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター)、2012年大会8位のマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、そしてシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)を含む16名が先行し、約1分のリードで最初のパヴェセクターNo.27 トロワヴィル(☆☆☆)に到達した。
レース中盤、タイム差が4分まで拡大したところで、フィニッシュまでまだ120km近くを残して、勝負を大きく左右する動きが生まれる。No.21 ケレネン(☆☆☆)で集団落車が発生し、多くの選手がシクロクロスさながらの軽やかなステップで農地を進んで回避。ここで集団が割れ、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が後方に取り残された。
この好機を生かしたいエティックス・クイックステップが集団先頭でペースアップ。同じ地域のパヴェを走った2015年ツール・ド・フランス第4ステージで優勝したトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が献身的に牽引した結果、カンチェラーラ/サガン集団は1分のタイムロスを被ってしまう。
エティックス・クイックステップは攻撃の手を緩めず、No.19 アヴルイ(☆☆☆☆)でトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が加速すると、マルティン、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)らが抜け出す。カンチェラーラ/サガン集団は何とか前の集団に追いついたものの、そこにはボーネンらの姿はなかった。
ポポヴィッチを先頭にNo.18 アランベール(☆☆☆☆☆)に突っ込んだ逃げグループから1分30秒遅れでボーネン/ボアッソンハーゲン/スタナード集団、2分40秒遅れでカンチェラーラ/サガン集団という展開。ポポヴィッチ、ボーネン、カンチェラーラがそれぞれのグループを率いてアランベールの森を駆け抜ける。この難所でモーターバイクと接触したヴィヴィアーニは病院に搬送されている。
追走を続けていたセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)とルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)がボーネン/ボアッソンハーゲン/スタナード集団に追いついた一方で、カンチェラーラ/サガン集団はまとまりがなくスピードが上がらない。トレック・セガフレードやサガンが自ら先頭を引くも、ロットNLユンボ、エティックス・クイックステップ、チームスカイが牽引する前の集団との1分差が縮まらない。先頭ポポヴィッチは自らのチャンスを諦め、カンチェラーラ牽引のために下がった。
No.13ブヴリ=ラ=フォレ(☆☆☆)通過後、残り63km地点で先頭の逃げグループにボーネン/スタナード/ファンマルク集団が追いつく。こうして25名にまで膨れ上がった先頭集団を追って、47秒後方のメイン集団ではNo.12 オルシエ(☆☆☆)でカンチェラーラがアタック。サガンと協力して前を追ったがタイム差は30秒を割り込まない。
先頭集団にメンバー4名を揃えたチームスカイだったが、No.11 オシュイ=レ=オルシエ(☆☆☆☆)の濡れた石畳のコーナーでネオプロ21歳ジャンニ・モスコン(イタリア)が落車してエース格のロウを巻き込んでしまう。続けざまにサルヴァトーレ・プッチオ(イタリア)も落車。ロウは何とか先頭集団に復帰してスタナードに合流したものの、相次ぐ落車でチームスカイは大きく戦力を落としてしまう。
そして迎えたNo.10 モンサン・ぺヴェル(☆☆☆☆☆)でファンマルクとスタナードのアタックをきっかけに先頭はボーネン、ファンマルク、スタナード、エルビーティ、ヘイマン、ボアッソンハーゲン、アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)に絞られ、遅れてロウやハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)が合流。
1分後方の集団では、泥が堆積した荒れたストレートでカンチェラーラがスリップダウン。後続のサガンはバニーホップで飛び越えたが、優勝経験者ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)は避けきれずに落車する。いずれの選手も再スタートを切ったものの、カンチェラーラやテルプストラのチャンスは事実上ここで消えた。
フィニッシュまで40kmを切ると、史上最多5回目のパリ〜ルーベ制覇を狙うボーネンがアタックを連発したが、ライバルたちは徹底的にマークする。サガン集団との1分差をキープしながら先頭集団はNo.6 ブルゲル(☆☆☆☆)を通過。
チームメイトのロウが発射台となってNo.5 カンファナン=ペヴェル(☆☆☆☆)突入と同時にスタナードが加速すると、いよいよ先頭はスタナード、ヘイマン、ボーネン、ボアッソンハーゲン、ファンマルクの5名に。砂埃を巻き上げて突き進んだこの5名が後続を引き離して残り18km。
すると最後の難所No.4 カルフール・ド・ラルブル(☆☆☆☆☆)でファンマルクが強烈なアタックを仕掛け、残り16km地点から独走を開始した。スタナード、ボーネン、ボアッソンハーゲンが懸命に追走し、一旦千切れたヘイマンも合流して先頭ファンマルクを追う。
5秒リードでこの最後の5つ星パヴェをクリアしたファンマルクだったが、残り12kmで先頭は再び5名に。No.2 ウィラン=アム(☆☆)で再度ファンマルクが仕掛けたが決まらない。石畳でのアタックはいずれも成功せず、ヴェロドロームに向かう舗装路でのアタック勝負となった。
残り4.5km地点の緩い登りを利用してヘイマンが加速し、カウンターアタックでボアッソンハーゲンが先行。捕まるとそこからファンマルクがアタック。続いてボーネンとスタナードがカウンターアタック。すでに6時間近く走った脚を酷使しながら壮絶なアタック合戦が繰り広げられる。
残り2.7km地点でヘイマンが抜け出すと、ここにボーネンがジョイン。スタナード、ボアッソンハーゲン、ファンマルクは牽制し、先頭ヘイマンとボーネンがフラムルージュ(残り1km)を切ってルーベのヴェロドロームへ。合計1周半する競技場に入ると先頭が牽制でスローダウンしたため、スタナード、ボアッソンハーゲン、ファンマルクが復帰する。こうして先頭は5名で残り1周の鐘を聞いた。
ライバルたちの様子を伺いながら先頭で第3コーナーに差し掛かったボーネンが腰を上げる。これにはヘイマンとスタナードが応戦。脚が売り切れたファンマルクとボアッソンハーゲンはスプリントに加われない。
逃げグループの中で200km近く先頭を走り、粘りの走りで勝負に残ったヘイマンのスプリントが伸びた。第4コーナーでボーネンをパスしたヘイマンが先頭へ。ヴェロドロームのスプリントで、ヘイマンの歴史的勝利が決まった。
フィニッシュラインで大きく両手を広げながらも、うまく状況を飲み込めず、駆け付けたチームスタッフに勝利を確認するヘイマン。「まだ信じられない。過去15年間、パリ〜ルーベではツキに見放されていたけど、今日は全てが上手く行った。精神的にも落ち着いていたし、プレッシャーを感じることなく勝負に挑めたんだ」とヘイマンは語る。
ヘイマンは5週間前(2月27日)のオンループ・ヘットヒュースブラッドで右腕の橈骨を骨折し、予定していた石畳系クラシックをパス。直前のスペインレースで調子を合わせ、このパリ〜ルーベに挑んでいた。
「残り1kmの時点では『表彰台に登れたら御の字だ』と思っていた。脚はまだ回っていたし、トム(ボーネン)と一緒にヴェロドロームに入る感触は最高だったよ。後続に追いつかれてしまったけど、最終ストレートに向かってスプリントを開始した」と勝者は語る。プロ18年目のベテランが16回目のパリ〜ルーベで石畳のトロフィーを手にした。37歳と356日でのパリ〜ルーベ制覇は歴代4番目の記録。オーストラリア人による優勝は2007年のスチュアート・オグレディに続く2人目だ。
パリ〜ルーベ2016結果
1位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 5h51’53”
2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
3位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)
4位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) +03”
6位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング) +1’00”
7位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、ロット・ソウダル)
8位 アレクセイ・サラモティンス(ラトビア、IAMサイクリング)
9位 イマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター) +1’07”
10位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) +2’20”
11位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
12位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ロットNLユンボ)
13位 オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング)
14位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)
15位 ラモン・シンケルダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
16位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール)
17位 ベルト・デバッカー(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
18位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +4’40”
19位 マルクス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング) +5’48”
20位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) +6’18”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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サイクルスポーツ 2016年 06月号
八重洲出版