2015/09/12(土) - 06:15
勝利が無かったチームに捧げるアレクシ・グジャールの独走勝利。メイン集団では石畳の登坂勝負が勃発し、トム・ドゥムランがライバル勢を引き離してゴール。総合リードを僅かながらに広げた。
つばぜり合いの続くブエルタ・ア・エスパーニャは第19ステージを迎え、残すはいよいよ3ステージ。1級山岳を4つ含む山場・第20ステージを翌日に控えたこの日の距離は、メディナ・デル・カンポを出発し、アビラを目指す185.8km。スペイン中部カスティーリャ・イ・レオン州の広大な高原を駆け抜け、フィニッシュ地点アビラを通過後に2級山岳と3級山岳を越えるものの、難易度は高くない。
昨日に続き逃げに有利なコースレイアウトだったため、序盤から今大会最後のチャンスを狙うべく大勢のアタッカーが逃げを試みる。決戦を翌日に控えるメイン集団には逃げを追う意思は無く、24名という巨大なエスケープグループが形成され、先を急いだ。
逃げに加わったのはマルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング)やジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)、マキシム・モンフォールとトッシュ・ファンデルサンド(共にベルギー、ロット・ソウダル)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)、クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)、ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)ら25名。
経験と実績豊かな選手が多く入った逃げグループはペースダウンした集団を尻目に、およそ18分という大きな差を付けて逃げ始める。一方メイン集団では72km地点落車が発生し、ここに総合1位のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が揃って巻き込まれるという波乱も。アルやアスタナのアシスト数名が路面に投げ出されたものの、その後は問題無く集団に復帰している。
ブエルタらしい荒涼とした高原地帯を行くメイン集団をコントロールするのはドゥムラン擁するジャイアント・アルペシン。その後ろにはアスタナ、カチューシャ、モビスター、ティンコフ・サクソ、そしてオリカ・グリーンエッジが続き、ゴール前の登りで繰り広げられるであろう勝負に向け、距離を消化していった。
ゴールまで45kmを切ると、先頭グループからはティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)が2級山岳へと続くアップダウン区間でアタック。30秒差を稼いだマシャドにに対してイリサールが追走を試みたが、逃げグループに吸収されて不発に。代わってグジャールどドゥケがマシャドに合流したが、すぐに3人の中から力のあるグジャールが独走を開始する。
快調にペースを刻むグジャールに対し、遅れたマシャドやアマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)、アマドール、そしてモンフォールの4名が追走グループを作ったが、協調体制が上手く取れずに30秒ほどの差が一向に詰まらない。1対4という不利な状況ながら、グジャールはジュニア時代にTTフランス国内選手権を制した独走力を活かして逃げ続けた。
一方のメイン集団では、横風が強く吹く2級山岳でモビスターが組織だったペースアップを開始する。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)もアタックを繰り出す展開にたまらず選手が千切れていき、強豪勢を含む25名ほどが集団に残った。序盤に落車したアルとドゥムランも問題無くこの動きに対応する。
活性化する集団、そして協調体制を上手く取れない追走4名を尻目に、ペースを保ったグジャールは30秒差を保ったままゴールへと続く石畳の登坂へ。ここも踏み切ったグジャールは後ろを振り返り、喜びを噛み締めるようにフィニッシュ。ここまで結果に繋げられていなかったチームに対し、今大会初勝利、そしてリオ五輪プレ大会以来ほぼ1ヶ月ぶりの勝利を与えることになった。
その後方のメイン集団からは「もうこのブエルタを狙うことは不可能になったから、できる限り挑戦した」というバルベルデが継続的にアタック。これをティンコフ・サクソらが追う展開となり、ペースが落ちないままに石畳の登坂へと突入した。
すると間髪入れずにジャイアント・アルペシンの牽きからマイヨロホが発進。得意の緩斜面で加速したドゥムランをフォローできたのはダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)のみ。アルは一歩遅れてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)と共に追走を試みたものの、微妙な間隔が詰まり切らない。
力を使ったバルベルデやホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)らは動くことができず、結局ドゥムランはアルとポッツォヴィーヴォに3秒、その他ライバルに対して9秒差を付け、よりリードを広げる形で19ステージを終えることとなった。
翌20ステージは、マドリードの平坦コースを巡る最終日前日の山岳決戦の日。1級山岳が4つ登場するものの、大会最後の山岳バトルの場となるプエルト・デ・コトスの平均勾配は5.4%。激坂こそ用意され無いが、最後のチャンスに掛けた登坂勝負が熾烈を極めることは間違いない。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第19ステージ結果
78h20'51''
+06"
+1'24"
+2'31"
+3'02"
+3'24"
+3'39"
+3'46"
+4'19"
+7'00"
116pts
114pts
108pts
82pts
30pts
27pts
15pts
18pts
23pts
235h00'58"
+22'39"
+29'30"
text:So.Isobe
photo:CorVos
つばぜり合いの続くブエルタ・ア・エスパーニャは第19ステージを迎え、残すはいよいよ3ステージ。1級山岳を4つ含む山場・第20ステージを翌日に控えたこの日の距離は、メディナ・デル・カンポを出発し、アビラを目指す185.8km。スペイン中部カスティーリャ・イ・レオン州の広大な高原を駆け抜け、フィニッシュ地点アビラを通過後に2級山岳と3級山岳を越えるものの、難易度は高くない。
昨日に続き逃げに有利なコースレイアウトだったため、序盤から今大会最後のチャンスを狙うべく大勢のアタッカーが逃げを試みる。決戦を翌日に控えるメイン集団には逃げを追う意思は無く、24名という巨大なエスケープグループが形成され、先を急いだ。
逃げに加わったのはマルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング)やジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)、マキシム・モンフォールとトッシュ・ファンデルサンド(共にベルギー、ロット・ソウダル)、レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア)、クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)、ナタナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)ら25名。
経験と実績豊かな選手が多く入った逃げグループはペースダウンした集団を尻目に、およそ18分という大きな差を付けて逃げ始める。一方メイン集団では72km地点落車が発生し、ここに総合1位のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が揃って巻き込まれるという波乱も。アルやアスタナのアシスト数名が路面に投げ出されたものの、その後は問題無く集団に復帰している。
ブエルタらしい荒涼とした高原地帯を行くメイン集団をコントロールするのはドゥムラン擁するジャイアント・アルペシン。その後ろにはアスタナ、カチューシャ、モビスター、ティンコフ・サクソ、そしてオリカ・グリーンエッジが続き、ゴール前の登りで繰り広げられるであろう勝負に向け、距離を消化していった。
ゴールまで45kmを切ると、先頭グループからはティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)が2級山岳へと続くアップダウン区間でアタック。30秒差を稼いだマシャドにに対してイリサールが追走を試みたが、逃げグループに吸収されて不発に。代わってグジャールどドゥケがマシャドに合流したが、すぐに3人の中から力のあるグジャールが独走を開始する。
快調にペースを刻むグジャールに対し、遅れたマシャドやアマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)、アマドール、そしてモンフォールの4名が追走グループを作ったが、協調体制が上手く取れずに30秒ほどの差が一向に詰まらない。1対4という不利な状況ながら、グジャールはジュニア時代にTTフランス国内選手権を制した独走力を活かして逃げ続けた。
一方のメイン集団では、横風が強く吹く2級山岳でモビスターが組織だったペースアップを開始する。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)もアタックを繰り出す展開にたまらず選手が千切れていき、強豪勢を含む25名ほどが集団に残った。序盤に落車したアルとドゥムランも問題無くこの動きに対応する。
活性化する集団、そして協調体制を上手く取れない追走4名を尻目に、ペースを保ったグジャールは30秒差を保ったままゴールへと続く石畳の登坂へ。ここも踏み切ったグジャールは後ろを振り返り、喜びを噛み締めるようにフィニッシュ。ここまで結果に繋げられていなかったチームに対し、今大会初勝利、そしてリオ五輪プレ大会以来ほぼ1ヶ月ぶりの勝利を与えることになった。
その後方のメイン集団からは「もうこのブエルタを狙うことは不可能になったから、できる限り挑戦した」というバルベルデが継続的にアタック。これをティンコフ・サクソらが追う展開となり、ペースが落ちないままに石畳の登坂へと突入した。
すると間髪入れずにジャイアント・アルペシンの牽きからマイヨロホが発進。得意の緩斜面で加速したドゥムランをフォローできたのはダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)のみ。アルは一歩遅れてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)と共に追走を試みたものの、微妙な間隔が詰まり切らない。
力を使ったバルベルデやホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)らは動くことができず、結局ドゥムランはアルとポッツォヴィーヴォに3秒、その他ライバルに対して9秒差を付け、よりリードを広げる形で19ステージを終えることとなった。
翌20ステージは、マドリードの平坦コースを巡る最終日前日の山岳決戦の日。1級山岳が4つ登場するものの、大会最後の山岳バトルの場となるプエルト・デ・コトスの平均勾配は5.4%。激坂こそ用意され無いが、最後のチャンスに掛けた登坂勝負が熾烈を極めることは間違いない。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第19ステージ結果
1位 アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
3位 マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
5位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)
6位 アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)
7位 ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)
8位 ダヴィ・アローヨ(スペイン、カハルーラル)
9位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)
10位 フランシスコ・ベントソ(スペイン、モビスター)
66位 新城幸也(ヨーロッパカー)
2位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
3位 マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
5位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ)
6位 アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)
7位 ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)
8位 ダヴィ・アローヨ(スペイン、カハルーラル)
9位 クリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)
10位 フランシスコ・ベントソ(スペイン、モビスター)
66位 新城幸也(ヨーロッパカー)
4h19"'20"
+40"
+44'
+53"
+1'03"
+1'17"
+18'40"
+40"
+44'
+53"
+1'03"
+1'17"
+18'40"
個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
10位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
10位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
78h20'51''
+06"
+1'24"
+2'31"
+3'02"
+3'24"
+3'39"
+3'46"
+4'19"
+7'00"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
116pts
114pts
108pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)
82pts
30pts
27pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
15pts
18pts
23pts
チーム総合成績
1位 モビスター
2位 チームスカイ
3位 カチューシャ
1位 モビスター
2位 チームスカイ
3位 カチューシャ
235h00'58"
+22'39"
+29'30"
text:So.Isobe
photo:CorVos
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