2016/02/16(火) - 10:03
ディメンションデータをサポートする1987年創業のイタリアンヘルメットブランドMETから、同社初となるエアロヘルメット「MANTA」がリリースされた。圧倒的な軽量性を持つプロユースヘルメットをインプレッションした。
MET MANTA HES(ブラック/ブルー/グリーン)
近年、各社から次々と登場しているロードレース用エアロヘルメット。UCIワールドチーム、ディメンションデータ(旧MTNキュベカ)をサポートしているMETからも、いよいよエアロヘルメット「MANTA HES(マンタHES)」が登場した。世界の第一線で活躍する選手が着用するヘルメットを見ていこう。
MANTAの注目ポイントは軽量性だ。流線型シェルデザインとしているエアロヘルメットにおいては、最軽量の実測重量206gを実現している。METのプロダクトの中でも最軽量だ。加えて、この軽量性を持つプロユースというハイエンドモデルながら25,500円(税抜)という高コストパフォーマンスも見逃せない。トレンドのエアロヘルメット購入を考えているライダーにとっては手堅い候補となるだろう。
空気抵抗を低減させるためにベンチレーションホールは最低限の数とされた
排気用のベンチレーションホールは数多く設けられ、ヘルメット内の熱を効率よく逃がせるようにした
実測重量206g(Mサイズ)とエアロヘルメットの中でも最軽量級だ
発熱しやすい額部分の通気性を向上させる溝が設けられている
肝心のエアロダイナミクスについて、METは風洞実験とMTNキュベカの選手からのフィードバックをもとに煮詰めた。METの実験データによると、50km/hで走行したとすると、競合ヘルメットに比べて10ワット分の空気抵抗削減を実現したという。レースのスプリントで数cmの争いをしているときは大きなアドバンテージになるだろう。
ヘルメットの強度を向上させるためにMETは、インナーシェルとアウターシェルのインモールド成形に加えて、HESと呼ばれる落車時の衝撃を広範囲に分散させるポリカーボネイト製のパーツを内蔵している。その結果、厳格な安全基準で知られているCE EN1078やAS、COSCをクリア。本分であるプロテクション性能は期待できるだろう。
フィッティングシステムのベルトは頭1周するようにつながっており、フィット感を高めている
ヘルメット内部は溝を深く掘ることによって、通気性を高めた
汗を吸収せずに額の横に流してくれるGEL O2 FRONT PADが付属している
上下方向に4段階、横方向に2mmずつ調整できるフィッティングシステムを採用。ピッタリなフィット感を得られるはずだ
次は各パーツを見ていこう。パッドは吸汗速乾性に優れるクールマックス製の標準パッドと、GEL O2 FRONT PADという額用のパッドが付属する。GEL O2 FRONT PADは汗を吸収せずに、こめかみに流すことで、汗が眼に入ることを防ぐパッドだ。顎のストラップには、通常品と比べると15%軽量だというAIRLITEが採用されている。
フィッティングシステムは、横方向に2mmずつ調整可能なダイヤルと縦方向に4段階で調整できる機構が採用された「Safe-t advanced」。このフィッティングシステムは締め付けるベルトが頭の周りを一周しているため、後頭部のみ締め付ける一般的なフィッティングシステムと比較し、フィット感を向上させている。
サイズはM54/58cm、L59/62cmという2種類が用意された。カラーバリエーションはブラック/ブルー/グリーン、ホワイト/ブルー、ブラックの3色だ。ブラック以外の2色は青色のインナーシェルとなっており、他に例を見ない独特なルックスとなっている。
―編集部インプレッション
たとえば、こんな経験はないだろうか?階段を上っていて、もう一段あると勘違いしてバランスを崩してしまったことが。貴方がMantaを持ち上げてみたら、きっと同じことを感じるはずだ。見た目から予想される重量感と、実際の重さのギャップに戸惑ってしまうだろう。
軽さにも秀でるMETの新作エアロヘルメットMantaをインプレッション
エアロヘルメットが実測206gしかないという事実は、それほど意外なものである。競合するエアロヘルメット、ここではメットが「クローズドエアロヘルメット」と呼ぶ、空力性能に特化した開口部の少ないモデルのほとんどが250g以上、中には300gに近いものまであるということを考えると、いかにMantaが抜きん出た軽さを持っているのかがうかがい知れる。
滑らかで、エアロ性能に優れたフォルムを持つManta
後方には多くの排気ポートを設け、シェル内部のエアフローを確保した これだけエアロヘルメットが流行し、多くのサイクリストがエアロモデルを被るようになった以上、レースでの成績を求める人であれば、ライバル達に機材で後れをとるわけには行かない。よりスピードが出るとあればエアロヘルメットを被るべきであり、重く暑くとも我慢して、エアロヘルメットを着用してきた人も多いだろう。
しかし、Mantaはその悩みをひとつ解決してくれる。いや、解決ばかりかノーマルタイプのヘルメットユーザーに対してもアドバンテージといえるほどの軽量性は、それだけでも武器となる。高速でアップダウンをこなすようなコースであれば、最強のヘルメットとなるはずだ。
被り心地も非常によく、丸型の頭をもつ筆者にもよくフィットしてくれた。被りも深めで安心感があるし、軽量なうえに重量バランスも良いのか、首周りへの負担も非常に少ない。被っていることを忘れそう、というと大げさかもしれないが、頭部に重量物を載せているという感覚は一切無かった。
一方で、通気性という面においては、空力性能を優先することで失われているものはあると感じる。テストしたのが気温5℃程度というシチュエーションでは、冷たい空気が額に当たらず、むしろ快適なほどであったが、真夏の使用ではかなり汗ばんでしまうのではないだろうか。
ただ、ベンチレーションホールは小さいものの、ヘルメット内部のエアフローはきっちりと確保されている。特に頭頂部に開けられたエアインテークからヘルメット後部への空気の流れは非常にスムーズで、効果的に排熱が出来ていると感じた。想像ではあるが気温20℃くらいまでならば、そこまで大きなストレスを感じずに使えそうだ。
年間を通してオールラウンドに使いたいという向きには兄弟モデルであるRivaleが適しているだろう。空力性能の低下と引き換えに、より高い通気性を実現したオープンエアロモデルもMETは用意している。実際に、プロレーサーも季節やコースによって使い分けている。山岳や暑いステージではRivaleを、スプリントステージや春先のレースではMantaを使用しているようだ。今年のツアー・オブ・カタールで初勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)を守っていたのもMantaだった。
MANTAを使用するマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)ら photo:Tim de Waele
ライバルたちに対して、プライスパフォーマンスに優れることもMantaの美点である。競合するモデルが軒並み3万円台なのに対し、25,500円とかなり手の届きやすい価格に抑えられている。エアロヘルメットの重さに躊躇していた人や値段で悩んでいた人にとって、Mantaはまさにぴったりのヘルメットではないだろうか。
MET MANTA HES
安全規格:CE、AS、CPSC
テクノロジー:Air lite straps、Safe-t advanced、Coolmax anti-allergenic interior pads
カラー:ブラック/ブルー/グリーン、ホワイト/ブルー、ブラック
サイズ:M(54/58cm)、L(59/62cm)
実測重量:206g(Mサイズ)
価 格:25,500円(税抜)
impression:Naoki.Yasuoka
photo:CW編集部

近年、各社から次々と登場しているロードレース用エアロヘルメット。UCIワールドチーム、ディメンションデータ(旧MTNキュベカ)をサポートしているMETからも、いよいよエアロヘルメット「MANTA HES(マンタHES)」が登場した。世界の第一線で活躍する選手が着用するヘルメットを見ていこう。
MANTAの注目ポイントは軽量性だ。流線型シェルデザインとしているエアロヘルメットにおいては、最軽量の実測重量206gを実現している。METのプロダクトの中でも最軽量だ。加えて、この軽量性を持つプロユースというハイエンドモデルながら25,500円(税抜)という高コストパフォーマンスも見逃せない。トレンドのエアロヘルメット購入を考えているライダーにとっては手堅い候補となるだろう。




肝心のエアロダイナミクスについて、METは風洞実験とMTNキュベカの選手からのフィードバックをもとに煮詰めた。METの実験データによると、50km/hで走行したとすると、競合ヘルメットに比べて10ワット分の空気抵抗削減を実現したという。レースのスプリントで数cmの争いをしているときは大きなアドバンテージになるだろう。
ヘルメットの強度を向上させるためにMETは、インナーシェルとアウターシェルのインモールド成形に加えて、HESと呼ばれる落車時の衝撃を広範囲に分散させるポリカーボネイト製のパーツを内蔵している。その結果、厳格な安全基準で知られているCE EN1078やAS、COSCをクリア。本分であるプロテクション性能は期待できるだろう。




次は各パーツを見ていこう。パッドは吸汗速乾性に優れるクールマックス製の標準パッドと、GEL O2 FRONT PADという額用のパッドが付属する。GEL O2 FRONT PADは汗を吸収せずに、こめかみに流すことで、汗が眼に入ることを防ぐパッドだ。顎のストラップには、通常品と比べると15%軽量だというAIRLITEが採用されている。
フィッティングシステムは、横方向に2mmずつ調整可能なダイヤルと縦方向に4段階で調整できる機構が採用された「Safe-t advanced」。このフィッティングシステムは締め付けるベルトが頭の周りを一周しているため、後頭部のみ締め付ける一般的なフィッティングシステムと比較し、フィット感を向上させている。
サイズはM54/58cm、L59/62cmという2種類が用意された。カラーバリエーションはブラック/ブルー/グリーン、ホワイト/ブルー、ブラックの3色だ。ブラック以外の2色は青色のインナーシェルとなっており、他に例を見ない独特なルックスとなっている。
―編集部インプレッション
たとえば、こんな経験はないだろうか?階段を上っていて、もう一段あると勘違いしてバランスを崩してしまったことが。貴方がMantaを持ち上げてみたら、きっと同じことを感じるはずだ。見た目から予想される重量感と、実際の重さのギャップに戸惑ってしまうだろう。

エアロヘルメットが実測206gしかないという事実は、それほど意外なものである。競合するエアロヘルメット、ここではメットが「クローズドエアロヘルメット」と呼ぶ、空力性能に特化した開口部の少ないモデルのほとんどが250g以上、中には300gに近いものまであるということを考えると、いかにMantaが抜きん出た軽さを持っているのかがうかがい知れる。


しかし、Mantaはその悩みをひとつ解決してくれる。いや、解決ばかりかノーマルタイプのヘルメットユーザーに対してもアドバンテージといえるほどの軽量性は、それだけでも武器となる。高速でアップダウンをこなすようなコースであれば、最強のヘルメットとなるはずだ。
被り心地も非常によく、丸型の頭をもつ筆者にもよくフィットしてくれた。被りも深めで安心感があるし、軽量なうえに重量バランスも良いのか、首周りへの負担も非常に少ない。被っていることを忘れそう、というと大げさかもしれないが、頭部に重量物を載せているという感覚は一切無かった。
一方で、通気性という面においては、空力性能を優先することで失われているものはあると感じる。テストしたのが気温5℃程度というシチュエーションでは、冷たい空気が額に当たらず、むしろ快適なほどであったが、真夏の使用ではかなり汗ばんでしまうのではないだろうか。
ただ、ベンチレーションホールは小さいものの、ヘルメット内部のエアフローはきっちりと確保されている。特に頭頂部に開けられたエアインテークからヘルメット後部への空気の流れは非常にスムーズで、効果的に排熱が出来ていると感じた。想像ではあるが気温20℃くらいまでならば、そこまで大きなストレスを感じずに使えそうだ。
年間を通してオールラウンドに使いたいという向きには兄弟モデルであるRivaleが適しているだろう。空力性能の低下と引き換えに、より高い通気性を実現したオープンエアロモデルもMETは用意している。実際に、プロレーサーも季節やコースによって使い分けている。山岳や暑いステージではRivaleを、スプリントステージや春先のレースではMantaを使用しているようだ。今年のツアー・オブ・カタールで初勝利を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)を守っていたのもMantaだった。

ライバルたちに対して、プライスパフォーマンスに優れることもMantaの美点である。競合するモデルが軒並み3万円台なのに対し、25,500円とかなり手の届きやすい価格に抑えられている。エアロヘルメットの重さに躊躇していた人や値段で悩んでいた人にとって、Mantaはまさにぴったりのヘルメットではないだろうか。
MET MANTA HES
安全規格:CE、AS、CPSC
テクノロジー:Air lite straps、Safe-t advanced、Coolmax anti-allergenic interior pads
カラー:ブラック/ブルー/グリーン、ホワイト/ブルー、ブラック
サイズ:M(54/58cm)、L(59/62cm)
実測重量:206g(Mサイズ)
価 格:25,500円(税抜)
impression:Naoki.Yasuoka
photo:CW編集部
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